比丘びく

仏教ぶっきょう用語ようご 比丘びく
袈裟けさを着きたカンボジアの比丘びく
パーリ語ご	Bhikkhu
サンスクリット語ご	Bhikṣu
中国ちゅうごく語ご	比丘びく (拼音: bǐqiū)
日本語にほんご	比丘びく (ロろーマ字まじ: Biku)
英語えいご	Monk
クメール語ご	ភិក្ខុ (UNGEGN: Bhikkhu)
シンハラ語ご	භික්ෂුව
タイ語ご	ภิกษุ

比丘びく（びく、巴ともえ: Bhikkhu、梵: Bhikṣu）は、仏教ぶっきょうにおいて出家しゅっけし、具足ぐそく戒を守まもる男性だんせいの修行しゅぎょう者しゃである。女性じょせいの出家しゅっけ修行しゅぎょう者しゃは比丘尼びくに（びくに, Bhikkhunī）。梵語ぼんご形がたのBhikṣuの音おと写うつしから苾芻（びっしゅ）ともいう。日本にっぽんでは一般いっぱんには僧侶そうりょ、お坊ぼうさんと呼よぶ。

比丘びくの生活せいかつは涅槃ねはんに達たっすることを目的もくてきとしており、質素しっそな生活せいかつを送おくることで自身じしんの修行しゅぎょうの助たすけとなるよう設計せっけいされている。

インドでは紀元前きげんぜん六ろく世紀せいきごろから、出家しゅっけし各地かくちを遊行ゆぎょうしながら托鉢たくはつする修行しゅぎょう者しゃがおり、釈迦しゃかもその一人ひとりであった。釈迦しゃかの弟子でしが増ふえ仏教ぶっきょう教団きょうだん（サンガ）が成立せいりつしてからは、その主要しゅような構成こうせい員いんとして、信徒しんとに教おしえを説とき、教団きょうだんを維持いじする働はたらきをもつ。しかし日本にっぽんの伝統でんとう宗派しゅうはとネパールのネワール仏教ぶっきょう、チベットのニンマ派はとカギュ派は（ならびにその影響えいきょう下かにあるブータン）においては、僧侶そうりょの妻帯さいたいと世襲せしゅうが常態じょうたい化かしており、戒律かいりつを始はじめから受うけていないか、あるいは受戒じゅかいしても守まもっていない。

定義ていぎ

元来がんらいは「食たべ物ものを乞こう人ひと」という意味いみの言葉ことば。

ブッダゴーサは『清浄せいじょう道どう論ろん』で、「輪廻りんねにおいて恐おそれを見みるので、比丘びくである」 (Pāli: Saṃsāre bhayaṃ ikkhatīti bhikkhu)と通俗つうぞく語源ごげん解釈かいしゃくによって定義ていぎしており、「輪廻りんねからの解脱げだつを求もとめて出家しゅっけした者もの」としている。

Na tena bhikkhū hoti yāvatā bhikkhate pare; Vissaṃ dhammaṃ samādāya bhikkhu hoti na tāvatā.
Yo'dha puññca pāpañca bāhetvā brahmacariyavā; Saṅkhāya loke carati sa ce bhikkhū'ti vuccati.

他たに乞ふのみにては比丘びくならず、一切いっさいの所ところ應おう行ぎょうを服膺ふくようするのみにては比丘びくならず。
人ひと若わかし現世げんせいに於おいて罪ざい福ぶくを離はなれて淨きよし行ぎょうに住じゅうし、愼重しんちょうにして世よを行いけば眞しんの比丘びくと謂いいはる。

—パーリ仏典ぶってん, ダンマパダ,266-267, Sri Lanka Tripitaka Project

雲水うんすい

禅宗ぜんしゅうでは、行雲流水こううんりゅうすいという句くから、修行しゅぎょう者しゃを雲水うんすい（うんすい）と呼よぶ。宋そう史ふみ蘇そ軾伝つてに「文ぶんを作つくるは行雲流水こううんりゅうすいの如ごとく、初はじめより定てい質しつなし」とあることから、行雲流水こううんりゅうすいの語かたりは、行いく雲くもや流ながれる水みずのような、大だい自然しぜんとおのずからなる無心むしん無む作さくのはたらきをいう。禅ぜんの修行しゅぎょう者しゃは一いちか所しょにとどまらず諸方しょほうに師しを求もとめて行脚あんぎゃすることから、行雲流水こううんりゅうすいの句くが禅ぜんの修行しゅぎょう僧そうをさすようになった。そこから一般いっぱんに、一定いっていの僧堂そうどうに留とどまって修行しゅぎょうする修行しゅぎょう者しゃをも雲水うんすいという。雲水うんすいはまた、雲くも衲（うんのう：なお、衲は、雲水うんすいの着きる破やぶれ衣ころものこと）、衲子（のっす）、行脚あんぎゃ僧そうともいう。

ギャラリー

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参考さんこう文献ぶんけん

• 中村なかむら元もと他た『岩波いわなみ仏教ぶっきょう辞典じてん』（第だい2版はん）岩波書店いわなみしょてん、1989年ねん。ISBN 4-00-080072-8。 
• 柴山しばやま全ぜん慶けい、秋月あきづき龍りゅう珉『講座こうざ 禅ぜん 第だい二に巻かん 禅ぜんの実践じっせん』筑摩書房ちくましょぼう、1967年ねん。 

関連かんれん項目こうもく

• サンガ
• 僧そう

外部がいぶリンク

  ウィキクォートには、比丘びくに関かんする引用いんよう句くがあります。
  ウィキメディア・コモンズには、Buddhist monksに関かんするカテゴリがあります。