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ワヌニ鉱山こうざん

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ワヌニ鉱山こうざん(ワヌニこうざん、Huanuni mine)は、ボリビアスズ鉱山こうざんオルロから南東なんとうやく50km標高ひょうこう4,000mほどのアルティプラーノなか位置いちし、坑内こうないスズ鉱山こうざんとしては現在げんざい世界せかい最良さいりょうといわれている[1]

歴史れきし

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ワヌニ鉱山こうざんでは1880ねんチリ資本しほんによってぎん採掘さいくつはじまった。そのシモン・パティーニョ設立せつりつした会社かいしゃスズタングステン採掘さいくつおこなったが、民族みんぞく革命かくめい運動うんどうとうにより国内こくないほか鉱山こうざんとともに1952ねん10月31にち国有こくゆうされ、ボリビア鉱山こうざん公社こうしゃ管理かんりはいった。1985ねんには国際こくさい市場いちばでスズがだい暴落ぼうらくした影響えいきょういち休山やすみやましたが、その連続れんぞくして採掘さいくつおこなっている[2]

1999ねんには鉱山こうざんふたた民営みんえいされることまり、入札にゅうさつにより2000ねん3がつイギリス企業きぎょう・RGBリソースが1,600まんドルで50%の権益けんえき取得しゅとくし、ボリビア鉱山こうざん公社こうしゃと30年間ねんかんJV契約けいやくわした。このさいボリビア政府せいふ既知きち鉱床こうしょううえ半分はんぶん採掘さいくつけん鉱業こうぎょう協同きょうどう組合くみあいあたえ、鉱山こうざんないでJVと組合くみあいそれぞれが採掘さいくつおこなうことになった。

2006ねん10月5にちには、ボリビア鉱山こうざん公社こうしゃ鉱山こうざん労働ろうどうしゃ鉱業こうぎょう協同きょうどう組合くみあい労働ろうどうしゃ衝突しょうとつして、16めい以上いじょう死者ししゃと80めい以上いじょう負傷ふしょうしゃ発生はっせいした。よく10月5にちには両者りょうしゃあいだ休戦きゅうせん協定きょうていむすばれたが、事件じけんけて10月6にちエボ・モラレス大統領だいとうりょう鉱山こうざん冶金やきん大臣だいじん鉱山こうざん公社こうしゃ総裁そうさい更迭こうてつしている。この事件じけん操業そうぎょう鉱山こうざん公社こうしゃ一本いっぽんされた。これにともなって公社こうしゃ組合くみあいけい労働ろうどうしゃ4せんにんれたが生産せいさんりょくがらず、鉱山こうざん操業そうぎょう必要ひつよう人員じんいん2,000にんたいして2009ねん時点じてんで4,500にんもの労働ろうどうしゃはたらいており、労働ろうどうりょく過剰かじょうとなっている[3]

生産せいさん活動かつどう

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スズの生産せいさんりょう1880ねんから1951ねんの71年間ねんかんやく100kt1952ねんから1991ねんの40年間ねんかんでは119ktだった。1991ねんこう処理しょりりょうは1,000t/にちこう品位ひんいはスズ2.45%[2]たかく、2008ねんせいこうりょうは7.8kt/とし(スズ44%)[3]となっており、ボリビア鉱山こうざん公社こうしゃ所有しょゆうのスズ鉱山こうざんとしては最大さいだい規模きぼかつコストパフォーマンスにもすぐれている。

なお採掘さいくつシュリンケージ採掘さいくつほうによっておこなわれ、選鉱せんこう方法ほうほう重力じゅうりょく選鉱せんこうおよび浮遊ふゆう選鉱せんこうである。られたせいこうオルロ近郊きんこうビントせいところおくられている。

地質ちしつ

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鉱山こうざん付近ふきん地層ちそうは、さい下部かぶ位置いちする古生代こせいだいシルルおさむホルンフェルスした珪岩砂岩さがんそう粘板岩ねんばんがんそう褶曲しゅうきょくはす構造こうぞうしめし、非対称ひたいしょう褶曲しゅうきょくとなっている。また、その東側ひがしがわには褶曲しゅうきょくじく平行へいこう方向ほうこう石英せきえいむらがん貫入かんにゅうがんからだ分布ぶんぷしている。また、これらのそう新生代しんせいだいだい三紀みき)の地層ちそう整合せいごう上部じょうぶおおっている[4]

この褶曲しゅうきょくじく付近ふきん胚胎はいたいするすずせき-石英せきえいみゃく鉱床こうしょうとなっており、鉱脈こうみゃくぐん褶曲しゅうきょく構造こうぞうじくおよび東部とうぶ集中しゅうちゅうして55られている。鉱脈こうみゃくじく方向ほうこうに1,200m、はば1,000mの範囲はんいひろがり、さい上部じょうぶ地表ちひょう標高ひょうこう4,543m地点ちてんにあり、さい下部かぶ標高ひょうこう3,706mよりふかこと判明はんめいしている。そのだい部分ぶぶんみゃくじょう構造こうぞうだが一部いちぶ網状もうじょうすみつぶてこうとうじょうしめし、ははがんは珪岩・砂岩さがんそうのみである[4]網状もうじょうつつじょう鉱床こうしょうみゃくせきははがんおおふくむので品位ひんいひくいが、塊状かいじょうていすることがあるためにすくない探鉱たんこうりょう容易よういこうりょう獲得かくとくでき、採鉱さいこう効率こうりつい。なお、鉱脈こうみゃくはしこう延長えんちょうおおむね100-300mで、最長さいちょうでは1,000mにたっする。

鉱石こうせきすずせきあらつぶのものがおおく、磁硫鉄鉱てっこう黄鉄鉱おうてっこう併存へいそんする。みゃくせき石英せきえいトルマリンで、まれにぼたるせきられる。みゃくはばは3cm-2m、品位ひんいスズ1-10すう%と、それぞれかなり均一きんいつだが、連続れんぞくせい品位ひんいとも良好りょうこうである。硫黄いおうヒ素ひそアンチモンなどの不純物ふじゅんぶつ混入こんにゅうするとスズの価格かかく低下ていかするが、ワヌニ鉱山こうざんでは地表ちひょうからふかさ400m程度ていど範囲はんい酸化さんか溶脱機構きこうはたらいて硫化りゅうかぶつ酸化さんかてつになっているため、こう品質ひんしつ鉱石こうせきられる[5]

脚注きゃくちゅう

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  1. ^ Roskill Infonnation, "The Economics of Tin (6th Edition)" 1990、 P.4-61
  2. ^ a b 小原おはら、P.144
  3. ^ a b JOGMECニュース No.9-34
  4. ^ a b 小原おはら、P.146
  5. ^ 小原おはら、P.147

参考さんこう文献ぶんけん

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  • 小原おはらみのる世界せかいさい優良ゆうりょうのスズ鉱山こうざん Huanuni』「資源しげん地質ちしつ」、資源しげん地質ちしつ学会がっかい、43かん238ごう1993ねん、P.144-148