市村いちむら真一しんいち

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市村いちむら眞一しんいち
生誕せいたん (1925-03-30) 1925ねん3月30にち(99さい
京都きょうと下京しもぎょう三哲通猪熊西入
研究けんきゅう機関きかん 国際こくさいひがしアジア研究けんきゅうセンター
京都大学きょうとだいがく
大阪大学おおさかだいがく
和歌山大学わかやまだいがく
研究けんきゅう分野ぶんや 経済けいざい発展はってんろん
計量けいりょう経済けいざいがく
母校ぼこう マサチュまさちゅセッツ工科大学せっつこうかだいがく
京都大学きょうとだいがく
博士はかせ課程かてい
指導しどう教員きょういん
ポール・サミュエルソン[1]
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市村いちむら 眞一しんいち(いちむら しんいち[2]1925ねん3月30にち[2][3] - )は、日本にっぽん経済けいざい学者がくしゃ[2]京都大学きょうとだいがく名誉めいよ教授きょうじゅ大阪国際大学おおさかこくさいだいがく名誉めいよ教授きょうじゅ国際こくさいひがしアジア研究けんきゅうセンター名誉めいよ顧問こもんひがしアジア経済けいざい学会がっかい名誉めいよ顧問こもんPh.D.マサチュまさちゅセッツ工科大学せっつこうかだいがく、1953ねん[3]経済けいざいがく博士はかせ大阪大学おおさかだいがく、1961ねん[4]論文ろんぶんだいは「日本にっぽん経済けいざい構造こうぞう[5]せんもん経済けいざい発展はってんろんてい開発かいはつこく問題もんだい)、アジア経済けいざいがく計量けいりょう経済けいざいがくEconometric Societyのフェロー(1962ねん‐)。

京都きょうと出身しゅっしん[3]つまちち近藤こんどうつたえはち陸軍りくぐん大佐たいさ[6][7]

人物じんぶつ[編集へんしゅう]

評価ひょうか[編集へんしゅう]

  • はら洋之ひろゆきかいは、市村いちむらひがしアジア共同きょうどうたいについて、西洋せいよう諸国しょこくが「ヨーロッパじん」という意識いしき共有きょうゆうしたような意識いしきひがしアジア諸国しょこく共有きょうゆうできなければ、アジアの一体化いったいかはユートピアでしかなく、アジアの一体化いったいかおおくの対立たいりつ困難こんなんえなければならず、かず世代せだい時間じかんがかかるながみちのりであり、そのためには相互そうご理解りかいふかめる必要ひつようがあり、「アジアのおおくのくにで、偉大いだい指導しどうしゃさい登場とうじょうし、近代きんだいへの障害しょうがいというかべえないかぎり、アジアはあたらしい世界せかい秩序ちつじょなか重要じゅうよう役割やくわりたすことはできないであろう」とべている[12]として、理想りそう主義しゅぎてきであり現実げんじつ主義しゅぎてきでもある指摘してきは、けっしてわすれてはならないもっと基本きほんてき立脚りっきゃくてん提示ていじしているとひょうしている[9]
  • 長尾ながお信吾しんご広島大学ひろしまだいがく名誉めいよ教授きょうじゅ)は、アジア経済けいざいたいする市村いちむら視覚しかくには、「政治せいじてき視点してんからも経済けいざいる」「経済けいざい学者がくしゃ分析ぶんせきには、ロゴスパトス必要ひつようである」という独自どくじてんがあり、「貧困ひんこんアジアの研究けんきゅうとうじた数量すうりょう経済けいざいがくエキスパートにふさわしい」として、市村いちむら著書ちょしょを「たしかに本書ほんしょでは『政治せいじてき視点してん』も『パトス』も、十分じゅうぶんにその役割やくわりたしているようにおもわれる。ときにパトスの『ほとばしり』をるとしても」とひょうしている[13]
  • 京都大学きょうとだいがく東南とうなんアジア地域ちいき研究けんきゅう研究所けんきゅうじょ後輩こうはいたる三重野みえのぶんはれ市村いちむら以下いかのようにたかひょうしている[14]

市村いちむら真一しんいち先生せんせい京都大きょうとだいがく名誉めいよ教授きょうじゅ東南とうなんアジア研究所けんきゅうじょもと所長しょちょう(1969-1979))は、東南とうなんアジア研究けんきゅうセンター(東南とうなんアジア研究所けんきゅうじょ前身ぜんしん)の設立せつりつあいだもない1968ねんにセンターに着任ちゃくにんされ、その翌年よくねんの69ねんから10年間ねんかん所長しょちょうとしてあらゆるめんにおける研究けんきゅう基盤きばん構築こうちく尽力じんりょくしてこられた。市村いちむら先生せんせい日本人にっぽんじんとして戦後せんご米国べいこく経済けいざいがく博士はかせごう(MIT Ph.D)をだいいち世代せだい経済けいざい学者がくしゃとして、どうがくてき成長せいちょうろん日本にっぽん経済けいざいのマクロ計量けいりょうモデル分析ぶんせき卓越たくえつした業績ぎょうせきをあげられたのち、センター設立せつりつ参画さんかくされた。そして経済けいざいがく社会しゃかい科学かがくじくあしをおくとともに、幅広はばひろ観点かんてんから、ふくあい領域りょういきたる東南とうなんアジア地域ちいき研究けんきゅうとその研究けんきゅう基盤きばん構築こうちくをリードしてこられた。そのつきちゅう成果せいか日本にっぽん東南とうなんアジア研究けんきゅう源流げんりゅうひとつをかたちづくったことにとどまらず、アジア諸国しょこくあいだ日米にちべいあいだにおけるアジア研究けんきゅう相互そうご交流こうりゅうにもおよんでいる。

— 三重野みえのぶんはれ[14]

略歴りゃくれき[編集へんしゅう]

学外がくがいにおける役職やくしょく
  • Econometric Society Council Member(1967ねん1がつから1973ねん12がつまで)[3]
  • 国連こくれん開発かいはつ計画けいかく委員いいんかい委員いいんげん:開発かいはつ政策せいさく委員いいんかい英語えいごばん)(1972ねんから1990ねんまで)
  • ひがしアジア経済けいざい学会がっかい (EAEA: The East Asian Economic Association) 会長かいちょう(1992ねんから2002ねんまで)
  • 社団しゃだん法人ほうじん日本にっぽん教育きょういくかい会長かいちょう(1983ねんから1990ねんまで)

研究けんきゅう課題かだい[編集へんしゅう]

  • アジア、太平洋たいへいよう諸国しょこく計量けいりょうモデル
  • 中国ちゅうごく地域ちいきあいだ産業さんぎょう連関れんかんひょう作成さくせい
  • 日本にっぽんとアジアの経験けいけんもとづく「発展はってん政治せいじ経済けいざいがく

著書ちょしょ[編集へんしゅう]

  • 欧米おうべい教育きょういく日本にっぽん教育きょういく』(そうぶんしゃ 1964ねん
  • 日本にっぽん経済けいざい構造こうぞう 産業さんぎょう連関れんかん分析ぶんせき』(そうぶんしゃ 1969ねん
  • 試練しれん経済けいざい大国たいこく』(日本経済新聞社にほんけいざいしんぶんしゃ 1970ねん
  • 現代げんだいをどうとらえるか-イデオロギーをえて-』(講談社こうだんしゃ現代新書げんだいしんしょ 1970ねん
  • 世界せかいのなかの日本にっぽん経済けいざい』(中公新書ちゅうこうしんしょ 1973ねん
  • 歴史れきしながれのなかに』(そうぶんしゃ 1976ねん
  • 日本にっぽん経済けいざい進路しんろさくめて』(そうぶんしゃ 1985ねん
  • 教育きょういく正常せいじょうねがって』(そうぶんしゃ 1985ねん増補ぞうほばん1990ねん
  • 日本にっぽんとアジア発展はってん政治せいじ経済けいざいがく』<ICSEAD叢書そうしょ>(長尾ながお信吾しんごやくそうぶんしゃ 2003ねん
  • 激変げきへんするアジア情勢じょうせい中国ちゅうごくおよ日本にっぽん国家こっか戦略せんりゃく』(國民こくみん會館かいかん<國民こくみん會館かいかん叢書そうしょ>、2004ねん
  • 経済けいざいがく基礎きそ-経済けいざい循環じゅんかん構造こうぞう計測けいそく-』(そうぶんしゃ 2005ねん
  • 日本にっぽん教育きょういくをまもるもの ぞく教育きょういく正常せいじょうねがって』(そうぶんしゃ 2005ねん
  • 皇室こうしつ典範てんぱん改正かいせいしなければ、宮家みやけくなる』(藤原ふじわら書店しょてん 2012ねん
  • 日本にっぽんとアジア 経済けいざい発展はってんくにづくり』(藤原ふじわら書店しょてん 2022ねん
  • 師恩しおんともえき いち経済けいざい学者がくしゃ交友こうゆうおも』(藤原ふじわら書店しょてん 2023ねん

編著へんちょ[編集へんしゅう]

  • 現代げんだいじんのための名著めいちょ』(会田あいだ雄次ゆうじ永井ながい陽之助ようのすけ宇野うの精一せいいちとの編著へんちょ講談社こうだんしゃ現代新書げんだいしんしょ 1968ねん
  • 日本にっぽん経済けいざい計量けいりょう分析ぶんせき-リーディングス-』(たてもと正弘まさひろとの編著へんちょ東洋経済新報社とうようけいざいしんぽうしゃ 1970ねん
  • 共産きょうさんけん諸国しょこく政治せいじ経済けいざい動向どうこう』(猪木いのき正道せいどうとの編著へんちょそうぶんしゃ 1974ねん
  • 東南とうなんアジアをかんがえる』(そうぶんしゃ 1974ねん
  • 東南とうなんアジアの経済けいざい発展はってん』<東南とうなんアジア研究けんきゅう叢書そうしょ>(そうぶんしゃ 1975ねん
  • 日本にっぽん企業きぎょうインアジア-ビジネスマンの東南とうなんアジア-』(東洋経済新報社とうようけいざいしんぽうしゃ<東経とうけい選書せんしょ> 1980ねん
  • 日本にっぽん教育きょういく理想りそう苦悩くのう』(そうぶんしゃ 1981ねん
  • 『アジアにづく日本にっぽんてき経営けいえい』(東洋経済新報社とうようけいざいしんぽうしゃ<東経とうけい選書せんしょ> 1988ねん
  • 『ゼミナール・現代げんだい日本にっぽん政治せいじ経済けいざい』(高坂こうさかただしとの編著へんちょPHP研究所けんきゅうじょ 1988ねん
  • 中国ちゅうごくから日本にっぽんてき経営けいえい』(東洋経済新報社とうようけいざいしんぽうしゃ 1998ねん
  • 中国ちゅうごく経済けいざい地域ちいきあいだ産業さんぎょう連関れんかん分析ぶんせき』<ICSEAD叢書そうしょ>(おうとし烔との編著へんちょそうぶんしゃ 2004ねん
  • 中国ちゅうごく計量けいりょう経済けいざいがくモデル』<ICSEAD叢書そうしょ>(ローレンス・クラインとの編著へんちょそうぶんしゃ 2006ねん
  • 日本にっぽん経済けいざいのマクロ計量けいりょう分析ぶんせき』(ローレンス・クラインとの編著へんちょ日本経済新聞にほんけいざいしんぶん出版しゅっぱんしゃ 2011ねん

共著きょうちょ[編集へんしゅう]

  • 今昔こんじゃく秀歌しゅうかひゃくせん』(特定とくてい営利えいり活動かつどう法人ほうじん文字もじ文化ぶんか協會きょうかい 2012ねん
編者へんしゃ岡崎おかざきひさ蔡焜燦遠藤えんどう浩一こういち藍川あいかわ由美ゆみ福田ふくだいつ高島たかしま俊男としお桶谷おけたに秀昭ひであき稲田いなだ朋美ともみ鷲尾わしお英一郎えいいちろう小堀こぼり桂一郎けいいちろう笹原ささはら宏之ひろゆき松本まつもととおる早川はやかわ聞多土田つちた龍太郎りゅうたろう

訳書やくしょ英文えいぶん[編集へんしゅう]

  • アレクサンダー・エクスタインへん中国ちゅうごく経済けいざい発展はってん』<東南とうなんアジア研究けんきゅう叢書そうしょ>(監訳かんやくそうぶんしゃ、1979ねん
  • (co-edited with Roy Bahl) Decentralization Politics in Asian Development (London: World Scientific, 2009)

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

  1. ^ Ichimura, Shinichi (1953). An inquiry into non-linear macro-dynamic theories of economic fluctuations (Ph.D. thesis). MIT. 2017ねん3がつ5にち閲覧えつらん
  2. ^ a b c 市村いちむら真一しんいち』 - コトバンク
  3. ^ a b c d e 市村いちむら真一しんいち教授きょうじゅ略歴りゃくれき東南とうなんアジア研究けんきゅうだい25かんだい3ごう、1987ねん
  4. ^ 国立こくりつ国会図書館こっかいとしょかん NDL-OPAC(書誌しょし 詳細しょうさい表示ひょうじ
  5. ^ 博士はかせろん文書ぶんしょデータベース
  6. ^ かたぐ」 南京なんきん真珠湾しんじゅわん落下傘らっかさん”. 読売新聞社よみうりしんぶんしゃ. 2013ねん5がつ1にち時点じてんオリジナルよりアーカイブ。2017ねん11月30にち閲覧えつらん
  7. ^ 天皇陛下てんのうへいか在位ざいい20ねん奉祝ほうしゅくかんする各界かくかい学界がっかい文化ぶんかかい芸能げいのうかい一覧いちらん”. 天皇陛下てんのうへいか即位そくいじゅうねん奉祝ほうしゅく委員いいんかい. 2017ねん12月1にち時点じてんオリジナルよりアーカイブ。2017ねん12月2にち閲覧えつらん
  8. ^ a b 東南とうなんアジア研究けんきゅう 2016, p. 93
  9. ^ a b 東南とうなんアジア研究けんきゅう 2016, p. 100
  10. ^ あたらしい歴史れきし教科書きょうかしょをつくるかいあたらしい教科書きょうかしょ誕生たんじょう!!』PHP研究所けんきゅうじょ、2000ねん8がつ1にち、332ぺーじISBN 978-4569612553 
  11. ^ 教科書きょうかしょ改善かいぜんかい発足ほっそく”. 教科書きょうかしょ改善かいぜんかい (2007ねん8がつ1にち). 2018ねん7がつ14にち閲覧えつらん
  12. ^ 東南とうなんアジア研究けんきゅう 2016, p. 99-100
  13. ^ 東南とうなんアジア研究けんきゅう 2016, p. 101
  14. ^ a b 三重野みえのぶんはれ (2016ねん). “Newsletter : Center for Southeast Asian Studies, Kyoto University No.73” (PDF). CSEAS NEWSLETTER No.73 (京都大学きょうとだいがく東南とうなんアジア地域ちいき研究けんきゅう研究所けんきゅうじょ): p. 10. http://www.cseas.kyoto-u.ac.jp/wp-content/uploads/2016/04/cseas73_en.pdf 

参考さんこう文献ぶんけん[編集へんしゅう]