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ヤルンツァンポがわ

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ヤルンツァンポがわ
まさ魯蔵ぬのこう
ラサ南西なんせいながれるヤルンツァンポかわ
水系すいけい ガンジスがわ水系すいけい
延長えんちょう以下いか、ブラマプトラがわ全体ぜんたい
2840 km
平均へいきん流量りゅうりょう 16240 m3/s
流域りゅういき面積めんせき 912000 km2
水源すいげん 中華人民共和国の旗 中国ちゅうごく チベット自治じちシガツェアングシ氷河ひょうが
河口かこう合流ごうりゅうさき ガンジスがわ
流域りゅういき 中華人民共和国の旗 中国ちゅうごく チベット
インドの旗 インド
バングラデシュの旗 バングラデシュ
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ヤルンツァンポがわ(ヤルンツァンポがわ、チベット文字もじཡར་ཀླུངས་གཙང་པོ་ワイリー方式ほうしきyar kLungs gTsang po; ぞうぶん拼音:Yarlung Zangbo)、まさ魯蔵ぬのこう中国ちゅうごく: まさ魯藏ぬのこう拼音: Yǎlǔ Zàngbù Jiāng)は、マ字まじ表記ひょうきでは Yarlung Tsangpo、Yarlung Zangbo、Yarlung Zangbo Jiang、英語えいごでは Yalu Zangbu River などとして言及げんきゅうされる、中国ちゅうごくチベット自治じち最長さいちょうかわである[1]名称めいしょうのうち「ツァンポ」の部分ぶぶんは、おそらくはこのかわウー・ツァンはっし、これをつらぬいてながれ、ラサ以西いせいのチベットを横断おうだんすることによっている。なお、下流かりゅう名称めいしょうわる。

うみまでの経路けいろ

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ヤルンツァンポがわチベット高原こうげんはしはっする河川かせんで、世界せかいもっと源流げんりゅう標高ひょうこうたかい。チベット高原こうげんはなれると、ヤルンツァンポがわ地球ちきゅうじょうもっとだい規模きぼふか峡谷きょうこくきざみ、まさ魯蔵ぬのだい峡谷きょうこく形成けいせいしている[2]

ヤルンツァンポがわブラマプトラがわ上流じょうりゅうし、インドアルナーチャル・プラデーシュしゅういた河川かせんである。アルナーチャル・プラデーシュしゅうから下流かりゅうは、一挙いっきょ川幅かわはばひろがり、シアングがわ (Siang) とえる。シアングがわ名前なまええたのちアッサムしゅうたっすると、ブラマプトラがわふたた名称めいしょうわる。ブラマプトラがわはアッサムしゅうつづいて、ラムナバザール (Ramnabazar) でバングラデシュはいる。低地ていちのバングラデシュでは文字もじによる記録きろくのこっている期間きかんですらながれ変化へんかしており、200ねんほどまえまでは、そこからひがしながしてボイロブ・ウポジラ英語えいごばんちかくでメグナがわそそいでいた。このふるくからのりゅうは、徐々じょじょ干上ひあがってきた。現在げんざいおもりゅうは、ジョムナがわ英語えいごばんばれ、みなみながして、バングラデシュではポッダがわ英語えいごばんばれるガンジスがわそそいでいる。なお、最終さいしゅうてきにガンジスがわインド洋いんどようへとそそぐ。

流域りゅういき

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シガツェながれるヤルンツァンポかわ
ヤルンツァンポがわ地図ちず
ヤルンツァンポがわ堆積たいせきぶつ
チベットをつらぬき、2つのいただき、ナムチャバルワギャラ・ペリ英語えいごばんふもとながれるヤルンツァンポかわ。この写真しゃしん中心ちゅうしんは、北緯ほくい2909ふん22びょう 東経とうけい9358ふん59びょう / 北緯ほくい29.156 東経とうけい93.983 / 29.156; 93.983

以下いかふしでは、ヤルンツァンポがわばれる部分ぶぶんについてのみ記述きじゅつする。

ながれ

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ヤルンツァンポがわは、カイラスやまマーナサローワル南東なんとう位置いちする西にしチベットのアングシ氷河ひょうがはっし、みなみチベット峡谷きょうこくまさ魯蔵ぬのだい峡谷きょうこく中国語ちゅうごくごばんきざんでなが[2]、インドのアルナーチャル・プラデーシュしゅういた河川かせんである。これより下流かりゅう名称めいしょうわる。

ヤルンツァンポがわ支流しりゅうなかもっとながいのは、ニャンがわ英語えいごばんである。おも支流しりゅうとしては、ラサがわ、ニャンがわパールンツァンポがわ英語えいごばんげられる。

チベットでは、流出りゅうしゅつする河川かせんは、ながさ1200 km、はば300 kmにたっするみなみチベット峡谷きょうこくとおる。この峡谷きょうこくは、標高ひょうこう4500 mから、3000 mまでをながくだ[3][4]ながくだるにつれ、寒冷かんれい砂漠さばくから乾燥かんそうしたステップへ、さらに落葉樹らくようじゅ低木ていぼく生育せいいくする地域ちいきへと、流域りゅういき植生しょくせい変化へんかする。最終さいしゅうてき植生しょくせいは、針葉樹しんようじゅツツジもり変化へんかする。森林しんりん限界げんかいは、おおよそ標高ひょうこう3200 mである[5]。チベットの首都しゅとであるラサ近郊きんこう砂岩さがんそうには、磁気じきびた鉱物こうぶつふくまれており、過去かこ地球ちきゅう磁界じかい変化へんかした痕跡こんせきのこされている[6]

ヤルンツァンポがわ形成けいせいする盆地ぼんちは、南側みなみがわヒマラヤ山脈ひまらやさんみゃく北側きたがわカン・リンポチェ(カイラスさんニェンチェンタンラ山脈さんみゃくかこまれており、チベットのなかでも北方ほっぽうの、より標高ひょうこうたか地域ちいきよりもおだやかな気候きこうめぐまれており、チベット自治じち人口じんこうだい部分ぶぶんは、この盆地ぼんち居住きょじゅうしている。

ヤルンツァンポ・グランド・キャニオン (Yarlung Tsangpo Grand Canyon) ともばれるみやび魯蔵ぬのだい峡谷きょうこくは、ナムチャバルワ付近ふきんチベット高原こうげんからながさい馬蹄ばてい形状けいじょうながれが湾曲わんきょくし、世界せかいもっとふかく、またもっとながいとえるかもしれない峡谷きょうこくきざまれているとされる[7]

ヤルンツァンポがわ経路けいろじょうには、3かしょおおきなたきがある[8]もっとだい規模きぼ瀑布ばくふは、「秘密ひみつたき (Hidden Falls)」としょうされ、1998ねんいたるまで西洋せいようには広報こうほうされておらず、西洋せいようじんによる目撃もくげきが「発見はっけん」としょうされることも、みじか期間きかんながらあった[9]。このような目撃もくげきは、初期しょきにこの地域ちいきせっした西洋せいようじんたちが、チベットじん猟師りょうし僧侶そうりょからはなしかされながら、当時とうじ西洋せいようじん探検たんけんたちが発見はっけんできなかったおおきなたき発見はっけんとされたこともあった[10]。しかし、中国ちゅうごく当局とうきょくは、そのような主張しゅちょうたいして抗議こうぎし、中国ちゅうごくがわ地理ちり学者がくしゃいたる1979ねん以来いらい峡谷きょうこく探検たんけんし、1987ねんにはたき写真しゃしんヘリコプターから撮影さつえいしていたと指摘してきしている[11]

カヤックによる探検たんけん

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ヤルンツァンポがわホワイトウォーター激流げきりゅう)。

1990年代ねんだい以降いこう、ヤルンツァンポがわは、探検たんけんホワイトウォーター・カヤック英語えいごばんでの下降かこうこころみるすうおおくのチームがやってくるようになった[12]。このかわは、その極限きょくげんてき条件じょうけんから、「かわのエベレスト (Everest of Rivers)」としょうされるようになった[13]

1998ねん10月、ナショナルジオグラフィック協会きょうかいがスポンサーとなった遠征えんせいたいが、カヤックによるみやび魯蔵ぬのだい峡谷きょうこく下降かこういどんだ。予想よそうがい水量すいりょうにみまわれ、この遠征えんせいはカヤックのエキスパートだったダグ・ゴードン英語えいごばんいのちとす悲劇ひげきてき結果けっかとなった[14]

2002ねんの1がつから2がつにかけて、スコット・リンドグレン (Scott Lindgren)、スティーヴ・フィッシャー (Steve Fisher)、マイク・アボット (Mike Abbott)、アラン・エラード (Allan Ellard)、ダスティン・クナップ (Dustin Knapp)、ジョニー・カーン (Johnnie Kern)、ウィリー・カーン (Willie Kern) から国際こくさいてきなメンバー編成へんせいいちたいが、ツァンポ峡谷きょうこく上流じょうりゅう完全かんぜん下降かこうはじめて成功せいこうした[15]

出典しゅってん

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  1. ^ Yue-man Yeung & Jianfa Shen 2004.
  2. ^ a b The New largest Canyon in the world - The Great Canyon of Yalung Tsangpu River (Tibet)”. www.100gogo.com. 2008ねん2がつ28にち時点じてんオリジナルよりアーカイブ。2009ねん7がつ19にち閲覧えつらん
  3. ^ Yang Qinye; Zheng Du. Tibetan Geography. China Intercontinental Press. pp. 30–31. ISBN 7508506650. https://books.google.com/books?id=4q_XoMACOxkC&pg=PA30 
  4. ^ Zheng Du, Zhang Qingsong, Wu Shaohong: Mountain Geoecology and Sustainable Development of the Tibetan Plateau (Kluwer 2000), ISBN 0-7923-6688-3, p. 312;
  5. ^ "Yarlung Tsangpo arid steppe". Terrestrial Ecoregions. World Wildlife Fund. 2007ねん6がつ29にち閲覧えつらん
  6. ^ Yarlung Tsangpo River in China”. Atmospheric Data Science Center. 2007ねん6がつ27にち閲覧えつらん
  7. ^ The World's Biggest Canyon”. www.china.org. 2007ねん6がつ29にち閲覧えつらん
  8. ^ Hidden Falls”. WWD - Waterfall Database. 2007ねん6がつ30にち閲覧えつらん
  9. ^ Fabled Tibetan Waterfalls Finally Discovered”. 2007ねん9がつ27にち時点じてんオリジナルよりアーカイブ。2007ねん7がつ7にち閲覧えつらん
  10. ^ Compiled by Nima Dorjee (7 January, 1999). Fabled Tibetan Waterfalls Finally Discovered. World Tibet Network News. Published by The Canada Tibet Committee. Issue ID: 99/01/07 Archived 2007-09-27 at the Wayback Machine. (retrieved on 14 September 2008)
  11. ^ Peter Heller (July 2002). Liquid Thunder. Outside Online. (retrieved on 14 September 2008)
    Antonio Perezgrueso (undated). The Echo of Liquid Thunder. (span. original: Los ecos del trueno líquido) Explorations and Expeditions on the English pages of the Sociedad Geográfica Española (retrieved on 14 September 2008)
    Who found it first? no longer existing website, quoted without further information on The Ancients. Shangri-La Found as: "Little attention was paid to the Chinese team that had been striking for the falls during that fateful trekking season. They claimed to have reached the falls before Baker but were ignored for the most part by everybody except their government who decided to close the gorge to westerners." (retrieved on 14 September 2008)
  12. ^ “Tibet Hidden Falls | The Hidden Lands of Tibet”. http://www.tibethiddenfalls.com 2017ねん3がつ16にち閲覧えつらん 
  13. ^ Press release of successful kayak run
  14. ^ Doug Gordon
  15. ^ Heller, Peter. “Tsangpo Expedition: Liquid Thunder”. Outside Magazine. Outside Online. 2009ねん2がつ7にち閲覧えつらん

参考さんこう文献ぶんけん

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外部がいぶリンク

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