ヒマラヤスギ属ぞく

ヒマラヤスギ属ぞく
フランス式しきの庭にわに植うえられるヒマラヤスギ
分類ぶんるい（新しんエングラー体系たいけい）
界さかい : 植物しょくぶつ界かい Plantae 門もん : 裸子植物らししょくぶつ門もん Pinophyta 綱つな : マツ綱つな Pinopsida 目め : マツ目め Pinales 科か : マツ科か Pinaceae 属ぞく : ヒマラヤスギ属ぞく Cedrus
学名がくめい
Cedrus Trew
和名わみょう
ヒマラヤスギ属ぞく
英名えいめい
Cedar
種たね
本文ほんぶん参照さんしょう

ヒマラヤスギ属ぞく（ヒマラヤスギぞく、学名がくめい：Cedrus）は、マツ目めマツ科かの属ぞくの1つ。よく似にた円錐えんすい形がたの形態けいたいをとるモミ属ぞくの近きん縁えん種しゅである。ヒマラヤ山脈ひまらやさんみゃく西部せいぶや地中海ちちゅうかい地方ちほうに分布ぶんぷし、ヒマラヤでは標高ひょうこう1,500から3,200m、地中海ちちゅうかいでは1,000から2,200mに自生じせいしている。

形態けいたい

樹き形がた

クリスマスツリー状じょうの形かたちになるものもあるが、モミ属ぞくやトウヒ属ぞくが綺麗きれいな円錐えんすい状じょうになるのと比くらべて、マツ属ぞくのように荒あれて崩くずれた印象いんしょうを与あたえるものが多おおい。樹き高だかは30-40mで、まれに60m近ちかくに達たっするものもあるという。ヒマラヤスギ属ぞくの枝えだには2種類しゅるいあり、旺盛おうせいに伸のびて私わたしたちが「枝えだ」と認識にんしきする長ちょう枝えだの他ほかに、葉はの付つけ根ねにあるごく短みじかい枝えだである短たん枝えだがある。これはマツ科かのマツ属ぞくやカラマツ属ぞくと同おなじである。

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  樹き形がたの例れい
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  樹き形がたの例れい
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  樹き形がたの例れい
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  ヒマラヤスギ属ぞくの樹き形がた
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  樹皮じゅひの様子ようす

葉は

葉はは原則げんそくとして短たん枝えだの先さきに束たばになって生はえるだけで長ちょう枝えだには生はえないが、枝えだ先さきの若わかい長ちょう枝えだに限かぎり葉はをつける。これはカラマツ属ぞくも同おなじである。

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  葉はは基本きほん的てきに短たん枝えだの先さきに束たばになって生はえる
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  若わかい枝えだの先端せんたん部ぶで短たん枝えだの葉はと長ちょう枝えだの葉はのどちらも見みえる

花はな・球たま果はて

球たま果はてはマツ科か共通きょうつうで鱗片りんぺんの集あつまった形状けいじょうをしている。ヒマラヤスギ属ぞくのそれは全体ぜんたい的てきな形かたちはモミ属ぞくのものと似にているが、よりずんぐりとしている。球たま果はては樹き上じょうで分解ぶんかいしながら種子しゅしを散布さんぷする。種子しゅしには翼つばさがある。

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  ヒマラヤスギ属ぞくの雄花おばな
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  ヒマラヤスギ属ぞくの雌花めばな
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  樹き上じょうに直立ちょくりつする球たま果はて
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  樹き上じょうで分解ぶんかい中ちゅうのヒマラヤスギ属ぞくの球たま果はて
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  球たま果はての鱗片りんぺん

生態せいたい

他たのマツ科かと同おなじくヒマラヤスギ属ぞく樹木じゅもくの根ねも菌類きんるいと共生きょうせいし菌きん根ねを形成けいせいする。樹木じゅもくにとっては菌きん根ねを形成けいせいすることで、土壌どじょう中ちゅうの栄養分えいようぶんの吸収きゅうしゅう促進そくしんや菌類きんるいが作つくり出だす抗生こうせい物質ぶっしつ等ひとしによる病原びょうげん微生物びせいぶつの駆除くじょ等とうの利点りてんがあり、菌類きんるいにとっては樹木じゅもくから光合成こうごうせい産物さんぶつの一部いちぶを分わけてもらうことができる。土壌どじょう中ちゅうには菌きん根ねから菌糸きんしを介かいし同種どうしゅ他た個体こたいや他た種たね植物しょくぶつに繋つながる広大こうだいなネットワークが存在そんざいすると考かんがえられている。共生きょうせいする菌類きんるいの子こ実体じったいは人間にんげんがキノコとして認識にんしきできる大おおきさに育そだつものが多おおく、中なかには食用しょくようにできるものもある。

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  ヒマラヤスギ属ぞくの発芽はつが
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  菌きん根ねによるネットワークの模も式しき図ず
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  ヒマラヤスギ属ぞくと共生きょうせいするシロハツ近きん縁えん種しゅ（ベニタケ科か）

人間にんげんとのかかわり

ヒマラヤスギ属ぞくの樹木じゅもくは、冬季とうきの気温きおんが-25℃を下回したまわらない温帯おんたいで園芸えんげい用ようの飾かざり木きとして人気にんきがある。またその耐久たいきゅう性せいにも注目ちゅうもくされ、紀元前きげんぜん1,000年ねんに作つくられたイスラエルのソロモン王おうの神殿しんでんに使つかわれていたのが有名ゆうめいである。またこの木きは屋根やね材ざいとして防寒ぼうかんの目的もくてきにも用もちいられている。さらにヒマラヤスギおよびこれから得えられる精油せいゆは天然てんねんの虫除むしよけ剤ざいとして使つかわれ、結婚けっこんの際さいに持参じさんするホープチェストはヒマラヤスギから作つくられることが多おおい。トルコを中心ちゅうしんとした地中海ちちゅうかい地方ちほうではヒマラヤスギの大だい規模きぼな植林しょくりんが行おこなわれており、毎年まいとし5,000万まん本ほん以上いじょうの苗なえが植うえられている。

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  木材もくざいとして利用りようされるヒマラヤスギ属ぞく
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  ヒマラヤスギ属ぞくから作つくられた精油せいゆ
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  盆栽ぼんさいに仕立したてられたヒマラヤスギ属ぞく

下位かい分類ぶんるい

ヒマラヤスギ属ぞくは4種しゅに分類ぶんるいされる。

• Cedrus atlantica

北きたアフリカのアトラス山脈さんみゃくに分布ぶんぷ

• C. brevifolia

キプロス島とう固有こゆう種しゅ。

• ヒマラヤスギ C. deodara

ヒマラヤ西部せいぶに分布ぶんぷ。ヒマラヤスギ属ぞくの最大さいだい種しゅで樹き高だかは60mに達たっすることもある。25-60mmである。球たま果はてにはわずかに畝うねがある。

• レバノンスギ C. libani

トルコ、レバノンからモロッコにかけての地中海ちちゅうかい地方ちほうの山やまに自生じせいする。葉はは深緑しんりょくから青あお緑色みどりいろで、8-25mmである。球たま果はてはなめらかである。

語源ごげん

ラテン語らてんご名なの cedrus と属ぞくの学名がくめいの Cedrus はともにギリシア語ごの kedros に由来ゆらいする。ギリシア語ごとラテン語らてんごで kedros と cedrus は、現在げんざいヒマラヤスギ属ぞくとビャクシン属ぞくに含ふくまれる植物しょくぶつを表あらわす言葉ことばであった。ビャクシン属ぞくはギリシアに自生じせいしていたが、ヒマラヤスギ属ぞくは自生じせいしていなかった。そして kedros という言葉ことばは中東ちゅうとうに由来ゆらいするものではなく、ギリシア内ないでビャクシン属ぞくを表あらわす言葉ことばとして発生はっせいし、後のちに同おなじように強つよい香かおりを発はっするヒマラヤスギについても表あらわすようになっていったと考かんがえられている。cedar という言葉ことばはヒノキ科か、センダン科か、ギョリュウ科かなど強つよい香かおりを発はっする他ほかの種たねの樹木じゅもくの名前なまえの一部いちぶにも使つかわれている。