ポリュカステー

ヘンリー・ハワードの絵画かいが『ネストルの王宮おうきゅうを発たつテレマコス』。

ポリュカステー（古希こき: Πολυκάστη, Polykastē）は、ギリシア神話しんわの女性じょせいである。長音ちょうおんを省略しょうりゃくしてポリュカステとも表記ひょうきされる。主おもに、

• リュガイオスの娘むすめ
• ネストールの娘むすめ

が知しられている。以下いかに説明せつめいする。

リュガイオスの娘むすめ

このポリュカステーは、アカルナーニアー地方ちほうの王おうリュガイオスの娘むすめである。ストラボーンによると、スパルタから亡命ぼうめいしてきたイーカリオスと結婚けっこんし、アリュゼウス、レウカディオス、ペーネロペーの母ははとなった。

ネストールの娘むすめ

このポリュカステーは、ピュロスの王おうネストールの娘むすめで、母親ははおやについてはクリュメノスの娘むすめエウリュディケー、あるいはクラティエウスの娘むすめアナクシビアーと言いわれている。

トロイア戦争せんそうで戦死せんししたアンティロコスをはじめ、トラシュメーデース、ペイシストラトス、ストラティオス、エケプローン、ペルセウス、アレートス、姉妹しまいのペイシディケーと兄弟きょうだい。

ホメーロスの叙事詩じょじし『オデュッセイアー』によると、ネストールに会あうためにピュロスを訪おとずれたテーレマコスをもてなし、テーレマコスを入浴にゅうよくさせた後のち、オリーブオイルをテーレマコスの肌はだに塗ぬり、衣服いふくを着きせてやった。後代こうだいの伝承でんしょうによると、ポリュカステーはテーレマコスと結婚けっこんし、ペルセポリスの母ははになったという。

参考さんこう文献ぶんけん

• アポロドーロス『ギリシア神話しんわ』高津たかつ春繁はるしげ訳わけ、岩波いわなみ文庫ぶんこ（1953年ねん）
• 『オデュッセイア／アルゴナウティカ』松平まつだいら千秋ちあき・岡おか道男みちお訳わけ、講談社こうだんしゃ（1982年ねん）
• ストラボン『ギリシア・ローマ世界せかい地誌ちし』飯尾いのお都と人じん訳やく、龍溪りゅうけい書しょ舎しゃ（1994年ねん）
• 『ヘシオドス 全ぜん作品さくひん』中務なかつかさ哲郎てつろう訳わけ、京都大学きょうとだいがく学術がくじゅつ出版しゅっぱん会かい（2013年ねん）
• ホメロス『オデュッセイア（上うえ）』松平まつだいら千秋ちあき訳やく、岩波いわなみ文庫ぶんこ（1994年ねん）
• 高津たかつ春繁はるしげ『ギリシア・ローマ神話しんわ辞典じてん』岩波書店いわなみしょてん（1960年ねん）