大刀洗たちあらい陸軍りくぐん飛行場ひこうじょう

飛行場ひこうじょうの跡地あとちにある西日本にしにほん航空こうくう発祥はっしょうの地ちの石碑せきひ

大刀洗たちあらい陸軍りくぐん飛行場ひこうじょう（たちあらいりくぐんひこうじょう）は現在げんざいの福岡ふくおか県けん三井みつい郡ぐん大刀洗たちあらい町まち、朝倉あさくら郡ぐん筑前ちくぜん町まちと朝倉あさくら市しにまたがる地域ちいきにあった日本にっぽん陸軍りくぐんの飛行場ひこうじょう。

概要がいよう

1916年ねんに陸軍りくぐんが計画けいかくし、1919年ねん10月がつに完成かんせいした飛行場ひこうじょう。土地とちの選定せんてい理由りゆうとして、中国ちゅうごく大陸たいりくに向むかう航空こうくう隊たいの中継ちゅうけい地点ちてんの役割やくわり、海岸かいがんから距離きょりがあり敵艦てきかん隊たいの艦かん砲ほう射撃しゃげきの影響えいきょうを受うけないこと、飛行場ひこうじょうに適てきした広大こうだいで障害しょうがい物ぶつのない場所ばしょであることなどが考慮こうりょされた。1929年ねんから1936年ねんまで民間みんかん機きの発着はっちゃくも行おこなわれていた。

1937年ねん（昭和しょうわ12年ねん）頃ごろより飛行場ひこうじょうに付随ふずいする軍ぐんの施設しせつが増ふえ、陸軍りくぐん航空こうくう兵へいの飛行機ひこうき操縦そうじゅう教育きょういくにおける拠点きょてんのひとつとなった。太平洋戦争たいへいようせんそう終盤しゅうばんには本土ほんど防衛ぼうえいの一翼いちよくを担になうが、アメリカ軍ぐんの空襲くうしゅうを受うけて壊滅かいめつ的てきな被害ひがいを受うけた。終戦しゅうせん後ご、廃はい港こうとなり、跡地あとちは農地のうちやキリンビール福岡ふくおか工場こうじょう用地ようちに転用てんようされた。当時とうじの門柱もんちゅうや時計とけい台だい（慰霊いれい碑ひとして改修かいしゅう）、監かん的てき壕ごう、井戸いどが原げん地蔵じぞう公民館こうみんかん付近ふきんに保存ほぞんされている。

沿革えんかく

第だい5航空こうくう教育きょういく隊たい正門せいもんの門柱もんちゅう、元もとあった場所ばしょから少すこし東ひがしの大刀洗たちあらい平和へいわ記念きねん館かんの正面しょうめんに移設いせつされている。

知ち覧らん特攻とっこう平和へいわ会館かいかんに移設いせつ復原ふくげんされた大刀洗たちあらい陸軍りくぐん飛行ひこう学校がっこう知ち覧らん分ぶん教きょう所しょの正門せいもん。

• 1919年ねん（大正たいしょう8年ねん）10月がつ 大刀洗たちあらい陸軍りくぐん飛行場ひこうじょう完成かんせい。
  • 10月がつ 航空こうくう第だい4中隊ちゅうたいが所沢ところざわより移駐いちゅう、11月には航空こうくう第だい4大隊だいたいに昇格しょうかく。
• 1922年ねん（大正たいしょう11年ねん）11月 航空こうくう第だい4大隊だいたいは飛行ひこう第だい4大隊だいたいに改称かいしょう。
• 1925年ねん（大正たいしょう14年ねん）4月がつ 飛行ひこう第だい4大隊だいたいは飛行ひこう第だい4連隊れんたいに昇格しょうかく。この時期じき台湾たいわん飛行ひこう第だい8連隊れんたいも同居どうきょしていたため、当時とうじ日本にっぽん最大さいだいの航空こうくう部隊ぶたいの駐屯ちゅうとん地ちであった。
• 1929年ねん（昭和しょうわ4年ねん）4月がつ 民間みんかんの日本航空にほんこうくう輸送ゆそうが大刀洗たちあらい支所ししょを設置せっち、大阪おおさか（木津川きづがわ飛行場ひこうじょう）-福岡ふくおか間あいだを毎日まいにち一いち往復おうふく (日曜にちようを除のぞく)で郵便ゆうびんなど貨物かもつの運航うんこう開始かいし。機材きざいは陸軍りくぐん払はらい下さげのサルムソン2A2型がた。
  • 6月がつ - 日本航空にほんこうくう輸送ゆそうが福岡ふくおか-蔚山うるさん間あいだに就航しゅうこう。郵便ゆうびんなど貨物かもつの運航うんこう開始かいし。
  • 7月がつ - 日本航空にほんこうくう輸送ゆそうが旅客りょかく運航うんこう開始かいし。東京とうきょう(立川たちかわ陸軍りくぐん飛行場ひこうじょう)-大阪おおさか(1日にち1往復おうふく、日曜にちよう運休うんきゅう)、大阪おおさか-福岡ふくおか(下くだりは月つき・水みず・金きむ、上のぼりが火ひ・木き・土ど、日曜にちよう運休うんきゅう)。機材きざいは乗客じょうきゃく定員ていいん６人にんのフォッカー スーパーユニバーサル旅客機りょかくき。
  • 9月 - 日本航空にほんこうくう輸送ゆそうが福岡ふくおか-蔚山うるさん-京きょう城じょう-平壌ぴょんやん-大連たいれん間あいだの運航うんこう開始かいし。週しゅう3往復おうふく。東京とうきょう-大阪おおさか間あいだは運賃うんちんが30円えん、大阪おおさか-福岡ふくおか間あいだは35円えん、東京とうきょう-大連たいれん間あいだは145円えん。大卒だいそつ初任しょにん給きゅうは50円えん台だい。東京とうきょうを午前ごぜん7時半じはんに出発しゅっぱつすると京きょう城じょうには17時半じはんに到着とうちゃくした。
• 1931年ねん（昭和しょうわ6年ねん）4月がつ5日にち - 竜巻たつまきが発生はっせい。陸軍りくぐん機き19機きが大破たいは、4人にん死亡しぼう。
• 1932年ねん（昭和しょうわ7年ねん）11月 満州まんしゅう航空こうくうが営業えいぎょう開始かいし。新しん義ぎ州しゅう-チチハル路線ろせんを開設かいせつ。日本航空にほんこうくう輸送ゆそうと新しん義ぎ州しゅうで連絡れんらくし、総そう延長えんちょう2880kmの路線ろせんとなる(東京とうきょう-大阪おおさか-福岡ふくおか-京きょう城じょう-新しん義ぎ州しゅう-奉天ほうてん-新あたらし京きょう-ハルビン-チチハル)。
• 1936年ねん（昭和しょうわ11年ねん）6月がつ 福岡ふくおか第だい一いち飛行場ひこうじょうの開港かいこうに伴ともない、日本航空にほんこうくう輸送ゆそうの定期ていき便びんは雁かりノ巣すに移転いてんした。
• 1939年ねん（昭和しょうわ14年ねん）12月がつ 第だい5航空こうくう教育きょういく隊たい開ひらき隊たい設置せっち。国鉄こくてつ甘木線あまぎせん（現在げんざいの甘木あまぎ鉄道てつどう甘木線あまぎせん）が開通かいつうしたが、その目的もくてきは飛行場ひこうじょうへの物資ぶっし輸送ゆそうのためであった。
• 1940年ねん（昭和しょうわ15年ねん）2月がつ 大刀洗たちあらい航空こうくう支ささえ廠しょうを設置せっち、7月がつに大刀洗たちあらい航空こうくう廠しょうに昇格しょうかく。
  • 9月 飛行ひこう第だい4戦隊せんたい（1938年ねん飛行ひこう第だい4連隊れんたいから改称かいしょう）熊本くまもと菊池きくち飛行場ひこうじょうに移駐いちゅう、第だい4連隊れんたいは1941年ねんに小月おづきに移駐いちゅう。
  • 10月 大刀洗たちあらい陸軍りくぐん飛行ひこう学校がっこうを設置せっち。
• 1945年ねん（昭和しょうわ20年ねん）2月がつ 大刀洗たちあらい陸軍りくぐん飛行ひこう学校がっこうは第だい51航空こうくう師団しだんに吸収きゅうしゅう。
  • 3月がつ アメリカ軍ぐんの空襲くうしゅうにより被害ひがい甚大じんだい。
  • 7月がつ 鹿児島かごしまの万世ばんせいより飛行ひこう第だい66戦隊せんたいが移駐いちゅう、北部ほくぶ九州きゅうしゅうの防衛ぼうえいに当あたる。

沿革えんかくの一部いちぶの内容ないようは参考さんこう文献ぶんけん「証言しょうげん大刀洗たちあらい飛行場ひこうじょう」P2-P3より抜粋ばっすい

参考さんこう文献ぶんけん

• 飯田いいだ則夫のりお『図説ずせつ日本にっぽんの軍事ぐんじ遺跡いせき』〈ふくろうの本ほん〉、河出書房新社かわでしょぼうしんしゃ、2004年ねん。ISBN 4-309-76048-1
• 大刀洗たちあらい飛行場ひこうじょう記録きろく誌し『証言しょうげん 大刀洗たちあらい飛行場ひこうじょう』　福岡ふくおか県けん筑前ちくぜん町まち　2010年ねん

関連かんれん項目こうもく

• 筑前ちくぜん町立ちょうりつ大刀洗たちあらい平和へいわ記念きねん館かん - 当とう飛行場ひこうじょうに関かんする資料しりょうを展示てんじ・収集しゅうしゅうしている博物館はくぶつかん。