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エーリダノス

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
17世紀せいき初頭しょとうウラノメトリア(バイエル星図せいず)にえがかれたエリダヌス

エーリダノス古代こだいギリシア: Ἠριδανός, Eridanos)は、ギリシア神話しんわ伝説でんせつてきかわとそのかわしん大洋たいようしんオーケアノステーテュースとされている[注釈ちゅうしゃく 1]。 エーリダノスは世界せかい極北きょくほくあるいは西域せいいきながれていて、河口かこうにはエーレクトリデス(琥珀こはく諸島しょとうがあるとかんがえられていた。のちに、地理ちり知識ちしきひろがるとしゅとしてがわやまたはローヌがわといった実在じつざい河川かせん同一どういつされるようになった[2]。 なお、ギリシャアテネケラメイコス地区ちくにはエリダノスがわがある。

星座せいざエリダヌスにまつわる神話しんわにおいて、パエトーン墜死ついししたかわがエーリダノスだとされる[3]。 『ギリシア・ローマ神話しんわ辞典じてん』の編纂へんさんしゃ高津たかつ春繁はるしげ(1908ねん - 1973ねん)によると、アルゴナウタイ遠征えんせいれられるエーリダノスかわ北海ほっかいつうじるようにえがかれていることや、英雄えいゆうヘーラクレース神話しんわにおいて、ヘーラクレースが「ヘスペリデスえん」の場所ばしょをエーリダノスがわニンフたち[注釈ちゅうしゃく 2]たずねていることなどから、ドナウがわラインがわおよエルベがわからローヌがわにわたる、古代こだい交易こうえきとしてつたわる「琥珀こはくみち」がエーリダノスかわとして記憶きおくされているのではないかとしている[2]。 また、イギリスの詩人しじんロバート・グレーヴス(1895ねん - 1985ねん)は、がわ流域りゅういき青銅器せいどうき時代じだい琥珀こはくバルト海ばるとかいから地中海ちちゅうかいへとはこばれるルートの最南端さいなんたんだったとべている[5]

エーリダノスがわ神話しんわ

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ミケランジェロによる『パエトーンの墜落ついらく』(16世紀せいき)。エーリダノスは画面がめん左下ひだりしたみずながしているアンフォラうでせた老人ろうじん姿すがたとしてえがかれている。

パエトーンの墜落ついらく

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ヘーリオスクリュメネー息子むすこパエトーンは、ちちから無理むりゆるしを太陽たいようしん戦車せんしゃったが、ぎょすことができず、てんみちはずれた太陽たいようはらいそうになった。このため、ゼウスが雷霆らいてい戦車せんしゃとし、パエトーンはエーリダノスがわ墜落ついらくしてんだ。かれ姉妹しまいたちはなげかなしんでポプラとなり、ながしたなみだかたまって琥珀こはくとなった[3][6][7]。 また、ヒュギーヌス紀元前きげんぜん1世紀せいきごろ)はつぎのような異説いせつつたえている。パエトーンがひそかにちち戦車せんしゃったところ、地上ちじょうからあまりにもたかのぼったので、恐怖きょうふのためエーリダノスかわちた。これをゼウスが雷霆らいていち、あらゆるものがはじめた。ゼウスはこのさい人間にんげんほろぼそうとおもい、すふりをしていたるところでかわ氾濫はんらんさせたので、デウカリオーンとそのつまピュラーのぞ人類じんるいほろんだ[8]

アルゴナウタイの航海こうかい

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アルゴナウタイコルキスから帰国きこくするルートについては、いろいろな所伝しょでんがあって一致いっちしない[9]が、アポロドーロス(1世紀せいき - 2世紀せいきごろ)やロドスのアポローニオス紀元前きげんぜん3世紀せいきごろ)によれば、イアーソーンらがコルキスのきむ羊毛ようもううばって帰途きとについたとき、ドナウがわさかのぼりエーリダノスがわ通過つうかしていたところ、アプシュルトス殺害さつがいおこったゼウスがあらしおくった。このとき、アルゴーせんこえはっしてキルケーきよしめをけなければゼウスのいかりはやまないとおしえた。そこでかれらはエーリダノスがわさかのぼり、ローヌがわからケルトじんリグリアじんくにとおり、地中海ちちゅうかいアイアイエーとうのキルケーのもとかった[9][注釈ちゅうしゃく 3]。 なお、グレーヴスは、この神話しんわのコルキスとは、「琥珀こはくみち」の中継ちゅうけいであり、がわ下流かりゅうマントヴァからほどちかいコリカリアのあやまりだろうとべている[11]

ヘーラクレースの11番目ばんめ難行なんぎょう

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ヘーラクレースは11番目ばんめ難行なんぎょうとしてヘスペリデス黄金おうごん林檎りんごってくるようめいじられた。かれたび途中とちゅうにエケドーロスがわキュクノス一騎打いっきうちして[注釈ちゅうしゃく 4]イリュリアてエーリダノスがわいたった。ヘーラクレースはここで、ゼウスとテミスとのあいだまれたニンフたちからネーレウスつかまえて情報じょうほうをききだすようにおしえられた[13]

脚注きゃくちゅう

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注釈ちゅうしゃく

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  1. ^ オーケアノスは姉妹しまいのテーテュースをつまとしてすべての河川かせんと3000にんむすめたち(オーケアニデス)をんだとされる[1]
  2. ^ ハンガリー神話しんわがくものカール・ケレーニイ(1897ねん - 1973ねん)によれば、このニンフはゼウステミスむすめたちであり、モイライあるいはヘスペリデスであった[4]
  3. ^ アポロドーロスは、リグリアおよびケルトじんくにとおったのちサルデーニャからティレニアうみ沿って航海こうかいし、アイアイエーのキルケーのもとにたどりいたとする[10]
  4. ^ ヒュギーヌスは、ヘーラクレースがキュクノスを武器ぶきたおし、ころしたので、父親ちちおやアレースがやってきてヘーラクレースとたたかおうとしたところ、ゼウスがかみなりおくってにんけたという[12]

出典しゅってん

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参考さんこう文献ぶんけん

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  • アポロドーロス しる高津たかつ春繁はるしげ わけギリシア神話しんわ岩波いわなみ文庫ぶんこ、1953ねん 
  • ロバート・グレーヴス しる高杉たかすぎ一郎いちろう わけ『ギリシア神話しんわ じょう紀伊國屋きのくにや書店しょてん、1955ねん 
  • ロバート・グレーヴス ちょ高杉たかすぎ一郎いちろう やく『ギリシア神話しんわ 紀伊國屋きのくにや書店しょてん、1955ねん 
  • カール・ケレーニイ しる高橋たかはし英夫ひでお わけ『ギリシアの神話しんわ かみ々の時代じだい中央公論社ちゅうおうこうろんしゃ、1974ねん 
  • カール・ケレーニイ ちょ高橋たかはし英夫ひでお やく『ギリシアの神話しんわ 英雄えいゆう時代じだい中央公論社ちゅうおうこうろんしゃ、1974ねん 
  • 高津たかつ春繁はるしげ『ギリシア・ローマ神話しんわ辞典じてん岩波書店いわなみしょてん、1960ねんISBN 4-00-080013-2 
  • ヒュギーヌス しる松田まつだおさむ青山あおやま照男てるお わけ『ギリシャ神話しんわしゅう講談社こうだんしゃ学術がくじゅつ文庫ぶんこ、2005ねんISBN 4-06-159695-0 

関連かんれん項目こうもく

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