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Q

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
品質ひんしつ係数けいすうQ
quality factor
りょう記号きごう Q
次元じげん 次元じげんりょう
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半値はんね全幅ぜんぷく (FWHM)

Qえい: quality factor)または品質ひんしつ係数けいすうQおも振動しんどう状態じょうたいあらわ次元じげんりょうである。弾性だんせい伝播でんぱにおいては、媒質ばいしつ吸収きゅうしゅうによるエネルギーの減少げんしょう関係かんけいするである。振動しんどうにおいては、けいたくわえられるエネルギーを、一周いっしゅうあいだけいから散逸さんいつするエネルギーでったもので、このおおきいほど振動しんどう安定あんていであることを意味いみする。また、Q振幅しんぷく増大ぞうだい係数けいすうとされる場合ばあいもある。これは、共振きょうしん周波数しゅうはすう近傍きんぼうでの強制きょうせい振動しんどうにおける最大さいだい振幅しんぷく静的せいてき強制きょうせいりょくによる変位へんいのQばいとなることから解釈かいしゃくされる。振動しんどう電気でんき回路かいろ場合ばあいには一般いっぱんにQたかいほうがのぞましいが、ぎゃくにQたかいほど応答おうとうせいわるくなり、起動きどう時間じかんながくなるというめんもある。

振動しんどうする物理ぶつりりょう実際じっさい振動しんどう状態じょうたいは、周波数しゅうはすうじく展開てんかいした振動しんどう振幅しんぷく(えい: Amplitude)や位相いそう(えい: Phase)のスペクトラムにより理解りかいされる。振動しんどうスペクトラムの共振きょうしんピーク近傍きんぼうかたちはその振動しんどうけい振動しんどう状態じょうたい特徴付とくちょうづける。Qとは

定義ていぎされる次元じげんすう。ここで、 はそれぞれ共振きょうしんピークでの共振きょうしん周波数しゅうはすう共振きょうしんピークの左側ひだりがわにおいて振動しんどうエネルギーが共振きょうしんピークの半値はんねとなる周波数しゅうはすう共振きょうしんピークの右側みぎがわにおいて振動しんどうエネルギーが半値はんねとなる周波数しゅうはすうである。ここで半値はんねはばぶ。

Qひく機械きかい振動しんどうけい振動しんどうエネルギーの分散ぶんさんおおきいけいである。 Qたか構造こうぞうぶつでは一旦いったん振動しんどう開始かいしされると振動しんどうながつづく。

Qひく素材そざい振動しんどうがすぐに減少げんしょうする性質せいしつがある。これを利用りようしてぼうざい防音ぼうおんざいもちいられる。

電気でんき工学こうがく

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RLC直列ちょくれつ回路かいろ

電子でんし工学こうがく分野ぶんやでも共振きょうしん回路かいろ共振きょうしんのピークのするどさをあらわ「Q」(Quality factor)として一般いっぱんてきもちいられる。定義ていぎ上記じょうき同一どういつであり、インダクタキャパシタもちいた直列ちょくれつ共振きょうしん回路かいろ場合ばあい

あらわせる。これはインダクタンス L をおおきくしてキャパシタンス C をちいさく、直列ちょくれつ抵抗ていこう R をすくなくするほど Q がおおきくなることをしめす。このため、選択せんたくかせ必要ひつようがある共振きょうしん回路かいろにおいては、インダクションコイルのせんみちふとくして抵抗ていこうさえ、だいみちピッチでいて分布ぶんぷ容量ようりょうらすなどの工夫くふうをする。 また、かく振動しんどうすうは、

もちいることで、

あらわせる。

また、水晶すいしょう振動しんどうLC共振きょうしん回路かいろくらべて Q がおおきいため、正確せいかく安定あんていした発振はっしん回路かいろけの共振きょうしん回路かいろとして一般いっぱんもちいられる。水晶すいしょう自体じたいすうひゃくまんたっするたかいQっているため、それを利用りようした回路かいろでは、すうせんからすうまん達成たっせいできる。一般いっぱんてきなLC共振きょうしんのQはすうじゅう程度ていどで、周波数しゅうはすうたかいほどQがる。


RLC並列へいれつ回路かいろ

並列へいれつ回路かいろ場合ばあい

となる[1]

機械きかい工学こうがく

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1自由じゆうのばね-質量しつりょうけいにおいて、Q機械きかいてき抵抗ていこうもちいて表現ひょうげんできる。

ここで M は質量しつりょう, K は弾性だんせいりつで R は機械きかいてき抵抗ていこうである。 ばね-質量しつりょうけいかく振動しんどうすうもちいて、

また、べつ表現ひょうげんをすれば、

導出どうしゅつできる。

Qは減衰げんすい定数ていすう 損失そんしつりつ もちいて、

あらわされる。

ここで、周期しゅうきてき外力がいりょく作用さようする強制きょうせい振動しんどうかんがえる。

このかいは、

となるから、 sin成分せいぶんとcos成分せいぶんのそれぞれの係数けいすう比較ひかくすることにより連立れんりつ方程式ほうていしきててくと、

このとき、共振きょうしん周波数しゅうはすう:における振動しんどうかんがえると

したがって、

なお、静的せいてき荷重かじゅう変位へんいx0は、

となるから、共振きょうしん周波数しゅうはすうでの振幅しんぷくとのは、

したがって、共振きょうしん周波数しゅうはすうにおいて、振動しんどう振幅しんぷく静的せいてき荷重かじゅうのQばい増大ぞうだいする。

光学こうがく

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光学こうがくてきには、空洞くうどう共振きょうしんのQ以下いかしきもとめられる。

ここで共振きょうしん周波数しゅうはすう はキャビティにたくわえられるエネルギー、 散逸さんいつりつである。光学こうがくてきQは、共振きょうしん周波数しゅうはすうをその共振きょうしん半価はんかはばったものにひとしい。キャビティない光子こうし寿命じゅみょうは、このQ比例ひれいする。 レーザー技術ぎじゅつひとつとして、キャビティのQえることによって、こう出力しゅつりょくることができる。この技術ぎじゅつQスイッチばれている。

メスバウアー効果こうかによる共鳴きょうめい現象げんしょうのQすうギガにたっする。

材料ざいりょう科学かがく

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誘電ゆうでんたい材料ざいりょうにおいてtanδでるた逆数ぎゃくすうとして定義ていぎされる。一般いっぱんてきには、誘電ゆうでんりつたか材料ざいりょうほどQひくく、周波数しゅうはすう上昇じょうしょうともなって低下ていかする。したがって、Qではなく、周波数しゅうはすうとのせきであるfQせきもちいて、材料ざいりょう良否りょうひ判断はんだんすることがおおい。

脚注きゃくちゅう

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  1. ^ だい一級陸上特殊無線技士無線工学試験 JZ10A

関連かんれん項目こうもく

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参考さんこう文献ぶんけん

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  • T. Ohira, "What in the world is Q," IEEE Microwave Magazine, vol.17, no.6, pp.42-49, June 2016. ISSN 1527-3342.

外部がいぶリンク

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