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はん単純たんじゅんたまき

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数学すうがくとく代数だいすうがくにおいて、たまき AA-ぐんとしてはん単純たんじゅんぐん、すなわち、自明じめい部分ぶぶんぐんをもたない A-ぐん直和なおかずであるとき、Aはん単純たんじゅんたまきという。これは、同型どうけいちがいをのぞいて、(かわとはかぎらない)からだじょうぜん行列ぎょうれつたまき有限ゆうげん直積ちょくせきである。

この概念がいねん数学すうがくおおくの分野ぶんやにおいてあらわれる。たとえば、線型せんけい代数だいすうがくかずろん有限ゆうげんぐん表現ひょうげんろん英語えいごばんリーぐんろんリーたまきろんげられる。これはたとえば、フロベニウスの相互そうご法則ほうそくフランス語ふらんすごばん証明しょうめい役立やくだつ。

はん単純たんじゅん多元たげんたまき理論りろんシューアの補題ほだいアルティン・ウェダーバーンの定理ていり基盤きばんとしている。

一般いっぱんろん[編集へんしゅう]

単純たんじゅんぐんはん単純たんじゅんぐん[編集へんしゅう]

詳細しょうさい記事きじ単純たんじゅんぐんはん単純たんじゅんぐん

AたまきMA-ぐんとする。

  • M単純たんじゅんぐんであるとは、M は {0} でなく、その部分ぶぶんぐんが {0} と Mかぎるときにいう。たとえば、からだじょうぐんすなわちベクトル空間くうかん単純たんじゅんであるとは次元じげんが1ということである。
  • Mはん単純たんじゅんぐん であるとは、M単純たんじゅん A-ぐんの(有限ゆうげんとはかぎらない)ぞく直和なおかず同型どうけいであるときにいう。これは、すべての部分ぶぶんぐん Nたいしてある部分ぶぶんぐん P存在そんざいして MNP直和なおかずになるとってもおなじである。たとえば、からだじょう任意にんいのベクトル空間くうかんはん単純たんじゅんである。

はん単純たんじゅんたまき[編集へんしゅう]

定義ていぎ[編集へんしゅう]

たまき Aはん単純たんじゅんであるとは、Aひだり A-ぐんAはん単純たんじゅんであることをいう。おどろくべきことに、"ひだりはん単純たんじゅんかん"は"みぎはん単純たんじゅんかん"であり、ぎゃくもまたしかり。かわからだじょうの(単位たんいもとをもつ結合けつごうてき多元たげんたまきはん単純たんじゅんであるとは、それがたまきとしてはん単純たんじゅんであるときにいう。

Aひだり A-ぐんたときにその部分ぶぶんぐんAひだりイデアルであるから、以下いか同値どうちである。

  • Aはん単純たんじゅんたまきである。
  • A は、ひだり A-ぐんて、ひだり極大きょくだいイデアル I による剰余じょうよぐん A/I の(有限ゆうげんとはかぎらない)ぞく直和なおかず同型どうけいである。
  • A任意にんいひだりイデアル Iたいしてひだりイデアル J存在そんざいし、AIJ直和なおかずになる。つまり、A任意にんいもと xたいし、Iもと yJもと zくみ一意的いちいてき存在そんざいし、x = y + zける。

れい[編集へんしゅう]

はん単純たんじゅんたまきれいをいくつかよう。

  • れいたまきはん単純たんじゅんである。
  • すべての(かわとはかぎらない)からだはん単純たんじゅんたまきである。
  • 単純たんじゅんたまきはん単純たんじゅんたまきであることとアルティンたまきであることは同値どうちである[1], [2]たとえば、DからだED うえのベクトル空間くうかん次元じげん n が0でなく有限ゆうげんならば、たまき EndD EMn(D) は単純たんじゅんアルティンたまきなのではん単純たんじゅんたまきである。
  • はん単純たんじゅんたまき反転はんてんたまきはん単純たんじゅんである。
  • 有限ゆうげんはん単純たんじゅんたまきとくからだ)の直積ちょくせきはん単純たんじゅんである。たとえば VK-ベクトル空間くうかんφふぁいm 固有値こゆうちによってたいかく可能かのうV自己じこじゅん同型どうけいであれば、φふぁい生成せいせいされた K-多元たげんたまきKm同型どうけいであるので、はん単純たんじゅんたまきである。
  • はん単純たんじゅんたまき両側りょうがわイデアルによる剰余じょうよたまきはん単純たんじゅんである。
  • Aはん単純たんじゅんたまきM有限ゆうげんがた A-ぐんとする。このとき A-ぐん M自己じこじゅん同型どうけいたまきはん単純たんじゅんたまきである。
  • nせい整数せいすうとする。剰余じょうよたまき Z/(n) がはん単純たんじゅんであるのは n平方へいほう因子いんしをもたないとき、かつそのときにかぎ[3]
  • fからだ K うえ定数ていすうでない一変いっぺんすう多項式たこうしきとする。剰余じょうよたまき K[X]/(f) がはん単純たんじゅんであるのは f平方へいほう因子いんしをもたない(たがいにもとすんでやく多項式たこうしきせきである)とき、かつそのときにかぎ[4]

性質せいしつ特徴とくちょうづけ[編集へんしゅう]

はん単純たんじゅんたまきホモロジー代数だいすうてきいちじるしい特徴とくちょうつ。

定理ていりAたまきとする。以下いか同値どうち

もちろん、「ひだり」を「みぎ」にえたものも同値どうちである[6]

関連かんれんした概念がいねん[編集へんしゅう]

はん単純たんじゅんせいべつ概念がいねん[編集へんしゅう]

たまきはん単純たんじゅんせい概念がいねん著者ちょしゃによっておおきくことなり、すべてが同値どうちではないが、たまきがアルティンてき(かつ単位たんいてき)と仮定かていすれば一般いっぱんてきなものは同値どうちになる。ある著者ちょしゃはん原始げんしたまき[5]のことをはん単純たんじゅんたまきという。またある著者ちょしゃ単純たんじゅんたまき部分ぶぶん直積ちょくせきのことをはん単純たんじゅんたまきという。また、「単位たんいもとをもたない」たまきたいするはん単純たんじゅんせい概念がいねんもある。

分離ぶんりてき多元たげんたまき[編集へんしゅう]

Kかわからだとし AK うえ有限ゆうげん次元じげんはん単純たんじゅん多元たげんたまきとする。Kかん全体ぜんたいたとえばしるべすう0のからだ代数だいすうてき閉体、有限ゆうげんたい)であれば、任意にんい部分ぶぶんたい Lたいし、AK から L への係数けいすう拡大かくだいによってられる L-多元たげんたまき はん単純たんじゅんである。一方いっぽう一般いっぱんからだ Kたいしてはこのかぎりではないが、そうであるときは、A分離ぶんりてきであるという。それゆえ、K完全かんぜんたいならば A分離ぶんりてきである。

はん単純たんじゅんたまき構造こうぞう[編集へんしゅう]

はん単純たんじゅんたまき分解ぶんかい[編集へんしゅう]

Aはん単純たんじゅんたまきとする。

すると A極小きょくしょう両側りょうがわイデアル(A両側りょうがわイデアルの集合しゅうごう包含ほうがん関係かんけいによる極小きょくしょうもと)の集合しゅうごう有限ゆうげんである。I1, ..., Ip をその両側りょうがわイデアルとする。かく Ik誘導ゆうどうされたせきについて単純たんじゅんアルティンてき(ゆえ単位たんいてきたまきである。Ik から A へのカノニカルなたんしゃ拡張かくちょうした、I1 × ... × Ip から A への一意的いちいてきぐんじゅん同型どうけい存在そんざいし、これはかん同型どうけいである。

したがってたまき A単純たんじゅんアルティンたまき有限ゆうげん直積ちょくせき同型どうけいであり、この表示ひょうじ因子いんしせき順序じゅんじょちがいをのぞいて一意的いちいてきである。この因子いんし極小きょくしょう両側りょうがわイデアルであり、A単純たんじゅん成分せいぶんふつ: composant simple)とばれる。

たまきはん単純たんじゅんであるためには、単純たんじゅんアルティンたまき有限ゆうげん直積ちょくせきたまき同型どうけいであることが必要ひつよう十分じゅうぶんである。

はん単純たんじゅんたまき中心ちゅうしんかく単純たんじゅん成分せいぶん中心ちゅうしん直積ちょくせきたまき同型どうけいであり、かわからだ有限ゆうげん直積ちょくせきたまき同型どうけいである。じつは、かわはん単純たんじゅんたまきかわからだ有限ゆうげん直積ちょくせき同型どうけいたまきならない。

アルティン・ウェダーバーンの定理ていり[編集へんしゅう]

任意にんいはん単純たんじゅんたまき有限ゆうげん単純たんじゅんアルティンたまき直積ちょくせきとして(順序じゅんじょちがいをのぞいて)一意的いちいてきけるので、はん単純たんじゅんたまき分類ぶんるい単純たんじゅんアルティンたまき分類ぶんるい帰着きちゃくする。単純たんじゅんアルティンたまき同型どうけいちがいをのぞいてちょうど Mn(D)(n つぎぜん行列ぎょうれつたまき)のかたちをしている。ただし n > 0 で Dからだ。よってつぎのようにえる。

アルティン・ウェダーバーンの定理ていりAたまきとする。以下いか同値どうちである。

  • Aはん単純たんじゅんである。
  • AMn1(D1) × ... × Mnp(Dp) と同型どうけいである。ただし n1, ..., np > 0 は整数せいすうD1, ..., Dp は(かわとはかぎらない)からだである。
  • A は EndD1(E1) × ... × EndDp(Ep) と同型どうけいである。ただし D1, ..., DpからだE1, ..., Ep はそれぞれ D1, ..., Dp うえの0でない有限ゆうげん次元じげんベクトル空間くうかんである。

有限ゆうげん次元じげんはん単純たんじゅん多元たげんたまき場合ばあい[編集へんしゅう]

このふしにおいて、Kかわからだあらわす。

A有限ゆうげん次元じげんはん単純たんじゅん K-多元たげんたまきとする。このとき Aかく単純たんじゅん成分せいぶん A1, ..., Ap上記じょうき参照さんしょう)は有限ゆうげん次元じげん単純たんじゅん K-多元たげんたまきであり、AK-多元たげんたまきとして A1 × ... × Ap同型どうけいである。したがって、はん単純たんじゅん K-多元たげんたまきとは、同型どうけいちがいをのぞいて、有限ゆうげん次元じげん単純たんじゅん K-多元たげんたまき有限ゆうげん直積ちょくせきならない。

AMn1(D1) × ... × Mnp(Dp) のかたちであるかまたは A = EndD1(E1) × ... × EndDp(Ep) のかたちであれば、KDi中心ちゅうしん部分ぶぶんたいであり、DiK うえ次元じげん有限ゆうげんである。ぎゃくに、すべての有限ゆうげん次元じげんはん単純たんじゅん K-多元たげんたまきはこのかたちである。

K代数だいすうてき閉体であれば、A は、同型どうけいちがいをのぞいて、Mn1(K) × ... × Mnp(K) のかたちである。さらに、A中心ちゅうしんKp同型どうけいである。

はん単純たんじゅんたまきじょう単純たんじゅんぐん[編集へんしゅう]

A = A1 × ... × Apはん単純たんじゅんたまき単純たんじゅんアルティンたまき直積ちょくせきへの分解ぶんかい(これは因子いんし順序じゅんじょちがいをのぞいて一意いちい)とする。このとき、単純たんじゅん A-ぐん同型どうけいるいp 存在そんざいする。M単純たんじゅん A-ぐんであれば、唯一ゆいいつの 1 ≤ kp存在そんざいして AkM ≠ {0} がち、このとき Ak-ぐんとして M単純たんじゅんである。

DiからだEiDi うえ0でない有限ゆうげん次元じげんベクトル空間くうかんとし、A = EndD1(E1) × ... × EndDp(Ep) とする(これは同型どうけいちがいをのぞいて一般いっぱんせいうしなわない)。このときかく Ei は ((f1, ..., fp), xi) ↦ fi(xi) によって A-ぐんであり、Ei同型どうけいちがいをのぞいて唯一ゆいいつ単純たんじゅん A-ぐんである。

マシュケの定理ていり[編集へんしゅう]

詳細しょうさい記事きじdictionnaire entre les représentations d'un groupe et les K[G]-modules

マシュケの定理ていり有限ゆうげんぐん表現ひょうげんろん英語えいごばんにおける定理ていりだが、有限ゆうげんぐんぐんたまきはん単純たんじゅんせい言葉ことば解釈かいしゃくできる。

マシュケの定理ていり有限ゆうげんぐん Gかわからだ K うえぐんたまき K[G] は、KしるべすうGすうらないならば、はん単純たんじゅんたまきである。

K[G]-単純たんじゅんぐん本質ほんしつてきGすんでやく表現ひょうげんであり、これは(有限ゆうげんぐん G について)正則せいそく表現ひょうげん部分ぶぶん表現ひょうげん同値どうちなので、同型どうけいちがいをのぞいて有限ゆうげんしかなく、それらはすべて有限ゆうげん次元じげんである。

歴史れきし[編集へんしゅう]

起源きげん[編集へんしゅう]

Camille Jordan

多元たげんたまき概念がいねん研究けんきゅう歴史れきしはもともと線型せんけい代数だいすうがく群論ぐんろん関係かんけいのそれと関係かんけいふかい。ジェームス・シルベスター (James Sylvester)[7]アーサー・ケイリー (Arthur Cayley) は1850ねん行列ぎょうれつ概念がいねん発展はってんさせた。この概念がいねんおおくの結果けっかをもたらし、そのうちの1つは概念がいねん起源きげんである。これはぐんとくに、ガロワぐんと、あたらしい方向ほうこうである行列ぎょうれつぐん研究けんきゅう具体ぐたいすることができる。はじめは有限ゆうげん場合ばあいだけが研究けんきゅうされていたが、あきらかにあたらしい構造こうぞうあらわれ、それはいまではぐん同型どうけいによって生成せいせいされた自己じこじゅん同型どうけい多元たげんたまきかんがえられている。

カミーユ・ジョルダン (Camille Jordan) は、ケイリーとともに時代じだいだい専門せんもんであったが、それを集中しゅうちゅうてき利用りようした。1869ねんジョルダン・ヘルダーの定理ていり名前なまえられる有限ゆうげんぐん分解ぶんかいれつ存在そんざい証明しょうめいされた[8]。そのようなれつ一意いちいせいは20ねんオットー・ヘルダー (Otto Hölder) によって証明しょうめいされる。この定理ていりおしえる可能かのうせいがある講義こうぎは 2 つある。有限ゆうげんぐん講義こうぎぐん講義こうぎである。後者こうしゃ本質ほんしつてき構造こうぞう性質せいしつ対応たいおうする。それは数学すうがくいち分野ぶんやかわたまきろんになった興味きょうみ起源きげんの 1 つである。ガロワぐん解析かいせき線型せんけい代数だいすうがくにおいても観点かんてん提供ていきょうする。それはジョルダンにこの代数だいすうとおして有限ゆうげん次元じげんにおいて自己じこじゅん同型どうけい研究けんきゅうすることをもたらし、その構造こうぞうふか最終さいしゅうてき理解りかいができた。この結果けっか総合そうごうほんにおいて1870ねん出版しゅっぱんされた[9]。それはジョルダン標準ひょうじゅんがた名前なまえられており、有限ゆうげんもとたい、すなわち素数そすうほうとした整数せいすうからだじょう適用てきようする。

ジョルダンの仕事しごとおおきな影響えいきょうあたえ、そのそう合本がっぽんぐん、ガロワ、そしれ線型せんけい代数だいすう理論りろん参考さんこうしょになった。それは1 つには線型せんけいぐんとおしたぐん解析かいせきゆたかにする段階だんかいであるということを、また 1 つには代数だいすう構造こうぞう同時どうじぐん線型せんけい代数だいすう言葉ことばにおいて教育きょういくにおいてゆたかであることを、証明しょうめいする。

群論ぐんろん[編集へんしゅう]

ぐん理解りかい追求ついきゅう数学すうがく主要しゅよう主題しゅだいである。その適切てきせつ興味きょうみで、この構造こうぞう理解りかいはたくさんの主題しゅだいかぎである。ガロワ理論りろん代数だいすう方程式ほうていしき問題もんだい心臓しんぞう位置いち、とその結果けっかはたくさんである、からだ構造こうぞう解析かいせきはこの時代じだいガロワの理論りろんとたくさんのたまき理解りかい同一どういつされる、算術さんじゅつ利用りようはこの理論りろんたよる。幾何きかがくけっして例外れいがいではない。1870ねん、2 にん数学すうがくしゃフェリックス・クライン (Felix Klein) と ソフス・リー (Sophus Lie) はパリにジョルダンをたずねた。かれらはとく対称たいしょうぐんたすけをりて幾何きかがく研究けんきゅうするふるかれ出版しゅっぱんぶつ[10]興味きょうみがあった。ソフス・リーは連続れんぞくぐん理論りろん発展はってんさせ、クラインはかれ有名ゆうめいなプログラム[11]においてぐんとおして幾何きかがく分類ぶんるいした。かれらは本質ほんしつてき有限ゆうげんしるべすう見逃みのがした。

ゲオルグ・フロベニウス (Georg Frobenius) は、リヒャルト・デデキント (Richard Dedekind) との文通ぶんつうから[12]有限ゆうげんぐんそしてとくに、当時とうじ déterminant de groupeばれいまではすたれてしまった行列ぎょうれつ表現ひょうげん分解ぶんかい概念がいねん興味きょうみった。この手紙てがみぐん表現ひょうげんろんフランス語ふらんすごばん起源きげんである。1897ねんかれ表現ひょうげん、すなわちベクトル空間くうかん線型せんけい作用さようするぐん、と、ぐん、ただしたまきがその空間くうかん作用さようする、のあいだ近接きんせつをとらえた[13]飛躍ひやくめられ、ぐん線型せんけいされぐんになる。ぐんじょうぐん構造こうぞう同値どうち構造こうぞうぐんうえのすべての進歩しんぽ表現ひょうげんろんしたがって群論ぐんろん進歩しんぽさせる主題しゅだいである。

ハインリッヒ・マシュケ (Heinrich Maschke) は、クラインの生徒せいとであったが、かれ定理ていり証明しょうめいした最初さいしょひとである[14]。それはこのタイプのぐん構成こうせいするもと決定けっていする。それははん単純たんじゅんである。それは整数せいすうたまきのようなユークリッドたまきつよいアナロジーをつ。それらは有限ゆうげんしか存在そんざいしないちがいにおいてすこ素数そすう対応たいおうするはん単純たんじゅんぐんれつ分解ぶんかいする。

多元たげんたまき構造こうぞう[編集へんしゅう]

Joseph Wedderburn

はん単純たんじゅん多元たげんたまき構造こうぞうはますます中心ちゅうしんてきである。表現ひょうげん場合ばあいにおいて、それは任意にんいのベクトル空間くうかんじょうではなく自身じしんうえぐん線型せんけい拡大かくだい作用さよう対応たいおうする。べつ分野ぶんや数学すうがく自然しぜんにこの概念がいねん使用しようをもたらす。ガロワ拡大かくだい類似るいじ構造こうぞうからだろんはこの対象たいしょう研究けんきゅう仮定かていする。最後さいごに、リーによって発展はってんされた連続れんぞくぐんはん単純たんじゅん多元たげんたまき構造こうぞうったせっ空間くうかんかくてんける。20世紀せいきはじまりにはこの主題しゅだいはこの概念がいねん研究けんきゅうしている様々さまざま数学すうがくしゃ主要しゅようになった。多元たげんたまきぐん構造こうぞうもまたっているからぐん分解ぶんかい定理ていり適用てきようできる。

ウィリアム・バーンサイド (en:William Burnside) はフロベニウスのアプローチをただちにつかんだ。線型せんけいぐんしたにある多元たげんたまき構造こうぞう重要じゅうようせいげなかった。かれは1897ねん有限ゆうげんぐんかんするかれ参考さんこう文献ぶんけん初版しょはん[15]最初さいしょ結果けっか確立かくりつした。からだ代数だいすうてきに閉場合ばあい有限ゆうげん次元じげんベクトル空間くうかん自己じこじゅん同型どうけい集合しゅうごう単純たんじゅん多元たげんたまきである。その初等しょとうてきれい解明かいめいされた。

レオナード・ディクソン (Leonard Dickson) は1896ねん任意にんい有限ゆうげんたいじょう線型せんけいぐんとしてのガロワぐんを PhD の論文ろんぶんいてしたがってジョルダンの結果けっか一般いっぱんした。かれはすべての有限ゆうげんかわからだもとたいガロワ拡大かくだいであることを証明しょうめいした。それはヨーロッパで1901ねん出版しゅっぱんされる[16]基底きてい構造こうぞうはん単純たんじゅん多元たげんたまき構造こうぞうである。ガロワのアプローチはかわからだ研究けんきゅうしかゆるさないが、はん単純たんじゅん多元たげんたまきかわからだ研究けんきゅうゆるす。ディクソンはからだ一般いっぱんろん発達はったつさせ、かわからだのたくさんのれいつけた。この時期じきから 2 つの理論りろん:ガロワ理論りろんからだろん分離ぶんりはじまった。

エリ・カルタン (Élie Cartan) はかれ1894ねんささえたかれ学位がくい論文ろんぶん[17]のリー代数だいすう興味きょうみった。複素数ふくそすうたいじょう単純たんじゅんおよびはん単純たんじゅん多元たげんたまき構造こうぞうはすべてそこであつかわれている。ジョセフ・ウェダーバーン (Joseph Wedderburn) とともにかれはこの多元たげんたまき一般いっぱんてき構造こうぞう研究けんきゅうした。カルタンは複素数ふくそすう場合ばあいたいしてはん単純たんじゅん多元たげんたまき構造こうぞうあきらかにした。1907ねんウェダーバーンはたぶんもっと有名ゆうめいかれ論文ろんぶん[18]出版しゅっぱんした。かれはカルタンの結果けっか現在げんざいちょう複素数ふくそすうばれる任意にんいからだじょう多元たげんたまき一般いっぱんした。この一般いっぱん重要じゅうようである、なぜならば以前いぜん引用いんようされた応用おうようのすべてのれい斜体しゃたいもちいていたからだ。

たまき構造こうぞう[編集へんしゅう]

Emmy Noether

ウェダーバーンの定理ていり状況じょうきょう修正しゅうせいし、からだアプリオリかわであったとしてもすべての単純たんじゅん多元たげんたまきたい自然しぜんからだ存在そんざいする。したがって定理ていりたまき用語ようご表現ひょうげんできなければならない。ウェダーバーンはできなかったがしかし1908ねんに 1 つには根基こんきへのたまきを、1 つにははん単純たんじゅんふく分類ぶんるい提案ていあんした。この分解ぶんかい[19]はその後半こうはん世紀せいきあいだたまき理論りろん基本きほんになった。

この分野ぶんや研究けんきゅう巨匠きょしょうエミー・ネーター (Emmy Noether) である。彼女かのじょ現代げんだいたまきろんははのようにしばしばかんがえられる[20]彼女かのじょかわたまき理論りろん発達はったつさせイデアルの一般いっぱんろん基礎きそづけた[21]単純たんじゅん多元たげんたまき対応たいおうするすんでやくイデアルの概念がいねん、またイデアルのすべてのしんのぼりくさり有限ゆうげんであるようなたまき理論りろん発展はってんした。このたまきいまでは彼女かのじょとなえて名前なまえがついている。

エミール・アルティン (Emil Artin) は研究けんきゅうがネーターによって導入どうにゅうされた場合ばあい、イデアルのすべてのしんくだくさり有限ゆうげんであるようなたまき場合ばあいとく研究けんきゅうした。なが有限ゆうげんはん単純たんじゅんたまきはアルティンかつネーターである。1927ねん、アルティンは定理ていり最終さいしゅうてきかたちつけた[22]線型せんけい形式けいしきなしに定理ていりはそれを極大きょくだい範囲はんいれてき、それはかわ多元たげんたまき重要じゅうよう結果けっかになった。たまきおおきいクラスは任意にんいからだじょう結合けつごう多元たげんたまきせき同型どうけいである。

定理ていり最終さいしゅうてきであるが、ぎゃく解決かいけつのままであった。アルティンかつネーターなたまきほかたまきのどのようなクラスが定理ていりたすだろうか?最初さいしょこたえは1939ねんホプキンス・レヴィツキの定理ていりによってあたえられる: Charles Hopkins[23]Jakob Levitzkiくだくさり条件じょうけんのみが必要ひつようであることを証明しょうめいした。それにもかかわらずしんのブレイクスルー[24]条件じょうけんつけた Nathan Jacobson仕事しごとである。根基こんき概念がいねんかんがえられ、それはいまでははん単純たんじゅんたまき研究けんきゅう必須ひっすである。

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

  1. ^ a b たまきひだりアルティンてきであるとは、Aひだりイデアルの任意にんいくだくさりれつ停留ていりゅうてきであることをいう。
  2. ^ 注意ちゅうい任意にんい単純たんじゅんぐんはん単純たんじゅんであるが、単純たんじゅんたまきはん単純たんじゅんであるとはかぎらない。
  3. ^ Anderson, F. W.; Fuller, K. R. (1974). Rings and Categories of Modules. Springer. p. 121. ISBN 978-0-387-90070-4 
  4. ^ Erdmann, Karin; Holm, Thorsten (2018). Algebras and Representation Theory. Springer. p. 93 (Proposition 4.14). ISBN 978-3-319-91997-3 
  5. ^ a b ジャコブソン根基こんきが0であるたまきはん原始げんしたまきという。
  6. ^ その同値どうち条件じょうけんは、たとえば Louis H. Rowen Ring Theory Volume I p. 496 を参照さんしょう
  7. ^ J. Sylvester (1850). “Additions to the articles in the September number of this journal, “On a new class of theorems,” and on Pascal's theorem”. Philosophical Magazine. 3 37 (251): 363-370. 
  8. ^ C. Jordan (1869). “Commentaire sur Galois”. Mathematische Annalen. , rééd. Œuvres, Gauthier-Villars, 1961, vol. 1, p. 211-230
  9. ^ C. Jordan, Traité des substitutions et des équations algébriques, 1870
  10. ^ C. Jordan, « Sur les équations de la Géométrie », dans CRAS, 1869
  11. ^ F. Klein, Vergleichende Betrachtungen über neuere geometrische Forschungen, A. Deichert, 1872
  12. ^ Lam, T. Y. (1998). “Representations of Finite Groups: A Hundred Years, Part I”. Notices of the American Mathematical Society 45 (3): 361–372. http://www.ams.org/notices/199803/lam.pdf. , p. 365
  13. ^ F. G. Frobenius, « Über die Darstellung der endlichen Gruppen durch linear Substitutionen », dans Sitzungsber. Preuss. Akad. Wiss. Berlin, 1897
  14. ^ Maschke, H. (1899). “Beweis des Satzes, dass diejenigen endlichen linearen Substitutionesgruppen, in welchen einige durchgehends verschwindende Coefficienten auftenen intransitiv sind”. Math. Ann. 52: 363–368. 
  15. ^ W. Burnside, The Theory of Groups of Finite Order, Cambridge University Press, 1897
  16. ^ L. Dickson, Linear Groups - With an Exposition of the Galois Field Theory, Courier Dover Publications, 2003
  17. ^ É. Cartan, Sur la structure des groupes de transformations finis et continus, Paris, Librairie Vuibert, 1933
  18. ^ J. Wedderburn, On hypercomplex numbers, London Math. Soc., 1907
  19. ^ Karen Parshall (de), Joseph H. M. Wedderburn and the structure theory of algebras, Arch. Hist. Exact Sci. 32, 3-4 (1985), p. 223-349
  20. ^ Paul Dubreil (1986). “Emmy Noether”. Cahiers du séminaire d'histoire des mathématiques, 7: 15–27. 
  21. ^ E. Noether (1921). “Ideal Theorie in Ringbereichen”. Math. Ann. 83: 24–66. 
  22. ^ E. Artin, Über einen Satz von J. H. Maclagan Wedderburn, Abh. Math. Sem. Univ. Hamburg 5 (1927), p. 100-115
  23. ^ C. Hopkins, Rings with minimal condition for left ideals, Ann. of Math. II. Ser. 40 (1939), p. 712-730
  24. ^ N. Jacobson, The radical and semisimplicity for arbitrary ring, J. Math. 67 (1945), p. 300-320

参考さんこう文献ぶんけん[編集へんしゅう]