ロバート・ウェストール

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ロバート・ウェストール[1](Robert Atkinson Westall、1929ねん10月7にち - 1993ねん4がつ15にち)は、イギリス作家さっか教師きょうしジャーナリスト児童じどう文学ぶんがく有名ゆうめいだが、ノンフィクション大人おとなけの小説しょうせついていた。かれ小説しょうせつおおくは複雑ふくざつくらい、大人おとなのテーマをあつかったじゅうだいけのものであった[2][3]かれは"the dean of British war novelists"(イギリスの戦争せんそう小説しょうせつたちのさきがけ)とわれている[4]

処女しょじょさく『"機関きかんじゅう要塞ようさい"の少年しょうねんたち(The Machine Gunners)』は1975ねん図書館としょかん協会きょうかいからカーネギーしょう受賞じゅしょうし、そのとし傑出けっしゅつした児童じどう文学ぶんがくとしてられている[5]2007ねんの70周年しゅうねんさいで、受賞じゅしょう作品さくひんのトップテンのひとつに、一般人いっぱんじん人気にんき投票とうひょう収集しゅうしゅうした選考せんこう委員いいんからえらばれた[6]。ウェストールはのカーネギーしょうネスレスマーティーズブックしょういちガーディアンしょう受賞じゅしょうした。

わかかりしころ仕事しごと[編集へんしゅう]

ロバート・ウェストールは1929ねん10月7にちタイン・アンド・ウィアのノースシールズ(ノーサンバーランド)でまれた[7]だい世界せかい大戦たいせんあいだタインサイドでそだった。その時間じかんかれおおくの小説しょうせつ舞台ぶたいとなっており、かれ生活せいかつおおきな出発しゅっぱつてん発想はっそうとなった。ダラム大学だいがくファインアート学位がくい取得しゅとくし、1957ねんロンドンのスレイド美術びじゅつ学校がっこう彫刻ちょうこく修士しゅうしごう取得しゅとくした[8]1953ねんから1955ねんまで、ウェストールはRoyal Corps of Signalsの下級かきゅう伍長ごちょうとしてイギリスぐんはたらいた[7]。その教師きょうしとなり、チェシャーのノースウィッチにあるSir John Deane's Grammar School(現在げんざいのSir John Deane's College)で美術びじゅつ部門ぶもんとキャリア部門ぶもん代表だいひょうとなった[8]。ウェストールは1966ねん1975ねん[1]あいだにSamaritans (charity)の支店してん理事りじとしてもはたらき、またジャーナリストとしてCheshire Life やThe Cheshire Chronicleで仕事しごとをし、ガーディアン美術びじゅつ批評ひひょう記事きじ執筆しっぴつした[3]

執筆しっぴつ[編集へんしゅう]

ウェストールは息子むすこクリストファーにだい世界せかい大戦たいせんちゅう自分じぶん経験けいけんはなしたことがきっかけに、小説しょうせつになることになった[1]最初さいしょほん『"機関きかんじゅう要塞ようさい"の少年しょうねんたち』は1975ねんにマクミランより出版しゅっぱんされた。大戦たいせんちゅう、イギリスじん少年しょうねんもりなか機関きかんじゅうそなえ、こわれたドイツばくげき発見はっけんするはなしである[5]1983ねんBBCのテレビ連続れんぞく番組ばんぐみとして映像えいぞうされた。

『"機関きかんじゅう要塞ようさい"の少年しょうねんたち』はタインマウスをフィクションしたまちガーマウスが舞台ぶたいであり、1977ねんの『The Watch House 』や、続編ぞくへんである1979ねんの『Fathom Five』でも舞台ぶたいとなった 。

クリストファー・ウェストールは1978ねん、18さいでバイク事故じここしてに、カーネギーしょう受賞じゅしょうした1978ねんの『The Devil on the Road』と、1983ねん短編たんぺん小説しょうせつ『チャス・マッギルの幽霊ゆうれい(The Haunting of Chas McGill)』の着想ちゃくそうもととなった[1] [よう説明せつめい]

ウェストールは1981ねんにChatto & Windusで出版しゅっぱんされた『かかし』で度目どめのカーネギーしょう受賞じゅしょうした[9] 。このしょうさん受賞じゅしょうしたひとだれもいないが、この時点じてんでもかれ専業せんぎょう小説しょうせつであったわけではなかった。かれ1985ねん教師きょうし引退いんたいして、執筆しっぴつおもきをくまで骨董こっとうひん取引とりひきもしていた[3][7]

1989ねんにBodley Headから出版しゅっぱんされた『Blitzcat』でネスレスマーティーズブックしょうの9-11さい部門ぶもん受賞じゅしょう1994ねんアメリカ図書館としょかん協会きょうかいはその作品さくひん最近さいきん25ねんのヤングアダルトのための100さつひとつにえらんでいる[10]1990ねん、Methen出版しゅっぱんの『海辺うみべ王国おうこく(The Kingdom by the Sea)』でガーディアンしょう受賞じゅしょうした[11]。その作品さくひん1992ねんの『おとうと戦争せんそう(Gulf)』は、カーネギーしょう候補こうほさくとしてたか評価ひょうかされた[12][a]後者こうしゃ湾岸わんがん戦争せんそうあいだ国内こくない戦線せんせんについてのはなしである。

1988ねんから死去しきょまでのあいだ、Lymmの作家さっかサークルに出席しゅっせきし、あたらしい作家さっかへの支援しえん指導しどうたのしんだ。その生徒せいと一人ひとりJonathan Welfordに用意よういされた作品さくひんのタイトルは『Nightmare』。これはかれ最後さいごほんとなり、『The Night Mare』はかれ死後しご出版しゅっぱんされた。[よう説明せつめい]

死去しきょ[編集へんしゅう]

ウェストールは1993ねん4がつ15にち、Warrington Hospitalで肺炎はいえんによる呼吸こきゅう不全ふぜん死去しきょした[3]かれ死去しきょまえには、家主やぬしのLindy McKinnelと、Lymmのまちの1 Woodland Avenueの貸間かしまんでおり、すこはなれたところコテージがあり、執筆しっぴつのため日々ひびはなれた。ロバートはあさ仕事しごと気分きぶんきだった。以前いぜんかれはノースウィッチの20 Winnington Laneにんでいて、DavenhamのChurch StreetにあるMagpie Antiquesにはしっていた。ジャーナリストとして、Cheshire LifeやノースウィッチのChronicle、WarringtonのGuardianに執筆しっぴつした。追悼ついとうしきは1993ねん9がつ29にち、WarringtonのThelwallにあるAll Saints' Churchのちかくでひらかれた。教師きょうし時代じだい同僚どうりょうや、Reed Children's Booksの編集へんしゅうちょうのMiriam Hodgsonから、賛辞さんじおくられた。

翌年よくねん、ウェストールのまれた土地とちであるタインサイドのノースシールズにある7 Vicarage Streetにブルー・プラークかれた。プラークは「ロバート・ウェストール散歩さんぽだいされてもいて、世界せかいてき有名ゆうめい児童じどう文学ぶんがくしゃが、作品さくひん舞台ぶたいとした場所ばしょを、かれのファンたちはあるいてまわることができる。

ウェストールの作品さくひん日本にっぽんアニメーター宮崎駿みやざきはやお想像そうぞうりょくをかきたてた。2006ねん10月、宮崎駿みやざきはやおにより『タインマスへのたび(A Trip to Tynemouth)』が日本にっぽん出版しゅっぱんされた。これはウェストールの著作ちょさくしゅう『Break of Dark』で最初さいしょ出版しゅっぱんされたはなしブラッカムのばくげき』がもととなっているが、日本にっぽんでは福武書店ふくたけしょてんから出版しゅっぱんされたほん絶版ぜっぱんとなり、徳間書店とくましょてん選書せんしょにもほんさく収録しゅうろくされそうになかった。これをうれいた宮崎駿みやざきはやおロケハンをしたうえ作品さくひん紹介しょうかいする漫画まんがえがき、『ブラッカムのばくげき』『チャス・マッギルの幽霊ゆうれい』『ぼくをつくったもの』と一緒いっしょ収録しゅうろくして出版しゅっぱんした。物語ものがたりイギリス空軍くうぐんビッカース ウェリントンばくげき乗組のりくみいんはなし。ニックネームはポパイ漫画まんがのJ. Wellington Wimpyからている。

著作ちょさく[編集へんしゅう]

WorldCatによれば、WorldCat参加さんかしている図書館としょかんには、ウェストール作品さくひんの17種類しゅるい外国がいこくはんがある。

大人おとな[編集へんしゅう]

[よう説明せつめい]

  • Antique Dust (1989)

短篇たんぺんしゅう[編集へんしゅう]

[よう説明せつめい]

  • Spinetinglers (1988)
  • Ghost Stories (1993)
  • Cat's Whispers and Tales (1996)
  • The Best of Robert Westall Volume One: Demons and Shadows (1998)
  • The Best of Robert Westall Volume Two: Shades of Darkness (1998)

フィクション[編集へんしゅう]

ノンフィクション[編集へんしゅう]

  • Children of the Blitz (1985)

自伝じでん[編集へんしゅう]

  • ぼくをつくったもの The Making of Me (2006)

受賞じゅしょう[編集へんしゅう]

アメリカ図書館としょかん協会きょうかい 最近さいきん25年間ねんかんヤングアダルトのための100さつ

アメリカ図書館としょかん協会きょうかい ヤングアダルトのための最優秀さいゆうしゅうフィクション

ボストングローブホーンほんしょう 入選にゅうせんさく

  • 1977 Honor Book: The Machine Gunners[14]
  • 1982 Honor Book: The Scarecrows[14]

カーネギーしょう

  • 1975: The Machine Gunners[5]
  • 1981: The Scarecrows[9]
  • 1990 highly commended runner up: The Kingdom by the Sea[12][a]
  • 1992 highly commended runner up: Gulf[12][a]
  • 1978 commended runner up: Devil on the Road[12][a]

ドラキュラ協会きょうかい よるどもしょう

  • 1991: The Stones of Muncaster Cathedral[15]

ガーディアン どものフィクションしょう

ネスレスマーティブックしょう 9-11さい部門ぶもん

  • 1989: Blitzcat[2]

シェフィールド どものほんしょう

  • 1991: The Promise [17]

注釈ちゅうしゃく[編集へんしゅう]

  1. ^ a b c d 1995ねんから、カーネギーしょう候補者こうほしゃリストにははちさつほんがある。
    CCSUによれば、2002ねんまで候補者こうほしゃには「Commended」(1954ねんから)と「Highly Commended」(1966ねんから)がある。後者こうしゃ勲章くんしょうは1979ねんやくいちねんとなった。1990ねんいちさつ、1992ねんいちさつふくめて、24年間ねんかんに29の「highly commended」のほんがあった。 さんカーネギーしょう受賞じゅしょうしたひとはいない。 7にん作家さっか受賞じゅしょうしており、6にんが1966ねんから2002ねんあいだ活動かつどうしており、アン・ファインさん、ウェストールがなど、みな最低さいていいちは「Highly Commended」の候補こうほとなっている(ウェストールはDevil on the Road (1978)で3にんの「Commended」の候補こうほのうちの一人ひとりでもあり、1954ねんから2002ねんまで135ばい程度ていど勲章くんしょう使つかわれた)。

出典しゅってん[編集へんしゅう]

  1. ^ a b c d Eccleshare, Julia (1993ねん4がつ21にち). “Obituary: Robert Westall”. The Independent. http://www.independent.co.uk/news/people/obituary-robert-westall-1456490.html 2012ねん1がつ22にち閲覧えつらん 
  2. ^ a b Agnew, Kate; Fox, Geoff (2004). Children at war from the First World War to the Gulf. New York: Continuum. pp. 105–106. ISBN 0-8264-7759-3 
  3. ^ a b c d Grimes, William (1993ねん4がつ20日はつか). “Robert Westall, 63, Art Teacher And Author of Children's Books”. New York Times. http://www.nytimes.com/1993/04/20/obituaries/robert-westall-63-art-teacher-and-author-of-children-s-books.html 2012ねん1がつ22にち閲覧えつらん 
  4. ^ Myers, Mitzi (2008). Elizabeth Goodenough & Andrea Immel. ed. Under fire : Childhood in the Shadow of War. Detroit: Wayne State University Press. p. 22. ISBN 0-8143-3404-0 
  5. ^ a b c (Carnegie Winner 1975). Living Archive: Celebrating the Carnegie and Greenaway Winners. CILIP. Retrieved 9 July 2012.
  6. ^ "70 Years Celebration: Anniversary Top Tens". The CILIP Carnegie & Kate Greenaway Children's Book Awards. CILIP. Retrieved 9 July 2012.
  7. ^ a b c Robert Westall”. Authors and Illustrators Archive. The Wee Web. 2012ねん1がつ22にち閲覧えつらん[リンク]
  8. ^ a b Holtze, Sally Holmes (1995). Anita Silvey. ed. Children's Books and Their Creators. New York: Houghton Mifflin. pp. 675–676. ISBN 0-395-65380-0 
  9. ^ a b (Carnegie Winner 1981). Living Archive: Celebrating the Carnegie and Greenaway Winners. CILIP. Retrieved 9 July 2012.
  10. ^ a b Carter, Betty (Fall 1994). “Best of the Best: Twenty-Five Years of Best Books for Young Adults”. The ALAN Review (The Assembly on Literature for Adolescents) 22 (1): 67. ISSN 1547-741X. http://scholar.lib.vt.edu/ejournals/ALAN/fall94/LibCONN.html 2012ねん1がつ21にち閲覧えつらん. 
  11. ^ a b "Guardian children's fiction prize relaunched: Entry details and list of past winners". guardian.co.uk 12 March 2001. Retrieved 5 August 2012.
  12. ^ a b c d "Carnegie Medal Award". 2007(?). Curriculum Lab. Elihu Burritt Library. Central Connecticut State University (CCSU). Retrieved 9 July 2012.
  13. ^ Best Fiction for Young Adults”. American Library Association. 2012ねん1がつ21にち閲覧えつらん
  14. ^ a b Winners and Honor Books 1967 to present”. Boston Globe–Horn Book Awards. The Horn Book, Inc.. 2012ねん1がつ21にち閲覧えつらん
  15. ^ The Children of the Night Award”. Dracula Society. 2008ねん12月23にち時点じてんオリジナルよりアーカイブ。2012ねん1がつ21にち閲覧えつらん
  16. ^ The Kingdom by the Sea”. Culture: Books. The Guardian. 2012ねん1がつ21にち閲覧えつらん
  17. ^ Previous Winners”. Sheffield City Council. 2012ねん1がつ21にち閲覧えつらん