剣けん嵐あらしの大地だいち

剣けん嵐あらしの大地だいち A Storm of Swords
著者ちょしゃ	ジョージ・R・R・マーティン
訳者やくしゃ	岡部おかべ宏之ひろゆき
発行はっこう日び	2000年ねん
発行はっこう元もと	早川書房はやかわしょぼう（日本語にほんご版ばん）
ジャンル	ファンタジー
国くに	アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく
言語げんご	英語えいご（日本語にほんご）
前作ぜんさく	王おう狼おおかみたちの戦旗せんき
次つぎ作さく	乱らん鴉からすの饗宴きょうえん
公式こうしきサイト	George R. R. Martin's Official Website
コード	ISBN 978-3-442-24733-2, 978-0-553-10663-3, OCLC 44676135
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『剣けん嵐あらしの大地だいち』（けんらんのだいち、A Storm of Swords）は、ジョージ・R・R・マーティン著ちょのファンタジー小説しょうせつシリーズである『氷こおりと炎ほのおの歌うた』の第だい3部ぶである。2001年ねんのローカス賞しょう ファンタジイ長篇ちょうへん部門ぶもんを受賞じゅしょうしている。

なお、第だい4部ぶと第だい5部ぶは、第だい3部ぶの後のちに並行へいこうして起おきた出来事できごとを、登場とうじょう人物じんぶつや場所ばしょで分わけて書かかれたものである。

本書ほんしょの前半ぜんはんは、HBOのテレビ・シリーズ『ゲーム・オブ・スローンズ』の第だい三さんシーズンの原作げんさくとなり、後半こうはんは第だい四よんシーズンの原作げんさくとなった。

あらすじへの手引てびき

『氷こおりと炎ほのおの歌うた』シリーズは、中世ちゅうせいヨーロッパを思おもい起おこさせるが、魔法まほうが実在じつざいし、ひとつの季き節ぶしが何なん年ねんも続つづく架空かくうの世界せかいを舞台ぶたいとし、混乱こんらんの中なかにある王国おうこくの玉座ぎょくざを巡めぐる争あらそいを追おいかける。物語ものがたりには三みっつの筋すじがある。ウェスタロス大陸たいりくにおける〈鉄てつの玉座ぎょくざ〉を巡めぐっての内戦ないせん、ウェスタロス北部ほくぶの〈壁かべ〉における極北きょくほくからの侵略しんりゃくとの戦たたかい、そして東ひがしの大陸たいりくエッソスにおける、ターガリエン家かの〈鉄てつの玉座ぎょくざ〉復帰ふっきを目指めざす探求たんきゅうである。

あらすじ

本ほんシリーズの第だい1部ぶから第だい3部ぶ(本ほん作さく)には岡部おかべ宏之ひろゆきによる旧版きゅうばんと、酒井さかい昭伸あきのぶによる新訳しんやく語ごを用もちいた改訂かいてい新版しんぱんが存在そんざいし、両りょう版はんの間あいだでは多おおくの名称めいしょうの日本語にほんご訳やくが変更へんこうされているため、以下いかにおいては新訳しんやく語ごを用もちい、最初さいしょに使用しようされた箇所かしょでは括弧かっこ内ないに旧きゅう訳語やくごを示しめす。

『剣けん嵐あらしの大地だいち』は、第だい2部ぶ『王おう狼おおかみたちの戦旗せんき』の最後さいごから時間じかんを若干じゃっかんさかのぼって始はじまる。七なな王国おうこくはいまだに〈五ご王おうの戦たたかい〉のさなかにあり、レンリー・バラシオンは死しんだが、ロブ・スターク、ベイロン(バロン)・グレイジョイ、ジョフリー・バラシオン、そしてスタニス(スタンニス)・バラシオンが戦おののい続つづける。スタニスはキングズランディングを攻せめたが、ジョフリーを支持しじするラニスター家かとタイレル家か(タィレル)家いえの同盟どうめいの前まえに敗やぶれ去さっている。マーテル家かもラニスター家かを支持しじすることを約やくしてはいたが、いまだ戦場せんじょうには現あらわれていない。一方いっぽうで、マンス・レイダーの下したで〈野人やじん〉(〈野性やせい人じん〉)の大軍たいぐんが〈壁かべ〉に向むかって進攻しんこうし、ごくわずかな〈冥めい夜よるの守人もりと〉(〈夜警やけい団だん〉)が〈壁かべ〉を守まもるだけである。そしてはるか東方とうほうでは、デナーリス(デーナリス)・ターガリエンがペントスに向むかっている。

本ほん作さくはAL(上陸じょうりく後ご)299の年としの最後さいごの月つきに始はじまり、AL300の年としの出来事できごとを追おう。

七なな王国おうこくにおいて

北部ほくぶ/リヴァーランドにおいて

リヴァーランにおいて、キャトリン(ケイトリン)・スタークは、捕虜ほりょとなっていたジェイミー(ジェイム)・ラニスターに、釈放しゃくほうする代かわりに娘むすめたちを解放かいほうする取引とりひきをもちかける。ジェイミーは同意どういし、ブライエニー(ブリエンヌ)とクレオス・フレイに付つき添そわれて南みなみに向むかう。ジェイミーとブライエニーは、現在げんざいはルース・ボルトンに雇やとわれている、〈勇武ゆうぶ党とう〉(〈勇敢ゆうかん組ぐみ〉)として知しられる傭兵ようへいたちに待まち伏ぶせを受うけ、ハレンの巨きょ城じょう(ハレンホール)に連行れんこうされる。傭兵ようへい隊長たいちょうのヴァーゴ・ホウトはジェイミーの右手みぎてを切きり落おとし、ジェイミーはキングズランディングに送おくられる。捕虜ほりょとして無む価値かちなブライエニーは傭兵ようへいたちの慰なぐさみ者しゃとして残のこされるが、ジェイミーが戻もどって来きて救すくい出だす。

ロブの軍ぐんは西部せいぶでラニスター家かの軍ぐんを打うち破やぶった後のち、リヴァーランに戻もどる。ロブはフレイ家かの娘むすめとの婚約こんやくを反故ほごにして、ラニスター家かの旗はた主ぬしの娘むすめであるジェイン・ウェスタリングを妻つまとして連つれ帰かえる。ロブの軍勢ぐんぜいはタイレル家かの旗はた主ぬし(旗手きしゅ)ランディル・ターリー公おおやけとサー・グレガー・クレゲインに挟はさまれて不利ふりな状況じょうきょうにあり、グレイジョイ家かは北部ほくぶのロブの領土りょうどを手中しゅちゅうに収おさめる。ジェイミーの解放かいほうに怒おこったリカード・カースターク公こうは捕虜ほりょのラニスター家かの少年しょうねんを殺ころし、ロブはこれを咎とがめてカースターク公こうを斬首ざんしゅに処しょす。その結果けっか、カースターク家かの大軍たいぐんはロブのもとを離はなれる。追おい込こまれたロブは北部ほくぶに戻もどるため、グレイジョイ家かから要塞ようさいケイリン(モウト・ケイリン)を取とり戻もどす計画けいかくを練ねるが、怒おこらせてしまったフレイ家かの軍勢ぐんぜいを必要ひつようとする。リヴァーランの領主りょうしゅホスター・タリー公こうが死去しきょし、キャトリンの弟おとうとエドミュアが後ごを継つぐ。

アリア・スタークの仲間なかまは、ベリック・ドンダリオン公おおやけと赤あかい司祭しさい(紅あかい祭司さいし) ミアのソロスに率ひきいられた、〈旗標はたじるしなき兄弟きょうだい団だん〉(〈旗印はたじるしのない結社けっしゃ〉)に出会であう。〈旗標はたじるしなき兄弟きょうだい団だん〉は、もともとはラニスター家かの侵略しんりゃくと戦たたかうために送おくられ、今いまは戦せんに踏ふみにじられたリヴァーランドの平民へいみんたちを守まもろうとする集団しゅうだんである。〈旗標はたじるしなき兄弟きょうだい団だん〉はサンダー・クレゲインを捕とらえる。サンダーは決闘けっとう裁判さいばんの機会きかいを与あたえられ、ベリックを殺ころすが、ソロスは神かみル=ロール(ルラー)の力ちからを呼よび起おこしてベリックを蘇よみがえらせる。アリアは逃にげだすが、待まち伏ぶせていたサンダー・クレゲインに捕つかまる。クレゲインはアリアを家族かぞくに送おくり届とどけて身代金みのしろきんを得えることにし、双子ふたご城じょうに向むかう。

ロブの軍勢ぐんぜいは双子ふたご城じょうに近ちかづく。エドミュアがフレイ家かの娘むすめと、そしてアリアがフレイ家かの孫まごと結婚けっこんするという条件じょうけんで、フレイ家かはロブの婚約こんやく破棄はきを許ゆるすことに同意どういする。婚儀こんぎの最中さいちゅう、エドミュアが床入とこいりの儀式ぎしきに向むかった後のち、楽師がくしを装よそおったフレイ兵へいたちが弩いしゆみでスターク家か側がわの出席しゅっせき者しゃに矢やを放はなち、スターク家かの旗はた主ぬしのボルトン家かはフレイ家かと謀はかり、北部ほくぶ人じんたちを殺戮さつりくする。キャトリンは喉のどを切きり裂さかれて裸はだかで川かわに投なげ込こまれる。ロブはルース・ボルトンに刺殺さしころされた後のちに首くびをはねられ、その胴体どうたいには射殺しゃさつされたロブの大だい狼おおかみグレイウィンドの頭あたまが縫ぬいつけられる。多おおくの北部ほくぶ人じんが殺ころされるか囚とらわれとなる。

〈釁られた婚儀こんぎ〉(〈血染ちぞめの婚儀こんぎ〉)として知しられるこの惨劇さんげきが起おきていたころ、アリアとサンダーは双子ふたご城じょうに着つき、凶事きょうじを知しる。サンダーは危険きけんを感かんじ、城しろに入にゅうろうとするアリアを殴なぐって気きを失うしなわせ川下かわしもに運はこぶ。夢ゆめの中なかでアリアは長ながく離はなれ離ばなれとなっている大だい狼おおかみナイメリアになって、水みずに浮うかぶ女おんなの骸むくろを見みつけ、キャトリンが死しんだとサンダーに告つげる。アリアとサンダーは、サンダーの兄あにグレガー・クレゲインの家来けらいたちに出でくわし、サンダーは傷きずを負おう。傷きずは化膿かのうし、アリアはサンダーを置おき去ざりにして立たち去さる。アリアは自由じゆう都市としブレーヴォス(ブラーボス)から来きた船ふねを見みつけ、ジャクェン・フ=ガー(ジャケン・フガー)からもらったコインを差さし出だし、教おしえられた言葉ことばを話はなす。船長せんちょうはアリアの乗船じょうせんを承諾しょうだくし、ブレーヴォスに向むけて船ふねは出港しゅっこうする。

南部なんぶ/キングズランディングにおいて

〈ブラックウォーターの戦たたかい〉の後のち、ダヴォス・シーワースは岩いわだらけの小島こじまに打うち上あげられている。ダヴォスはスタニス・バラシオンの家来けらいに発見はっけんされてドラゴンストーンに連つれて行いかれる。ダヴォスは、スタニスの敗北はいぼくをル=ロールの女おんな祭司さいしメリサンドルのせいだと主張しゅちょうするが、反逆はんぎゃくの罪つみで牢ろうに入いれられる。メリサンドルは、ダヴォスに向むかい、王おうに対たいして真実しんじつを語かたることだけを願ねがう。スタニスはダヴォスを開放かいほうし、〈王おうの手て〉とする。メリサンドルは城しろを守護しゅごする大だい彫像ちょうぞうが石いしのドラゴンだと考かんがえ、目覚めざめさせるための血ちの儀式ぎしきを行おこなおうとし、ロバート前ぜん王おうの私生児しせいじエドリック・ストームを炎ほのおの犠牲ぎせいに捧ささげることをスタニスに承知しょうちさせる。だがダヴォスは密ひそかにエドリックを逃にがす。スタニスは反逆はんぎゃくの罪つみでダヴォスを処刑しょけいしようとするが、ダヴォスは援軍えんぐんを請こう〈壁かべ〉からの手紙てがみを見みせる。

キングズランディングはタイレル家かを歓迎かんげいする。ジョフリー王おうはサンサ・スタークとの婚約こんやくを解消かいしょうし、マージェリー・タイレルと結婚けっこんすることになる。サンサはティリオン・ラニスターに嫁よめがされる。ティリオンはサンサを優やさしく扱あつかい、彼女かのじょの意思いしに反はんしては床ゆか入いりしようとしない。タイウィン・ラニスターは〈王おうの手て〉となる。ロブ・スタークとベイロン・グレイジョイの死しの知しらせがキングズランディングに届とどく。マージェリーとジョフリーの婚礼こんれいが行おこなわれるが、ジョフリーは突然とつぜん息いきをつまらせ死しんでしまう。サーセイ摂政せっしょう太ふとし后きさき(摂政せっしょう女王じょおう)は弟おとうとティリオンを犯人はんにんとして告発こくはつし裁判さいばんにかける。サンサは密ひそかに城しろから運はこび出だされ、ピーター・ベイリッシュ(リトルフィンガー)の前まえに連つれて行いかれる。リトルフィンガーはジョフリー暗殺あんさつの裏うらにいることをサンサに認みとめ、ライサ・アリン (リサ・アリン) と結婚けっこんするため、サンサと共ともに高こう巣す城じょう(アイリー)に向むかう。

ジェイミー・ラニスターとブライエニーはキングズランディングに着つき、プリンス・トメン(トンメン)が玉座ぎょくざを継つぐことになったことを知しる。ティリオンはジョフリー殺ごろしの罪つみで裁判さいばんにかけられており、タイレル家かはブライエニーをレンリー・バラシオン殺ころしで告発こくはつする。ジェイミーは〈王おうの盾たて〉(近衛このえ騎士きし団だん)の総帥そうすい(司令しれい官かん)に復帰ふっきするが、ラニスター家かの本拠ほんきょキャスタリーロックの世継よつぎになれと言いう父ちちの申もうし出でを断ことわる。ジェイミーは、ティリオンがジョフリーを殺ころしたと言いうサーセイの主張しゅちょうを否定ひていし、サーセイの誘惑ゆうわくを退しりぞける。

サーセイが諜報ちょうほう機関きかんの頭あたまヴァリス(ヴェリース)やティリオンの馴染なじみの売春ばいしゅん婦ふシェイなど多おおくの証人しょうにんを買収ばいしゅうしたため、ティリオンはもはや破滅はめつしたように見みえる。だが〈赤あかい毒蛇どくへび〉オベリン・マーテル公こうが、サーセイの擁護ようご者しゃであるサー・グレガー・クレゲインと決闘けっとう裁判さいばんで代理だいり闘士とうしとなることを申もうし出でる。決闘けっとうでオベリンは勝利しょうり寸前すんぜんまで行いくが、瀕死ひんしのグレガーに殺ころされる。ティリオンは死刑しけい判決はんけつを受うけるが、ジェイミーとヴァリスに助たすけられて地下ちか牢ろうを脱出だっしゅつする。ジェイミーは、ティリオンが愛あいした最初さいしょの妻つまが、父ちちタイウィンの言いうような売春ばいしゅん婦ふではなかったことを告白こくはくする。ティリオンは父ちちに騙だまされて妻つまを捨すてたことを許ゆるせず、復讐ふくしゅうを誓ちかう。タイウィンの部屋へやに入はいり込こみ、シェイを見みつけて殺ころし、そして便器べんきに座すわるタイウィンを見みつける。父親ちちおやに嘲あざけられ、ティリオンは父親ちちおやの腸ちょうを貫つらぬく矢やを放はなち、立たち去さる。

ジェイミーはブライエニーを開放かいほうし、エダード・スタークのヴァリリア鋼はがねの剣けんから鍛きたえなおした剣けんを与あたえる。そしてキャトリンへの誓ちかいを守まもり、アリアとサンサを見みつけて家いえに連つれ帰かえるようにと言いう。かつて、誓ちかいを破やぶりエイリス(エリス)王おうを殺ころしたのは、エイリスが王おう都とを燃もやし尽つくそうとしたからだとブライエニーに語かたる。無実むじつの者ものたちを救すくうために、最もっとも不名誉ふめいよな行動こうどうをとったと語かたる。

サンサは高こう巣す城じょうに着つき、次第しだいに精神せいしんを病やんでいく叔母おばライサを恐おそれながら暮くらす。ライサがサンサを殺ころそうとしたところにリトルフィンガーが割わって入はいり、ライサを〈月つきの扉とびら〉から突つき落おとして殺ころす。サンサは、リトルフィンガーがライサをそそのかして夫おっとジョン・アリンを毒殺どくさつさせ、ラニスター家かのせいにしていたことを知しる。

〈壁かべ〉において

〈冥めい夜よるの守人もりと〉の分隊ぶんたいは〈二に本ほん指ゆびのクォリン〉(〈クォリン・ハーフハンド〉)とジョン・スノウからの知しらせを待まっている。〈亡者もうじゃ〉の攻撃こうげきに遭あうがなんとか撤退てったいする。サムウェル・ターリーはドラゴングラスとも呼よばれる黒曜石こくようせきの奇妙きみょうな剣けんで〈異形いぎょう〉を殺ころす。〈冥めい夜よるの守人もりと〉に反乱はんらんが起おき総帥そうすい ジオー・モーモントが殺ころされる。サムはクラスターの娘むすめであり妻つまであったジリに助たすけられて脱出だっしゅつし、〈壁かべ〉に向むかって南みなみへと向むかう。二人ふたりはヘラジカに乗のる不思議ふしぎな人物じんぶつ〈冷つめたい手て〉によって助たすけられる。

ブラン・スターク、ジョジェン・リード、ミーラ(メーラ)・リードは、 ウィンターフェルの廃墟はいきょを逃にげ出だし、ブランの見みる奇妙きみょうな〈三みっつ目めの鴉からす〉の夢ゆめに導みちびかれる。一いち行ぎょうは〈壁かべ〉に着つき、サムウェル・ターリーとジリに出会であう。〈冷つめたい手て〉はブランの一いち行ぎょうを〈壁かべ〉の北きたに連つれて行いく。サムはブランが生存せいぞんしていることを秘密ひみつにすると約束やくそくし、〈黒くろの城しろ〉に戻もどる。

ジョン・スノウはマンス・レイダーの前まえに連行れんこうされ、転向てんこうしたことを納得なっとくさせる。〈異形いぎょう〉が〈野人やじん〉を追おいたてて〈壁かべ〉に南進なんしんさせていることを知しる。マンスは、〈壁かべ〉を破壊はかいすると言いわれている伝説でんせつの〈冬ふゆの角笛つのぶえ〉を探さがしているが、いまだ発見はっけんしていない。ジョンは〈野人やじん〉のイグリットと恋仲こいなかになるが、〈野人やじん〉から逃にげ出だして〈黒くろの城しろ〉にたどり着つく。〈野人やじん〉の四よん万まん人にんを超こえる軍勢ぐんぜいは〈黒くろの城しろ〉に着つき、攻撃こうげきを始はじめる。ジョンは劣勢れっせいな防衛ぼうえい陣じんを率ひきいて粘ねばり強づよく戦たたかうが敗北はいぼくは避さけられないように思おもえる。ジョンはジャノス・スリントに逮捕たいほされ、レイダーを暗殺あんさつするよう送おくりだされる。そこに、〈壁かべ〉からの援軍えんぐんの要請ようせいを受うけ取とったスタニス・バラシオンの軍勢ぐんぜいが到着とうちゃくし、レイダーは捕とらえられる。メリサンドルは、〈野人やじん〉の侵略しんりゃくが、ル=ロールの宿敵しゅくてきである〈異形いぎょう〉が再ふたたび襲おそってくる前触まえぶれであると信しんじている。スタニスはジョンを嫡出ちゃくしゅつ子ことしてウィンターフェルの領主りょうしゅにしようとするが、サムウェル・ターリーの巧たくみな工作こうさくによって、ジョンは〈冥めい夜よるの守人もりと〉の総帥そうすいに選えらばれる。

東方とうほうにおいて

ペントスに向むかう海上かいじょうで、デナーリス・ターガリエンは奴隷どれい兵士へいしの大軍たいぐん団だんを買かうため、奴隷どれい商人しょうにん湾わんに進路しんろを変かえる。デナーリスはアスタポア(アスタポール)の恐おそれるべき宦官かんがんの戦士せんしである〈穢けがれなき軍団ぐんだん〉(〈無垢むく軍団ぐんだん〉)と引ひき換かえに、愛あいするドラゴンの一体いったいを奴隷どれい商人しょうにんに引ひき渡わたす。だが引ひき渡わたしの直後ちょくご、ドラゴンは奴隷どれい商人しょうにんたちを焼やき殺ころし、デナーリスは〈穢けがれなき軍団ぐんだん〉を率ひきいて都市としを略奪りゃくだつし、全ぜん奴隷どれいを解放かいほうする。ドスラク人じんとドラゴンと〈穢けがれなき軍団ぐんだん〉からなる軍勢ぐんぜいは、次つぎの奴隷どれい都市としユンカイに進攻しんこうする。傭兵ようへい隊長たいちょうダーリオ・ナハーリスは寝返ねがえり、ユンカイは陥落かんらくする。奴隷どれい商人しょうにんは殺ころされ、生存せいぞん者しゃはデナーリスの軍勢ぐんぜいに加くわわる。しかし次つぎに侵攻しんこうしたミーリーン(ミイリーン)の支配しはい者しゃたちは殺ころした奴隷どれいの子供こどもたちで道みちを飾かざってデナーリスを挑発ちょうはつし、降伏ごうぶくしようとしない。デナーリスは無為むいに都市としを包囲ほういする。

デナーリスはキャンプの中なかに不実ふじつの人物じんぶつが二に人にんいることを知しる。サー・ジョラー・モーモントはロバート・バラシオンのスパイであったことを隠かくしている。アースタン・ホワイトベアードは、かつてロバート王おうに仕つかえたがジョフリー王おうに解任かいにんされた、〈王おうの盾たて〉の総帥そうすいバリスタン・セルミーである。デナーリスは二に人にんに償つぐないの機会きかいを与あたえ、下水げすいから忍しのび込こんで開門かいもんさせてミーリーンを陥落かんらくさせる。セルミーは赦免しゃめんされ〈女王じょおうの盾たて〉の総帥そうすいとなる。だがジョラーは悔くい改あらためようとせず、追放ついほうされる。デナーリスはミーリーンにとどまり、ウェスタロスの女王じょおうとなる前まえに、この地ちで統治とうちを学まなぼうと決断けつだんする。

視点してん人物じんぶつ

物語ものがたりは10人にんの主要しゅような登場とうじょう人物じんぶつに加くわえて、プロローグでの一人ひとり、そしてエピローグでの一人ひとりの目めを通とおして語かたられる。各かく章しょうには視点してん人物じんぶつの名ながつけられている。

• プロローグ：チェット、〈冥めい夜よるの守人もりと〉の〈誓約せいやくの兄弟きょうだい〉(ブラザー)であり、犬いぬ番ばん
• サー・ジェイミー・ラニスター、タイウィン・ラニスターの長男ちょうなん、サーセイの双子ふたごの弟おとうと、ティリオンの兄あに、リヴァーランにおいてロブ王おうの捕虜ほりょとなる
• ジョン・スノウ、エダード・スタークの私生児しせいじ、〈冥めい夜よるの守人もりと〉の〈誓約せいやくの兄弟きょうだい〉
• レディ・キャトリン・スターク、タリー家か出身しゅっしん、エダード・スタークの未亡人みぼうじん
• ティリオン・ラニスター、タイウィン・ラニスターの末すえの息子むすこ、小人こども、サー・ジェイミー・ラニスターとサーセイの弟おとうと
• プリンセス・サンサ・スターク、エダード・スタークとキャトリン・スタークの長女ちょうじょ、キングズランディングの〈鉄てつの玉座ぎょくざ〉の王おうに囚とらわれている
• プリンセス・アリア・スターク、エダード・スタークとキャトリン・スタークの末すえの娘むすめ、行方ゆくえ不明ふめいで死亡しぼうしたと思おもわれている
• プリンス・ブラン・スターク、エダード・スタークとキャトリン・スタークの息子むすこ、ウィンターフェルのプリンス、北きたの王国おうこくの世継よつぎ、死亡しぼうしたと思おもわれている
• サムウェル・ターリー、ターリー公こうの肥満ひまんした臆病おくびょうな息子むすこ、〈冥めい夜よるの守人もりと〉の〈誓約せいやくの兄弟きょうだい〉、かつてのホーン・ヒルの世継よつぎ
• サー・ダヴォス・シーワース、〈玉葱たまねぎの騎士きし〉、かつて密輸みつゆ業者ぎょうしゃだったがスタニス・バラシオン王おうに仕つかえる騎士きしとなっている
• デナーリス・ターガリエン女王じょおう、ストームボーン、ターガリエン王朝おうちょうの一員いちいん
• エピローグ：メレット・フレイ、数多かずおおいフレイ家かの一員いちいん

日本語にほんご版ばん

改訂かいてい新版しんぱん

• 『剣けん嵐あらしの大地だいち』　改訂かいてい新版しんぱん（ハヤカワ文庫ぶんこ版はん 全ぜん3巻かん） 岡部おかべ宏之ひろゆき訳わけ、早川書房はやかわしょぼう (用語ようご・固有名詞こゆうめいしを酒井さかい訳やくに改あらためたもの) 2012年ねん10月がつ24日にち刊行かんこう
  • （上巻じょうかん）ISBN 4150118760、ISBN 978-4150118761
  • （中ちゅう巻まき）ISBN 4150118779、ISBN 978-4150118778
  • （下巻げかん）ISBN 4150118787、ISBN 978-4150118785
• 『剣けん嵐あらしの大地だいち』　改訂かいてい新版しんぱん（Kindle版ばん 全ぜん3巻かん） 岡部おかべ宏之ひろゆき訳やく、早川書房はやかわしょぼう (用語ようご・固有名詞こゆうめいしを酒井さかい訳やくに改あらためたもの) 2012年ねん12月21日にち刊行かんこう
  • （上巻じょうかん）
  • （中ちゅう巻まき）
  • （下巻げかん）

旧版きゅうばん（絶版ぜっぱん)

• 『剣けん嵐あらしの大地だいち』（全ぜん3巻かん） 岡部おかべ宏之ひろゆき訳やく、早川書房はやかわしょぼう
  • （第だい一いち巻かん） ISBN 4152087722 、ISBN 978-4152087720、2006年ねん刊行かんこう
  • （第だい二に巻かん） ISBN 415208782X 、ISBN 978-4152087829、2006年ねん刊行かんこう
  • （第だい三さん巻かん） ISBN 4152087889 、ISBN 978-4152087881、2007年ねん刊行かんこう

ドラマ

本ほん作さくを原作げんさくとして、HBOのドラマ・シリーズとして『ゲーム・オブ・スローンズ』の第だい3シーズン（『戦乱せんらんの嵐あらし-前まえ篇へん-』）および第だい4シーズン（『戦乱せんらんの嵐あらし-後ご篇へん-』）が製作せいさくされ、それぞれ2013年ねんおよび2014年ねんにアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくで放送ほうそうされた。日本にっぽんでは両りょうシーズンとも2014年ねんに放送ほうそうされた。原作げんさくと比くらべてドラマには主おもに次つぎのような差異さいがある。

第だい3シーズン

• ジェイン・ウェスタリングは登場とうじょうせず、タリサがロブの子こを身みごもりながら〈釁られた婚儀こんぎ〉で殺ころされる。
• ヴァーゴ・ホウトは登場とうじょうせず、ジェイミー・ラニスターとブライエニーはルース・ボルトンの家臣かしんロックに捕とらえられる。
• ジェイミーとブライエニーがキングズランディングに戻もどった時点じてんではジョフリーはまだ健在けんざいである。
• シオン・グレイジョイが、ラムジー・スノウによって去勢きょせいされる。
• メリサンドルは、エドリック・ストームではなく、〈旗標はたじるしなき兄弟きょうだい団だん〉から身柄みがらを買かったジェンドリーの血ちを儀式ぎしきに用もちいてスタニスの敵てきに呪のろいをかける。

第だい4シーズン

• ヴァーゴ・ホウトの代かわりに登場とうじょうするボルトン家か家臣かしんのロックがスターク家かの血筋ちすじを殺ころすために〈壁かべ〉に来くる。
• ブラン一いち行ぎょうが〈クラスターの砦とりで〉を占拠せんきょする〈冥めい夜よるの守人もりと〉の反乱はんらん者しゃたちに捕とらえられ、ジョンの一いち行ぎょうと戦たたかう間あいだに逃にげ出だす。
• スタニス・バラシオンとダヴォス・シーワースがブレーヴォスを訪たずね、〈鉄てつの銀行ぎんこう〉から軍資金ぐんしきんの融資ゆうしを受うける。
• ヤーラ・グレイジョイがシオンを救すくうためにドレッドフォートを襲撃しゅうげきする。
• ジョジェン・リードが〈亡者もうじゃ〉たちと戦たたかって死しぬ。〈冷つめたい手て〉に相当そうとうする人物じんぶつは第だい6シーズンに登場とうじょうする。
• アリンの谷間たにまでアリア・スタークと”ハウンド”サンダー・クレゲインが、ブライエニーとポドリック・ペインに遭遇そうぐうし、ハウンドはブライエニーと戦たたかって敗やぶれる。

外部がいぶリンク

• George R. R. Martin's Official Website
• 早川書房はやかわしょぼう《氷こおりと炎ほのおの歌うた》公式こうしきサイト