完全かんぜん自殺じさつマニュアル

完全かんぜん自殺じさつマニュアル The Complete Manual of Suicide
著者ちょしゃ	鶴見つるみ済わたる
イラスト	サダヒロカズノリ
発行はっこう日び	1993年ねん（平成へいせい5年ねん）7月がつ7日にち
発行はっこう元もと	太田出版おおたしゅっぱん
ジャンル	ガイドブック
国くに	日本にっぽん
言語げんご	日本語にほんご
形態けいたい	並なみ製本せいほん
ページ数すう	198
次つぎ作さく	『ぼくたちの「完全かんぜん自殺じさつマニュアル」』
公式こうしきサイト	完全かんぜん自殺じさつマニュアル - 太田出版おおたしゅっぱん
コード	ISBN 978-4872331264 ISBN 4-87233-126-5
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『完全かんぜん自殺じさつマニュアル』（かんぜんじさつマニュアル）は、鶴見つるみ済わたるの著書ちょしょ。様々さまざまな自殺じさつの方法ほうほうが客観きゃっかん的てきに書かかれている。1993年ねん（平成へいせい5年ねん）7月がつ7日にちに太田出版おおたしゅっぱんから発行はっこうされ、主おもに10代から20代だいの支持しじを受うけてブームを巻まき起おこし、100万まん部ぶ以上いじょうを売うれ上あげるミリオンセラーとなった。

前書まえがき、後書あとがきに書かかれているとおり、「いざとなれば自殺じさつしてしまってもいいと思おもえば、苦くるしい日常にちじょうも気楽きらくに生いきていける」と提唱ていしょうした本ほん。「強つよく生いきろ」という、日本にっぽんの社会しゃかい風潮ふうちょうに異議いぎを唱となえた。

発売はつばい後ごは、ワイドショーなどの大手おおてメディアから批判ひはんがあったものの、評論ひょうろん家か・言論げんろん界かいからの評価ひょうかは概おおむね肯定こうてい的てきだった。また、本書ほんしょのブームとなった発売はつばい年ねんと翌年よくねんの2年間ねんかんにわたり、日本にっぽんにおける自殺じさつ者もの総数そうすうは減少げんしょうしている。

内容ないよう

テーマ

前書まえがきには、同おなじことの繰くり返かえしの日常にちじょう生活せいかつによる生いきている実感じっかんの喪失そうしつと、個人こじんの無力むりょく感かんが強調きょうちょうされている。後書あとがきでは「こういう本ほんを書かこうと思おもった理由りゆうは、強つよく生いきろ、自殺じさつは弱よわいもののすることだ、などということが平然へいぜんと言いわれている生いき苦くるしい世よの中なかに風穴かざあなをあけて、ちょっとは生いきやすくしたいからだ」と、その狙ねらいを明記めいきしている。

内容ないよう

記載きさい内容ないようは、読者どくしゃに自殺じさつを促うながす項目こうもくも扇動せんどうする項目こうもくも、それを阻止そしする項目こうもくもなく、極きわめて客観きゃっかん的てきである。自殺じさつの方法ほうほうの説明せつめいにとどまらず、見苦みぐるしさ、自殺じさつ時じの苦痛くつう度ど、致死ちし度ど、手間てま、リスク、かかる費用ひよう、事例じれいによる自殺じさつ者しゃの心理しんりや自殺じさつの原因げんいん、自殺じさつ者しゃの死しに至いたるまでの生いきる苦くるしみ、自殺じさつ統計とうけいデータなど、自殺じさつについて幅広はばひろく分析ぶんせきを行おこなっている。

ただし、2005年ねん（平成へいせい17年ねん）ごろから蔓延まんえんした練炭れんたんを使つかった一酸化いっさんか炭素たんそを発生はっせいさせる自殺じさつ方法ほうほうと、2007年ねんごろから蔓延まんえんした硫化りゅうか水素すいそを発生はっせいさせる自殺じさつ方法ほうほうに関かんしては、言及げんきゅうされていない。また、銃じゅうや青酸せいさん化合かごう物ぶつやシンナーを使つかう自殺じさつ方法ほうほうについては「入手にゅうしゅ困難こんなん」という理由りゆうから、軽かるく触ふれる内容ないように留とめられている。

自殺じさつのジャンル

自殺じさつする方法ほうほうとして、服薬ふくやく（若もしくは服毒ふくどく）・首吊くびつり・飛とび降おり・自刃じじん（切腹せっぷく、リストカットなど）・列車れっしゃ等とうへの飛とび込こみ（轢死れきし）・ガス中毒ちゅうどく（一酸化いっさんか炭素たんそ中毒ちゅうどく）・入水じゅすい・感電かんでん・焼身しょうしん・凍死とうし・その他たの手段しゅだんについて各かく章しょうで解説かいせつするほか、自殺じさつの名所めいしょ紹介しょうかいなどがある。

なお服薬ふくやく自殺じさつに関かんしては、本ほんに紹介しょうかいされている一般いっぱん用よう医薬品いやくひんは、2014年ねん（平成へいせい26年ねん）現在げんざい、日本にっぽんでは製造せいぞう中止ちゅうし等とうで入手にゅうしゅ不可ふかとなっていたり、処方箋しょほうせん医薬品いやくひんも入手にゅうしゅ困難こんなんになったものも多おおい。

薬物やくぶつ致死ちし量りょうのデータは、すべて医学いがく界かいで信頼しんらいの置おかれている医学いがく・薬学やくがく専門せんもん書しょから引用いんようされたものである。著者ちょしゃである鶴見つるみ済ずみは、初版しょはん発行はっこう時じから予あらかじめ断ことわりを入いれた上うえで、薬物やくぶつの致死ちし量りょうには人ひとの体重たいじゅうや薬物やくぶつ耐たい性せいによって幅はばがあり、文献ぶんけんによっても致死ちし量りょうなどの数値すうちが異ことなるため、複数ふくすうの文献ぶんけんを元もとに割わり出だした推定すいてい値ちである、と記述きじゅつしている。

有害ゆうがい図書としょ指定してい問題もんだい

1993年ねんの発行はっこうから、ブームが一段落いちだんらくするまでの長期間ちょうきかんにわたって、書店しょてんの店頭てんとうでの立たち読よみや購入こうにゅう、公立こうりつ図書館としょかんでも開架かいか図書としょにて未成年みせいねん者しゃを含ふくめ、誰だれでも閲覧えつらん・貸かし借かり出来できる状態じょうたいだった。1997年ねん以降いこう、群馬ぐんま県けんから始はじまった有害ゆうがい図書としょの指定していは、ほぼ同どう時期じきに強つよまった投稿とうこう写真しゃしん雑誌ざっし等とうへの規制きせいと同様どうよう、いわゆる「有害ゆうがい情報じょうほう」に対たいする青少年保護育成条例せいしょうねんほごいくせいじょうれいの規制きせい強化きょうかを反映はんえいしたものだった。太田出版おおたしゅっぱんは対抗たいこう措置そちとして「18歳さい未満みまんの方ほうの購入こうにゅうはご遠慮えんりょ願ねがいます」と書かかれた帯おびを付つけ、（特とくに未成年みせいねん者しゃに）立たち読よみさせない様よう、ビニールパックをして販売はんばいする事こととなった。

東京とうきょう都と青少年せいしょうねんの健全けんぜんな育成いくせいに関かんする条例じょうれいでは、第だい8条じょう1項こうにて「販売はんばいされ、若もしくは頒布はんぷされ、又または閲覧えつらん若もしくは観覧かんらんに供きょうされている図書としょ類るい又または映画えいが等とうで、その内容ないようが、青少年せいしょうねんに対たいし…（中略ちゅうりゃく）著いちじるしく自殺じさつ若もしくは犯罪はんざいを誘発ゆうはつし、青少年せいしょうねんの健全けんぜんな成長せいちょうを阻害そがいするおそれがあるもの」と定義ていぎされているが、東京とうきょう都とにおいて『完全かんぜん自殺じさつマニュアル』は不健全ふけんぜん図書としょに指定していされていない。

有害ゆうがい図書としょ指定していが広ひろがるきっかけとなった事件じけん・出来事できごとは特とくになく、本書ほんしょが主しゅたる原因げんいんとされる自殺じさつ事例じれいは未いまだになく、自殺じさつ対策たいさく基本きほん法ほうに基もとづき発行はっこうされた平成へいせい19年度ねんど（2007年度ねんど）の『自殺じさつ対策たいさく白書はくしょ』でも、自殺じさつ者しゃ増加ぞうかの要因よういんとして「金融きんゆう機関きかんの経営けいえい状態じょうたいの悪化あっかにより、中小ちゅうしょう企業きぎょうが貸かし渋しぶり・貸かし剥はがしに遭あい、自殺じさつ者しゃを増加ぞうかさせる一因いちいんとなった」と、経済けいざい問題もんだいだったことが記述きじゅつされている。

評価ひょうか

ワイドショーなどの大手おおてメディアから批判ひはんがあったものの、評論ひょうろん家か・言論げんろん界かいからの評価ひょうかは概おおむね肯定こうてい的てきであり、読者どくしゃからは本ほんの意図いとを受うけ止とめ、「生いきようと思おもった」とする意見いけんが、多おおく寄よせられた。さらに後ごの批評ひひょうには、批判ひはんするもの、肯定こうていするものがあり、問題もんだい作さくによく見みられる「賛否さんぴ両論りょうろん」である。

本書ほんしょにおいて青木あおきヶ原げん樹海じゅかいが自殺じさつに適てきした場所ばしょであるかのように受うけ取とられる記述きじゅつが有あり、実際じっさい、樹海じゅかいでの自殺じさつ者しゃの遺品いひんに中なかに本書ほんしょがあったことから、周辺しゅうへん自治体じちたいから苦情くじょうの声こえがあがりTVマスコミもとりあげた。樹海じゅかい内ないは人目ひとめにつかないという印象いんしょうがあるが、実際じっさいには周辺しゅうへん自治体じちたいが定期ていき的てきに樹海じゅかい内ないを捜索そうさくして自殺じさつ者しゃの遺体いたいを収容しゅうよう・供養くようしており、その経費けいひが自治体じちたいの予算よさんを圧迫あっぱくしているとの苦情くじょうがあった。

関連かんれん項目こうもく

• Final Exit - いわゆる尊厳そんげん死しの方法ほうほうを集あつめた本ほんで、各国かっこく版ばんがある。
• The Peaceful Pill Handbook

外部がいぶリンク

• 完全かんぜん自殺じさつマニュアル - 太田出版おおたしゅっぱん - 公式こうしきサイト