経済けいざい発展はってん

経済けいざい発展はってん（けいざいはってん、Economic Development）は、資本しほん蓄積ちくせきや技術ぎじゅつ力りょくの進歩しんぽに伴ともなって、未み発達はったつで低てい所得しょとくの国家こっか経済けいざいが近代きんだい的てきな産業さんぎょう経済けいざいに生うまれ変かわるプロセスのことである。経済けいざい進歩しんぽや経済けいざい成長せいちょうと同義どうぎに用もちいられることもあるが、若干じゃっかん意味いみが異ことなる。

概念がいねん

一般いっぱん的てきには、量的りょうてきな拡大かくだいとともに質的しつてきな向上こうじょうが含ふくまれる経済けいざい活動かつどうを支ささえる基盤きばん、蓄積ちくせきを強調きょうちょうする概念がいねんである。現代げんだいの複雑ふくざつで豊ゆたかな経済けいざいと比くらべて、古代こだい・中世ちゅうせいなどは原始げんし的てきで貧まずしいと評価ひょうかされるわけであるが、その時代じだいでも現代げんだいでも、その経済けいざいの中なかで相対そうたい的てきに見みて繁栄はんえいした経済けいざいに発展はってんできるであろう資本しほんや技術ぎじゅつ力りょくを持もつということは、発展はってん途上とじょう国こくにとってきわめて重要じゅうような意味いみを持もっている。経済けいざい発展はってんの問題もんだいは、こうした文脈ぶんみゃくにおいて通常つうじょう議論ぎろんされるものである。

命題めいだい

経済けいざい発展はってんの度合どあいを計はかるには、国民こくみん一いち人にん当あたりの所得しょとく水準すいじゅんを見みるのが一般いっぱん的てきといわれている。だが、発展はってん途上とじょう国こくの間あいだにさえ非常ひじょうに大おおきな差さが生しょうじているため、特定とくていの国くにの発展はってんが遅おくれている理由りゆうと、その国くにの経済けいざい構造こうぞうを根本こんぽんから変革へんかくする最もっとも効果こうか的てきな方法ほうほうについて、最終さいしゅう的てきな結論けつろんについては未いまだに専門せんもん家かで議論ぎろんされている状況じょうきょうである。所得しょとく水準すいじゅんの違ちがいは、天然てんねん資源しげんや環境かんきょうに左右さゆうされうるが、人間にんげんの力ちからによる部分ぶぶんも多分たぶんに含ふくまれている。つまり、全すべての国家こっかは発展はってんできる潜在せんざい能力のうりょくを持もっていることになるのである。そこで国家こっかの潜在せんざい能力のうりょくはどうすれば十分じゅうぶんに発揮はっきされるのであろうか、ということが重要じゅうような命題めいだいになってくる。

発展はってん途上とじょう国こくにおける経済けいざい発展はってん

発展はってん途上とじょう国こくには経済けいざい成長せいちょう力ちからを削そぐ、数すう多おおくの共通きょうつうした問題もんだい点てんがある。

• 第だい1次じ産業さんぎょうが国家こっか収入しゅうにゅうの大半たいはんを占しめ、少数しょうすうの（もしくは単一たんいつの）生産せいさん品ひんがその大おおきな割合わりあいを占しめている（モノカルチャー経済けいざい）。
• 第だい2次じ産業さんぎょうの活動かつどう水準すいじゅんと範囲はんいが極きわめて低ひくく、技術ぎじゅつ力りょくも未み発達はったつである。
• 大量たいりょうの余剰よじょう人口じんこうを抱かかえている上うえに、人口じんこう増加ぞうか率りつが高たかい。
• インフラストラクチャーの不備ふび。
• 人的じんてき資源しげんの低てい開発かいはつ、金融きんゆう機関きかんが脆弱ぜいじゃくである。

このような状況じょうきょうを打破だはし円滑えんかつに経済けいざい発展はってんするため、特とくに第だい二に次じ世界せかい大戦たいせん後のちに様々さまざまな方策ほうさくが採とられてきた。その好例こうれいとしては、新あたらしい産業さんぎょう部門ぶもんの創設そうせつが挙あげられる。1950年ねん以来いらい、多おおくの発展はってん途上とじょう国こくでこの方策ほうさくに基もとづき工業こうぎょう開発かいはつが行おこなわれた。

だが、この政策せいさくが全般ぜんぱん的てきには総そうじて期待きたいはずれであった。経済けいざい成長せいちょうが促進そくしんされたことは間違まちがいないが、資源しげんがインフラ整備せいびに主おもに振ふり向むけられたために、国民こくみんの大だい多数たすうが依存いぞんする伝統でんとう的てきな経済けいざい分野ぶんやでは殆ほとんど発展はってんが見みられなかった。また、人材じんざい育成いくせいの急激きゅうげきな促進そくしんは、経済けいざいが吸収きゅうしゅうしきれない大量たいりょうの高学歴こうがくれき者しゃを生うみ出だしたにすぎなかった。もうひとつの深刻しんこくで継続けいぞく的てきな問題もんだいは、人口じんこう増加ぞうか率りつの抑制よくせいに失敗しっぱいしたことであった。ある程度ていどの国民こくみん所得しょとくの成長せいちょうは、急激きゅうげきな人口じんこう増加ぞうかによって相殺そうさいされてしまった。同時どうじに産業さんぎょう振興しんこうのために多額たがくの債務さいむを負おった国々くにぐに（重じゅう債務さいむ最貧さいひん国こく）は、経済けいざいの構造こうぞう的てき不ふ均衡きんこう状態じょうたいに閉とじ込こめられ脱出だっしゅつの糸口いとぐちを見出みだせないでいる。

現在げんざい

このようなことから、大だい規模きぼな資本しほん投資とうし計画けいかくによる発展はってん途上とじょう国こくの先進せんしん国こくの経済けいざい構造こうぞうへの再試さいしは、経済けいざい発展はってんを達成たっせいする効率こうりつ的てきな方法ほうほうではないことが常識じょうしきとなった。そこで現在げんざいでは、最もっとも効率こうりつ的てきに経済けいざい発展はってんを促うながす方法ほうほうをみいだすことが求もとめられている。

関連かんれん項目こうもく

• 経済けいざい成長せいちょう
• 経済けいざい開発かいはつ
• 社会しゃかい経済けいざい学がく
• 資本しほん主義しゅぎ