マイ・マン (ミスタンゲットの曲きょく)

「マイ・マン」
ミスタンゲットの楽曲がっきょく
リリース	1920年ねん
規格きかく	SP
ジャンル	シャンソン
時間じかん	3分ぶん9秒びょう
レーベル	Disques Pathé
作詞さくし者しゃ	アルベール・ウィルメッツ、ジャック・シャルル
作曲さっきょく者しゃ	モーリス・イヴァン

「マイ・マン」（フランス語ふらんすご: Mon Homme, IPA: [mɔ̃.n‿ɔm], 英語えいご: My Man）は、アンドレ・ピカールとフランシス・カルコによる戯曲ぎきょく『Mon Homme（フランス語ふらんすご版ばん）』〔1920年ねん公開こうかい〕のために、1920年ねんにアルベール・ウィルメッツとジャック・シャルルが作詞さくし、モーリス・イヴァンが作曲さっきょくしたシャンソンである。

戯曲ぎきょくは1921年ねんには『My Man』のタイトルで、劇げき作家さっかチャニング・ポロックの手てにより英語えいごへと翻案ほんあんされた。

概要がいよう・歴史れきし

最初さいしょのヒット

本ほん作さくは1920年ねんにフランスでアルベール・ウィルメッツとジャック・シャルルが著作ちょさく権けんを取得しゅとくし、カジノ・ド・パリで演えんじられた歌劇かげき『ジャズするパリ』（原題げんだい: “Paris qui Jazz”）においてパリの聴衆ちょうしゅうの前まえで初はじめて披露ひろうされた。歌手かしゅは歌劇かげきスター・ミスタンゲットと、彼女かのじょのステージパートナーでアメリカ人じんダンサーのハリー・ピルサーだった。

作品さくひん発表はっぴょう後ご

本ほん作さくはフランスで制作せいさくされたものであったが —ミスタンゲットが1916年ねんにヒットさせた— 人気にんきが出でたのは1920年代ねんだいの英語えいご圏けんでのことであり、以降いこう数すう多おおくの音楽家おんがくかたちにカヴァーされることになった。1921年ねんにはジーグフェルド・フォリーズの歌手かしゅファニー・ブライスがレコーディングを行おこなっている。本ほん作さくはヒットし、1999年ねんには最終さいしゅう的てきにブライスに対たいしてグラミー賞しょうが贈おくられている。ブライスはパート・トーキー映画えいが『マイ・マン』（1928年ねん）のサウンドシーケンスの中なかでも歌唱かしょうしている。

ファニー・ブライスの伝記でんきを元もとにしたミュージカル映画えいが『ローズ・オブ・ワシントンスクエア』（1939年ねん）の中なかではアリス・フェイが本ほん作さくを歌唱かしょうしている。

ブライスによるバラード風ふうの曲調きょくちょうを改あらためたのがビリー・ホリデイであった。彼女かのじょは「マイ・マン」にジャズ、或あるいはブルース的てきな録音ろくおんを試こころみた。ホリデイのヴァージョンもまた成功せいこうを収おさめたが、それでもなおブライスの印象いんしょうの方ほうが強つよかった。長年ながねんに亘わたってアメリカ人じん、或あるいは海外かいがいのアーティストらが本ほん作さくをカヴァーしたが、ブライスやホリデイと並ならぶ成功せいこうを収おさめた者ものはいない。特筆とくひつすべきは1940年ねんのエディット・ピアフによる録音ろくおんである。これは原語げんごで録音ろくおんされた最もっとも優すぐれた「マイ・マン」である。1941年ねんにはエラ・フィッツジェラルドが本ほん作さくをカヴァーした。

1959年ねん、ペギー・リーが自身じしんのアルバム『アイ・ライク・メン!』のために本ほん作さくを録音ろくおんした。彼女かのじょのアレンジは非常ひじょうにミニマリスト的てきで、ドラムスの音おとが印象いんしょう的てきな録音ろくおんである。

1963年ねん、ジュリエット・グレコがアルバム『ジュリエット・グレコによる名めいシャンソン』にてカヴァー。

1965年ねんにはバーブラ・ストライサンドがアルバム『マイ・ネーム・イズ・バーブラ』と、ファニー・ブライスの半生はんせいを元もとに描えがかれた映画えいが『ファニー・ガール』（1968年ねん）の中なかで本ほん作さくをカヴァーした。この映画えいがのフィナーレで唄うたわれた彼女かのじょの「マイ・マン 」の解釈かいしゃくによってこの時ときすでに高たかい評価ひょうかを得えていたそのパフォーマンスは更さらなる評価ひょうかを集あつめ、第だい41回かいアカデミー賞しょうの最優秀さいゆうしゅう主演しゅえん女優じょゆう賞しょうでオスカーを獲得かくとくしたのである。

1970年ねん7月がつ14日にち、ダイアナ・ロスはスプリームスとして最後さいごの出演しゅつえんになったネバダ州しゅうラスベガスのフロンティアホテルで行おこなわれたファイナルコンサートで本ほん作さくを歌唱かしょうした。彼女かのじょのパフォーマンスはその後ご1970年ねん4月がつ13日にち、ライブアルバム『フェアウェル』としてリリースされた。ロスが採とり入いれたのはブライスやストライザンドではなく、ホリデイのジャズ & ブルース的てきな解釈かいしゃくだった。1972年ねん、ロスは映画えいが『ビリー・ホリデイ物語ものがたり/奇妙きみょうな果実かじつ』のサウンドトラック用ように再ふたたび本ほん作さくを録音ろくおんした。この作品さくひんの中なかで彼女かのじょが演えんじたのはビリー・ホリデイであった。サウンドトラックアルバム『レディ・シングス・ザ・ブルース』はビルボードのポップアルバムチャートで1位いを獲得かくとくし、発売はつばいから最初さいしょの8日間にちかんで30万まん枚まいが売うれたと言いわれている。その映画えいがでのロスの演技えんぎは高たかい評価ひょうかを得えてゴールデングローブ賞しょう・映画えいが部門ぶもん主演しゅえん女優じょゆう賞しょうとアカデミー主演しゅえん女優じょゆう賞しょうの最優秀さいゆうしゅう女優じょゆう賞しょうにノミネートされた。この曲きょくのロスの2つ目めのヴァージョンはホリデイによるジャズ、或あるいはブルース的てき解釈かいしゃくのリバイバルであった。ネバダ州しゅうラスベガスのシーザーズ・パレスに於おける1979年ねんの本ほん作さくのパフォーマンスはロスにとって最もっとも高こう評価ひょうかを得えるものとなった。これは彼女かのじょの “The boss” ワールドツアー中ちゅうにHBOコンサートスペシャルとして録音ろくおんされた。スペイン人ひとの歌手かしゅで女優じょゆうのサラ・モンティエルは本ほん作さくをスペイン語ご（“Mi Hombre”）でレコーディングし、彼女かのじょの映画えいが『ラ・ヴィオレテラ』の中なかで歌唱かしょうした。

1971年ねん、スペイン人じんの歌手かしゅMaruja Garridoがスペイン語ごで本ほん作さくをカヴァーした。タイトルは “Es mi Hombre” とされ、ビデオにはサルバドール・ダリが出演しゅつえんしている。1972年ねん、シャーリー・バッシーが本ほん作さくをカヴァーする。

1970年代ねんだいにはミレイユ・マチューも本ほん作さくをフランス語ふらんすごでカヴァーし、1986年ねん1月がつにはパレ・デ・コングレ・ド・パリにおけるコンサートで初はじめてその英語えいごバージョンを披露ひろうした。それ以来いらい、ミレイユの英語えいごヴァージョンは、彼女かのじょのワールド・ツアー・コンサート（1986年ねんの中国ちゅうごく、1987年ねんのソ連それん・東ひがしベルリンなど)では欠かかせない楽曲がっきょくとなった。

1991年ねん、ビルボード・ミュージック・アワードでホイットニー・ヒューストンが本ほん作さくをカヴァーし、よりジャジーポップなヴァージョンに仕上しあげた。

2001年ねん、エタ・ジェイムスは自身じしんのアルバム『ブルー・ガーデニア』に本ほん作さくを収録しゅうろくした。

リア・ミシェルは『glee/グリー』のエピソード “Funeral” で本ほん作さくをカヴァーした。彼女かのじょはエピソードの放送ほうそう前まえにストライザンドをパーソン・オブ・ザ・イヤーとして讃たたえ、ミュージケアーズ2011で本ほん作さくを歌唱かしょうした。レジーナ・スペクターは、2011年ねん『ボードウォーク・エンパイア 欲望よくぼうの街まち』のサウンドトラックで本ほん作さくをカヴァーした（音源おんげんは「ア・デンジェラス・メイド」のエンドクレジットにて流ながされた）。

コレット・ルナールは1997年ねんに本ほん作さくをカヴァーし、ニコール・マルタンは2010年ねん発表はっぴょうのアルバム『優やさしさのカクテル』で本ほん作さくを披露ひろうした。リア・ミシェルはドラマ『glee/グリー』のシーズン２（2011年ねん）で、カルメン・マリアはカジノ・ド・パリで上演じょうえんされた喜劇きげき・ミュージカル『ミスタンゲット、熱狂ねっきょうの時代じだいの女王じょおう』でそれぞれ本ほん作さくをカヴァーしている。

日本にっぽんに於おけるカヴァー

「マイ・マン」
浅川あさがわマキ の シングル
初出しょしゅつアルバム『マイ・マン』
A面めん	マイ・マン (Single Version.)
B面めん	ちょっと長ながい関係かんけいのブルース
リリース	1982年ねん2月がつ21日にち
規格きかく	7インチシングル盤ばん
録音ろくおん	1981年ねん10月18日にち - 11月19日にち
ジャンル	JAZZ・J-POP
時間じかん	3分ふん55秒びょう
レーベル	東芝とうしばEMI - EXPRESS
作詞さくし・作曲さっきょく	浅川あさがわマキ（日本語にほんご詩し） モーリス・イヴァン（作曲さっきょく）
プロデュース	柴田しばた徹とおる
浅川あさがわマキ シングル 年表ねんぴょう
夕凪ゆうなぎのとき (1976年ねん) マイ・マン (1982年ねん) こころ隠かくして (1982年ねん)

越路こしじ吹雪ふぶきが「私わたしのおとこ（モン・ノム）」のタイトルで1969年ねん頃ごろ歌唱かしょうしている（日本語にほんご詩し：岩谷いわたに時子ときこ）他た、仲なかマサコが「私わたしのいい人じん」（日本語にほんご詩し：なかにし礼あや）のタイトルでカヴァーしている。越路こしじ吹雪ふぶきの音源おんげんは「モン・ノム」のタイトルで1972年ねん・日生劇場にっせいげきじょうでのリサイタルを録音ろくおんしたものも存在そんざいし、こちらは2012年ねん11月7日にちにCD化かされた。

1982年ねん2月がつ21日にち、浅川あさがわマキが自みずから書かき下おろした日本語にほんご詩しで「マイ・マン」を発表はっぴょう。本ほん作さくを主軸しゅじくとしたアルバム『マイ・マン』（オリジナルLP盤ばん規格きかく品番ひんばん：ETP-90154）とシングル（オリジナル7インチシングル盤ばん規格きかく品番ひんばん：ETP-17296）を同日どうじつ発売はつばいした。この浅川あさがわマキの音源おんげんはアルバムとシングルで異ことなるテイクである。これらは1993年ねん4月がつ7日にちにCD化かされた。1985年ねん7月がつ1日にちにも浅川あさがわマキはアルバム『ちょっと長ながい関係かんけいのブルース』にて本ほん作さくをカヴァーしており、この音源おんげんは2011年ねん6月がつ15日にちにCD化かされた。浅川あさがわマキは最さい晩年ばんねんまで本ほん作さくをステージで採とり上あげ唄うたい続つづけた。

2005年ねん12月7日にち、保坂ほさか俊雄としお&イルカがアルバム『エニー・キイ・OK!!』で本ほん作さくを「マイ・マン」としてカヴァーした。

2018年ねん現在げんざい、通信つうしんカラオケであるDAMに於おいて本ほん作さくは浅川あさがわマキの曲きょくとして入いれ曲きょくしており、アルバム・ヴァージョンを忠実ちゅうじつに再現さいげんしたものとなっている。

備考びこう

JASRACに於おいては2018年ねん現在げんざい、外国がいこく作品さくひん／出典しゅってん：PJ (サブ出版しゅっぱん者しゃ作品さくひん届とどけ) ／作品さくひんコード 0M0-6410-1 MON HOMME として登録とうろく。計けい32名めいの歌手かしゅが「アーティスト」とされており、日本人にっぽんじん歌手かしゅでは越路こしじ吹雪ふぶきと浅川あさがわマキが登録とうろくされている。

出版しゅっぱん者しゃは、ED SALABERT S A Ⓐ 301。日本にっぽんでのサブ出版しゅっぱんはユニバーサル・ミュージック・パブリッシング Synch事業じぎょう部ぶである。

脚注きゃくちゅう

出典しゅってん

• Editions Francis Salabert: Paris, Copyright 1920 Sheet music for the song Mon Homme
  • パリ, 「マイ・マン」の楽曲がっきょくに対たいする1920枚まいのシートミュージックに対たいする著作ちょさく権けん

外部がいぶリンク

• 「マイ・マン」の歌詞かし - メトロリリック（英語えいご）
• "Es Mi Hombre" - Maruja Garrido ft. Salvador Dalí - YouTube（スペイン語ご）
• Mon homme - Mistinguett - フランス語ふらんすご版ばん歌詞かし（フランス語ふらんすご）
• My Man - Billie Holiday - 英語えいご版ばん歌詞かし（英語えいご）
• マイ・マン - 浅川あさがわマキ - 浅川あさがわマキによる日本語にほんご詩し