リーフアクアリウム

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リーフアクアリウム (Reef aquarium) とは、海水かいすいぎょなどのうみ生物せいぶつぐん水槽すいそう飼育しいくするマリンアクアリウムのうち、とく珊瑚礁さんごしょう生物せいぶつぐん飼育しいくすることを目的もくてきとしたものである。

ミドリイシなど飼育しいくなんたかみやつこ礁サンゴ飼育しいく民間みんかんホビーレベルで可能かのうになったのは、日本にっぽん国内こくないでは1990年代ねんだいになってからとされる。しかし、その愛好あいこうたちの試行錯誤しこうさくごつづいた結果けっかモナコしきベルリンしき母体ぼたいとした各種かくしゅ飼育しいく方法ほうほう確立かくりつされるにいたった。

たん海水かいすいぎょ飼育しいくしたり、一部いちぶ丈夫じょうぶサンゴるい飼育しいくしたりする場合ばあいことなり、ミドリイシはひん栄養えいようとく硝酸しょうさんイオン)、こう照度しょうどこうカルシウムイオン濃度のうどこうKH炭酸たんさんしお濃度のうど)、ひくリンさんイオン濃度のうど変動へんどうすくないpH水温すいおんとく高温こうおんよわい)など、閉鎖へいさ環境かんきょうである水槽すいそうないではなかなか実現じつげんしにくい水質すいしつ要求ようきゅうする。

これらはプロテインスキマーカルシウムリアクターメタルハライドランプ水槽すいそうようクーラーライブロックなど、さまざまなアイテムを併用へいようすることで実現じつげんしうる。現在げんざいでは適切てきせつ装備そうびがあれば比較的ひかくてき容易ようい飼育しいくできるばかりか、ミドリイシるい増殖ぞうしょくさせたり産卵さんらんさせたりすることも可能かのうである。

リーフアクアリウムの人気にんき理由りゆうとして、そのたかいコレクションせいげられる。ミドリイシはおおくのたね存在そんざいするだけでなく、環境かんきょうによる形態けいたい変異へんいとく色彩しきさいのバリエーションがいちじるしいため、たん飼育しいくなんたか生物せいぶつ飼育しいくしたいという欲求よっきゅうたすだけでなく、観賞かんしょうようとしても格別かくべつうつくしさをほこる。おなクローンでも飼育しいくしゃ水槽すいそう変化へんかすれば刻々こくこく色彩しきさい変化へんかしたり形状けいじょうわるなど、現在げんざいでは「ミドリイシを飼育しいくできるか」よりも、「ミドリイシをいかに状態じょうたいうつくしく飼育しいくするか」に趣味しゅみ比重ひじゅううつっているといってい。これはまた、のアクアリウムではるいないほどの飼育しいくしゃ同士どうし友好ゆうこう結束けっそくしている。また、サンゴるい専門せんもんてきあつか販売はんばいてん存在そんざいする。

その一方いっぽう自然しぜんかいでは滅多めった存在そんざいしないきわめてうつくしい個体こたい高値たかね売買ばいばいされるようになり、密漁みつりょう密売みつばいしゃたずおおくの検挙けんきょしゃた。一般いっぱんかんがえられているほどサンゴるい稀少きしょうものではないものの、そのぎはかなら生態せいたいけい悪影響あくえいきょうあたえることが容易ようい予想よそうされ、現在げんざいでは養殖ようしょくされた個体こたいおお市販しはんされている。

むろん、リーフアクアリウムの目的もくてきみやつこ礁性サンゴの飼育しいくだけにまらない。珊瑚礁さんごしょう熱帯ねったい雨林うりんゆうえる、地球ちきゅう最大さいだいゆたかな生態せいたいけい舞台ぶたいであり、ミドリイシが状態じょうたい生育せいいくする水槽すいそうではおおくの生物せいぶつぐん簡単かんたんに、より本来ほんらい姿すがたちかかたち飼育しいくできる。いちれいげると、シャコガイヒョウモンダコなどの軟体動物なんたいどうぶつヤドカリカニエビなどの節足動物せっそくどうぶつ海藻かいそう海草かいそうナマコウニなど、そしておおくの熱帯魚ねったいぎょである。

水槽すいそう飼育しいくできるサイズの熱帯魚ねったいぎょでは、そのえさプランクトンレベルの微小びしょうさを要求ようきゅうしたり、あるいはサンゴそのものを摂食せっしょくするものもめずらしくない。リーフアクアリウムでは、従来じゅうらいのシステムではむずかしかったそれらの魚類ぎょるいをも比較的ひかくてき容易ようい飼育しいく可能かのうとなった。

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