メントール (ギリシア神話しんわ)

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テーレマコスメントール

メントール 古希こき: Μέντωρ, Mentor)は、ギリシア神話しんわ登場とうじょう人物じんぶつアルキモス息子むすこちょう母音ぼいん省略しょうりゃくしてメントルとも表記ひょうきされる。

ホメーロス叙事詩じょじしオデュッセイア』によれば、老年ろうねんにはオデュッセウスともとなり、乳兄弟ちきょうだいエウマイオスともに、オデュッセウスがトロイア戦争せんそう従軍じゅうぐんしたさいかれかんと、息子むすこテーレマコスまかされた。

アテーナーがテーレマコスをたずねたさい女神めがみかれははペーネロペイアへの求婚きゅうこんしゃあざむくためにメントールの姿すがた変身へんしんした[1]女神めがみはテーレマコスにたいし、メントールの姿すがたりて、求婚きゅうこんしゃたちにかうよう激励げきれいし、また、くにそとかれちちなにこったのかたしかめるようげた。オデュッセウスがイタケーとうもどったさいもまた、アテーナーはメントールの姿すがたかれかん姿すがたあらわす。

メンタリング[編集へんしゅう]

メントールとテーレマコスの関係かんけいせいや、アテーナーがその姿すがたりて助言じょげんをし、苦境くきょうからの脱却だっきゃく手助てだすけしたことから、メントールの名前なまえ英語えいごのMentor(メンター)として、若年じゃくねんしゃ経験けいけんすくないもの知識ちしきつたえ、ひろめる役割やくわり人物じんぶつしめかたりとなった。

このかたりきん現代げんだいにおける最初さいしょ用法ようほうは、フランスの作家さっかフランソワ・フェヌロンによって1699ねん出版しゅっぱんされたLes Aventures de Télémaqueられる[2]。この書物しょもつは18世紀せいき非常ひじょう著名ちょめいとなった作品さくひんで、メンター、メンタリングというかたり現代げんだい用法ようほうはこの書物しょもつまでさかのぼることができる[2]

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

  1. ^ オデュッセイアだい2うた255-268ぎょう
  2. ^ a b Roberts, Andy. (1999) "The origins of the term mentor". History of Education Society Bulletin, No. 64, November 1999, p. 313–329.