三枝さえぐさ蓊

三枝さえぐさ 蓊（さえぐさ しげる、天保てんぽう11年ねん（1840年ねん） - 慶応けいおう4年ねん3月4日にち（1868年ねん3月27日にち））は、幕末ばくまつ日本にっぽんの僧侶そうりょ、勤王きんのう活動かつどう家か。天誅てんちゅう組ぐみの挙兵きょへいに参加さんか後ご、慶応けいおう4年ねん（1868年ねん）にイギリス公使こうしハリー・パークス一いち行ぎょうを襲撃しゅうげきした。別名べつめい：諱いみなは真ま洞ほら、僧そう名めい・浄きよし尚なお、雅号がごう・骨堂こつどう 、変名へんめいは青木あおき・市川いちかわ精一郎せいいちろう。

生涯しょうがい

天保てんぽう11年ねん（1840年ねん）、大和やまと国こく椎木しいのき村むら（現在げんざいの奈良なら県けん大和郡山やまとこおりやま市し椎木しいのき町まち）浄蓮寺じょうれんじに生うまれる。藤本ふじもと鉄石てっせきに絵画かいがを、伴ばん林はやし光ひかり平たいらに国学こくがく・和歌わかを学まなびつつ尊王そんのう攘夷じょういを志こころざす。

文久ぶんきゅう3年ねん（1863年ねん）8月がつ、藤本ふじもと・伴ばん林りんに従したがい、市川いちかわ精一郎せいいちろうの名なで天誅てんちゅう組ぐみの変へんに参加さんか。高取たかとり城しろ攻略こうりゃくに失敗しっぱいすると天誅てんちゅう組ぐみを離はなれて逃亡とうぼうし、因幡いなば・伯耆ほうき・但馬たじまを転々てんてんとし、鳥取とっとり藩はん国学こくがく方かた飯田いいだ年平としひらの元もとで潜伏せんぷくしたりする間あいだに詩し・書画しょがを残のこす。

慶応けいおう3年ねん（1867年ねん）12月、鷲尾わしお隆たかし聚、田中たなか顕あらわ助すけらの高野山こうのやま挙兵きょへいに参加さんかした。その後ご、義軍ぎぐんは京都きょうとに入はいり解散かいさんし、朝廷ちょうてい御ご親おや兵へいとなる。

大政奉還たいせいほうかん後ご、新しん政府せいふが攘夷じょういを捨すて外国がいこくとの交際こうさいを行おこなう事ことが明あきらかになると、三枝さえぐさら攘夷じょうい志士ししは朝廷ちょうていに失望しつぼうする。更さらに慶応けいおう4年ねん（1868年ねん）2月がつ15日にち、堺さかいで乱暴らんぼうを働はたらいたフランス水兵すいへいと警備けいびの土佐とさ藩はん兵へいの衝突しょうとつ事件じけん（堺さかい事件じけん）が発生はっせいし、新しん政府せいふがフランス公使こうしの抗議こうぎを受うけ、土佐とさ藩士はんしを切腹せっぷくさせた事ことを知しると、三枝さえぐさは憤激ふんげきし独自どくじに攘夷じょういの断行だんこうを決意けついする。

パークス襲撃しゅうげき

パークスを襲撃しゅうげきする三枝さえぐさと朱雀すざく。フランスの絵入えいり新聞しんぶん"ル・モンド・イリュストレ"より

慶応けいおう4年ねん（1868年ねん）2月がつ30日にち、イギリス公使こうしハリー・パークスが明治天皇めいじてんのうに謁見えっけんするため宿所しゅくしょの知ち恩おん院いんから御所ごしょに向むかう途上とじょう、三枝さえぐさは同志どうし朱雀すざく操みさおと2人ふたりでパークス一いち行ぎょうに斬きり込こんだ。三枝さえぐさらはイギリス兵へい9人にんに負傷ふしょうを負おわせるが、一いち行ぎょうの警備けいびは厳重げんじゅうであり、朱雀すじゃくはパークスに同行どうこうしていた護衛ごえいの薩摩さつま藩士はんし中井なかい弘ひろしとの斬ぎり合あいで胸部きょうぶを刺さされ、後ごから駆かけつけた土佐とさ藩はん参政さんせい後藤ごとう象二しょうじ郎ろうに斬きられて倒たおれたところを中井なかいに首くびを刎ねられ、三枝さえぐさも重傷じゅうしょうを負おったところを警備けいび兵へいに捕縛ほばくされ襲撃しゅうげきは失敗しっぱいに終おわる。3月4日にち、三枝さえぐさは粟田口あわだぐち刑場けいじょうで斬首ざんしゅされ、朱雀すざくの首くびと共ともに3日間にちかん晒さらされた。享年きょうねん29。襲撃しゅうげきを共謀きょうぼうした川上かわかみ邦之助くにのすけ、松林まつばやし織お之これ助すけ、大村おおむら貞助さだすけらは密ひそかに隠岐島おきのしま送おくりとされた。

処刑しょけい2時じ間あいだ前まえの三枝さえぐさと中井なかい弘ひろしにより首くびを打うたれた朱雀すじゃくの写真しゃしんが今いまに残のこされている。また、襲撃しゅうげきの時ときに使つかった刀かたなは長ながらく遺族いぞくが保管ほかんしていたが、三枝さえぐさの刀かたなは平成へいせい7年ねん（1995年ねん）に発生はっせいした阪神はんしん・淡路あわじ大震災だいしんさいで失うしなわれた。朱雀すざくが襲撃しゅうげきの際さいに用もちいた刀かたなは、京都きょうと市し東山ひがしやま区くの霊れい明神みょうじん社しゃに伝つたわっていることが平成へいせい28年ねん（2016年ねん）7月がつに判明はんめいした。

新しん政府せいふでは三枝さえぐさらの身分みぶんを武士ぶしから平民へいみんに落おとし罪人ざいにんとして処刑しょけい、尊王そんのう攘夷じょういの志士ししとしての経歴けいれきを持もちながら、殉国じゅんこくの志士ししを記しるした殉難じゅんなん録ろく稿こうには掲載けいさいされず、靖国神社やすくにじんじゃにも祀まつられていない。墓所はかしょは京都きょうと市し東山ひがしやま区く・霊山りょうぜん墓地ぼち。

霊山りょうぜん墓地ぼち内ないの三枝さえぐさの墓はか（右みぎは朱雀すざく操みさおの墓はか）

関連かんれん作品さくひん

• 司馬しば遼りょう太郎たろう『最後さいごの攘夷じょうい志士しし』（短たん編集へんしゅう「幕末ばくまつ」収録しゅうろく）
• 後藤ごとう和雄かずお『甦よみがえる幕末ばくまつ』

関連かんれん項目こうもく

• 天誅てんちゅう組ぐみの変へん
• 幕末ばくまつの外国がいこく人じん襲撃しゅうげき・殺害さつがい事件じけん

外部がいぶリンク

• 処刑しょけい直前ちょくぜんの三枝さえぐさの写真しゃしん