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ローレンスたいテキサスしゅう事件じけん

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ローレンスたいテキサスしゅう事件じけん
2003ねん6がつ23にち
事件じけんめい: John Geddes Lawrence and Tyron Garner v. Texas
判例はんれいしゅう: 539 U.S. 558; 123 S. Ct. 2472; 156 L. Ed. 2d 508; 2003 U.S. LEXIS 5013; 71 U.S.L.W. 4574; 2003 Cal. Daily Op. Service 5559; 2003 Daily Journal DAR 7036; 16 Fla. L. Weekly Fed. S 427
裁判さいばん要旨ようし
同性愛どうせいあいしゃによる肛門こうもん性交せいこうきんじたテキサスしゅう刑法けいほうは、プライバシーけん成人せいじん自由じゆう侵害しんがいしているため、憲法けんぽう修正しゅうせいだい14じょうさだめる「デュープロセス条項じょうこう」にはんし、違憲いけん無効むこうである。
裁判官さいばんかん
首席しゅせき判事はんじ: ウィリアム・レンキスト
陪席ばいせき判事はんじ: ジョン・ポール・スティーブンスサンドラ・デイ・オコナーアントニン・スカリアアンソニー・ケネディーデイヴィッド・スータークラレンス・トーマスルース・ベーダー・ギンズバーグステファン・ブレイヤー
意見いけん
多数たすう意見いけん ケネディー
賛同さんどうしゃ:スティーブンス、スーター、ギンズバーグ、ブレイヤー
同意どうい意見いけん オコナー
少数しょうすう意見いけん スカリア
賛同さんどうしゃ:レンキスト、トーマス
異議いぎ意見いけん トーマス
参照さんしょう法条ほうじょう
アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく憲法けんぽう修正しゅうせいだい14じょう、Tex. Penal Code § 21.06(a) (2003)

ローレンスたいテキサスしゅう事件じけん(ローレンスたいテキサスしゅうじけん、Lawrence v. Texas、539 U.S. 558 (2003))は、同性愛どうせいあいしゃによる性行為せいこういおよびオーラルセックスきんじたテキサスしゅう刑法けいほう規定きてい違憲いけん無効むこうとした2003ねんアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく最高裁判所さいこうさいばんしょ判決はんけつである。

概要がいよう

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合衆国がっしゅうこく最高裁さいこうさい肛門こうもん性交せいこう禁止きんしについて、1986ねんバウアーズたいハードウィック事件じけん英語えいごばんですでに合憲ごうけん判断はんだんくだしていた。ローレンス判決はんけつは、バウアーズ判決はんけつを6たい3の評決ひょうけつ明示めいじてきくつがえし、私的してき同意どういにもとづく性行為せいこういアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく憲法けんぽう修正しゅうせいだい14じょう実質じっしつてきデュー・プロセスが保障ほしょうする自由じゆうひとつであるとのはじめての判断はんだんくだした。ローレンス判決はんけつにより、問題もんだいとなったテキサスしゅう刑法けいほう規定きていほか成人せいじんあいだ私的してき空間くうかんにおける同意どういにもとづく性行為せいこういばっするほか州法しゅうほうについても無効むこうとなった。

ローレンス事件じけんアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくないひろ注目ちゅうもくけた。同性愛どうせいあいしゃ尊厳そんげんたからかにうたげたほん判決はんけつは、同性愛どうせいあいしゃ権利けんり主張しゅちょうするグループからは画期的かっきてき判決はんけつであるとたか評価ひょうかされている一方いっぽう保守ほしゅからの批判ひはんけている。

ローレンス判決はんけつまでの判例はんれい

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アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくでは、性行為せいこうい自由じゆう結婚けっこん付随ふずいするものとかんがえられ、結婚けっこんがいでの性行為せいこうい伝統でんとうてき様々さまざま規制きせい対象たいしょうとなっていた。肛門こうもん性交せいこうオーラルセックスは、おおくのしゅう姦通かんつうつみ同様どうよう刑事けいじばつ対象たいしょうとされており、1962ねんまではすべてのしゅうにおいて、これら「通常つうじょうでない」性行為せいこういばっする、いわゆるソドミーほうもうけられていた。1960年代ねんだい以降いこう性的せいてき関係かんけい婚姻こんいんかんする社会しゃかい通念つうねん変化へんかし、女性じょせい地位ちい向上こうじょうするのにともない、婚前こんぜん交渉こうしょう一般いっぱんてきとなり、また結婚けっこんしないパートナー関係かんけいつカップルもえていった。こうした社会しゃかい規範きはん変化へんかなか同性愛どうせいあいたいする敵対てきたいてき見方みかたやわらぎ、同性愛どうせいあい関係かんけい公言こうげんするひとおおくなった。1962ねんイリノイしゅうはじめてソドミーほう廃止はいしされ、1970年代ねんだいには、おおくのしゅう同様どうようほう改正かいせいおこなった。

合衆国がっしゅうこく最高裁さいこうさい1965ねんグリスウォルドたいコネチカットしゅう事件じけん判決はんけつにおいて、せい解放かいほうながれにくみすることになった。グリスウォルド判決はんけつは、合衆国がっしゅうこく最高裁さいこうさいとしてははじめてプライバシーの権利けんりみとめ、婚姻こんいん関係かんけいにあるカップルが避妊ひにんもちいることを禁止きんししたコネチカットしゅうほう違憲いけん判断はんだんした。1972ねんアイゼンスタットたいベアード事件じけん判決はんけつでは、未婚みこんしゃへの避妊ひにん提供ていきょうきんじたマサチューセッツしゅうほう違憲いけんとされた。アイゼンスタット判決はんけつ多数たすう意見いけん執筆しっぴつしたブレナン判事はんじはたろん部分ぶぶんで、「もしプライバシーの権利けんりなんらかの意味いみつのであれば、それは子供こどもむかかにかんする個人こじん決定けってい影響えいきょうあたえる重大じゅうだい事柄ことがらたいする政府せいふ不当ふとう介入かいにゅうから自由じゆうである権利けんりであり、これは既婚きこん未婚みこんかかわらない個人こじん権利けんりである」とべた。この判決はんけつは、既婚きこんカップルのみならず、すべての出産しゅっさん関係かんけいする性行為せいこういたいして憲法けんぽうじょう保障ほしょうあたえたものとかんがえられ、実際じっさいにこの論旨ろんしは、妊娠にんしん中絶ちゅうぜつ権利けんりみとおおきな議論ぎろんこした1973ねんローたいウェイド事件じけん判決はんけつ引用いんようされている。

1986ねんのバウアーズたいハードウィック事件じけんは、いえなかオーラルセックスおこな逮捕たいほされたものの起訴きそ処分しょぶんとなった男性だんせい同性愛どうせいあいしゃが、同性どうせいあいだ異性いせいあいだわず肛門こうもん性交せいこうやオーラルセックスをきんじたジョージアしゅうほう違憲いけんであると主張しゅちょうしてジョージアしゅう司法しほう長官ちょうかんうったえた事案じあんである。合衆国がっしゅうこく最高裁さいこうさいは、5たい4で合憲ごうけんとの判決はんけつくだした。ホワイト判事はんじによる多数たすう意見いけんは、アイゼンスタット判決はんけつおよびロー判決はんけつ出産しゅっさん関連かんれんする性行為せいこうい自由じゆうみとめただけであると強調きょうちょうしたうえで、しゅう男性だんせい同性愛どうせいあいしゃによる性行為せいこういへの伝統でんとうてき倫理りんりじょう嫌悪けんおかん理由りゆう同性愛どうせいあい行為こうい禁止きんしすることができると判示はんじした。ホワイト判事はんじは、もし違憲いけん判断はんだんすれば、裁判所さいばんしょ立法府りっぽうふわってみずからの倫理りんりじょう判断はんだんおこなうことになってしまうと主張しゅちょうした。この判決はんけつには、エイズひろがりにたいする社会しゃかいてき懸念けねんひろがりやロー判決はんけつたいするつよ批判ひはんといった、時代じだいてき背景はいけい影響えいきょうしているとの指摘してきがなされている。ブラックマン判事はんじ反対はんたい意見いけんで、問題もんだい同性愛どうせいあいしゃ性行為せいこうい自由じゆうではなく、包括ほうかつてきな「そっとしておいてもらう権利けんり」であると主張しゅちょうした。おおくの法律ほうりつ学者がくしゃがこのブラックマン判事はんじ見解けんかい賛意さんい表明ひょうめいした。

そのケンタッキーしゅう最高さいこう裁判所さいばんしょ1992ねんケンタッキーしゅうたいワッソン事件じけんで、どうしゅう憲法けんぽう規定きてい根拠こんきょ同性どうせいあいだ性行為せいこうい禁止きんしするどうしゅう法律ほうりつ違憲いけんとした。合衆国がっしゅうこく最高裁さいこうさい1996ねんロマーたいエバンス事件じけんにおいて、性的せいてき指向しこうにもとづく差別さべつ禁止きんしする自治体じちたい条例じょうれい廃止はいししたコロラドしゅう憲法けんぽう規定きてい違憲いけんとした。エイズが下火したびとなり、ソドミーほうが14しゅうのぞ廃止はいしされるなか、バウアーズ判決はんけつがいまだに有効ゆうこう判例はんれいほうかどうかを疑問ぎもんする見解けんかいもあった。

ローレンスとガーナーの逮捕たいほ裁判さいばん経過けいか

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ジョン・ローレンス (John Geddes Lawrence) とタイロン・ガーナー (Tyron Garner) は1998ねん9月17にちテキサスしゅうヒューストン郊外こうがいのローレンスのアパートで同性どうせいあいだ性行為せいこういおこなっていたところ、じゅうってさわいでいるとの隣人りんじん虚偽きょぎ警察けいさつへの通報つうほうにもとづきローレンスのアパートを捜索そうさくした保安ほあんかん発見はっけんされ、現行げんこうはん逮捕たいほされた。ローレンスとガーナーはいちばん拘留こうりゅうされ、同性愛どうせいあい行為こうい禁止きんししたテキサス刑法けいほう違反いはんしたとして起訴きそされた。どうほうは、同性どうせいあいだでの性行為せいこういおよびオーラルセックスを禁止きんししていたが、異性いせいあいだでのそれらの行為こうい禁止きんししていなかった。二人ふたりは200ドルの保釈ほしゃくきん支払しはら釈放しゃくほうされた。

ローレンスとガーナーは事実じじつみとめ、治安ちあん判事はんじ有罪ゆうざい判決はんけつくだした。二人ふたりは、テキサス州法しゅうほう憲法けんぽうはんするとして、テキサスしゅう刑事けいじ裁判所さいばんしょでのさい審理しんり請求せいきゅうした。ローレンスらは、テキサス州法しゅうほう性行為せいこういについて同性どうせいあいだおこなわれる場合ばあいのみをばっしており、合衆国がっしゅうこく憲法けんぽう修正しゅうせいだい14じょう平等びょうどう条項じょうこうはんしており、また家庭かていないにおける同意どういにもとづく性行為せいこういばっすることはプライバシーの権利けんりたいする侵害しんがいであると主張しゅちょうした。刑事けいじ裁判所さいばんしょはこれらの主張しゅちょう退しりぞけ、それぞれにたいし125ドルの罰金ばっきんと141.25ドルの訴訟そしょう費用ひよう支払しはらいめいじた。

1999ねん11月4にち、テキサスしゅうだい14控訴こうそ裁判所さいばんしょの3にん裁判官さいばんかんによる合議ごうぎたいは、テキサス州法しゅうほうはテキサスしゅう憲法けんぽう平等びょうどうけん規定きていはんしているとして違憲いけん判決はんけつくだしたが、どう裁判所さいばんしょだい法廷ほうていどうほう合憲ごうけんとし、テキサスしゅう刑事けいじ事件じけん終審しゅうしん裁判所さいばんしょであるどうしゅう刑事けいじ控訴こうそ裁判所さいばんしょは、事件じけん上訴じょうそ請求せいきゅう却下きゃっかした。ローレンスらは合衆国がっしゅうこく最高裁さいこうさい裁量さいりょう上訴じょうそもとめ、2002ねん12月2にち合衆国がっしゅうこく最高裁さいこうさい上訴じょうそみとめた。合衆国がっしゅうこく最高裁さいこうさい2003ねん3月26にち口頭こうとう弁論べんろんおこない、男性だんせい同性愛どうせいあいしゃであることを公言こうげんしている弁護士べんごしポール・スミス (Paul M. Smith) がローレンスらを代理だいりして弁論べんろんおこなった。また、多数たすう団体だんたいがローレンスら、またはテキサスしゅう支持しじする意見いけんしょ提出ていしゅつした。

判決はんけつ

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多数たすう意見いけん

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合衆国がっしゅうこく最高裁さいこうさいは、6たい3で、テキサス州法しゅうほう違憲いけん判断はんだん無効むこうとした。多数たすう意見いけん構成こうせいした5にん裁判官さいばんかんは、どうほう合衆国がっしゅうこく憲法けんぽう修正しゅうせいだい14じょうのデュー・プロセス条項じょうこう違反いはんしているとべ、バウアーズ判決はんけつ判例はんれい変更へんこうし、テキサス州法しゅうほうのみならずほかの12しゅうのソドミーほう無効むこうにした。多数たすう意見いけんはケネディ判事はんじ執筆しっぴつし、スティーブンス、スーター、ギンズバーグおよびブレイヤーかく判事はんじ同調どうちょうした。多数たすう意見いけんは、欧州おうしゅう人権じんけん裁判所さいばんしょ判例はんれいなどを引用いんようし、同性愛どうせいあいしゃによる同性どうせいあいだ性行為せいこうい歴史れきしてきひろ西欧せいおう社会しゃかいにおいて非難ひなんされてきた行為こういであるというバウアーズ判決はんけつ認識にんしき批判ひはんした。判決はんけつつぎのように結論けつろんべた。

「バウアーズ判決はんけつは、決定けっていされた時点じてんあやまっており、今日きょうあやまっている。どう判決はんけつ拘束こうそくりょくのある判例はんれいとして存続そんぞくするべきではない。バウアーズたいハードウィック事件じけん判決はんけつ判例はんれい変更へんこうされるべきであり、ほん判決はんけつによってくつがえされる。」

多数たすう意見いけんは、「ほん事件じけん問題もんだいとなっている成人せいじんによる合意ごういにもとづく性的せいてき行為こういは、修正しゅうせいだい14じょうによるデュー・プロセス条項じょうこうのうち実質じっしつてき権利けんりとして保護ほごされる自由じゆうひとつである」との判断はんだんくだした。判決はんけつは「テキサス州法しゅうほうは、個人こじん私的してき生活せいかつへの介入かいにゅう正当せいとうするような正当せいとうしゅう利益りえきなん促進そくしんしない」とべ、テキサスしゅうのソドミーほう違憲いけんとした。ケネディ判事はんじ意見いけんは、成人せいじん同意どういにもとづく性行為せいこうい権利けんりを、社会しゃかいによる伝統でんとうてき保護ほご(バウアーズ判決はんけつ)、出産しゅっさんとの関係かんけい(アイゼンスタット判決はんけつ、ロー判決はんけつ)や婚姻こんいん関係かんけい(グリズウォルド判決はんけつ)ではなく、行為こうい私的してき性質せいしつによって基礎きそづけたことが重要じゅうようである。この判決はんけつにより、理論りろんじょう、これまで判例はんれいによって保護ほごされていなかった成人せいじんによる同意どういにもとづく性行為せいこうい保護ほごされることになった。

同意どうい意見いけん

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オコナー判事はんじ同意どうい意見いけんなかで、同性愛どうせいあい行為こうい禁止きんしするテキサス州法しゅうほう違憲いけんであるとの多数たすう意見いけん結論けつろん同意どういしたが、デュー・プロセス条項じょうこうによる性的せいてき行為こうい自由じゆう保護ほごという理由りゆうけおよびバウアーズ判決はんけつ判例はんれい変更へんこうには賛成さんせいしなかった。わりに、どうほう肛門こうもん性交せいこうという行為こういではなく、同性愛どうせいあいしゃというグループを対象たいしょうとしていることを理由りゆうに、修正しゅうせいだい14じょう平等びょうどう条項じょうこう違反いはんしているとべ、異性いせいあいだにも適用てきようされるソドミーほう合憲ごうけんせいについては判断はんだん回避かいひした。

またオコナー判事はんじ意見いけんなかで、法律ほうりつこん性愛せいあいカップルに限定げんていする法律ほうりつ合憲ごうけんせいについてれ、このような制限せいげんは、伝統でんとうてき婚姻こんいん関係かんけい保護ほごするためにさだめられており、たん同性愛どうせいあいしゃたいする嫌悪けんおかんにもとづくものでないかぎり、合理ごうりせい基準きじゅんたすものであるとべている。

反対はんたい意見いけん

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スカリア判事はんじ反対はんたい意見いけん執筆しっぴつし、レンキスト長官ちょうかんとトーマス判事はんじ同調どうちょうした。スカリア判事はんじは、せい販売はんばい禁止きんししたアラバマ州法しゅうほう同性愛どうせいあい行為こういおこなった個人こじん軍務ぐんむくことをきんじた合衆国がっしゅうこく法令ほうれいなどを合憲ごうけんとした、バウアーズ判決はんけつにもとづいてくだされたおおくの下級かきゅうしん判例はんれい存在そんざいすることを指摘してきし、判例はんれい変更へんこう影響えいきょう指摘してきした。

スカリア判事はんじは、さらにつぎのようにだんじた。

一夫多妻いっぷたさい同性どうせいこん成人せいじん近親きんしんかん売春ばいしゅんマスターベーション姦通かんつう密通みっつうししかんわいせつもの等々とうとう禁止きんしする州法しゅうほうは、道徳どうとくじょう判断はんだんにもとづく法律ほうりつ有効ゆうこうとしたバウアーズ判決はんけつによってのみ存続そんぞく可能かのうである。」

さらにスカリア判事はんじは、ほん判決はんけつによって最高裁さいこうさいが「いわゆる同性愛どうせいあいしゃ主張しゅちょうする政策せいさく署名しょめいした」と批判ひはんした。自身じしんは「通常つうじょう民主みんしゅてき手段しゅだんもちいて同性愛どうせいあいしゃのグループがみずからの政策せいさく推進すいしんすることに反対はんたいするものではない」が、裁判所さいばんしょには事件じけん中立ちゅうりつてき解決かいけつする義務ぎむがあり、倫理りんりてき判断はんだんにもとづく法律ほうりつ是非ぜひ立法府りっぽうふ議論ぎろんされるべきであって、裁判所さいばんしょ介入かいにゅうするべきでないと主張しゅちょうした。

マサチューセッツしゅう憲法けんぽう同性どうせいによる婚姻こんいん関係かんけい権利けんりとしてみとめている」とするマサチューセッツ最高さいこう裁判所さいばんしょ判決はんけつ予期よきしたものであるとして、この反対はんたい意見いけん評価ひょうかするこえもある(ただし、しゅう最高さいこう裁判所さいばんしょは、しゅう憲法けんぽう合衆国がっしゅうこく憲法けんぽう判例はんれい拘束こうそくされることなく解釈かいしゃくする権限けんげんゆうしており、スカリア判事はんじ反対はんたい意見いけんも、しゅう裁判所さいばんしょレベルでの判例はんれい形成けいせい可能かのうせいについてはれていない)。

トーマス判事はんじ簡潔かんけつ反対はんたい意見いけん執筆しっぴつし、同性愛どうせいあい行為こういきんじるテキサス州法しゅうほうは「きわめて馬鹿ばかげている」が、憲法けんぽう一般いっぱんてきなプライバシーの権利けんり保護ほごしておらず、テキサス州法しゅうほう合憲ごうけんであるとべた。さらに、もし自分じぶんがテキサスしゅう議会ぎかい議員ぎいんであれば、ほん法律ほうりつ廃止はいし賛成さんせいするだろうとくわえた。

判決はんけつ影響えいきょう

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同性愛どうせいあいしゃ団体だんたい市民しみんけん支持しじする団体だんたいは、ローレンス判決はんけつおおきな勝利しょうりであると位置いちづけている。[1] [2]

ほん判決はんけつ影響えいきょうとして下記かきてん指摘してきされている。

  • 同性愛どうせいあいしゃ権利けんり主張しゅちょうするグループは、ローレンス判決はんけつが、同性愛どうせいあいしゃたいする権利けんり制限せいげんたいする疑問ぎもんげかけることをのぞんでいる。とくに、同性どうせいこんおよび同性愛どうせいあいしゃによる軍務ぐんむ禁止きんしたいする影響えいきょう期待きたいされている。しかしながら、ローレンス判決はんけつ多数たすう意見いけんは「(ほん判決はんけつは)同性愛どうせいあいしゃあいだ関係かんけいについて政府せいふ公式こうしき承認しょうにんしなければならないかという問題もんだいとは無関係むかんけいである」とべており、またオコナー判事はんじ同意どうい意見いけんは、伝統でんとうてき婚姻こんいん関係かんけい保護ほご正当せいとうしゅう利益りえきであり、この利益りえきはただたん特定とくてい排斥はいせきされたグループにたいする道徳どうとくじょう非難ひなん以上いじょうのものがふくまれると指摘してきしている。マサチューセッツしゅう憲法けんぽう同性どうせいこん保護ほごしているとしたどうしゅう最高さいこう裁判所さいばんしょ決定けっていはローレンス判決はんけつ引用いんようしているが、直接ちょくせつローレンス判決はんけつ依拠いきょして判断はんだんくだしたわけではない。これまでローレンス判決はんけつ検討けんとうした連邦れんぽう下級かきゅう裁判所さいばんしょ判例はんれいは、ローレンス判決はんけつきわめてせま解釈かいしゃくしており、ローレンス判決はんけつ婚姻こんいん分野ぶんやでの同性愛どうせいあいしゃたいする制限せいげん違憲いけんとするものではないと判示はんじしている。
  • ローレンス事件じけん中心ちゅうしんとなった問題もんだいは、しゅう具体ぐたいてき被害ひがいがない場合ばあい倫理りんりじょう懸念けねんだけを理由りゆうとして行為こういばっすることができるかどうかであった。変質へんしつてき性行為せいこういやわいせつぶつなどをばっする法律ほうりつは、道徳どうとく以外いがい具体ぐたいてき立法りっぽう理由りゆうがないかぎり、ローレンス判決はんけつにもとづき違憲いけんとされる可能かのうせいたかい。
  • 合衆国がっしゅうこく最高裁さいこうさいは、近親きんしん相姦そうかん一夫多妻いっぷたさい姦通かんつう売春ばいしゅんなどの同意どういにもとづく性的せいてき関係かんけい禁止きんしする法律ほうりつ合憲ごうけんせいについてまだ判断はんだんしていない。ローレンス判決はんけつによれば、これらの法律ほうりつ違憲いけんとされる可能かのうせいがある。保守ほしゅは、これらの問題もんだい解決かいけつされるまでは、性的せいてき関係かんけいかんする合衆国がっしゅうこく最高裁さいこうさい理論りろん一貫いっかんせいいていると主張しゅちょうしている。いもうと子供こどもを4にんつくったあにこした訴訟そしょうにおいて、連邦れんぽうだい7巡回じゅんかい控訴こうそ裁判所さいばんしょは2005ねんに、ローレンス判決はんけつはんむねは、同意どういにもとづく成人せいじん近親きんしん相姦そうかん禁止きんしにはおよばないとした[1]
  • ローレンス判決はんけつは、性行為せいこうい同意どうい年齢ねんれいについて性的せいてき指向しこうもとづきことなるあつかいをしている法律ほうりつたいしても影響えいきょうあたえている。13さい以上いじょう18さい未満みまん子供こどもによる同意どういにもとづく性行為せいこういについて、相手あいてとの年齢ねんれいが4さい以内いないであればばっしないとするカンザスしゅうの「ロミオとジュリエットほう」が同性愛どうせいあいしゃ例外れいがいとしていたため、合衆国がっしゅうこく最高裁さいこうさいはローレンス判決はんけつ理由りゆう審理しんりをやりなおすようカンザスしゅう最高さいこう裁判所さいばんしょもとめた。

出典しゅってん

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  1. ^ Jacoby, Jeff (2005ねん8がつ28にち). “Hypocrisy on adult consent” (英語えいご). ボストン・グローブ. 2011ねん8がつ22にち閲覧えつらん

参考さんこう文献ぶんけん

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関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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