仏国寺ぶっこくでら

仏国寺ぶっこくでら
所在地しょざいち	慶尚北道けいしょうほくどう慶州けいしゅう市し進すすむ峴洞15
宗派しゅうは	曹渓宗むね（華厳宗けごんしゅう⇒曹渓宗むね）
寺格じかく	曹渓宗むね 第だい11教区きょうく本寺ほんじ
本尊ほんぞん	釈迦三尊しゃかさんぞん仏ぼとけ（毘盧遮那仏びるしゃなぶつ⇒釈迦三尊しゃかさんぞん仏ほとけ）
創建そうけん年ねん	774年ねん 新しん羅ら（恵めぐみ恭きょう王おう10年ねん）
開基かいき	金きむ大城おおしろ
正式せいしき名めい	佛國寺ぶっこくでら
別称べっしょう	華厳けごん仏国寺ぶっこくでら 法ほう流りゅう寺てら
文化財ぶんかざい	多宝塔たほうとう（国宝こくほう第だい20号ごう） 釈迦しゃか塔とう（国宝こくほう第だい21号ごう） 蓮華れんげ橋きょう・七宝しっぽう橋きょう（国宝こくほう第だい22号ごう） 青雲せいうん橋きょう・白雲しらくも橋きょう（国宝こくほう第だい23号ごう） 金銅かなどう毘盧遮那仏びるしゃなぶつ坐像ざぞう（国宝こくほう第だい26号ごう） 金銅かなどう阿弥陀如来あみだにょらい坐像ざぞう（国宝こくほう第だい27号ごう） 舎利しゃり塔とう（宝物ほうもつ第だい61号ごう） 大雄たいゆう殿どの（宝物ほうもつ第だい1744号ごう） 架か構式石せき築きずけ（宝物ほうもつ第だい1745号ごう） 石いし槽そう（宝物ほうもつ第だい1523号ごう） 霊山れいざん会かい上じょう図ずと四天王してんのう壁画へきが（宝物ほうもつ第だい1797号ごう） 三蔵さんぞう菩薩ぼさつ図ず（宝物ほうもつ第だい1933号ごう） 石窟せっくつ庵あんと仏国寺ぶっこくでら（世界せかい遺産いさん）
公式こうしきサイト	http://www.bulguksa.or.kr

仏国寺ぶっこくでら
各種かくしゅ表記ひょうき
ハングル：	불국사
漢字かんじ：	佛國寺ぶっこくでら
発音はつおん：	プルグクサ
ロろーマ字まじ：	Bulguksa

仏国寺ぶっこくでら（ぶっこくじ、プルグクサ、朝あさ: 불국사）は、大韓民国だいかんみんこく慶尚北道けいしょうほくどう慶州けいしゅう市しにある仏教ぶっきょう寺院じいん。韓国かんこく仏教ぶっきょう界かいの最大さいだい勢力せいりょくである曹渓宗むね（大韓たいかん仏教ぶっきょう曹渓宗むね）の寺院じいんで第だい11教区きょうく本寺ほんじ。吐含山やまのふもとにある。

1995年ねん、石窟せっくつ庵あんとともに「石窟せっくつ庵あんと仏国寺ぶっこくでら」としてユネスコの世界せかい遺産いさん（文化ぶんか遺産いさん）に登録とうろくされた。また釈迦しゃか塔とうなどが韓国かんこくの国宝こくほうに指定していされている。

歴史れきし

1914年ねんの仏国寺ぶっこくでら（澤さわ俊一しゅんいち撮影さつえい）。仏国寺ぶっこくでらの現況げんきょうは、1970年代ねんだいの大だい規模きぼ修復しゅうふくを経へたもの

仏国寺ぶっこくでら多宝塔たほうとう。1920年ねん頃ごろ

新しん羅ら景けい徳王とくおうの時代じだいの751年ねん（景けい徳王とくおう10年ねん）、宰相さいしょうだった金きむ大城おおしろにより建立こんりゅうがはじまる。『三さん国こく遺のこ事こと』には、金きむ大城おおしろが現世げんせいでの父母ちちははのために建立こんりゅうしたと記述きじゅつされている（『三さん国こく遺のこ事こと』巻まき5・孝善たかよし・大城おおしろ孝たかし二に世せい父母ちちはは 神文しんもん代だい）。774年ねん 新しん羅ら（恵めぐみ恭きょう王おう10年ねん）に完成かんせいした。 最盛さいせい期きの8世紀せいきは、約やく60棟むねの木造もくぞう建築けんちくで寺院じいんは構成こうせいされた。

李り氏し朝鮮ちょうせんの太ふとし宗むねが1407年ねん（太ふとし宗むね7年ねん）の仏教ぶっきょう弾圧だんあつの際さいに存続そんぞくが許ゆるされた88の寺院じいんのうち、名前なまえのない寺院じいんはすでに荒廃こうはいして廃寺はいじになったと思おもわれる。しかし、それとは別べつに仏国寺ぶっこくでらは引ひき続つづき維持いじされていたようで、朝鮮ちょうせんの学者がくしゃ李り徳弘のりひろ（1541年ねん - 1596年ねん）が慶州けいしゅうを旅行りょこうしながら作成さくせいした東京とうきょう遊ゆう錄ろくによると、16世紀せいきにもまだ巨大きょだいな規模きぼを維持いじしていたという。

しかし1593年ねん5月がつ、仏国寺ぶっこくでらは文禄・慶長ぶんろくけいちょうの役えき（壬みずのえ辰たつ・丁ちょう酉とり倭やまと乱らん）の途中とちゅう、すべての木造もくぞう建物たてものが焼失しょうしつすることになるが、仏国寺ぶっこくでらの歴史れきしを記録きろくした『仏国寺ぶっこくでら古今ここん創そう記き』によると、仏国寺ぶっこくでらを見物けんぶつしに来きた加藤かとう清正きよまさの兵士へいしたちが隠かくされた武器ぶきを見みて興奮こうふんしながら火ひをつけたと記録きろくされている。

その後ご、17世紀せいき初はじめから何なん度ども再建さいけん工事こうじを始はじめ、1765年ねんには仏国寺ぶっこくでら大雄たいゆう殿どのを再建さいけんする。しかし、結局けっきょく没落ぼつらくして廃寺はいじとなり、石窟せっくつ庵あんとともにそのまま放置ほうちされた。

1904年ねんから1905年ねんにかけて紫むらさき霞かすみ門もん左右さゆうの行くだり廊ろうも倒壊とうかい、石いし壇だんも埋うずもれた状態じょうたいとなったが、日本にっぽん統治とうち時代じだいの1924年ねん4月がつから1925年ねん8月がつまでの朝鮮ちょうせん総督そうとく府ふによる再建さいけん工事こうじによって石いし壇だん・石いし廊ろうを含ふくむ主要しゅよう構造こうぞうが修復しゅうふくされた。戦後せんごの1973年ねんに発掘はっくつ調査ちょうさ後ご、改修かいしゅう工事こうじで無む説せつ殿どの、観音かんのん殿どのなどが再建さいけんされた。

2010年ねんに日本にっぽんの仏師ぶっしの福井ふくい照明しょうめいが製作せいさくした四天王してんのう像ぞうなど12体たいの仏像ぶつぞうが寄贈きぞうされ、仏国寺ぶっこくでら・聖せい宝たから博物館はくぶつかんに常設じょうせつ展示てんじされた。

宗派しゅうはと本尊ほんぞん

高こう麗うらら時代じだいに書かかれた『新しん羅ら国東くにさき吐含山やま華厳宗けごんしゅう仏国寺ぶっこくでら事蹟じせき』や仏国寺ぶっこくでらの寺てら誌し『慶けい尚なお道江みちえ左ひだり大だい都みやこ護まもる府ふ慶州けいしゅう東嶺ひがしみね吐含山大やまだい華厳宗けごんしゅう仏国寺ぶっこくでら古今ここん歴代れきだい諸賢しょけん継ままし創そう記き』が示しめすとおり、もとは毘盧遮那仏びるしゃなぶつを本尊ほんぞんとする華厳宗けごんしゅうの寺院じいんだった。しかし1970年代ねんだいに再建さいけんされた現在げんざいの仏国寺ぶっこくでらは、禅宗ぜんしゅう系けいの曹渓宗むね（大韓たいかん仏教ぶっきょう曹渓宗むね）の寺院じいんである。創建そうけん時じに本尊ほんぞんだった毘盧遮那仏びるしゃなぶつは、現在げんざい寺院じいん奥手おくての毘盧殿どのに安置あんちされ、本殿ほんでんである大雄たいゆう殿どのには釈迦三尊しゃかさんぞん仏ぼとけ（釈迦牟尼しゃかむに、文殊もんじゅ菩薩ぼさつ像ぞう、普賢菩薩ふげんぼさつ）が安置あんちされている。

構造こうぞう

仏国寺ぶっこくでらの境内けいだい図ず

石垣いしがきで固かためた盛土もりつちの上うえに伽藍がらんが配置はいちされている。伽藍がらんは大おおきく3つの区域くいきに分わかれ、回廊かいろうで区切くぎられている。参道さんどう正面しょうめんから2つの区域くいきがあり、各かく区域くいきがそれぞれ蓮華れんげ橋きょう・七宝しっぽう橋きょうと青雲せいうん橋きょう・白雲しらくも橋きょうとで外そと域いきと結むすばれている。

朝鮮ちょうせん第だい4代だい王おう世よ宗むねによって破棄はき・破壊はかいされるまでは、それぞれの橋はしの元もとに九きゅう品ひん蓮池はすいけが広ひろがっていたといわれている。

阿おもね斯達と阿おもね斯女

仏国寺ぶっこくでらには多宝塔たほうとうと釈迦しゃか塔とうと呼よばれる2つの石塔せきとうがあるが、これらに関かんする次つぎのような伝説でんせつが存在そんざいする。

百済くだらに阿おもね斯達(アサダル)という石工せっこうがいた。彼かれは仏国寺ぶっこくでらの石塔せきとうを造つくるため、妻つまの阿おもね斯女(アサニョ)を国くにに残のこして新しん羅らに向むかった。

3年ねん後ご、夫おっとを待まちきれなくなった阿おもね斯女が仏国寺ぶっこくでらを訪おとずれ、夫おっとに逢あわせてくれるよう僧侶そうりょにお願ねがいした。しかし僧侶そうりょは2人ふたりが逢あうことを許ゆるさず、代かわりに「石塔せきとうが完成かんせいすれば影かげ池ちに石塔せきとうの影かげが映うつるので、それまで待まつように」と阿おもね斯女に教おしえた。そこで阿おもね斯女は毎日まいにち影かげ池ちを眺ながめながら夫おっとを待まち続つづけた。

ある月夜つきよ、影かげ池ちに石塔せきとうの影かげが映うつった。阿おもね斯女は喜よろこび、石塔せきとうの影かげに抱だきつこうとして影かげ池ちに飛とび込こんでしまった。

翌朝よくあさ、石塔せきとうを完成かんせいさせた阿おもね斯達が妻つまの待まつ影かげ池ちに向むかうと、そこには冷つめたくなった阿おもね斯女の亡骸なきがらがあった。阿おもね斯達は慟哭どうこくし、自みずからも影かげ池ちに身みを投なげて妻つまの後のちを追おったという。

主おもな文化財ぶんかざい

仏国寺ぶっこくでら正面しょうめん

大雄たいゆう殿どのの装飾そうしょく

正門せいもん

双そう塔とう

多宝塔たほうとう（国宝こくほう第だい20号ごう）

建築けんちく物ぶつ

• 青雲せいうん橋きょう・白雲しらくも橋きょう（청운교・백운교）

国宝こくほう第だい23号ごう。大雄たいゆう殿どの正面しょうめんの紫むらさき霞かすみ門もんに掛かかる石橋いしばし。751年ねんの時ときから存在そんざいしている遺構いこうと考かんがえられている。上段じょうだんの16段だんが白雲しらくも橋きょう、下段げだんの17段だんが青雲せいうん橋きょうである。合あわせて33段だんであるが、仏教ぶっきょうで33は未いまだ仏ふつの境地きょうちに達たっせずという意味いみである。

• 蓮華れんげ橋きょう・七宝しっぽう橋きょう（연화교・칠보교）

国宝こくほう第だい22号ごう。青雲せいうん橋きょう・白雲しらくも橋きょうと同おなじ形式けいしきの石橋いしばしであるが、規模きぼは小ちいさめである。

• 大雄たいゆう殿どの（대웅전）

仏国寺ぶっこくでらの本殿ほんでんにあたる。681年ねんごろ創建そうけんされたと思おもわれる。現在げんざいの建物たてものは1765年ねんに再建さいけんされた。

双そう塔とう

• 多宝塔たほうとう
  • 「仏国寺ぶっこくでら多宝塔たほうとう」に参照さんしょう。

国宝こくほう第だい20号ごう。新しん羅ら時代じだい751年ねんの作さくと推定すいていされる石造せきぞうの多宝塔たほうとう。高たかさは10.4m。四面しめんに階段かいだんが設置せっちされまた、塔とう下部かぶは四よん本ほんの柱はしらで支ささえられている珍めずらしい塔とうの形状けいじょうをしている。また塔とうの周まわりには石いし獅子じしが配置はいちされていたが、現在げんざいでは1体たいだけが残のこっている。

• 釈迦しゃか塔とう

国宝こくほう第だい21号ごう。新しん羅ら時代じだいの三さん層そう塔とう。高たかさは8.2m。1966年ねんには復元ふくげん工事こうじ中ちゅう、塔とう中央ちゅうおう部ぶから世界せかい最古さいこ級きゅうの木版もくはん印刷物いんさつぶつである『無垢むく浄きよし光こう陀羅尼だらに経けい』（国宝こくほう）が発見はっけんされ、国宝こくほう126号ごうに指定していされた。

仏像ぶつぞう

• 金銅かなどう毘盧遮那仏びるしゃなぶつ座像ざぞう

国宝こくほう第だい26号ごう。新しん羅ら時代じだいの作さくとされる金銅かなどう製せいの毘盧遮那仏びるしゃなぶつ。

• 金銅かなどう阿弥陀如来あみだにょらい座像ざぞう

国宝こくほう第だい27号ごう。新しん羅ら時代じだいの作さくとされる金銅かなどう製せいの阿弥陀如来あみだにょらい像ぞう。

交通こうつう

• KORAIL慶州けいしゅう駅えきや慶州けいしゅう高速こうそくバスターミナル・慶州けいしゅう市外しがいバスターミナルなどから市内しないバス（日本にっぽんの路線ろせんバスに相当そうとう）利用りよう。

参考さんこう文献ぶんけん

• 勝浦かつうら, 令子れいこ「東ひがしアジアの『無垢むく浄きよし光こう大だい陀羅尼だらに経けい』受容じゅようと百ひゃく万まん塔とう」『奈良なら・平安へいあん仏教ぶっきょうの展開てんかい』速水はやみ侑編へん、吉川弘文館よしかわこうぶんかん、2006年ねん8月がつ、2-31頁ぺーじ。ISBN 4-642-02451-4。 

関連かんれん項目こうもく

• 石窟せっくつ庵あんと仏国寺ぶっこくでら（世界せかい遺産いさん）
• 大韓民国だいかんみんこくの世界せかい遺産いさん

外部がいぶリンク

• 仏国寺ぶっこくでら公式こうしきウェブサイト（韓国かんこく語ご・日本語にほんご・英語えいご・中国ちゅうごく語ご）