平賀ひらが敏さとし

ひらが さとし（びん） 平賀ひらが 敏さとし
生誕せいたん	大井おおい 金五郎きんごろう (1859-09-09) 1859年ねん9月9日にち 日本にっぽん武蔵むさし国こく江戸えど駿河台するがだい
死没しぼつ	(1931-01-14) 1931年ねん1月がつ14日にち（71歳さい没ぼつ）
国籍こくせき	日本にっぽん
出身しゅっしん校こう	静岡しずおか師範しはん学校がっこう・慶應義塾けいおうぎじゅく

平賀ひらが 敏さとし（ひらが さとし/びん、1859年ねん9月9日にち（安政あんせい6年ねん8月がつ13日にち） - 1931年ねん（昭和しょうわ6年ねん）1月がつ14日にち）は、明治めいじ期きの実業じつぎょう家か、官僚かんりょう。豆まめ陽ひ学校がっこう校長こうちょう、宮みや内省ないせい勤務きんむ、三井みつい銀行ぎんこう名古屋なごや・大阪おおさか各かく支店してん長ちょう、中東ちゅうとう製革せいかく社長しゃちょう、桜さくらセメント社長しゃちょう、帝国ていこく鉱泉こうせん（後ごの三ツ矢みつやサイダー）社長しゃちょう、藤本ふじもとビルブローカー銀行ぎんこう（後ごの大和証券だいわしょうけん）社長しゃちょう、阪急電鉄はんきゅうでんてつ社長しゃちょう、播磨はりま水みず電でん取締役とりしまりやく、両備りようび水みず電でん社長しゃちょう、日本にっぽん簡易かんい火災かさい保険ほけん社長しゃちょう、日本にっぽん徴兵ちょうへい保険ほけん監査かんさ役やく、亜鉛あえん乾いぬい鉱こう会長かいちょう、白しろ山水さんすい電でん監査かんさ役やく、岡山おかやま電燈でんとう会長かいちょう等とうを歴任れきにん。

経歴けいれき

江戸えどに、幕府ばくふ旗本はたもと・平賀ひらが昌あきら夢ゆめの四よん男おとことして駿河台するがだいに生うまれる。幼名ようみょうは金きむ五郎ごろう。姓せいは大井おおいを名乗なのったが、のちに改あらためた。6歳さいで母親ははおやを、13歳さいで父親ちちおやを亡なくした。

儒者じゅしゃ・佐藤さとう平八郎へいはちろうに就ついて漢籍かんせきを学まなんだが、父ちちを失うしなったことで困窮こんきゅうし、一家いっかで静岡しずおか藩はんへ移うつる。藩はん立りつ静岡しずおか学問がくもん所しょを経へて、明治めいじ8年ねんに創設そうせつされた静岡しずおか師範しはん学校がっこうを首席しゅせきで明治めいじ10年ねんに卒業そつぎょうし、県けん命いのちにより江戸えどの三叉みつまた学舎がくしゃで学まなんだのち慶應義塾けいおうぎじゅくに入はいり卒業そつぎょう。同窓どうそうに、北川きたがわ礼あや弼・渡邊わたなべ修おさむ・矢田やた績等ひとしあり。義ぎ塾じゅく内ないで「経世けいせい社しゃ」を組織そしきして演説えんぜつ会かいを主催しゅさいした。

明治めいじ15年ねんに静岡しずおか師範しはん学校がっこう（初代しょだい校長こうちょう江原えばら素もと六ろく）の三さん等とう教諭きょうゆに任にんぜられ、次ついで伊豆いずの豆まめ陽ひ学校がっこう校長こうちょうとなるも、東京とうきょうに出でて宮みや内省ないせいの属官ぞっかんを経へて中上川なかみがわ彦次郎ひこじろうの誘さそいで三井みつい銀行ぎんこうに入行にゅうこう、名古屋なごや支店してん長ちょうとなり、そのとき部下ぶかだった小林こばやし一三かずみを連つれて大阪おおさか支店してん長ちょうに栄転えいてんした。関西かんさい財界ざいかいで頭角とうかくを現あらわし、明治めいじ40年ねんに三井みついを辞やめて中東ちゅうとう製革せいかく、桜さくらセメント、帝国ていこく鉱泉こうせんの3社しゃを興おこして社長しゃちょうとなる。桜さくらセメントでは、元もと部下ぶかの小林こばやし一三かずみが運営うんえいを始はじめた箕面みのお有馬ありま電気でんき軌道きどう（阪急電鉄はんきゅうでんてつの前身ぜんしん）に事務所じむしょの一部いちぶを貸かし、人員じんいんや事務じむ費ひの支援しえんもした。その後ご、北浜きたはま銀行ぎんこう事件じけんのために退任たいにんしたる岩下いわした清きよし周しゅうの後のちを受うけて阪急電鉄はんきゅうでんてつ社長しゃちょうに就任しゅうにんした。

明治めいじ42年ねんには、日にち糖とう事件じけんにより債権さいけん回収かいしゅう不能ふのうとなった藤本ふじもとビルブローカー銀行ぎんこうを救済きゅうさいし、その後ご、水力すいりょく発電はつでん事業じぎょうに力ちからを入いれ、明治めいじ43年ねんに播磨はりま水みず電でん取締役とりしまりやく、大正たいしょう8年ねんに両備りようび水みず電でん株式会社かぶしきがいしゃを創立そうりつして社長しゃちょう。その他た日本にっぽん簡易かんい火災かさい保険ほけん社長しゃちょう、日本にっぽん徴兵ちょうへい保険ほけん監査かんさ役やく、亜鉛あえん乾いぬい鉱こう会長かいちょう、白しろ山水さんすい電でん監査かんさ役やく、岡山おかやま電燈でんとう会長かいちょう等とうを歴任れきにんした。

病やまいにより大正たいしょう14年ねんに引退いんたいして奈良ならに転居てんきょして療養りょうよう生活せいかつに入はいり、昭和しょうわ6年ねん狭心症きょうしんしょうにより死去しきょした。

家族かぞく

• 長男ちょうなん・平賀ひらが太郎たろう（1896年生ねんせい）は工学こうがく士し、その妻つまは西郷さいごう菊次郎きくじろうの三さん女じょ・洲しゅう子こ（鹿児島かごしま高等こうとう女学校じょがっこう出身しゅっしん）。東京とうきょう帝国ていこく大学だいがく工学部こうがくぶ電気でんき工学科こうがっかを卒業そつぎょうしフランスに留学りゅうがくもしたが、病やまいのため静しずか居きょ。
• 次男じなんの井上いのうえ二郎じろう（1897年生ねんせい）は慶応義塾大学けいおうぎじゅくだいがく卒業そつぎょう後ご、三菱商事みつびししょうじ入社にゅうしゃ、実業じつぎょう家か井上いのうえ周あまねの娘むすめ婿むことなる。
• 三男さんなんの平賀ひらが毅あつし（1901年生ねんせい）は富士火災海上保険ふじかさいかいじょうほけん（現げん・ＡＩＧ損害そんがい保険ほけん株式会社かぶしきがいしゃ）社長しゃちょうを務つとめた。妻つまの英子えいこは大山おおやま巌いわお・渡辺わたなべ千秋ちあきの孫まごで、渡辺わたなべ昭あきらの妹いもうと。相あい婿むこに新村しんむら出いずる長男ちょうなん・秀一ひでかず、井上いのうえ清一せいいちがいる。
• 四よん男なんの平賀ひらか練ねり吉きち（1902－1985）は、東京とうきょう帝国ていこく大学だいがく農学部のうがくぶ卒業そつぎょう後ご、大阪おおさか営林局えいりんきょく囑託しょくたくを経へて、1931年ねんアマゾン青年せいねん開拓かいたく団だんの副ふく団長だんちょうとしてブラジルに移民いみんし、アマゾン川あまぞんがわ中ちゅう流域りゅういきの開拓かいたくに従事じゅうじ、パラ州しゅうトメアスに入植にゅうしょくし、胡椒こしょうをブラジルの輸出ゆしゅつ品ひんに育そだてたほか、移民いみん子弟していの教育きょういくにも尽つくし、「アマゾン移民いみん日本人にっぽんじんの父ちち」といわれる。第だい五ご回かい吉川よしかわ英治えいじ文化ぶんか賞しょう受賞じゅしょう。
• 六ろく女じょの富士子ふじこ（1904年生ねんせい、神戸女学院こうべじょがくいん出身しゅっしん）の夫おっとは小林こばやし一三かずみの長男ちょうなん・小林こばやし富佐ふさ雄ゆう。
• 五男いつお・平賀ひらが貞さだ愛あい（1908年生ねんせい）の岳父がくふに俵たわら孫一まごいち。

参考さんこう文献ぶんけん

• 三田みた商業しょうぎょう研究けんきゅう会かい 編へん『慶應義塾けいおうぎじゅく出身しゅっしん名流めいりゅう列伝れつでん』実業じつぎょう之の世界せかい社しゃ、1909年ねん（明治めいじ42年ねん）6月がつ、895-896頁ぺーじ。https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/777715。 （近代きんだいデジタルライブラリー）
• 堅実けんじつに発達はったつせる山陽さんよう中央ちゅうおう水すい電でん株式会社かぶしきがいしゃ
• 野依のより秀市しゅういち 編へん『財界ざいかい物故ぶっこ傑物けつぶつ伝でん下巻げかん』実業じつぎょう之の世界せかい社しゃ、1936年ねん（昭和しょうわ11年ねん）。 

先代せんだい 岩下いわした清きよし周しゅう

阪神はんしん急行きゅうこう電鉄でんてつ（旧きゅう箕面みのお有馬ありま電気でんき軌道きどう）社長しゃちょう 1915年ねん - 1925年ねん

次代じだい 小林こばやし一三かずみ

先代せんだい 葛原くずはら猪平いのひら

山陽さんよう電気でんき（旧きゅう山口やまぐち電灯でんとう）社長しゃちょう 1916年ねん - 1917年ねん

次代じだい 二に代目だいめ八木やぎ宗十郎そうじゅうろう

先代せんだい 設立せつりつ

山陽さんよう中央ちゅうおう水すい電でん（旧きゅう両備りようび水みず電でん）社長しゃちょう 1919年ねん - 1925年ねん

次代じだい 速水はやみ太郎たろう