分子ぶんし構造こうぞう

分子ぶんし構造こうぞう（ぶんしこうぞう、molecular structure、molecular geometry）とは、分子ぶんしの幾何きか学がく的てき構造こうぞうをいい、例たとえば原子げんし間あいだ距離きょりや配向はいこうなどをさす。分子ぶんし構造こうぞうを調しらべるには、主おもに回折かいせつ法ほうと分光ぶんこう法ほうが用もちいられる。

原子げんし配置はいち[編集へんしゅう]

分子ぶんしの構造こうぞうは構成こうせいする原子げんしの電子でんし雲くもによる斥力せきりょくと、化学かがく結合けつごうによる引力いんりょくとの均衡きんこうにより決定けっていづけられる。前者ぜんしゃは閉殻電子でんしに起因きいんするので球たま対称たいしょうとみなすことができるが、後者こうしゃは電子でんし軌道きどうはs軌道きどう以外いがいの原子げんし価か軌道きどうや混成こんせい軌道きどうは方向ほうこう性せいをもつ。

また引力いんりょくの大おおきさは内うち殻から電子でんしによる遮蔽しゃへいを受うけた原子核げんしかくの有効ゆうこう電荷でんかと分子ぶんし軌道きどう上うえの電子でんし分布ぶんぷにより決定けっていされる為ため、結合けつごう力りょくは構造こうぞうの位置いちが変化へんかすると原子げんし間あいだの結合けつごう性せい軌道きどうの重かさなり具合ぐあいにより連続れんぞく的てきに変化へんかする。

そして、分子ぶんしを構成こうせいする原子げんしは内部ないぶエネルギーにより振動しんどうしているので、分子ぶんし構造こうぞうの示しめす位置いちは平均へいきん的てきな重心じゅうしん位置いちを意味いみする。

結合けつごう角かく[編集へんしゅう]

詳細しょうさいは「結合けつごう角かく」を参照さんしょう

分子ぶんし間あいだの中心ちゅうしん角かくは、分子ぶんし構造こうぞうに自由じゆう度どが大おおきい場合ばあいは分子ぶんし軌道きどうの種類しゅるいによってほぼ一定いっていの結合けつごう角かくをもつ。例たとえば、炭素たんその場合ばあい、sp³結合けつごうは109.28度ど、sp²結合けつごうは120度ど、sp結合けつごうは180度どである（記事きじ結合けつごう角かく、原子げんし価か殻から電子でんし対たい反発はんぱつ則そくに詳くわしい）。

結合けつごう距離きょり[編集へんしゅう]

詳細しょうさいは「結合けつごう長ちょう」を参照さんしょう

結合けつごうを介かいした分子ぶんし内ないの原子げんしの距離きょりは結合けつごう距離きょり（けつごうきょり、bond distance）、結合けつごうの長ながさ（けつごうのながさ、bond length）、原子げんし間あいだ距離きょり（げんしかんきょり、interatomic distance）などと呼よばれる。

前述ぜんじゅつのような原因げんいんの斥力せきりょくと引力いんりょくとで結合けつごう力りょくが決定けっていづけられるので、原子げんしの種類しゅるいと結合けつごうの種類しゅるいとにより結合けつごう距離きょりは密接みっせつな関係かんけいがある。

すなわち、共有きょうゆう結合けつごうの場合ばあい、結合けつごう距離きょりは原子げんしの種類しゅるいと多重たじゅう度どにより経験けいけん的てきに一定いっていの値ねを取とることが知しられている。また、イオンの場合ばあいも原子げんしの種類しゅるいとイオンの価あたい数すうに応おうじた一定いっていの値ねを取とる。

つまりおよその結合けつごう距離きょりは、共有きょうゆう結合けつごうの場合ばあいはそれぞれの原子げんしの共有きょうゆう結合けつごう半径はんけいの和わであらわされ、イオン結合けつごうの場合ばあいはそれぞれの原子げんしのイオン半径はんけいの和わであらわされる。