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分離ぶんり工学こうがく

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』

分離ぶんり工学こうがく(ぶんりこうがく、英語えいご:separation engineering)とは、化学かがく工業こうぎょうにおける分離ぶんりプロセスについてあつか学問がくもんである。分離ぶんり科学かがくともばれる[1]

分離ぶんり工学こうがくまなぶには、物理ぶつり化学かがくねつ力学りきがく)や移動いどう現象げんしょうろん知識ちしき必要ひつようとなる。 混合こんごうぶつなかから目的もくてきぶつだけをえらび、抽出ちゅうしゅつすることを分離ぶんりといい[2]化学かがく工学こうがく専門せんもんとするものにとって、分離ぶんり工学こうがく非常ひじょう重要じゅうよう分野ぶんやであるといってよい。 日本にっぽん大学だいがく化学かがく工学こうがくかんする学科がっかにおける、分離ぶんり工学こうがく講義こうぎでは、吸着きゅうちゃく蒸留じょうりゅうガス吸収きゅうしゅう抽出ちゅうしゅつまく分離ぶんりなどをあつかうことがおおい。 分離ぶんり工学こうがくは、分離ぶんり精度せいどもとめたり(たとえばAとBの2成分せいぶん混合こんごうぶつたん蒸留じょうりゅうした場合ばあい製品せいひん組成そせいはどうなるかをかんがえるようなことである)、分離ぶんり装置そうち蒸留じょうりゅうとう吸収きゅうしゅうとうなど)を設計せっけいしたりするということがその目的もくてきである。

化学かがく工業こうぎょうにおける分離ぶんり操作そうさ重要じゅうようせい

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複数ふくすう原料げんりょう反応はんのうさせて製品せいひんをつくるためには、まず原料げんりょう精製せいせいすることからはじめなくてはならない。たとえば、石油せきゆ化学かがくプラントでは仕入しいれた原油げんゆをまず蒸留じょうりゅうとうにかけて、ガソリン軽油けいゆ重油じゅうゆなどにけてからつぎ工程こうていうつす。このとき、分離ぶんりはとても重要じゅうようになる。 また、精製せいせいした原料げんりょう反応はんのうさせて生成せいせいぶつ合成ごうせいしたあとは、分離ぶんりして反応はんのうぶつのぞいて純度じゅんどたか製品せいひんにする必要ひつようがある。ここでもやはり分離ぶんり重要じゅうようである。また、このときのぞかれた反応はんのうぶつリサイクルされて、ふたた反応はんのうはいる。原料げんりょうにかかるコストをげるためにも反応はんのうぶつ回収かいしゅうし、ふたた反応はんのうさせることが必要ひつようであり、そのために化学かがくプラントには分離ぶんり装置そうちかせない。

製造せいぞうだけでなく廃水はいすいげんようや、有害ゆうがい物質ぶっしつ除去じょきょにも分離ぶんりもちいられている[3]

1982ねん時点じてん報告ほうこくで、化学かがく工業こうぎょう消費しょうひするエネルギーのうち75%が分離ぶんり使用しようされているとある[4][5]。また、石油せきゆ化学かがく産業さんぎょう消費しょうひするエネルギーのうちやく40%が蒸留じょうりゅう操作そうさによる分離ぶんりである[6]

分離ぶんり操作そうさ概要がいよう

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分離ぶんり操作そうさには、あい平衡へいこう利用りようして分離ぶんりする方法ほうほう(これを平衡へいこう分離ぶんりという)と速度そくど利用りようして分離ぶんりする方法ほうほう(これを速度そくど分離ぶんりという)とがある。平衡へいこう分離ぶんりには、蒸留じょうりゅうやガス吸収きゅうしゅう抽出ちゅうしゅつなどがあり、速度そくど分離ぶんりにはクロマトグラフィー電気でんきおよげどうなどがある。 どの分離ぶんり操作そうさもちいるのがいかは、そのケースごとにことなるが、たとえば、2成分せいぶんえきえきけい混合こんごうぶつであれば、蒸留じょうりゅう抽出ちゅうしゅつかんがえるのが普通ふつうである。また、この混合こんごうぶつの2つの成分せいぶん相対そうたい揮発きはつおおきければ蒸留じょうりゅう操作そうさではけやすいといえるし、2成分せいぶんみずあぶらのように溶解ようかいちが場合ばあい抽出ちゅうしゅつ操作そうさもちいるのがよいといえる。

分離ぶんり操作そうさ一覧いちらん

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出典しゅってん

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  1. ^ 上野うえの景平かげへら分離ぶんり科学かがく ハイテクをささえるセパレーション・サイエンス』講談社こうだんしゃ、1988ねん、5ぺーじISBN 4061327232 
  2. ^ 上野うえの景平かげへら分離ぶんり科学かがく ハイテクをささえるセパレーション・サイエンス』講談社こうだんしゃ、1988ねん、13ぺーじISBN 4061327232 
  3. ^ 日本酒にほんしゅ製造せいぞう使つかったきり技術ぎじゅつを、廃液はいえき処理しょりやリサイクルに活用かつよう”. 日経にっけいテクノロジーonline (2013ねん9がつ10日とおか). 2017ねん2がつ2にち閲覧えつらん
  4. ^ 7th Simposium of Separation Science, Oak Ridge, Tenn. USA. (1982). 
  5. ^ 分離ぶんり工学こうがく 001”. 武田たけだ邦彦くにひこ中部大学ちゅうぶだいがく) (2007ねん4がつ15にち). 2017ねん2がつ2にち閲覧えつらん
  6. ^ 戦略せんりゃくプロポーザル-分離ぶんり工学こうがくイノベーション~持続じぞく可能かのう社会しゃかい実現じつげんする分離ぶんり科学かがく技術ぎじゅつ」、国立こくりつ研究けんきゅう開発かいはつ法人ほうじん科学かがく技術ぎじゅつ振興しんこう機構きこう(JST)、2016ねん3がつ2017ねん2がつ2にち閲覧えつらん 
  7. ^ 松浦まつうら一雄かずおちょう音波おんぱきり分離ぶんりほうもちいたてい沸点ふってん有機ゆうき化合かごうぶつこう濃度のうど不揮発ふきはつ成分せいぶん濃縮のうしゅく」『日本にっぽん醸造じょうぞう協会きょうかいだい108かんだい5ごう日本にっぽん醸造じょうぞう協会きょうかい、2013ねん、310-317ぺーじNAID 100311692692017ねん2がつ1にち閲覧えつらん