大字だいじ (数字すうじ)

数字すうじの大字だいじ（だいじ）は、漢かん数字すうじの一種いっしゅ。通常つうじょう用もちいる単純たんじゅんな字形じけいの漢かん数字すうじ（小字こあざ）の代かわりに同おなじ音おんの別べつの漢字かんじを用もちいるものである。

概要がいよう

壱いち万まん円えん日本銀行にっぽんぎんこう券けん（「壱いち」が大字だいじ）

弐に千せん円えん日本銀行にっぽんぎんこう券けん（「弐に」が大字だいじ）

漢かん数字すうじには「一いち」「二に」「三さん」と続つづく小字こあざと、「壱いち」「弐に」「参まいり」と続つづく大字だいじがある。漢かん数字すうじは通常つうじょうは小字こあざを用もちいるが、字画じかくが少すくなく改竄かいざんのおそれがあるため、重要じゅうような数字すうじの表記ひょうきでは大字だいじを用もちいることがある。具体ぐたい的てきには法的ほうてき文書ぶんしょや会計かいけい書類しょるい（例たとえば戸籍こせきや領収りょうしゅう書しょや登記とうきなど）で算用さんよう数字すうじの普及ふきゅうまで頻繁ひんぱんに用もちいられていた。かつて大字だいじは、万まんに至いたるまで用もちいられてきた。

例たとえば、領収りょうしゅう書しょに「金かね一いち万まん円えん」と書かくと、後ごから「丨」や「L」、「イ」、「ニ」などを書かき加くわえて「十じゅう万まん円えん」、「七なな万まん円えん」、「廿にじゅう万まん円えん」（二に十じゅう万まん円えん）、「千せん万まん円えん」、「三さん万まん円えん」などにする改竄かいざんが容易よういに可能かのうであり、「八はち万まん円えん」に「亠」を書かき加くわえて「六ろく万まん円えん」にする改竄かいざんも可能かのうである。

逆ぎゃくに「金かね三さん万まん円えん」や「七なな万まん円えん」や「百ひゃく万まん円えん」と書かかれた領収りょうしゅう書しょを受うけ取とると、提出ていしゅつ時じに「（一いちや二に、乚、白しろを書かき加くわえて）『三さん万まん円えん』や『七なな万まん円えん』や『百ひゃく万まん円えん』に水増みずまししていないか」と疑うたがわれる恐おそれもある。

画数かくすうが多おおく難むずかしい漢字かんじを用もちいることで改竄かいざんを防ふせぐようにしたのが大字だいじの存在そんざい理由りゆうである。例たとえば、「一いち」に対応たいおうする大字だいじの「壱いち」、「六ろく」に対応たいおうする大字だいじの「陸りく」、「八はち」に対応たいおうする大字だいじの「捌」、「千せん」に対応たいおうする大字だいじの「阡」、「万まん」に対応たいおうする大字だいじの「萬まん」では、「一いち」「六ろく」「八はち」「千せん」「万まん」のような改竄かいざんはできず；「三さん」に対応たいおうする大字だいじの「参まいり」、「七なな」に対応たいおうする大字だいじの「漆うるし」、「百ひゃく」に対応たいおうする大字だいじの「陌」では水増みずましを疑うたがわれる事ことはない。

日本にっぽんでは、8世紀せいき初頭しょとうに編纂へんさんされた大宝たいほう律令りつりょうにおいて公式こうしき文書ぶんしょの帳簿ちょうぼ類るいに大字だいじを使つかう事ことが定さだめられている。「凡およそ是これれ簿ぼ帳ちょう…の類るいの数すう有ゆうらむ者しゃは、大字だいじに為なれ」（公式こうしき令れい66条じょう）とされ、東大寺とうだいじの正せい倉くら院いんに残のこる天平てんぴょう時代じだいの戸籍こせきや正せい税ぜい帳ちょう（国家こっかの倉庫そうこの出納すいとう簿ぼ）はこの令れいに則のっとって、一いちから万まんまで下表かひょうにある大字だいじが使つかわれている。

以下いかに日本にっぽんと中国ちゅうごくの大字だいじを示しめす。一部いちぶは新しん字体じたいや簡体字かんたいじになっている。

算用さんよう数字すうじ	漢かん数字すうじ	日本にっぽんの大字だいじ		中国ちゅうごくの大字だいじ
		新しん字体じたい	旧きゅう字体じたい・俗字ぞくじ	繁体字はんたいじ	簡体字かんたいじ
0	〇	零れい		零れい
1	一いち	壱いち	壹いち、弌	壹いち
2	二に	弐に	貳に、貮、弍	貳に	贰
3	三さん	参まいり	參まいり、弎	叁、參まいり、叄	叁
4	四よん、亖	四よん	肆	肆、䦉	肆
5	五ご	伍ご		伍ご
6	六ろく	陸りく		陸りく	陆
7	七なな	漆うるし、質しつ	柒	柒、漆うるし	柒
8	八はち	捌		捌
9	九きゅう	玖		玖
10	十じゅう	拾ひろえ、什		拾ひろえ、什
20	廿にじゅう、卄	弐に拾ひろえ	貳に拾ひろえ	貳に拾ひろえ、廿にじゅう（呉くれ語ご、ほぼ使つかわない）
30	卅、丗	参まいり拾ひろえ	參まいり拾ひろえ	参まいり拾ひろえ、卅（広東かんとん語ご・閩南語ご、ほぼ使つかわない）
40	卌			肆拾、䦉拾、卌（閩南語ご、ほぼ使つかわない）
100	百ひゃく	陌、佰		佰
1000	千せん	阡、仟		仟
10000	万まん	萬まん		萬まん	万まん（萬まん）

日本にっぽんの法令ほうれいで定さだめられているのは壱いち、弐に、参まいり、拾ひろえのみである。現在げんざいの日本銀行にっぽんぎんこう券けんには「千せん円えん」「弐に千せん円えん」「五ご千せん円えん」「壱いち万まん円えん」と書かかれている。他たにかつて発行はっこうされた日本にっぽん銀行ぎんこう券けんで大字だいじが使つかわれているものには「五拾ごじっ円えん」「貳に百ひゃく圓えん」「貳に拾ひろえ圓えん」「拾ひろえ圓えん」「壹いち圓えん」「拾ひろえ錢ぜに」があり、また日本にっぽん銀行ぎんこう券けん以外いがいの日本にっぽんの紙幣しへい（政府せいふ紙幣しへいなど）も含ふくめれば「貳に圓えん」「五拾ごじっ錢ぜに/五拾ごじっ銭ぜに」「貳に拾ひろえ錢ぜに」もある。伍ごは麻雀まーじゃん牌ぱいの表記ひょうき以外いがいの商しょう取引とりひきなどで使つかわれる場合ばあいは少すくない。

大字だいじを用もちいる時ときは一般いっぱんに数詞すうしを用もちいた書かき方かたが行おこなわれる。また通常つうじょうは言いわない「壱いち」を明記めいきすることがある。例たとえば 110 は「百ひゃく拾ひろえ」か「陌拾」「壱いち百ひゃく壱いち拾じつ」か「壱いち陌壱拾じつ」と書かき、「壱いち壱いち零れい」といったアラビア数字すうじのような位取くらいどり記数きすう法ほうを用もちいるのは一般いっぱん的てきでない。

簡体字かんたいじの「叁」（叄、sān、ㄙㄢ）は本来ほんらい「参まいり」（參まいり、cān、ㄘㄢ）の異体いたい字じだが、現在げんざいは「三さん」の大字だいじ専用せんようとして使つかわれているようである。

擬古ぎこ調ちょう的てき表現ひょうげん

大字だいじを、旧きゅう字体じたいと同おなじように「古ふるさ」あるいはそれらしい擬古ぎこ調しらべ的てき表現ひょうげんの一環いっかんとして用もちいることがある。

例たとえば、アニメ作品さくひん『新しん世紀せいきエヴァンゲリオン』は、タイトル数すうを「第だい弐に話わ」「第だい弐に拾ひろえ四よん話わ」などと大字だいじを活用かつようして表現ひょうげんし、エヴァの機体きたいも「弐に号機ごうき」「参さん号ごう機き」などと命名めいめいしている。他ほかにも、『ファイブスター物語ものがたり』のマシンメサイア、「焔ほのお星ぼし(イェンシー)」の機体きたいにも付つけられていた。他ほかにも、『夏目なつめ友人ゆうじん帳ちょう (アニメ)』のシリーズタイトルにも表現ひょうげんとして3期きタイトルから使つかわれている

外部がいぶリンク

• 漢かん数字すうじ講座こうざ
• アラビア数字すうじを大字だいじに変換へんかんするサイト
• 大数たいすうの名前なまえについて
• 大字だいじ（だいじ）｜難むずかしい漢字かんじの漢かん数字すうじ
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• 漢かん数字すうじの書かき方かた｜冠婚葬祭かんこんそうさい贈答ぞうとうマナー