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つぼしゅ

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
ラオスつぼしゅラオ・ハイを、たけせいのストローでってんでいる男性だんせい

つぼしゅ(つぼざけ)とは、東南とうなんアジア大陸たいりくから島嶼とうしょにかけての地域ちいき伝統でんとうてき醸造じょうぞうし、飲用いんようされてきた醸造じょうぞうしゅいち形態けいたいである[1]

概要がいよう

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つぼしゅ」のかたりは、ラオの「ラオ・ハイ」(つぼさけ)の訳語やくごである[1][2]

つぼしゅとされるさけには、以下いか定義ていぎがある[1]

  • 陶器とうきつぼ仕込しこ容器ようきにする。
  • いた穀物こくもつもちこうじのみで仕込しこむ。飲用いんようするさい便宜べんぎはかってもみがらぜる場合ばあいもあるが、仕込しこすい使つかわず固形こけい状態じょうたい発酵はっこうさせる。
  • 充分じゅうぶん発酵はっこうしたところでつぼもろみみずそそぎ、エタノールんだみずさけとする。
  • つぼたけとうせいストローみ、そのままってあじわう。

製法せいほう

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以下いかは、タイ東北とうほくメコンがわはさんでラオスをのぞむラコン・ファノム近郊きんこうむらにおける、1994ねん当時とうじオウつぼしゅ製造せいぞう過程かていである[3]

  1. もみがら糯米もちごめを1:3の割合わりあい混合こんごうし、1あいだほどふけげる。
  2. マットにひろげて室温しつおんにまでまし、糯米もちごめ4kgにたいし50gのルクパン(もちこうじ)を粉末ふんまつにしてふりかける。
  3. 大型おおがたつぼ仕込しこんですう日間にちかんかけいち発酵はっこうさせたのち、小型こがたつぼ4ける。つぼくちポリエチレンぬのかぶせ、さらにもみがらぜてったはいかためて密封みっぷうする。
  4. この状態じょうたいで15にちから30にち[2]ほど発酵はっこうさせる。
  5. さいつぼ封印ふういんいてコップ1はいぶんみずそそぎ、たけせいのストローをみ、発酵はっこうによってエタノールがんで「さけ」になったみずあじわう。最初さいしょ客人きゃくじん目上めうえひとすすめ、のち集団しゅうだんでストローをんでむ。液体えきたいぶんしたら再度さいどみずそそぎ、アルコールぶんくなるまでむ。保存ほぞんかないため、ふうったそののうちにみきるのが基本きほんである。

オウはアルコール度数どすう8ほどであまく、みやすいという。ふうらず、つぼ状態じょうたいられることもある。値段ねだん2002ねん報告ほうこくによれば、つぼ1個いっこ100バーツであった[4]

ベトナム北部ほくぶつぼしゅルオウ・カン参照さんしょう

かた

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基本きほんてきつぼしゅハレしゅとして一堂いちどうかいした村人むらびとともつぼかこみ、一斉いっせいにストローをんであじわうものである。人数にんずうおおければちいさなつぼかこむことがむずかしくなるため、サイフォン原理げんりさけ吸出すいだし、べつうつわけて銘々めいめいまわす。さけさいには軟化なんかした飯粒めしつぶでストローがまるおそれがあるため、まえもって先端せんたんぬのきつけみながら濾過ろかさせるか、仕込しこみのさいに「濾材」としての籾殻もみがらむなどの工夫くふうらされる。

つぼ仕込しこさいのもみがら配置はいちは、地域ちいき民族みんぞくごとにちがいがあり、ベトナムの山岳さんがく民族みんぞくれいにすれば、コホぞく英語えいごばんめしともみがら層状そうじょう仕込しこむが、エデぞく英語えいごばんつぼ上部じょうぶめしうえにもみがらせる。ムノンぞく英語えいごばんめしともみがら全体ぜんたいてき混合こんごうする[5]一方いっぽうでベトナム北部ほくぶむトぞくつぼしゅトウモロコシ原料げんりょうとするため、発酵はっこうつぶつぶれない。そのため、もみがら仕込しこまれない[6]

分布ぶんぷ

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ネパールのさけ・チャン。固形こけい状態じょうたいのもろみを木製もくせい容器ようきり、そそいでストローであじわう。

同様どうようの「めしこうじつぼ仕込しこみ、みずくわえず固形こけい発酵はっこうさせたのちみずそそいでストローであじわう」形式けいしきさけは、タイラオス北部ほくぶベトナム山岳さんがく地帯ちたいから中国ちゅうごく西南せいなん少数しょうすう民族みんぞく海南かいなんとう台湾たいわん原住民げんじゅうみんぞくあいだひろ分布ぶんぷする[7]。さらにネパール伝承でんしょうされるさけチャンつぼから直接ちょくせつ吸引きゅういんこそしないものの、固形こけい発酵はっこうさせたもろみを木製もくせい容器ようきけ、そそいでアルコールぶんかしし、たけのストローでってあじわうてんつぼしゅ共通きょうつうしている。

原料げんりょう糯米もちごめ基本きほんだが、ラオス北部ほくぶ居住きょじゅうするクムぞくつぼしゅハトムギ原料げんりょうとする。インドミャンマー国境こっきょう地帯ちたいのチンぞくはトウモロコシや雑穀ざっこくつぼしゅ仕込しこんでいる。また、ベトナム北部ほくぶエデぞくは、糯米もちごめおも原料げんりょうとするものの、めしくわえることでさけかおりといろ付加ふかする[5]

歴史れきし

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6世紀せいき中国ちゅうごくあらわされたのうしょ・『ひとしみんようじゅつ』には、そこ小石こいしいたつぼいたあわこうじぜて仕込しこみ、さいみずそそいであしかんう「あわべいしゅ」が紹介しょうかいされており、これが文献ぶんけんじょうにおけるつぼしゅはつである[8]

現在げんざい東南とうなんアジアでは蒸留酒じょうりゅうしゅビール流通りゅうつうする一方いっぽう、ハレの宴席えんせきではつぼしゅいまなお愛飲あいいんされている。車座くるまざ中心ちゅうしんかれたつぼから一斉いっせいさけ行為こういは、集団しゅうだん結束けっそくさい認識にんしきする場面ばめんでもある。みながら仲間なかまをからかい、あるいは順番じゅんばん間合まあいをはかることで自身じしん位置いち確認かくにんする。一方いっぽう個人こじん主義しゅぎ衛生えいせい観念かんねん普及ふきゅうから、つぼさけをコップにけて個人こじんてき方式ほうしき一般いっぱんしている。ボルネオとうのドゥスンぞく伝統でんとうてきこめキャッサバ原料げんりょうとしたつぼしゅ「トーミス」を飲用いんようしてきたが、近年きんねんはプラスチックのコップにけての個人こじんみが一般いっぱんした。さらに2008ねん以降いこうは1.5リットルペットボトル上部じょうぶひらいて仕込しこみ、みずそそぎつつプラスチックストローで個人こじんてきむトーミスがむらない酒造しゅぞうからされている[9]。「容器ようきつぼ)のリサイクル」「つけい」が前提ぜんていだったつぼ仕込しこみ時代じだいから「使つか容器ようき」「現金げんきん購入こうにゅう」への移行いこうにより、民族みんぞく経済けいざい観念かんねん酒宴しゅえんあらたなステージにはいりつつある。

出典しゅってん

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参考さんこう文献ぶんけん

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関連かんれん項目こうもく

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  • タパイ - つぼしゅ同様どうようたのしまれることもある。