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回復かいふく体位たいい

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』

回復かいふく体位たいい(かいふくたいい、英語えいご:recovery position)とは、意識いしき障害しょうがいのある患者かんじゃたいして救急きゅうきゅうしゃなどで救命きゅうめい処置しょち開始かいしされるまでのあいだ安静あんせいたもつための姿勢しせいひとつ。救急きゅうきゅう医学いがく救急きゅうきゅう医療いりょう分野ぶんやでは「昏睡こんすい体位たいい」(こんすいたいい)と呼称こしょうするのが一般いっぱんてきである[1] [2] [3] [4]体位たいいとしては産婦人科さんふじんかシムズ体位たいい(Sims position)も基本きほんてきにはおなじものをしている。

いわゆる左向ひだりむであり、気道きどう確保かくほ重要じゅうようしている
  • 失神しっしんしている」「意識いしきがもうろうとしている」など意識いしき障害しょうがいのあるよう救護きゅうごしゃ生命せいめい安全あんぜんはかるための体位たいいで、きゅう嘔吐おうと容態ようだい変化へんかこっても窒息ちっそくいたらないよう考慮こうりょされた姿勢しせいである。
  • 姿勢しせいとしては、しめしたとおりのひだり側臥そくが左向ひだりむ)である。ただし、あたまをややうしろにらせて、できるだけ気道きどうひろげた状態じょうたいたもてん一般いっぱんてきよこことなる。また無意識むいしき寝返ねがえしたり痙攣けいれんして仰向あおむけやうつせになったりしないよう、ひざかるげ、したがわ左腕さわんからだ前方ぜんぽう上側うわがわ右腕うわんささぼうをする要領ようりょうで、ひだり側臥そくが体勢たいせい維持いじする。
  • よこ推奨すいしょうされる根拠こんきょとしては、患者かんじゃ仰向あおむにすると嘔吐おうとによって内容ないようぶつてしまった場合ばあい気道きどうふさいで窒息ちっそくするおそれがあるため[5]であり、また仰向あおむけより横向よこむのほうが舌根ぜっこん沈下ちんかふせげるため患者かんじゃとしても呼吸こきゅうらく出来できる、などの理由りゆうによる。
  • 患者かんじゃひだり半身はんしんしたにする根拠こんきょとしては、解剖かいぼうがくてき噴門ふんもんしたみぎ側臥そくが(右向みぎむ)にすると、内容ないようぶつ食道しょくどう逆流ぎゃくりゅうしやすくなり[6]意識いしき障害しょうがいにはあやまえん嘔吐おうとによる窒息ちっそくこす危険きけんせいたかい。これを防止ぼうしする目的もくてきで、患者かんじゃ噴門ふんもんうえひだり側臥そくがとする[7]
  • 脳卒中のうそっちゅうなど、半身はんしん麻痺まひ症状しょうじょうがある患者かんじゃたいしては、例外れいがいてき麻痺まひがわ上側うわがわになるようにかせる。この場合ばあいは、麻痺まひという やむをない事情じじょうるので、かならずしもひだり半身はんしんしたがわにならなくても[8]
  • なお、戸外こがいやコンクリートゆかなどのうえかせると、ことのほか地面じめん体温たいおんうばわれ体力たいりょく消耗しょうもうしやすい。衣服いふく新聞紙しんぶんしだんボールなど、可能かのうかぎよう救護きゅうごしゃしたいて体温たいおんうばわれるのをふせぐことがのぞましい。

適用てきようされる症状しょうじょう

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意識いしき障害しょうがいのある患者かんじゃ適用てきようされる[9]。(患者かんじゃ自身じしん意識いしきれば、患者かんじゃ本人ほんにんもっとらくだとかんじる姿勢しせいらせることが基本きほんで、体位たいい強制きょうせいおこなわない。)
適用てきよう具体ぐたいれいとして、泥酔でいすい急性きゅうせいアルコール中毒ちゅうどく[10]急性きゅうせい薬物やくぶつ中毒ちゅうどく[11]有機ゆうき溶剤ようざい中毒ちゅうどく[12]交通こうつう事故じこ[13]、スポーツ頭部とうぶ外傷がいしょう[14]のう血管けっかん障害しょうがい(くもまく出血しゅっけつのう梗塞こうそくのうない出血しゅっけつ)、てい血糖けっとう心筋梗塞しんきんこうそく尿毒症にょうどくしょう脳症のうしょう電解でんかいしつ異常いじょう内分泌ないぶんぴつ疾患しっかんてい酸素さんそ一酸化いっさんか炭素たんそ中毒ちゅうどく熱中ねっちゅうしょうてい体温たいおんしょう、ショック、痙攣けいれん感染かんせんしょう精神せいしん疾患しっかん、など[15] [16]

回復かいふく体位たいいらせる場所ばしょ

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災害さいがい予防よぼうするうえで、この姿勢しせいをとらせるのはしばらくやすませておける安全あんぜん場所ばしょかぎられる。

たとえば交通こうつう事故じこなどではよう救護きゅうごしゃ事故じこしゃからじゅう分離ぶんりした歩道ほどう道路どうろわきまで移動いどうしてから、熱中ねっちゅうしょうではすずしい木陰こかげ建物たてものなかなど直射ちょくしゃ日光にっこうたらない場所ばしょ火災かさい地震じしんなどでは倒壊とうかい出火しゅっか延焼えんしょうするおそれのある建物たてものからじゅうふんはなれた場所ばしょである。場合ばあいによっては風雨ふううさらされない場所ばしょのぞましく、戸外こがい周囲しゅういやすめる場所ばしょ場合ばあい戦場せんじょう遭難そうなんしている状況じょうきょうなど)ではテントシェルター設置せっちふくめて考慮こうりょする必要ひつようもある。

いてやすめるよう、できればすこしでもしずかな場所ばしょのぞましい。ただし転落てんらく危険きけんがあるため、階段かいだんうわやベンチのうえなどたか場所ばしょ要注意ようちゅういである。

なお様態ようたい急変きゅうへんした場合ばあいそなえて、できるかぎはなさないほうがよく、戸外こがい場合ばあいでは応急おうきゅう処置しょちんでたすけをびに場合ばあいでも、状況じょうきょう対応たいおうできるものちかくにのこしたほうがよい。どうしても状況じょうきょうゆるさない場合ばあいは、木陰こかげやテントないしシェルターなど、最低限さいていげん環境かんきょうからまもれる場所ばしょでこの体位たいいらせる。

出典しゅってん

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  1. ^ 日本にっぽん救急きゅうきゅう学会がっかい医学いがく用語ようご解説かいせつしゅう 昏睡こんすい体位たいい
  2. ^ 大阪おおさか歯科しか保険ほけん協会きょうかい特殊とくしゅ症状しょうじょうたいする救急きゅうきゅう処置しょち薬剤やくざい
  3. ^ 中国ちゅうごく労災ろうさい病院びょういん 救急きゅうきゅうまちかける自動じどうじょほそどう装置そうち(AED)の使つかかた
  4. ^ 静岡しずおかけん富士ふじホームページ「傷病しょうびょうしゃ体位たいい
  5. ^ 鹿児島かごしまけん医師いしかい家庭かてい救急きゅうきゅうほう
  6. ^ 日経にっけいSTYLE 「肺炎はいえんまねあやまえん みぎひだり 食後しょくごしてはいけないこと」
  7. ^ レバウェル看護かんご嘔吐おうとひだり側臥そくがでギャッチアップしたほうがよい理由りゆうは?」
  8. ^ 大阪おおさか歯科しか保険ほけん協会きょうかいひょう5-A 脳卒中のうそっちゅう発作ほっさ救急きゅうきゅう処置しょち
  9. ^ 大泉おおいずみまち応急おうきゅう手当てあて
  10. ^ サントリー「危険きけんかた
  11. ^ 岐阜ぎふ応急おうきゅう手当てあて基礎きそ知識ちしき
  12. ^ 厚生こうせい労働省ろうどうしょう 静岡しずおか労働ろうどうきょく有機ゆうき溶剤ようざいあつか事業じぎょうしゃみなさまへ」
  13. ^ 交通こうつう事故じこ弁護士べんごし相談そうだん広場ひろば交通こうつう事故じこ初期しょき対応たいおう
  14. ^ トレシピ「スポーツ現場げんば応急おうきゅう処置しょち
  15. ^ かえしてはいけない外来がいらい患者かんじゃ p.54 医学書院いがくしょいん 2012 ISBN978-4-260-01494-6
  16. ^ 救急きゅうきゅう急変きゅうへん看護かんご p.36 成美せいびどう出版しゅっぱん 2016 ISBN978-4-415-32162-2

関連かんれん項目こうもく

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