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朝鮮ちょうせん音韻おんいん

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』

朝鮮ちょうせん音韻おんいん(ちょうせんごのおんいん)では、韓国かんこく朝鮮ちょうせんのうち大韓民国だいかんみんこく標準ひょうじゅん以下いかみなみ標準ひょうじゅん」)の音韻おんいんかんして記述きじゅつする。必要ひつようおうじて朝鮮民主主義人民共和国ちょうせんみんしゅしゅぎじんみんきょうわこく標準ひょうじゅん(「文化ぶんか」、以下いかきた標準ひょうじゅん」)の音韻おんいんかんしておぎなう。

標準ひょうじゅん発音はつおん南北なんぼくともに条文じょうぶんされた規範きはんによって規定きていされている。その意味いみでは、標準ひょうじゅん発音はつおんとは手本てほんとなるべき一種いっしゅの「理想りそうおん」とうことができる。しかしながら、実質じっしつてきにはみなみ標準ひょうじゅん発音はつおんソウル発音はつおんもとづき、きた標準ひょうじゅん発音はつおん平壌ぴょんやん発音はつおんもとづいている。

音素おんそ

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母音ぼいん

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たん母音ぼいん

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1】朝鮮ちょうせん母音ぼいん音素おんそ実際じっさい音声おんせい이호영(1996)にもとづく。

標準ひょうじゅんにおけるたん母音ぼいん音素おんそ以下いかの10種類しゅるいである。

音素おんそ 代表だいひょうてき音声おんせい れい
/a/ [a] 아이 /ai/ [ai]ども)
/ɔ/ [ɔ/ʌ] 어디 /ɔdi/ [ɔdi] (どこ)
/o/ [o] 오이 /oi/ [oi] (きゅうり)
/u/ [u] 우리 /uri/ [uɾi]我々われわれ
/ɯ/ [ɯ] /gɯ/ [kɯ] (その)
/i/ [i] 이마 /ima/ [ima] (ひたい)
/ɛ/ [ɛ] /hɛ/ [hɛ]太陽たいよう
/e/ [e] 누에 /nue/ [nue]かいこ
/ö/ [ø] /sö/ [sø]てつ
/ü/ [y] /ü/ [y]うえ
ちゅう/ /音素おんそ表記ひょうき[ ]国際こくさい音声おんせい記号きごうによる音声おんせい表記ひょうきあらわす(以下いかおなじ)。なお、音素おんそ表記ひょうきほん項目こうもく独自どくじのものであるためかならずしも一般いっぱんてきではない。

それぞれの音素おんそについて、より厳密げんみつには以下いかとおりである。

  • /a/ちゅうしたりの [ɐ] である。
  • /ɔ/ はソウル方言ほうげんではくちびるまるめがよりよわ[ɞ] であり、平壌ぴょんやん方言ほうげんではくちびるまるめがよりつよ[ɔ] である。

韓国かんこくではほぼ全域ぜんいきにおいて、老年ろうねんそうのぞ/ɛ/ひろい「エ」)と /e/せまい「エ」)の区別くべつうしなわれ、ともに同一どういつおと発音はつおんされる。その音声おんせい[ɛ][e]なかあいだおんで、日本語にほんご/e/ (エ)にちかい(1】の「1」参照さんしょう)。また、ソウル方言ほうげん平壌ぴょんやん方言ほうげんともに /ö//ü/存在そんざいしない。これらの方言ほうげんでは通常つうじょう/ö/[we]平壌ぴょんやん方言ほうげんでは [wɛ])であらわれ、/ü/[wi]あらわれる。したがって、現代げんだい老年ろうねんそうにおけるソウル方言ほうげんでは、たん母音ぼいんもっとすくない話者わしゃで7種類しゅるい/a,ɔ,o,u,ɯ,i,e/)となっている。

ちょう母音ぼいん

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ちょう母音ぼいん単語たんごだい1音節おんせつにのみあらわれる。ソウル方言ほうげん場合ばあい老年ろうねんそう母音ぼいん長短ちょうたんによって単語たんご意味いみ区別くべつしうるが、老年ろうねんそう母音ぼいん長短ちょうたん区別くべつがなく、おしなべてたん母音ぼいんあらわれる。

  • /nun/) ― /nuːn/ゆき
  • /sɛ/あたらしい) ― /sɛː/とり
  • /pam/よる) ― /paːm/ぐり
  • /pal/あし) ― /paːl/すだれ
  • /mal/うままたはます) ― /maːl/言葉ことば言語げんご
  • 적다 /tɕɔk̚t'a/く) ― 적다 /tɕɔːk̚t'a/すくない)
  • 의사 /ɯisa/議事ぎじまたは医師いし) ― 의사 /ɯiːsa/意思いしまたは義士ぎし

なお、老年ろうねんそうにおけるソウル方言ほうげん場合ばあい/ɔ/ちょう母音ぼいん音声おんせい[əː]あらわれ、たん母音ぼいん場合ばあいことなる音声おんせいあらわれるのが特徴とくちょうである(1】の「2」参照さんしょう)。

  • 어른 /ɔːrɯn/ [əːɾɯn]大人おとな

半母音はんぼいん重母音じゅうぼいん

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朝鮮ちょうせんには /y/ [j]/w/ [w] 2つの半母音はんぼいんがある。研究けんきゅうしゃによっては半母音はんぼいんみとめず、半母音はんぼいんたん母音ぼいん結合けつごう重母音じゅうぼいん上昇じょうしょう重母音じゅうぼいん)となす場合ばあいもある。

たん母音ぼいん
/a/

/ɔ/

/o/

/u/

/ɯ/

/i/

/ɛ/

/e/

/ö/

/ü/
/y/母音ぼいん
/ya/

/yɔ/

/yo/

/yu/

/yɛ/

/ye/
/w/母音ぼいん
/wa/

/wɔ/

/wi/

/wɛ/

/we/

/ɯi/ というおと連続れんぞくは「半母音はんぼいんたん母音ぼいん」とず、重母音じゅうぼいんなす見解けんかい一般いっぱんてきである。しかしながら、/ɯi/ はソウル方言ほうげんではたん母音ぼいんして /ɯ/語頭ごとうで) あるいは /i/語頭ごとうで) とあらわれる場合ばあいおおい。

  • 의사 /ɯisa/医者いしゃ)― ソウル方言ほうげん /ɯsa/
  • 예의 /yeɯi/礼儀れいぎ)― ソウル方言ほうげん /yei/

子音しいん

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標準ひょうじゅんにおける子音しいん音素おんそ全部ぜんぶで19種類しゅるいある。

初声はつこえ

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音節おんせつあたま位置いちにある子音しいん初声はつこえぶ。19種類しゅるい子音しいんすべてが初声はつこえ位置いちることができる。

りょう唇音しんおん 歯茎はぐきおん かた口蓋こうがいおん 軟口蓋なんこうがいおん 声門せいもんおん
閉鎖へいさおん 摩擦音まさつおん

がい
おと
ひらおと /b/
[p]
/d/
[t]
/s/
[s~ɕ][1]
/j/
[ʨ]
/g/
[k]
おん /βべーた/
[pʼ]
/δでるた/
[tʼ]
/σしぐま/
[sʼ~ɕʼ]
/ζぜーた/
[ʨʼ]
/γがんま/
[kʼ]
げきおん /p/
[pʰ]
/t/
[tʰ]
/c/
[ʨʰ]
/k/
[kʰ]
/h/
[h]
鼻音びおん /m/
[m]
/n/
[n]

ø
ながれおん /r/
[ɾ~l]

朝鮮ちょうせん阻害そがいおん無声音むせいおん/有声音ゆうせいおん対立たいりつ音韻おんいんろんてき意味いみたない。すなわち朝鮮ちょうせん話者わしゃ無声音むせいおん/有声音ゆうせいおん区別くべつがなく、ともに同一どういつおと認識にんしきする(それゆえに、たとえば、日本語にほんごの「きんかくじ」と「ぎんかくじ」は朝鮮ちょうせん話者わしゃにとっては同一どういつ単語たんごこえ、その区別くべつきわめて困難こんなんである[よう出典しゅってん])。その一方いっぽうで、朝鮮ちょうせんにはたいらおん/げきおん/おんという対立たいりつがある。これらのおと呼気こきつよさやのど緊張きんちょう度合どあいによって相互そうごことなるおと認識にんしきされる。

ひらおとおんともなわず、またのど緊張きんちょうともなわないおとである。/s/のぞひらおと /b,d,j,g/有声音ゆうせいおんあいだ(すなわち母音ぼいん母音ぼいんあいだ鼻音びおん母音ぼいんあいだりゅうおん母音ぼいんあいだのいずれか)でゆうごえおん、それ以外いがい環境かんきょう具体ぐたいてきには語頭ごとう)で無声むせいおん話者わしゃによってはよわおんともないうる)としてあらわれる。

  • 비누 /binu/ [pinu]石鹸せっけん) ― 나비 /nabi/ [nabi]ちょう

/s/有声音ゆうせいおんあいだにあってもつね無声音むせいおんとしてあらわれる。また、/s/母音ぼいん /i//y/ふくむ)の直前ちょくぜんでは [ɕ]日本語にほんごのシャぎょう子音しいんおなじ)であらわれる。なお、/s/一般いっぱんてきひらめおん分類ぶんるいされるが、これをげきおんしもじゅつ)に分類ぶんるいする研究けんきゅうしゃもある。

  • 가수 /gasu/ [kasu]歌手かしゅ
  • 가시 /gasi/ [kaɕi] (とげ)

げきおん /p,t,c,k/つよおんともなったおとであり、いかなる位置いちにおいても無声むせいゆうおんとしてあらわれる。中国ちゅうごくにおけるゆうおんおな性質せいしつおとである。

  • 도토리 /dotori/ [totʰoɾi] (どんぐり)

げきおん /h/有声音ゆうせいおんあいだにある場合ばあいには有声音ゆうせいおん[ɦ]あらわれ、場合ばあいによっては無音むおんのようにこえることもある。有声音ゆうせいおんするという特性とくせいから、これをたいらおん分類ぶんるいする研究けんきゅうしゃもある。

  • 지하 /jiha/ [ʨiɦa]地下ちか

おん喉頭こうとう緊張きんちょうともなった無声むせいおんである。国際こくさい音声おんせい記号きごうではこのおと表示ひょうじする記号きごうがなく、声門せいもん閉鎖へいさおんあらわ[ʔ]子音しいん記号きごう左肩ひだりかたしたり、放出ほうしゅつおんあらわ[ʼ]もちいたりといったかたち記号きごう代用だいようする場合ばあいおおい。また、音声おんせいがく論文ろんぶんとうでは [p#][p*] などの表記ひょうき散見さんけんされる。おんあらわ[˭]つよ調音ちょうおんあらわ拡張かくちょうIPAである [ ͈]使つかわれることもある。

  • 꼬리 /γがんまori/ [kʼoɾi] (しっぽ)

おん /σしぐま/ひらおと /s/場合ばあい同様どうように、母音ぼいん /i//y/ふくむ)の直前ちょくぜん[ɕʼ]あらわれる。

  • 김씨 /gimσしぐまi/ [kimɕʼi]きむ

鼻音びおん/m,n,ŋ/ 3種類しゅるいがあるが、/ŋ/語頭ごとうたない。

ながれおん /r/音節おんせつあたま位置いちでは通常つうじょうはじきおん [ɾ]あらわれるが、音節おんせつまつおと /r/直後ちょくごあらわれる音節おんせつあたまの /r/ は [l] としてあらわれる。

  • 물리 /murri/ [mulli]物理ぶつり

平壌ぴょんやん方言ほうげんでは /j,c,ζぜーた/歯茎はぐきかた口蓋こうがいおん [ʨ/ʥ][ʨʰ][ʨʼ] ではなく歯茎はぐきやぶおと [ʦ/ʣ][ʦʰ][ʦʼ]あらわれることがある。また、このような発音はつおんはソウル方言ほうげんでもられるが、朝鮮ちょうせん話者わしゃだい部分ぶぶんはこの2つの音声おんせい弁別べんべつてきにとらえないため、個人こじん非常ひじょうおおきい。

おわりごえ(パッチム)

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音節おんせつまつ位置いちにある子音しいんおわりごえパッチム)とぶ。初声はつこえには19種類しゅるい子音しいんすべてがちうるが、おわりごえには以下いかの7種類しゅるい子音しいんしかたない。

りょう唇音しんおん 歯茎はぐきおん 軟口蓋なんこうがいおん
阻害そがいおん /b/
[p̚]
/d/
[t̚]
/g/
[k̚]
鼻音びおん /m/
[m]
/n/
[n]
/ŋ/
[ŋ]
ながれおん /r/
[ɭ]

阻害そがいおんおわりごえ調音ちょうおん器官きかん開放かいほうともなわないうちやぶおとである。ただし、/d/直後ちょくご/σしぐま/場合ばあいには、おわりごえ /d/[s]あらわれる。

  • 젖소 /jɔdσしぐまo/ [ʨɔssʼo]乳牛にゅうぎゅう

ながれおんおわりごえ /r/通常つうじょう [ɭ]あらわれるが、直後ちょくご/h/るときは [ɾ]あらわれる。 [ɭ] はヨーロッパ諸語しょご中国ちゅうごく[l] より後部こうぶ調音ちょうおんてんがあり、舌先したさき反転はんてんさせて後部こうぶ歯茎はぐきてて側面そくめんからいきながすようにして発音はつおんする。

  • 괄호 /gwarho/ [kwaɾɦo]括弧かっこ

音素おんそ配列はいれつじょう制約せいやく

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朝鮮ちょうせんには以下いかのような音素おんそ配列はいれつじょう制約せいやくがある。

(1)歯茎はぐきかた口蓋こうがいおん直後ちょくご半母音はんぼいん /y/

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みなみ標準ひょうじゅんでは、歯茎はぐきかた口蓋こうがいおん /j,c,ζぜーた/直後ちょくご半母音はんぼいん /y/えない。したがって、つづりうえ半母音はんぼいん表記ひょうきされていても、実際じっさい音声おんせい半母音はんぼいんともなっていない。

  • /jɔ/ [ʨɔ]わたし
  • /jɔ/ [ʨɔ]けて)

一方いっぽうきた標準ひょうじゅんでは、/j,c,ζぜーた/直後ちょくご半母音はんぼいん /y/うる。

きた標準ひょうじゅんでは/j,c,ζぜーた/ は、歯茎はぐきやぶおと [ʦ/ʣ][ʦʰ][ʦʼ]発音はつおんするのが原則げんそくであるが、/y/結合けつごうする場合ばあいには歯茎はぐきかた口蓋こうがいやぶおと [ʨ/ʥ][ʨʰ][ʨʼ]発音はつおんするものとされる[2]。このため、きた標準ひょうじゅんでは、つぎのようなものは、発音はつおんじょう区別くべつ可能かのうとされる。

  • /jɔ/ [ʦɔ]わたし
  • /jyɔ/ [ʨɔ]けて)

しかし、実際じっさいには、/y/結合けつごうする場合ばあい以外いがいでも、みなみ同様どうよう歯茎はぐきかた口蓋こうがいやぶおと [ʨ/ʥ][ʨʰ][ʨʼ]発音はつおんすることがある。

(2)語頭ごとう/r/ およ/n/

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みなみ標準ひょうじゅんでは、漢字かんじにおいて /r/語頭ごとうちえない。このため、音節おんせつあたま本来ほんらい /r/漢字かんじおん語頭ごとう場合ばあい/r/直後ちょくご/i/ あるいは /y/ があるものは /r/脱落だつらくし、それ以外いがいのものは /r//n/発音はつおんされる。

同様どうようにして、音節おんせつあたま本来ほんらい /n/漢字かんじおん語頭ごとう場合ばあい/n/直後ちょくご/i/ あるいは /y/ があるものは /n/脱落だつらくする。

韓国かんこくではこの現象げんしょう一般いっぱんに「あたまおん法則ほうそく두음 법칙)」とぶ。きた標準ひょうじゅんでは、語頭ごとう/r/ および /n/本来ほんらいのまま維持いじされる。

単語たんご きた標準ひょうじゅん みなみ標準ひょうじゅん
臨時りんじ 림시/rimsi/ 임시/imsi/
ろうどう 로동/rodoŋ/ 노동/nodoŋ/
女子じょし 녀자/nyɔja/ 여자/yɔja/

しかしながら、外来がいらい発音はつおんにせよきたにおける漢字かんじ発音はつおんにせよ、語頭ごとう/r/ はもともと朝鮮ちょうせんにはなかったものである。それゆえ、とく老年ろうねんそうにおいては外来がいらい漢字かんじ語頭ごとう/r/脱落だつらくさせたり /n/発音はつおんすることがしばしばある。

  • 라이터 /naitɔː/ (ライター)

なお、南北なんぼくあいだでのこれらのちがいについては、「朝鮮ちょうせん南北なんぼくあいだ差異さいちゅう漢字かんじかんする表記ひょうき参照さんしょうのこと。

日本語にほんご場合ばあいたとえば「あめ」(こうてい)と「あめ」(ていこう)のように、ピッチ(おと高低こうてい)のちがいによって単語たんご意味いみ区別くべつしうるが、朝鮮ちょうせん標準ひょうじゅんはピッチによって単語たんご意味いみ区別くべつすることがない。しかしながら、朝鮮ちょうせん発話はつわにおいてピッチは無秩序むちつじょあらわれるのではなく、自然しぜんおと高低こうていながれが存在そんざいし、そのパターンからはずれる発話はつわ朝鮮ちょうせん話者わしゃにとって不自然ふしぜん発話はつわかんじられる。

ソウル方言ほうげん場合ばあい連続れんぞくして発音はつおんされる単位たんいにおいて、だい2音節おんせつもっとたか発音はつおんされ、それ以降いこう音節おんせつ徐々じょじょ調子ちょうし発音はつおんされる。だい1音節おんせつ初声はつこえげきおんおとあるいは /s/場合ばあいだい2音節おんせつどう程度ていどたかさで発音はつおんされ、それ以外いがい子音しいん場合ばあいあるいは母音ぼいんはじまる場合ばあいにはだい2音節おんせつよりややひく発音はつおんされる。

なお、東南とうなん方言ほうげん東北とうほく方言ほうげんには高低こうていアクセント体系たいけいがあり、ピッチによって単語たんご意味いみ区別くべつしうる。

音節おんせつ構造こうぞう

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朝鮮ちょうせん音節おんせつ母音ぼいん中核ちゅうかくとして形作かたちづくられる。母音ぼいん半母音はんぼいんたん母音ぼいん結合けつごう上昇じょうしょう重母音じゅうぼいん)でありえ、母音ぼいんまえには音節おんせつあたま子音しいん初声はつこえ)が1つつことができる。朝鮮ちょうせん音節おんせつ母音ぼいんわる音節おんせつひらき音節おんせつ以外いがい子音しいんわる音節おんせつ(閉音ぶし)がありえ、母音ぼいんうしろには音節おんせつまつ子音しいんおわりごえ)が1つつことができる。したがって、朝鮮ちょうせん音節おんせつ構造こうぞうもっと複雑ふくざつなものは「子音しいん半母音はんぼいん母音ぼいん子音しいん」という構造こうぞうである。

音節おんせつ構造こうぞう れい
ひらく
おと
ふし
母音ぼいん /i/ [i]
半母音はんぼいん母音ぼいん /yo/ [jo]敷布団しきぶとん
子音しいん母音ぼいん /so/ [so]うし
子音しいん半母音はんぼいん母音ぼいん /hyɔ/ [hjɔ]した

おと
ふし
母音ぼいん子音しいん /an/ [an]なか
半母音はんぼいん母音ぼいん子音しいん /waŋ/ [waŋ]おう
子音しいん母音ぼいん子音しいん /gir/ [kil]みち
子音しいん半母音はんぼいん母音ぼいん子音しいん /gwaŋ/ [kwaŋ]光沢こうたく

音素おんそ交替こうたい

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朝鮮ちょうせん音素おんそ交替こうたい種類しゅるいおおく、以下いかのような交替こうたいがある。

音韻おんいんろんてき交替こうたい

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音韻おんいんろんてき交替こうたいとは、音素おんそかれるおとてき環境かんきょうにより、当該とうがい音素おんそべつ音素おんそわる現象げんしょうをいう。朝鮮ちょうせんでは子音しいんについてこの現象げんしょうられる。子音しいん音素おんそ配列はいれつじょう制約せいやくがあるため、おとならびによってはゆるされない子音しいん配列はいれつがある。そのような場合ばあい当該とうがい子音しいん音素おんそべつ子音しいん音素おんそ交替こうたいする。

ひらおとおと

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ひらおと /b,d,s,j,g/音節おんせつまつ阻害そがいおん /b,d,g/直後ちょくごえない。その場合ばあい当該とうがいひらおとはそれぞれおん /βべーたδでるたσしぐまζぜーたγがんま/交替こうたいする。

  • 입시 /ibsi//ibσしぐまi/入試にゅうし)[입씨]
  • 국밥 /gugbab//gugβべーたab/ (クッパ)[국빱]

/h/げきおん

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/h/音節おんせつまつ阻害そがいおん /b,d,g/直後ちょくごえない。その場合ばあい当該とうがい/h/直前ちょくぜん阻害そがいおんおな調音ちょうおん位置いち発音はつおんされるげきおん/p,t,k/ のいずれか)に交替こうたいする。

  • 입학 /ibhag//ipag/入学にゅうがく)[이팍]
  • 각하 /gagha//gaka/閣下かっか)[가카]

阻害そがいおん鼻音びおん

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音節おんせつまつ阻害そがいおん /b,d,g/鼻音びおん /m,n/ およびながれおん /r/直前ちょくぜんえない。その場合ばあい当該とうがい音節おんせつまつ阻害そがいおんはそれぞれ鼻音びおん /m,n,ŋ/交替こうたいする。

  • 욕망 /yogmaŋ//yoŋmaŋ/ [용망](欲望よくぼう
  • 앞날 /abnar//amnar/ [암날](前途ぜんと将来しょうらい
  • 됫날 /dödnar//dönnar/ [된날/뒌날](後日ごじつ将来しょうらい
  • 놓는 /nodnɯn//nonnɯn/ [논는](く)

/b,d,g/直後ちょくご/r/場合ばあいみなみ標準ひょうじゅんでは /r/同時どうじ鼻音びおんして /n/交替こうたいする。きた標準ひょうじゅんでは のち/ya, yɔ, yo, yu/つづ場合ばあいにおいては, /r//n/交替こうたいせず、/r/ のまま発音はつおんすることが許容きょようされる。

  • 독립 /dogrib//doŋnib/ [동닙](独立どくりつ
  • 협력 /hyɔbryɔg//hyɔmnyɔg/ [혐녁](協力きょうりょく) cf. /hyɔmryɔg/きた許容きょよう発音はつおん

ながれおん鼻音びおん

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みなみ標準ひょうじゅんにおいて、ながれおん /r/鼻音びおん /m,ŋ/直後ちょくごえない。その場合ばあい当該とうがい/r/鼻音びおん /n/交替こうたいする。きた標準ひょうじゅんでは,のち/ya, yɔ, yo, yu/つづ場合ばあいにおいては, /r//n/交替こうたいせず、/r/ のまま発音はつおんすることが許容きょようされる。

  • 통로 /toŋro//toŋno/ [통노](通路つうろ
  • 침략 /cimryag//chimnyag/ [침냑](侵略しんりゃく) cf. /chimryag/きた許容きょよう発音はつおん

/n/りゅうおん

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/n/ながれおん /r/直前ちょくぜんあるいは直後ちょくごえない。その場合ばあい当該とうがい/n/ながれおん /r/交替こうたいする。なお、この場合ばあい/rr/ というおと連続れんぞく実際じっさい音声おんせい[ll] である。

  • 신라 /sinra//sirra/ [실라](しん
  • 찰나 /carna//carra/ [찰라](刹那せつな
  • 물난리 /murnanri//murrarri/ [물랄리](水害すいがい
  • 대관령 /dɛgwanryɔŋ//dɛgwarryɔŋ/ [대괄령](大関おおぜきみね

形態けいたい音韻おんいんろんてき交替こうたい

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同一どういつ形態素けいたいそ一定いってい音韻おんいんてき環境かんきょうによりいくつかの形態けいたいとしてあらわれるときに、形態けいたいあいだ音韻おんいん交替こうたいすることを形態けいたい音韻おんいんろんてき交替こうたいという。朝鮮ちょうせんにはそのような形態けいたい音韻おんいんろんてき交替こうたいおおい。

おわりごえ形態けいたい音韻おんいんろんてき交替こうたい

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体言たいげんおよび用言ようげん語幹ごかんまつおと子音しいん場合ばあい語幹ごかんまつ子音しいん交替こうたいしうる。交替こうたい類型るいけい以下いかの2種類しゅるいがありえる。

おと中和ちゅうわ
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たとえば、/nopa/たかく)は /nop/語幹ごかんであるが、語幹ごかんまつおと/p//nopa/ のように直後ちょくご一部いちぶ母音ぼいん/p/音節おんせつあたま位置いちにあるときはげきおん /p/ としてあらわれるが、/p/直後ちょくご子音しいんるなどしてこのおと音節おんせつまつ位置いち場合ばあいには /nobδでるたa/たかい)のように /b/交替こうたいする。これはげきおん /p/音節おんせつまつ位置いちつことができず、音節おんせつまつ位置いちでは /b//p/区別くべつうしなわれてひらおと /b/ のみがあらわれるためである(中和ちゅうわ)。正書法せいしょほうじょうでは、おわりごえげきおんおんなどの字母じぼもちいることで表現ひょうげんされる。

  • /p//b/
    • 잎이 /ipi/が) ~ /ib/)~ 잎 앞 /ibab/まえ
  • /t,s,σしぐま,j,c//d/
    • 밭에 /bate/はたけに) ~ /bad/はたけ)~ 밭 아래 /badarɛ/はたけした
    • 옷이 /osi/ふくが) ~ /od/ふく)~ 옷 안 /odan/ふくなか
    • 있어 /iσしぐまɔ/ (いて) ~ 있자 /idζぜーたa/ (いよう)
    • 낮에 /naje/ひるに) ~ /nad/ひる
    • 빛이 /bici/こうが) ~ /bid/ひかり
  • /k,γがんま//g/
    • 부엌에 /buɔke/台所だいどころに) ~ 부엌 /buɔg/台所だいどころ) ~ 부엌 안 /buɔgan/台所だいどころうち
    • 밖에 /baγがんまe/そとに) ~ /bag/そと


おと脱落だつらく
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/barba/んで)は /barb/語幹ごかんであるが、このように語幹ごかんまつ子音しいんが2つ連続れんぞくしている場合ばあい語幹ごかんまつ子音しいん/barba/ のように初声はつこえ位置いちつときは連続れんぞくする2つの子音しいん両方りょうほうともあらわれる。しかし、語幹ごかんまつ子音しいんおわりごえ位置いちつときは /babδでるたa/む)のように2つの子音しいんのうち一方いっぽう脱落だつらくする。これは朝鮮ちょうせんにおいて音節おんせつまつ位置いちに2つ以上いじょう子音しいん同時どうじちえないためである。正書法せいしょほうじょうでは、じゅうパッチムのおおくがこれにたる。ただしおなじゅうパッチムでも、ㄶ,ㅀのㅎは /h/ で発音はつおんするような性質せいしつのものではなく、後述こうじゅつげきおん表現ひょうげんするためのものである。

  • /bσしぐま//b/
    • 값이 /gabσしぐまi/が) ~ /gab/)~ 값있다 /gabidδでるたa/ (やりがいがある)
  • /rb//b/
    • 밟아 /barba/んで) ~ 밟자 /baːbζぜーたa/もう)
  • /rp//b/
    • 읊어 /ɯrpɔ/んで) ~ 읊자 /ɯbζぜーたa/もう)
  • /rm//m/
    • 삶이 /saːrmi/生活せいかつが) ~ /saːm/生活せいかつ
  • /nj//n/
    • 앉아 /anja/すわって) ~ 앉자 /anζぜーたa/すわろう)
  • /rb//r/
    • 넓어 /nɔrbɔ/ひろく) ~ 넓다 /nɔrδでるたa/ひろい)
  • /rg//g/
    • 읽어 /irgɔ/んで) ~ 읽자 /igζぜーたa/もう)
  • /gσしぐま//g/
    • 넋이 /nɔgσしぐまi/たましいが) ~ /nɔg/たましい)~ 넋 없다 /nɔgɔbδでるたa/ (ぼんやりしている)
  • /rg//r/
    • 읽어 /irgɔ/んで) ~ 읽고 /irγがんまo/み)
  • /rσしぐま//r/
    • 외곬으로 /ögorσしぐまɯro/一途いっとに) ~ 외곬 /ögor/一途いっと
  • /rt//r/
    • 핥아 /harta/ (なめて) ~ 핥고 /harγがんまo/ (なめて)

初声はつこえ形態けいたい音韻おんいんろんてき交替こうたい

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上述じょうじゅつ音韻おんいんろんてき交替こうたい以外いがい条件じょうけん実現じつげんされるおとげきおん鼻音びおんはいずれも形態けいたい音韻おんいんろんてき交替こうたいられる。これらの交替こうたい形態素けいたいそ境界きょうかいにおいてこる。

おと
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子音しいん語幹ごかん用言ようげんひらめおんはじまる接尾せつび語尾ごび場合ばあい語幹ごかんまつ子音しいん鼻音びおんりゅうおん場合ばあいであっても直後ちょくご接尾せつび語尾ごびあたまおんであるひらおとおとする。

  • 삼고 /saːmγがんまo/なして)
  • 핥고 /harγがんまo/ (なめて)

体言たいげんでは、合成ごうせいにおいてひらおとおとられる。また、一部いちぶ漢字かんじにおいてもひらめおんおとられる。

  • 말버릇 /maːrβべーたɔrɯd/口癖くちぐせ
  • 보험증 /boːhɔmζぜーたɯŋ/保険ほけんしょう

なお、漢字かんじにおいては /r/直後ちょくごひらおと /d//s//j/おとする。

  • 철도 /cɔrδでるたo/鉄道てつどう
  • 발사 /balσしぐまa/発射はっしゃ
  • 물질 /murζぜーたir/物質ぶっしつ
げきおん
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用言ようげんのうち、接尾せつび語尾ごびあたまおんひらおとげきおんあらわれるものがある。このような用言ようげん語幹ごかんまつ/h/つとかんがえる場合ばあいおおい。正書法せいしょほうじょうでは、おわりごえに「」をふく場合ばあい)がこれにたる。

  • 놓아 /noa/ [노아](いて)、놓는 /nonnɯn/ [논는](く) → 놓고 /noko/ [노코](いて)
  • 많아 /mana/ [마나](おおくて)、많은 /manɯn/ [마는](おおくの) → 많고 /manko/ [만코](おおくて)
  • 옳아 /ora/ [오라](ただしくて)、옳는 /orrɯn/ [올른](ただしい) → 옳다 /orta/ [올타](ただしい)
鼻音びおん
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漢字かんじにおいて、おわりごえ /n/直後ちょくごながれおん /r//n/あらわれる場合ばあいおわりごえ /n/初声はつこえ /r/あいだ形態素けいたいそ境界きょうかいがある場合ばあい/r//n/交替こうたいする。

  • 생산량 /sɛŋsanryaŋ//sɛŋsannyaŋ/生産せいさんりょう
  • 의견란 /ɯigyɔnran//ɯigyɔnnan/意見いけんらん
口蓋こうがいおん
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語幹ごかんまつおと/d/語幹ごかん直後ちょくご/i/ あるいは /hi/はじまる接尾せつび語尾ごびくとき、/d//i/ あるいは /hi/わさり /ji/ あるいは /ci/あらわれる現象げんしょう正書法せいしょほうじょうではおわりごえ」の直後ちょくごに「」がかれて /ji/),/ci/) と発音はつおんされる。

  • 미닫이 /midaji/
  • 같이 /gaci/おなじく)
  • 닫힌다 /dacinda/じられる)
  • 핥인다 /harcinda/ (なめられる)
おと添加てんか
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合成ごうせいおよび派生はせいにおいて前部ぜんぶ形態素けいたいそ子音しいんわり、後部こうぶ形態素けいたいそ母音ぼいん /i/ あるいは半母音はんぼいん /y/はじまる場合ばあい後部こうぶ形態素けいたいそあたま子音しいん /n/ あるいは /r/添加てんかされうる。ただし、表記ひょうきには通常つうじょう反映はんえいされない。また、「있다」の場合ばあいはこの規定きてい適用てきようできない。

  • 담요 /damnyo/毛布もうふ
  • 식용유 /sigyoŋnyu/食用しょくよう
  • 영업용 /yɔŋɔmnyoŋ/営業えいぎょうよう
  • 내복약 /nɛboŋnyag/内服薬ないふくやく
  • 그림엽서 /gɯrimnyɔbσしぐまɔ/絵葉書えはがき
  • 꽃잎 /γがんまonnib/はなびら)
  • 서울역 /sɔurryɔg/ (ソウルえき
  • 금융 /gɯmnyuŋ/金融きんゆう) - /gɯmyuŋ/発音はつおんすることも許容きょようできる。ただし、北朝鮮きたちょうせんでは「/gɯmyuŋ/」のみとされる。

音素おんそ交替こうたい正書法せいしょほう

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朝鮮ちょうせん正書法せいしょほうでは、同一どういつ形態素けいたいそつね同一どういつにつづるという原則げんそくにのっとってさだめられている(形態けいたい主義しゅぎ)。したがって、上記じょうきのようなさまざまな音素おんそ交替こうたいがあっても発音はつおんとおりにつづらない(ごくまれ正書法せいしょほうじょうべつ表記ひょうきさだめることがある)。詳細しょうさい朝鮮ちょうせん正書法せいしょほう形態けいたい主義しゅぎ参照さんしょうのこと。

母音ぼいん調和ちょうわ

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朝鮮ちょうせんはかつてかなりはっきりした母音ぼいん調和ちょうわゆうしていた。中期ちゅうき朝鮮ちょうせんでは母音ぼいん母音ぼいん /a,o,ʌ/かげ母音ぼいん /ə,u,ɯ/ それに中性ちゅうせい母音ぼいん /i/ の3グループに区分くぶんされ、原則げんそくてきどういち単語たんご内部ないぶではどういちグループの母音ぼいんのみがもちいられた。ただし、中性ちゅうせい母音ぼいん母音ぼいんかげ母音ぼいんいずれの母音ぼいんとも同時どうじあらわれた。

母音ぼいん /a/ /o/ /ʌ/
かげ母音ぼいん /ə/ /u/ /ɯ/
中性ちゅうせい母音ぼいん /i/
  • /sasʌm/鹿しか)― 母音ぼいん
  • /ərgur/姿すがた)― かげ母音ぼいん

中期ちゅうき朝鮮ちょうせんにおける母音ぼいん調和ちょうわ形態素けいたいそうちのみにとどまらずその形態素けいたいそ付属ふぞくする語尾ごびるいにまでおよんだ。たとえば「…は」の助詞じょし/nʌn//nɯn/ のように、母音ぼいんがたかげ母音ぼいんがたがあり、語幹ごかん母音ぼいんからるのかかげ母音ぼいんからるのかによって使つかけられた。

  • /nanʌn/は)― 母音ぼいん
  • /nənɯn/なんじは)― かげ母音ぼいん

現代げんだい朝鮮ちょうせんにおいて母音ぼいん調和ちょうわはほとんど崩壊ほうかいしており、いくつかのてんにおいて化石かせきしてその痕跡こんせきめているにぎない。1つは用言ようげん活用かつようがたにおける、/a//ɔ/(「だいIIIもと」、「連用形れんようけい」などとばれるかたち)である。母音ぼいん語幹ごかん母音ぼいん/a/ をとり、かげ母音ぼいん語幹ごかんかげ母音ぼいん/ɔ/ をとる。しかしながら、はな言葉ことば場合ばあい子音しいん語幹ごかん用言ようげんにおいては母音ぼいん語幹ごかんうしろでも /ɔ/あらわれる。

  • 받아 /bada/ (もらって) cf. 받어 /badɔ/はな言葉ことば
  • 먹어 /mɔgɔ/べて)

一部いちぶ用言ようげん母音ぼいん陰陽いんようちがいによるペアをつ。

  • 작다 /jaːgδでるたa/ちいさい) ― 적다 /jɔːgδでるたa/すくない)

オノマトペをはじめとしたおと象徴しょうちょう現代げんだい朝鮮ちょうせんにおいて母音ぼいん調和ちょうわもっとのこっている語彙ごいである。母音ぼいんふく単語たんごが「あきらしょうけい」などのニュアンスをふくむのにたいし、かげ母音ぼいんふく単語たんごは「くらだいじゅう」などのニュアンスをふくむとされる。

  • 활활 /hwarhwar/とりかろやかに様子ようす
  • 훨훨 /hwɔrhwɔr/おおきなとりがゆっくりと様子ようす

ただし、中期ちゅうき朝鮮ちょうせん現代げんだい朝鮮ちょうせんとでは母音ぼいん体系たいけいことなっているため、おと象徴しょうちょうられる母音ぼいん調和ちょうわのペアは中期ちゅうき朝鮮ちょうせんのそれと同一どういつではない。以下いか現代げんだい朝鮮ちょうせんおと象徴しょうちょうられる母音ぼいん調和ちょうわのペアである。

母音ぼいん /a/ /o/ /ɛ/
かげ母音ぼいん /ɔ/ /ɯ/ /u/ /i/
  • 꼴깍 /γがんまorγがんまag/꿀꺽 /γがんまurγがんまɔg/ (ごくり)
  • 싹싹 /σしぐまagσしぐまag/쓱쓱 /σしぐまɯgσしぐまɯg/ (ごしごし)
  • 뱅뱅 /bɛŋbɛŋ/빙빙 /biŋbiŋ/ (ぐるぐる)

脚注きゃくちゅう

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  1. ^ 条件じょうけんおとであり、/i/, /y/のまえでは[ɕ]、それ以外いがいでは[s]となる。
  2. ^ 《문화어발음사전》(사회과학출판사, 주체103(2014)년.)2-12ぺーじ参照さんしょう

参考さんこう文献ぶんけん

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  • 宇都うとあきら(2007)「音響おんきょう音声おんせいがくからの接近せっきん」,『韓国かんこく教育きょういくろん講座こうざだい1かん,くろしお出版しゅっぱん ISBN 978-4-87424-374-9
  • 이현복(2002) “한국어 표준발음사전”,서울대학교출판부
  • 이호영(1996) “국어음성학”,태학사
  • 허웅(1985;1997) “국어 음운학”,샘 문화사