崖山がけやまの戦たたかい

崖山がけやまの戦たたかい
モンゴル・南みなみ宋そう戦争せんそう中なか
戦争せんそう：元もとの南進なんしん
年月日ねんがっぴ：至いたり元もと16年ねん2月がつ6日にち（1279年ねん3月19日にち）
場所ばしょ：崖山がけやま
結果けっか：元もとの圧勝あっしょう、南みなみ宋そうの滅亡めつぼう
交戦こうせん勢力せいりょく
元もと	南みなみ宋そう
指導しどう者しゃ・指揮しき官かん
張ちょう弘ひろし範はん 李り恒ひさし 梁りょう雄飛ゆうひ 王おう天たかし禄ろく カラダイ アジュ 阿おもね里さと海かい牙きば部ぶ 馬うま坚部ぶ	張ちょう世よ傑すぐる 陳ちん宝たから（捕虜ほりょ） 張ちょう達いたる 翟国秀しゅう（捕虜ほりょ） 劉りゅう俊しゅん（捕虜ほりょ） 蘇そ劉りゅう義よし 方ほう興きょう
戦力せんりょく
海軍かいぐん50,000〜 戦せん船せん420艘そう 陸軍りくぐん20,000〜	200,000〜 戦せん船せん1000艘そう
損害そんがい
約やく10,000-20,000	約やく100,000

崖山がけやまの戦たたかい（がいざんのたたかい）は、1279年ねん3月19日にち（至いたり元もと16年ねん2月がつ6日にち）に中国ちゅうごく大陸たいりくの広州こうしゅう湾わんで、元もとの軍勢ぐんぜいが南みなみ宋そうの海軍かいぐんを破やぶった戦たたかいである。この戦たたかいで南みなみ宋そうは敗北はいぼく、最後さいごの皇帝こうてい趙ちょう昺は宰相さいしょう陸りく秀夫ひでおとともに入水じゅすいし、名実めいじつともに南みなみ宋そうは滅亡めつぼうした。

前史ぜんし

南みなみ宋そうが防衛ぼうえい拠点きょてんの襄じょう陽ひをめぐる襄じょう陽ひ・樊城の戦たたかい（1268年ねん - 1273年ねん）に敗やぶれると、クビライ率ひきいる元もとは1276年ねんに南みなみ宋そうの首都しゅとの臨安を落おとし、南みなみ宋そう皇帝こうていの恭きょう帝みかどは降伏ごうぶくした。これで、南みなみ宋そうは滅亡めつぼうした。

しかし陸りく秀夫ひでお・文ぶん天てん祥さち・張ちょう世よ傑すぐる・陳ひね宜よろし中なかなど、一部いちぶの南みなみ宋そうの遺臣いしんたちは、臨安陥落かんらくと同どう時期じきに南みなみ宋そうの皇子おうじ（恭きょう帝みかどの兄弟きょうだい）を皇帝こうていに奉戴ほうたいし、元もとに対たいする抵抗ていこう運動うんどうを続つづけた。元もと軍ぐんはそれを破やぶっていく一方いっぽうで、泉州せんしゅうの実力じつりょく者しゃで海上かいじょう交易こうえきで富とみを蓄たくわえた蒲かば寿ことぶき庚かのえを取とり込こむなど、華南かなん地域ちいきを支配しはい下かに置おいていった。左ひだり丞相じょうしょうの陳ひね宜よろし中なかは自分じぶんは状況じょうきょうを知しるために先駆せんくするが、端はし宗むねを連つれてチャンパ王国おうこく（現在げんざいのベトナムの中部ちゅうぶ）に行いくことを提案ていあんした。その後ご、端はし宗しゅうと弟おとうとの祥さち興きょう帝みかどは何なん回かいも呼よび戻もどしたが、陳ひね宜よろし中なかは戻もどって来こなかった。

戦たたかい

次第しだいに江南こうなんから広東かんとんへと追おい詰つめられた南みなみ宋そう軍ぐんは、船団せんだんで海上かいじょうを漂流ひょうりゅうしながら抵抗ていこうを続つづけ、新しん会かい県けん周辺しゅうへんにある、崖山がけやまという当時とうじ何なにもなかった島しまに砦とりでと行宮あんぐうを構築こうちくし、徹底てってい抗戦こうせんの構かまえを見みせた。一方いっぽう、元もと軍ぐんは蒲かば寿ひさし庚かのえから船舶せんぱくや熟練じゅくれんの水夫すいふの提供ていきょうを受うけており、不慣ふなれな海上かいじょうでも旧きゅう南みなみ宋そう艦隊かんたいを追跡ついせきし、戦たたかいを有利ゆうりに進すすめていった。元もと側がわの記録きろくによると、南みなみ宋そう艦隊かんたいは1000隻せきの大型おおがた船せんをがっちりと繋つなぎ合あわせ、防火ぼうかのため船体せんたい外装がいそうに泥どろを塗ぬり、敵てきが近ちかづけないよう長ながい木材もくざいを縛しばり付つけて防御ぼうぎょ網もうとし、油あぶらを注そそいで火攻ひぜめを図はかる元もと軍ぐんを破やぶったという。

しかし1279年ねん2月がつ半なかば、長ながい消耗しょうもう戦せんに疲つかれ切きった南みなみ宋そう軍ぐんは敗走はいそうした。やがて絶望ぜつぼうした家臣かしんや幹部かんぶたちが次々つぎつぎと入水じゅすいしていく中なか、陸りく秀夫ひでおは幼よう帝みかど趙ちょう昺に『大学だいがく』の講義こうぎを船内せんないでしていた。しかし2月がつ6日にちの昼過ひるすぎ頃ごろには敗北はいぼくを悟さとり、皇帝こうていを抱だいて入水じゅすいした。これをきっかけに戦闘せんとうは終結しゅうけつし、元もと軍ぐんの勝利しょうりが確定かくていした。

その後ご

崖山がけやまから脱出だっしゅつした張ちょう世よ傑すぐるは、再起さいきを図はかるためチャンパ王国おうこくへ向むかう途中とちゅう、嵐あらしに遭あって船ふねが転覆てんぷくし、溺死できしした（1279年ねん）。陸上りくじょうで抵抗ていこう運動うんどうをしていた文ぶん天てん祥さちは、この戦たたかい以前いぜんの1278年ねんに元もとに捕縛ほばくされ、大だい都と（現在げんざいの北京ぺきん）に護送ごそうされた。元朝がんちょうでは優すぐれた文人ぶんじんである彼かれを登用とうようするために説得せっとくを繰くり返かえしたが、彼かれは頑かたくなに拒否きょひし続つづけ、獄中ごくちゅうで『正気しょうきの歌うた』を詠よみつつ1283年ねんに刑死けいしした。

元もと軍ぐんに協力きょうりょくした蒲かば寿ひさし庚かのえは、この戦たたかいの後のちに要職ようしょくに抜擢ばってきされると泉州せんしゅうを国際こくさい貿易ぼうえき港こうとして発展はってんさせ、弘安ひろやすの役やくでは大船おおぶね団だんの造船ぞうせんにも力ちからを発揮はっきした。

備考びこう

• 田中たなか芳樹よしきの小説しょうせつ『海嘯つなみ』でこの戦たたかいを取とり上あげている。
• 宇月原はら晴はれ明あきらの小説しょうせつ『安徳天皇あんとくてんのう漂海記き』の第だい二に部ぶで、安徳天皇あんとくてんのうと趙ちょう昺のやり取とりをマルコ・ポーロの視点してんで取とり上あげている。