ドラゴンのとう

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ドラゴンのとう
Uprooted
作者さくしゃ ナオミ・ノヴィク
くに アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく
シリーズ 単独たんどくさく
発表はっぴょう形態けいたい アメリカ合衆国の旗 書籍しょせき(ハードカバー)
日本の旗 書籍しょせき(ソフトカバー)
刊本かんぽん情報じょうほう
出版しゅっぱんもと アメリカ合衆国の旗 デル・レイ
日本の旗 しずさんしゃ
出版しゅっぱん年月日ねんがっぴ アメリカ合衆国の旗 2015ねん5がつ19にち
日本の旗 2016ねん12月7にち
挿絵さしえ アメリカ合衆国の旗 スコット・マッコーエン英語えいごばん
日本の旗 カガヤケイ
そうページすう アメリカ合衆国の旗 448
日本の旗 上巻じょうかん魔女まじょむすめ」376
日本の旗 下巻げかんもり秘密ひみつ」360
id アメリカ合衆国の旗 ISBN 978-0804179034
日本の旗 上巻じょうかんISBN 978-486389366-5下巻げかんISBN 978-486389367-2
日本語にほんごやく
訳者やくしゃ かおり
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ドラゴンのとう』(上巻じょうかん魔女まじょむすめ」、下巻げかんもり秘密ひみつ」、'えい: Uprooted')はナオミ・ノヴィクによる2015ねん出版しゅっぱんされたハイ・ファンタジー[1][2]

ほんさくは、ノヴィクによるのファンタジーシリーズことなり、『ぎんをつむぐもの同様どうよう単独たんどく作品さくひんとなっている[3]

あらすじ[編集へんしゅう]

アグニシュカはポールニャ王国おうこくのドヴェルニクむらんでいる。10ねんごとに、地元じもと魔法使まほうつかい(<ドラゴン>としてられている)は、隣接りんせつする魔法まほうもり(<もり>)から地元じもとたにまも代償だいしょうとして10代のむすめいちにんえらす。<ドラゴン>は最高さいこうで、もっともかしこえらぶのだが、子供こどもころから<ドラゴン>にえらばれるだろうと大事だいじに(ただしきびしく)そだてられたカシアとは対照たいしょうてきにアグニシュカは不器用ぶきようでだらしないので、えらばれるとはおもってもいない。しかし、選抜せんばつ儀式ぎしきで、<ドラゴン>はアグニシュカをえらび、すぐに自分じぶんがクラスしろとうかえった。

以前いぜんむすめのこしたノートをとおして、アグニシュカは自分じぶん役目やくめがほとんどは<ドラゴン>のために家事かじをこなすことだとおもっている。しかしながら、<ドラゴン>がアグニシュカをえらんだのは彼女かのじょ魔法まほう能力のうりょくゆえであり、簡単かんたん呪文じゅもんおしはじめる。アグニシュカはこのような魔法まほう行為こういむずかしく、不自然ふしぜんだとかんじる。

自身じしんつとめの一部いちぶとして、<ドラゴン>はキメラじゅう対処たいしょするために遠方えんぽうされる。<ドラゴン>が不在ふざいあいだに、アグニシュカはたすけをもとめる烽火ほうか故郷こきょうむらからつづいていることにく。ドラゴンの指示しじさからってとうからし、ドヴェルニクむらもどるが、そこで<もり>からてきたオオカミによってうし村人むらびとかれいてることをる。アグニシュカは魔法まほう使つかってかれたうしやしくすことに成功せいこうするが、オオカミたちがもどってきて、アグニシュカとカシアをころそうとする。そうなるまえに<ドラゴン>がアグニシュカをすくうために到着とうちゃくするが、自分じぶん自身じしんきずってしまう。二人ふたりとうもどると、アグニシュカは、以前いぜんに<ドラゴン>がやくにたないしんじたノート(バーバ・ヤーガいたもの)にかれた呪文じゅもん直感ちょっかんたあとで、<ドラゴン>のいのちすくうことに成功せいこうする。アグニシュカのちから自分じぶんのものとはことなることを認識にんしきした<ドラゴン>は、しぶしぶながらアグニシュカがバーバ・ヤーガが使用しようしたより直感ちょっかんてき魔法まほうまなぶことを許可きょかする。

カシアが<もり>からてきた怪物かいぶつとらわれる。<もり>にはいって生還せいかんしたものがないことから、<ドラゴン>はカシアがんだとめる。しかし、アグニシュカは自分じぶん魔法まほう使つかってカシアがなか半分はんぶんまれ、肉体にくたいべられているの場所ばしょめ、そこからす。しかしながら、カシアはけがれにおかされており、<ドラゴン>はアグニシュカに友人ゆうじんころさなければならないとげる。しかし、<ドラゴン>は処刑しょけい延期えんきすることに同意どういする。アグニシュカは召喚しょうかんじゅつ使つかって本来ほんらいのカシアがまだ体内たいないのこっているか確認かくにんするというアイデアをおもいつく。<ドラゴン>と二人ふたり魔法まほうわせて、なんとかカシアのしん解放かいほうする。

カシア生還せいかんのニュースはひろひろまり、マレク王子おうじ魔法使まほうつかいの<ハヤブサ>が<ドラゴン>のとうにやってくる。カシアがもはや<もり>ののろいにとらわれていないことがはっきりすると、20ねんまえ逐電ちくでんして、もりとらやぶられた王子おうじ母親ははおやもど手伝てつだいをするようにめいじる。アグニシュカ、カシア、<ドラゴン>、マレク王子おうじ、<ハヤブサ>、そして30にん兵士へいしからなる捜索そうさくたいが<もり>へとれる。<あるくもの>とだいカマキリが兵士へいしたちをほぼ全滅ぜんめつさせるが、捜索そうさくたいはなんとか昏睡こんすい状態じょうたいのように王妃おうひを<心臓しんぞうじゅ>から解放かいほうする。<ドラゴン>はこの機会きかい利用りようして弱体じゃくたいした<もり>を完全かんぜん破壊はかいしたいとかんがえているが、王子おうじ母親ははおやとカシアをおう法廷ほうていもどし、<もり>のけがれにおかされていないことの証明しょうめいもとめる。アグニシュカも証言しょうげんするために同行どうこうする。気乗きのりはしなかったものの、魔女まじょとしての認定にんてい取得しゅとくし、魔女まじょ魔法使まほうつかいとう。しかし、事態じたい急速きゅうそく進展しんてんする。王妃おうひ審判しんぱんでポールニャの対立たいりつこくであるローシャに責任せきにんわせる。魔法使まほうつかいがおそろしい怪物かいぶつ変身へんしんし、おうたおされるまえおうしいする。王妃おうひ長男ちょうなんをローシャとの戦争せんそうて、おう太子たいしせにあって殺害さつがいされ、反逆はんぎゃくしゃ兵士へいしおう太子たいしころし、子供こどもたちもころそうとする。しかし、アグニシュカとカシアが子供こどもたちを救出きゅうしゅつし、ドラゴンのとうへと脱出だっしゅつする。おう太子たいし子供こどもたちをマレク王子おうじ王妃おうひからまも手助てだすけをしようと準備じゅんびをしている男爵だんしゃくが、<ドラゴン>に加勢かせいする。王妃おうひ、マレク、そして<ハヤブサ>がドラゴンのとう到着とうちゃくし、凄惨せいさん戦闘せんとうはじまる。王妃おうひまごたちをころそうとする直前ちょくぜん、アグニシュカは幻影げんえい王妃おうひにはなんひゃくねんまえ現在げんざいのドラゴンのとう臣下しんかたちによってきたままレンガでめられた<もり女王じょおう>が宿やどっていることにづく。カシアは王妃おうひころそうとするが、すんでのところでのがれられ、王妃おうひは<もり>への脱出だっしゅつ成功せいこうする。

<ドラゴン>は王位おうい継承けいしょうしゃ遠方えんぽうおくし、<もり>とゆっくりとたたかつづけることに満足まんぞくしたが、アグニシュカは一緒いっしょに<もり>を完全かんぜんかすように説得せっとくする。二人ふたりは<心臓しんぞうじゅ>の到達とうたつし、<もり女王じょおう>がほうむられた場所ばしょやそうとする。女王じょおうはアグニシュカと<ドラゴン>をたおし、アグニシュカをもっとふるみきむ。そこでアグニシュカはふたた幻影げんえいて、<もり女王じょおう>がもりんでいた魔力まりょく人々ひとびと一員いちいんだったことをる。<もり女王じょおう>は人間にんげんおう結婚けっこんしたが、おうぬと臣下しんか人々ひとびともりみんけ、かれらに自分じぶん自身じしんまもるために変身へんしんするようにめいじた。おう臣下しんかたちが<もり女王じょおう>をころすことに失敗しっぱいしたのちに、もりみんもともどったがみんなは変身へんしんしており、かれらをたすけるために人間にんげんべさせると見当けんとうちがいの努力どりょくはじめたのだった。アグニシュカはからの脱出だっしゅつ成功せいこうし、<もり女王じょおう>にいもうとを、女王じょおう自身じしんからだ使つかっていやすようにげる。<ドラゴン>はこれでもりおさえることができるのか懐疑かいぎてきなままだ。<ドラゴン>はクラリアのポールニャ宮廷きゅうていおもむき、そこに根付ねついたけがれの影響えいきょうから解放かいほうすることを決心けっしんするが、アグニシュカはかれ自分じぶんへの気持きもちからげているのではないかとうたがっている。

いちねん、アグニシュカは<あるくもの>をらし、けがれたやしたり、あたらしい、えたりするのを手伝てつだわしている。地元じもと収穫しゅうかくまつりで、ドラゴンは年貢ねんぐ徴収ちょうしゅうするためにもどってくるが、アグニシュカは実際じっさいかれ自分じぶんのためにもどってきたことをっており、家族かぞく紹介しょうかいする。

受賞じゅしょう[編集へんしゅう]

『ドラゴンのとう』は2015ねんネビュラしょう 長編ちょうへん小説しょうせつ部門ぶもん[4]、2016ねんローカスしょう ファンタジイ長編ちょうへん部門ぶもん[5]、および2016ねんミソピーイクしょう一般いっぱん文芸ぶんげい部門ぶもん受賞じゅしょうした[6]。 また、2016ねんヒューゴーしょう 長編ちょうへん小説しょうせつ部門ぶもんにもノミネートされた[7]

登場とうじょう人物じんぶつ[編集へんしゅう]

  • アグニシュカ、主人公しゅじんこう
  • カシア、アグニシュカの親友しんゆうで、だれもから<ドラゴン>にえらばれるとみなされていた
  • マレク王子おうじ、ポールニャ国王こくおう息子むすこ
  • サーカン、<ドラゴン>[8]、アグニシュカのむらちかくにまう魔法使まほうつか
  • ソールニャ、<ハヤブサ>、<遠視えんし>の魔法まほうられる魔法使まほうつか
  • アローシャ、<ツルギ>、魔法使まほうつかいの戦士せんし
  • バロ、<フクロウ>、魔法使まほうつかいの修道しゅうどう
  • ラゴストック、<スプレンディド>、魔法使まほうつかいの宝飾ほうしょく(アローシャの曾孫そうそん
  • ハンナ王妃おうひ、ポールニャ国王こくおう、20年間ねんかん<もり>にとらわれていた
  • <もり>、古代こだいもり

地理ちり[編集へんしゅう]

  • ポールニャおよびローシャ、対立たいりつする2つの王国おうこく
  • ドヴェルニク、アグニシュカとカシアがそだったむら。<もり>にちか
  • <もり>、ポールニャとローシャの国境こっきょうにまたがるのろわれたもりで、おそろしい動物どうぶつ奇妙きみょう怪物かいぶつちている
  • ポロスナ、<もり>にまれたむら
  • クラリア、ポールニャの首都しゅと
  • ドラゴンのとう、サーカンの住処すみか古代こだい文明ぶんめい廃墟はいきょうえてられたとうで、たにまもっている
  • 糸繰いとくがわたに沿ってながれ、<もり>の奥深おくふかくにえるかわ

文化ぶんかてき言及げんきゅう[編集へんしゅう]

著者ちょしゃ母親ははおやがポーランドじんであることから、本書ほんしょにはポーランド文化ぶんかへの言及げんきゅう数多かずおおられる。謝辞しゃじでも説明せつめいされているようにほとんどのポールニャじん登場とうじょう人物じんぶつナタリア・ガウチンスカポーランドばんによる Agnieszka Skrawek Niebaそらのかけらのアグニシュカ)をもとにした主人公しゅじんこう名前なまえなどポーランドじん名前なまえがつけられている。バーバ・ヤーガスラブ民話みんわ一般いっぱんてきブギーマンである。ポールニャの対立たいりつこくであるローシャは、ポーランドでロシアをあらわRosjaおな発音はつおんである。アグニシュカが<ドラゴン>のけがれをなお呪文じゅもんとなえる「100ねんきることについての誕生たんじょううた」はポーランドの誕生たんじょううた Sto lat であり、これは文字通もじどおり「100ねん」を意味いみしている。本書ほんしょ引用いんようされているべつうた囲炉裏いろり火花ひばなについて、そのなが物語ものがたりかたる」の歌詞かしは、ヤニーナ・ポラジンスカ英語えいごばんによる子守こもりうた Bajka iskierki(「おとぎばなしかがやき」ないし Z popielnika na Wojtusia灰皿はいざらからヴォイトゥシまで」)の一部いちぶ翻訳ほんやくである。最後さいご晩餐ばんさんでアグニシュカはジュレックをあじわうが、これはポーランドで żurek としてられる東欧とうおうのスープのおとうつしである。

映像えいぞう[編集へんしゅう]

2015ねんワーナー・ブラザースが『ドラゴンのとう』の映画えいがけん取得しゅとくし、プロデューサーとしてエレン・デジェネレスてられた[9]

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

  1. ^ Worlds Beyond: Naomi Novik's 'Uprooted' will have readers rooted”. San Jose Mercury News (2015ねん8がつ25にち). 2015ねん9がつ18にち閲覧えつらん
  2. ^ Science Fiction and Fantasy”. The New York Times (2015ねん5がつ28にち). 2015ねん9がつ18にち閲覧えつらん
  3. ^ BookFilter Exclusive: Naomi Novik On Her Acclaimed New Fantasy Novel 'Uprooted'”. BookFilter (2015ねん5がつ20日はつか). 2015ねん9がつ18にち閲覧えつらん
  4. ^ Nebula Awards 2015 Winners”. Nebula Awards. 2020ねん3がつ1にち閲覧えつらん
  5. ^ 2016 Locus Awards Winners”. Locus Online News. 2016ねん6がつ26にち閲覧えつらん
  6. ^ Mythopoeic Awards: 2016 Winners Announced”. The Mythopoeic Society. 2016ねん8がつ9にち閲覧えつらん
  7. ^ 2016 Hugo Awards at TheHugoAwards.org; retrieved February 6, 2017
  8. ^ 'Uprooted': the spellbinding power of truth”. The Seattle Times (2015ねん5がつ26にち). 2015ねん9がつ18にち閲覧えつらん
  9. ^ Ellen DeGeneres to Produce Adaptation of Naomi Novik's Fantasy Novel 'Uprooted' (Exclusive)”. The Hollywood Reporter (2015ねん6がつ8にち). 2015ねん9がつ18にち閲覧えつらん