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加速度かそくどけい

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加速度かそくどけい(かそくどけい, えい: accelerometer)は、物体ぶったい加速度かそくど計測けいそくする機器ききである。加速度かそくどセンサともばれる。

小型こがた加速度かそくどけい加速度かそくどセンサ)はMEMS技術ぎじゅつもちいて作製さくせいされる。MEMS加速度かそくどセンサの場合ばあい質量しつりょうちいさいため感度かんど低下ていかするが劇的げきてき小型こがた可能かのうになるため、自動車じどうしゃエアバッグカーナビゲーション傾斜けいしゃけい、ゲームのコントローラなどに使つかわれている。精度せいど測定そくていじく基準きじゅん仕様しようされるため、じく方向ほうこう筐体きょうたい固定こていめん(およびその加工かこう精度せいど)で確定かくていしないと加速度かそくどセンサが提唱ていしょうする精度せいど意味いみがなくなり、とくにプリント基板きばんじょう加速度かそくどセンサが実装じっそうされただけの状態じょうたいでは計測けいそく用途ようと適用てきようがたい。

原理げんり

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機械きかいてき変位へんい測定そくてい方式ほうしき

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もっとも一般いっぱんてき計測けいそく原理げんりは、ばねコイルばねいたばね)がつながったおもり(マス、質量しつりょう)の、加速度かそくどくわわったときの位置いち変化へんかとらえることである。

質量しつりょうm [kg] のおもり加速度かそくどa [m/s2] がくわわったとき、おもりはたらちからF [N] は

あらわせる。いまおもりばね定数ていすうk [N/m] (=[kg/s2]) のばねにより支持しじしたときにおもりx [m] だけ変位へんいしたとすると、フックの法則ほうそくもちいれば、

となるため、加速度かそくどa [m/s2] は

となり、ばね定数ていすうkおもり質量しつりょうm既知きちであれば、おもり変位へんいx検出けんしゅつすることにより加速度かそくど計測けいそくできる。根本こんぽんてき性能せいのうは、ばね定数ていすうおもり質量しつりょう決定けっていするため、検出けんしゅつ方法ほうほう向上こうじょう安定あんていせいたい環境かんきょうせいなどがおも研究けんきゅう開発かいはつ対象たいしょうとなっている。

変位へんい計測けいそくにはしずかでん容量ようりょう変化へんかひずみゲージピエゾ効果こうかによる電気でんき抵抗ていこう変化へんかなどを使つかう。

機械きかいしき加速度かそくどセンサは計測けいそく装置そうちとしてある程度ていどおおきさと重量じゅうりょうめ、慣性かんせい質量しつりょうおおきくなる傾向けいこうがあるので、短時間たんじかんでの計測けいそくにはかず、また、ばね自身じしん振動しんどうをもたらすために共振きょうしんいきちかくでの加速かそく運動うんどうにはおおきな誤差ごさしょうじる。可動かどうでの注油ちゅうゆ金属きんぞくでのびなどの機械きかいゆえの経時きょうじ劣化れっかという問題もんだいもある。

たか精度せいどもとめられる地球ちきゅう重力じゅうりょく加速度かそくど計測けいそくでは、こう真空しんくう容器ようきないにコーナキューブという反射はんしゃたい落下らっかさせて、その落下らっか時間じかん測定そくていすることで重力じゅうりょく精密せいみつはかる「絶対ぜったい重力じゅうりょく加速度かそくどけい」という計測けいそくもある。

振動しんどうもちいる方式ほうしき

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おもりをつけたばねを共振きょうしん周波数しゅうはすう振動しんどうさせる。おもり加速度かそくどくわわるとばねにくわわる応力おうりょく変化へんかするためばねの共振きょうしん周波数しゅうはすう変化へんかする。これはギターつるったりゆるめたりするとおとわるのとおな原理げんりである。この周波数しゅうはすう変化へんか検出けんしゅつすることで加速度かそくど検出けんしゅつする。

Qたかいばね構造こうぞう音叉おんさがたなどがよく使つかわれる)をもちいると、周波数しゅうはすう変化へんか検出けんしゅつ精度せいどがるので、たか測定そくてい精度せいどられる。

この原理げんり電子でんし天秤てんびんなど精密せいみつ物体ぶったいおもさをはか装置そうちにも使つかわれている。この場合ばあい物体ぶったいおもさによってばねにくわわる応力おうりょくわるため、周波数しゅうはすう変化へんかきる。

光学こうがくてき方式ほうしき

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光学こうがくしき加速度かそくどセンサにはいくつかの形式けいしきがあり、加速度かそくどによってしょうじる位置いち変化へんか光学こうがくてき伝達でんたつする目的もくてき検出けんしゅつ増幅ぞうふくするために使用しようされ、ひかりセンサによって最終さいしゅうてきには電気でんき信号しんごう変換へんかんする。FBGこうファイバしきでは、おもりにかかる加速度かそくどをFBG (Fiber Bragg Grating) ひかりファイバへの張力ちょうりょくとすることで、波長はちょう変化へんか検出けんしゅつする。一度いちど半導体はんどうたいしき加速度かそくどセンサで測定そくていしたデータをひかりファイバーせて伝送でんそうするもの光学こうがくしき場合ばあいもあり、さまざまな形式けいしき存在そんざいする。

半導体はんどうたい方式ほうしき

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しずかでん容量ようりょうがた
上下じょうげ方向ほうこう加速度かそくど測定そくていする。
1.アンカー電極でんきょく 2.固定こてい電極でんきょく 3.中間なかま電極でんきょく 4.固定こてい-可動かどう電極でんきょくあいだせいでん容量ようりょう検出けんしゅつ 5.中間なかま電極でんきょく-可動かどう電極でんきょくせいでん容量ようりょう検出けんしゅつ 6.はり構造こうぞう
半導体はんどうたいピエゾ抵抗ていこうがた
1. 平面へいめん 2.ダイヤフラム 3.ピエゾ抵抗ていこう 4.側面そくめん 5.XじくまたはYじく方向ほうこう加速度かそくどがかかった場合ばあい側面そくめん 6.おもりよこかれピエゾ抵抗ていこう等分とうぶん変化へんか検出けんしゅつされる 7.Zじく方向ほうこう加速度かそくどがかかった場合ばあい側面そくめん 8.おもりたてかれピエゾ抵抗ていこう等分とうぶん変化へんか検出けんしゅつされる
ガス温度おんど分布ぶんぷがた
2じく方向ほうこう測定そくていできる。
1.平面へいめん 2.側面そくめん 3.ヒーター 4.温度おんど計測けいそく抵抗ていこうブリッジ

機械きかいしき光学こうがくしき加速度かそくどセンサでは製造せいぞう調整ちょうせい補修ほしゅう手間てまがかかりコストをげ、小型こがた知能ちのうにもかないため、近年きんねん多様たよう装置そうち使用しようされる加速度かそくどセンサには半導体はんどうたいしき採用さいようおおくなっている。いずれもMEMS (Micro Electro Mechanical Systems) 技術ぎじゅつ使つかったものである[1]

しずかでん容量ようりょうがた
りょう構造こうぞうささえられた微小びしょう可動かどうでのわずかな位置いち変化へんかしずかでん容量ようりょう変化へんかとして検出けんしゅつし、電気でんき回路かいろによって増幅ぞうふく計測けいそくする。せいでん容量ようりょう検出けんしゅつするくしがた構造こうぞうあら箇所かしょこまかな箇所かしょの2種類しゅるいつくることで、検出けんしゅつ精度せいどげている。
ピエゾ抵抗ていこうがた
シリコン半導体はんどうたい製造せいぞう技術ぎじゅつによって、表面ひょうめんえん環状かんじょううすつくりダイヤフラムを形成けいせいする。中央ちゅうおうおもりをこのうす金属きんぞくささえることで加速度かそくどによる変位へんい検出けんしゅつしやすくる。ダイヤフラムの位置いち変化へんかピエゾ抵抗ていこう素子そしによって検出けんしゅつし、電気でんき回路かいろによって増幅ぞうふく計測けいそくする。ダイヤフラムとピエゾ抵抗ていこう素子そしかた工夫くふうすることで、3じく方向ほうこうでの加速度かそくど検出けんしゅつ可能かのうになっている。
ガス温度おんど分布ぶんぷがた
空洞くうどう中央ちゅうおうあたためられ、かるくなったガスが加速度かそくどによって移動いどうするのを、周囲しゅうい温度おんど計測けいそく抵抗ていこうブリッジの抵抗ていこう変化へんか検出けんしゅつし、電気でんき回路かいろによって増幅ぞうふく計測けいそくする。すなわち、方式ほうしきでは空気くうきよりおもおもりをマスとしているが、ほん方式ほうしきではぎゃく空気くうきよりかるいガス部分ぶぶんをマスとしてかんがえる。機械きかいてき可動かどう部分ぶぶんがないためMEMS工程こうてい歩留ぶどまりがく、結果けっかとして安価あんか製造せいぞう可能かのうといわれる。

検出けんしゅつじくすう

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検出けんしゅつじくすうによって1じく・2じく・3じくのセンサがある。

3じく加速度かそくどセンサ

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3じく加速度かそくどセンサーは、X,Y,Zじくの3方向ほうこう加速度かそくどを1デバイスで測定そくていできるMEMSセンサの一種いっしゅである。±すう [g]の範囲はんい測定そくてい可能かのうである。

代表だいひょうてきな3じく加速度かそくどセンサには以下いかのものがある。

  • ピエゾ抵抗ていこうがた3じく加速度かそくどセンサ
  • しずかでん容量ようりょうがた3じく加速度かそくどセンサ
  • ねつ検知けんちがた3じく加速度かそくどセンサ

メーカーとしては、以下いか会社かいしゃ製造せいぞうしている。

おう用例ようれい

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厳密げんみつ精度せいど要求ようきゅうされる科学かがく実験じっけん地震じしんけいといった加速度かそくど計測けいそく機器ききとして利用りようされるほかに、歩数ほすうけい携帯けいたい電話でんわ画面がめん上下じょうげ方向ほうこうめるのに使用しようされるなど、このセンサの用途ようと多岐たきわたっている。

関連かんれんする計測けいそく

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地震じしんけい重力じゅうりょくけい傾斜けいしゃけいなどは加速度かそくどけい一種いっしゅといえるが、用途ようとにより、精度せいど使用しよう帯域たいいき、ダイナミックレンジ、安定あんていせいなどの性能せいのう特徴とくちょうてきである。たとえば、地震じしんけい地震じしん周期しゅうき付近ふきん感度かんどたせることで、地震じしん以外いがい振動しんどう地震じしん周期しゅうきよりみじかい)の検出けんしゅつおさえている。

出典しゅってん

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  1. ^ 西原にしはら主計かずえ へん『センシング入門にゅうもん』(1はんム社むしゃ、2007ねん3がつ20日はつかISBN 9784274203787 
  2. ^ 菊池きくちただしてん電子でんしデバイス』(はつ日本にっぽん実業じつぎょう出版しゅっぱんしゃ、2005ねん12月20にちISBN 4534040083 

関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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