ラキシー

ネパールにおけるラキシーの蒸留じょうりゅう

ラキシー（ネパール語ご: रक्सी、raksi）は、ネパールやインドのシッキム州しゅうなどチベット周辺しゅうへんで作つくられる蒸留酒じょうりゅうしゅ。

リンブー族ぞくはシジョン・アララ、タマン族ぞくらはアエラクなどと呼よんでいる。原料げんりょうに用もちいられるチャンなどと同様どうよう、多おおくが各かく家庭かていで作つくられる。

製法せいほう

ラキシーの蒸留じょうりゅう装置そうちの模も式しき図ず

シコクビエや米べいから醸造じょうぞうしたチャンのほか、ソバやタロイモ、マンゴーやバナナなどを潰つぶして餅もち麹こうじを加くわえて発酵はっこうさせたもろみ状じょうの醸造じょうぞう酒しゅを原料げんりょうとする。これらの原料げんりょうに水みずを加くわえてアルミニウム製せいの容器ようきに入いれ、右みぎ図ずのような装置そうちで蒸留じょうりゅうする。加熱かねつされた原料げんりょう溶液ようえきは蒸発じょうはつし、2段だん目めの陶器とうきの底そこ穴あなに敷しかれた濡ぬれ布ぬのを通とおり、最さい上段じょうだんの冷却れいきゃく水すい（の底そこの濡ぬれ布ぬの）によって凝縮ぎょうしゅくされて穴あなあき陶器とうきの中なかに置おかれた容器ようきに集あつまる。

中ちゅう取とりと呼よばれるこのような手法しゅほうは、歩留ぶどまりは高たかくない。一方いっぽうで、冷却れいきゃくされた液えき滴しずくを外そとに出だしたり蒸気じょうきを冷却れいきゃく管かんで集あつめたりするラオ・ラオやルオウ・ネプなどの蒸留酒じょうりゅうしゅと比くらべてラキシーは香味こうみが良よいとされ、中ちゅう取とり法ほうの影響えいきょうが指摘してきされている。最さい上段じょうだんの冷却れいきゃく水すいは蒸留じょうりゅう中ちゅうに3-5回かい取とり替かえられ、3回かいで取とり出だしたラキシーはアルコール度数どすうが高たかく、テーン・パニ（Theen Pani）と呼よばれて宗教しゅうきょう行事ぎょうじに用もちいられ、5回かいのものはパンチ・パニ（Panchi Pani）と呼よばれる。

特徴とくちょう

ラキシーのアルコール度数どすうは40-50%で、米こめを原料げんりょうとしたものは白濁はくだくして泡盛あわもりなどに似にている。ネワール族ぞくやタカリー族ぞくのものに比くらべ、他た部族ぶぞくのものは純度じゅんどが低ひくく、アルコール度数どすうも日本酒にほんしゅ以下いかである。オレンジやバナナから作つくったものはそれぞれ緑色みどりいろや黄色おうしょくとなる。家庭かていによっては4-10年ねんほど甕うなどで貯蔵ちょぞうされ、ブランデーのような高たかい風味ふうみを持もつという。

参考さんこう文献ぶんけん

• 小崎おざき 道雄みちお、タマン・ジョティ、片岡かたおか二郎じろう、山中やまなか茂しげる、吉田よしだ集しゅう而「シッキムの餅もち麹こうじ (Marcha), 酒さけ (Jaanr) と蒸留酒じょうりゅうしゅ (Raksi)」『日本にっぽん醸造じょうぞう協会きょうかい誌し』第だい95巻かん第だい2号ごう、日本にっぽん醸造じょうぞう協会きょうかい、2000年ねん、115-122頁ぺーじ、doi:10.6013/jbrewsocjapan1988.95.115。 
• 内村うちむら泰やすし「チャンを訪たずねてネパールへ」『食品しょくひんと低温ていおん』第だい7巻かん第だい4号ごう、日本にっぽん食品しょくひん保護ほご科か学会がっかい、1981年ねん、144-150頁ぺーじ、doi:10.5891/jafps1981.7.144。 
• 菰田こもた快かい「ネパールの酒さけ」『日本にっぽん醸造じょうぞう協会きょうかい雑誌ざっし』第だい60巻かん第だい5号ごう、日本にっぽん醸造じょうぞう協会きょうかい、1965年ねん、430-434頁ぺーじ、doi:10.6013/jbrewsocjapan1915.60.430。