モンガラカワハギ科か

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モンガラカワハギ科か
モンガラカワハギ Balistoides conspicillum
分類ぶんるい
界さかい : 動物界どうぶつかい Animalia
門もん : 脊索せきさく動物どうぶつ門もん Chordata
亜あ門もん : 脊椎動物せきついどうぶつ亜あ門もん Vertebrata
綱つな : 条じょう鰭ひれ綱つな Actinopterygii
上目うわめ : 棘とげ鰭ひれ上目うわめ Acanthopterygii
目め : フグ目め Tetraodontiformes
亜あ目め : モンガラカワハギ亜あ目め Balistoidei
上うえ科か : モンガラカワハギ上うえ科か Balistoidea
科か : モンガラカワハギ科か Balistidae
学名がくめい
Balistidae
（A. Risso, 1810）
英名えいめい
Triggerfishes
属ぞく
本文ほんぶん参照さんしょう

モンガラカワハギ科か（学名がくめい：Balistidae）は、フグ目めに所属しょぞくする魚類ぎょるいの分類ぶんるい群ぐんの一ひとつ。少すくなくとも11属ぞくを含ふくみ、モンガラカワハギ・タスキモンガラなどサンゴ礁さんごしょうに生息せいそくする熱帯魚ねったいぎょを中心ちゅうしんに約やく40種しゅが記載きさいされる[1]。

分布ぶんぷ・生態せいたい[編集へんしゅう]

モンガラカワハギ科かの魚類ぎょるいはすべて海水かいすい魚ぎょで、太平洋たいへいよう・インド洋いんどよう・大西おおにし洋ひろしなど世界中せかいじゅうの温暖おんだんな海うみに広ひろく分布ぶんぷする[1]。ほとんどの種類しゅるいは沿岸えんがんの浅あさい海うみで生活せいかつし、サンゴ礁さんごしょう域いきでは特とくに一般いっぱん的てきなグループである[2]。鮮あざやかな色彩しきさいをもつ仲間なかまが多おおく、観賞かんしょう魚ぎょとして水族館すいぞくかんで飼育しいくされるほか、一部いちぶの種類しゅるいは食用しょくようにもなる。

通常つうじょうは第だい2背鰭せびれと臀しり鰭ひれを波打なみうたせるようにしてゆっくりと遊泳ゆうえいするが、捕食ほしょく・回避かいひ行動こうどう時じには尾お部ぶを使つかって素早すばやく突進とっしんする[3]。一般いっぱんに昼ひる行ぎょう性せいで、硬かたい殻からをもつ貝類かいるいや棘皮動物きょくひどうぶつなどを含ふくめたさまざまな無む脊椎動物せきついどうぶつを捕食ほしょくする。本科ほんか魚類ぎょるいの歯はの形状けいじょうは獲物えものをかじりとるよりも噛かみくことに適応てきおうしているものの、ナメモンガラ属ぞくなど藻類そうるいや動物どうぶつプランクトンを主おもに食たべるグループも存在そんざいする[3][4]。

繁殖はんしょく行動こうどう[編集へんしゅう]

モンガラカワハギ科かの魚類ぎょるいの多おおくは卵たまごを保護ほごする習性しゅうせいをもつ。砂地すなじの海底かいていにすり鉢ばち状じょうの巣すを作つくり、1回かいの繁殖はんしょくでおよそ10万まん個この沈性卵たまごを産うむ[5]。1日にちほどで孵化ふかするまでの間あいだ、親おや魚ぎょ（雌雄しゆうの役割やくわり分担ぶんたんは種しゅによって異ことなる）は巣すを外敵がいてきから守まもるとともに、卵たまごに新鮮しんせんな海水かいすいを送おくり込こむなどの世話せわをする[3][5]。この時期じきの親おや魚ぎょは非常ひじょうに攻撃こうげき的てきで、近ちかづいた人間にんげんも襲おそわれて怪我けがをすることがある[4]。

同おなじモンガラカワハギ上うえ科かに属ぞくするカワハギ科かも、本科ほんかとよく似にた繁殖はんしょく行動こうどうをとることが知しられている[5]。モンガラカワハギの仲間なかまと比くらべ、カワハギ類るいは産卵さんらん数すうが少すくなく（約やく2万まん個こ）、孵化ふかまでの時間じかんも長ながい（2日にち以上いじょう）など、沈性卵たまごを産うむ魚類ぎょるいとしての特とく化か・多様たよう化かが進すすんでいる[5]。モンガラカワハギ科かにおける産卵さんらん数すうの多おおさと孵化ふかの早はやさという特徴とくちょうは、より原始げんし的てきなグループであるギマ科か（浮性卵たまご）から派生はせいしたものとみられ、形態けいたい学がく的てきな系統けいとう関係かんけいが繁殖はんしょく様式ようしきの進化しんかをも反映はんえいしているものと考かんがえられている[5]。

形態けいたい[編集へんしゅう]

モンガラカワハギ科かの仲間なかまは左右さゆうに平ひらたく著いちじるしく側がわ扁ひらたし、一般いっぱんに体高たいこうは高たかく卵たまご型がたとなる[1]。モンガラカワハギ上うえ科かに共通きょうつうする特徴とくちょうとして、上顎じょうがくを突つき出だすことはできないが、左右さゆうの眼球がんきゅうを別々べつべつに回転かいてんさせることができる[3]。両側りょうがわの前ぜん上顎じょうがく骨こつにはそれぞれ外側そとがわに4枚まい、内側うちがわに3枚まいの歯はを備そなえ、近きん縁えんのカワハギ科かよりも多おおい[3][6]。

背鰭せびれの棘とげ条じょうは3本ほんで、2本ほんしかもたないカワハギ科かとの明瞭めいりょうな鑑別かんべつ点てんとなる[1]。背鰭せびれの第だい1棘とげ条じょうを立たてた状態じょうたいで固定こていすることができ、第だい2棘とげ条じょうの固定こてい・解除かいじょと機械きかい的てきに連動れんどうしている[3]。このメカニズムが銃じゅうの引ひき金がねの構造こうぞうと類似るいじしていることが、本科ほんか魚類ぎょるいの英名えいめい「triggerfish」の由来ゆらいとなっている[2]。

腹はら鰭ひれを支ささえる左右さゆうの腰骨こしぼねは癒合ゆごうし、一本いっぽんの棒ぼうのようになっている[4]。腰骨こしぼねの後端こうたんは11枚まいの特殊とくしゅな鱗うろこ（鞘さや状じょう鱗うろこ）に覆おおわれる[6]。すべての軟条は分ぶん枝えだし、尾鰭おびれの主しゅ鰭ひれ条じょうは12本ほん[3]。鱗うろこは板いた状じょうで、非常ひじょうに硬かたい[4]。椎骨ついこつは18個こ[3]。

分類ぶんるい[編集へんしゅう]

モンガラカワハギ科かにはNelson（2016）の体系たいけいにおいて11属ぞく42種しゅが認みとめられている[1]。かつてはカワハギ類るいと並ならんで亜あ科かとして扱あつかわれていたが[7]、現在げんざいではそれぞれが独立どくりつの科かとして分類ぶんるいされている。本稿ほんこうでは、FishBase[3]に記載きさいされる12属ぞく42種しゅについてリストする。

イソモンガラ Pseudobalistes fuscus （キヘリモンガラ属ぞく）。幼魚ようぎょは鮮あざやかな黄色おうしょくの体からだ色しょくをもつ
ソロイモンガラ Melichthys niger （ソロイモンガラ属ぞく）。背鰭せびれと臀しり鰭ひれの基底きていにある白しろいラインが特徴とくちょう
ナメモンガラ属ぞくの1種しゅ（Xanthichthys ringens）。本属ほんぞくには動物どうぶつプランクトンを主食しゅしょくにする種類しゅるいが多おおい[4]
ムラサメモンガラ Rhinecanthus aculeatus （ムラサメモンガラ属ぞく）。美うつくしい色彩しきさいで知しられる種類しゅるいで、本州ほんしゅうの太平洋たいへいよう岸がんで普通ふつうに観察かんさつされる
ゴマモンガラ Balistoides viridescens （モンガラカワハギ属ぞく）。全長ぜんちょう60cmと本科ほんかの中なかでは大型おおがたの種類しゅるいで、卵たまごを守まもる親おやは非常ひじょうに攻撃こうげき性せいが高たかい[4]

出典しゅってん・脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

  1. ^ a b c d e 『Fishes of the World Fifth Edition』 pp.522-523
  2. ^ a b 『海うみの動物どうぶつ百科ひゃっか3 魚類ぎょるいII』 pp.118-119
  3. ^ a b c d e f g h i “Balistidae”. FishBase. 2010年ねん6月がつ6日にち閲覧えつらん。
  4. ^ a b c d e f 『日本にっぽんの海水かいすい魚ぎょ』 pp.686-693
  5. ^ a b c d e 『魚さかなの自然しぜん史し 水中すいちゅうの進化しんか学がく』 pp.181-195 「モンガラカワハギ上うえ科か魚類ぎょるいの繁殖はんしょく行動こうどうとその進化しんか」（執筆しっぴつ者しゃ：川瀬かわせ裕司ゆうじ）
  6. ^ a b 『魚さかなの自然しぜん史し 水中すいちゅうの進化しんか学がく』 pp.76-95 「多様たよう性せいと統一とういつ性せい フグ目め魚類ぎょるいの系統けいとう関係かんけい」（執筆しっぴつ者しゃ：松浦まつうら啓一けいいち）
  7. ^ 『Fishes of the World Second Edition』 pp.381-382
  8. ^ “日本にっぽん産さん魚類ぎょるいの追加ついか種しゅリスト”. 日本にっぽん魚類ぎょるい学会がっかい. 2010年ねん6月がつ6日にち閲覧えつらん。
  9. ^ Balistes 属ぞくに含ふくまれることもある。
  10. ^ “Rhinecanthus abyssus Matsuura & Shiobara, 1989”. 国立こくりつ科学かがく博物館はくぶつかん魚類ぎょるい研究けんきゅう室しつ. 2010年ねん6月がつ6日にち閲覧えつらん。
  11. ^ “ケショウモンガラ（新しん称しょう）”. スリナム・ギアナ沖おきの魚類ぎょるい. 独立どくりつ行政ぎょうせい法人ほうじん 水産すいさん総合そうごう研究けんきゅうセンター 開発かいはつ調査ちょうさセンター. 2016年ねん8月がつ7日にち閲覧えつらん。
  12. ^ a b 松浦まつうら啓一けいいち. “Xenobalistes tumidipectoris Matsuura, 1981”. 国立こくりつ科学かがく博物館はくぶつかん. 2019年ねん1月がつ11日にち閲覧えつらん。

参考さんこう文献ぶんけん[編集へんしゅう]

ウィキメディア・コモンズには、モンガラカワハギ科かに関連かんれんするメディアがあります。
ウィキスピーシーズにモンガラカワハギ科かに関かんする情報じょうほうがあります。
  • Joseph S. Nelson 『Fishes of the World Fifth Edition』 Wiley & Sons, Inc. 2016年ねん ISBN 978-1-118-34233-6
  • Joseph S. Nelson 『Fishes of the World Second Edition』 Wiley & Sons, Inc. 1984年ねん ISBN 0-471-86475-7
  • Andrew Campbell・John Dawes編へん、松浦まつうら啓一けいいち監訳かんやく 『海うみの動物どうぶつ百科ひゃっか3 魚類ぎょるいII』 朝倉書店あさくらしょてん 2007年ねん（原著げんちょ2004年ねん） ISBN 978-4-254-17697-1
  • 岡村おかむら収おさむ・尼あま岡おか邦夫くにお監修かんしゅう 『日本にっぽんの海水かいすい魚ぎょ』 山やまと溪谷社けいこくしゃ 1997年ねん ISBN 4-635-09027-2
  • 松浦まつうら啓一けいいち・宮みや正樹まさき編へん 『魚さかなの自然しぜん史し 水中すいちゅうの進化しんか学がく』 北海道大学ほっかいどうだいがく図書としょ刊行かんこう会かい 1999年ねん ISBN 4-8329-9791-2

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]

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