広報こうほう

広報こうほう（こうほう、英えい: public relations; PR、パブリック・リレーションズ）は、主体しゅたいと公衆こうしゅうの望のぞましい関係かんけいを構築こうちくする営いとなみである。

概要がいよう

商業しょうぎょう的てきな、営利えいり企業きぎょうの広報こうほう活動かつどうは、情報じょうほうを発信はっしんする側がわがメディアにお金かねを支払しはらう必要ひつようのない宣伝せんでんを意味いみする（上記じょうきのPR(Public Relationship)の導入どうにゅう時じの概念がいねんは行政ぎょうせい中心ちゅうしんの認識にんしきに終おわり、営利えいり企業きぎょうとは距離きょりがあった）。メディアは情報じょうほうを取とり上あげるかどうかは判断はんだんするが、メディアを介かいさずとも市民しみんへと情報じょうほうが伝達でんたつされることもある。極端きょくたんに言いえば、宣伝せんでん的てきな活動かつどうをタダでする、ということである。広告こうこくは広告こうこく主ぬしが事前じぜんに枠わくを買かうので莫大ばくだいな出資しゅっしが必要ひつようとなり、それ故こ広告こうこく不ふ掲載けいさいは「メディアが仕事しごとを全まっとうしてない」こととなり非難ひなんの対象たいしょうとなるが、広報こうほうにおいてはメディアが記事きじを取とり上あげないとしても非難ひなんはされない(その後ごの関係かんけいにヒビが入はいることはある)。ちなみに企業きぎょうがブランドWEBページを製作せいさくして宣伝せんでんを行おこなう行為こういは基本きほん的てきに広報こうほうに分類ぶんるいされる。テレビCMなどは広告こうこくに分類ぶんるいされるが、同おなじテレビでも、番組ばんぐみ内ないで取材しゅざいを受うけたり商品しょうひんをアピールするために出演しゅつえん協力きょうりょくを行おこなうことなどは広報こうほうに分類ぶんるいされる。 ここで注意ちゅういすべきは、広報こうほう(PR)は、単たんなる情報じょうほう配信はいしんのみならず、それに対たいする反響はんきょうや意見いけんを含ふくむものであるという点てんである。したがって、情報じょうほう配信はいしんに対たいする効果こうか測定そくていや「お客様きゃくさま相談そうだん室しつ」などによるき取きとり、アンケート調査ちょうさなどは、概念的がいねんてきにはひろく広報こうほうに含ふくまれる。

企業きぎょうでは広告こうこく、CMなどを扱あつかう宣伝せんでん部門ぶもんと同おなじ部署ぶしょだったり、広報こうほう担当たんとうでも商品しょうひん担当たんとうと企業きぎょう担当たんとうで分わかれるなど、企業きぎょうによって位置いちづけは異ことなる。広報こうほう担当たんとうをテレビ番組ばんぐみなどに出演しゅつえんさせて、企業きぎょうの知名度ちめいどを上あげていく手法しゅほうを取とる企業きぎょうもある（例れい：ライブドアなど）。また、官庁かんちょうなどでは上述じょうじゅつの経緯けいいから、広報こうほう・広こう聴は一体いったい的てきに取とり扱あつかわれる場合ばあいが多おおい。

定義ていぎ

日本にっぽん広報こうほう学会がっかいは2023年ねんに「広報こうほう」を次つぎのように定義ていぎした：

組織そしきや個人こじんが、目的もくてき達成たっせいや課題かだい解決かいけつのために、多様たようなステークホルダーとの双方向そうほうこうコミュニケーションによって、社会しゃかい的てきに望のぞましい関係かんけいを構築こうちく・維持いじする経営けいえい機能きのうである。 — 日本にっぽん広報こうほう学会がっかい 新あらたな広報こうほう概念がいねんの定義ていぎプロジェクト、広報こうほうの定義ていぎと解説かいせつ

広報こうほうと広告こうこくの関係かんけい

広告こうこくと混同こんどうされることがあるが、広告こうこくが新聞しんぶんや雑誌ざっし、テレビなどの広告こうこく枠わくを買かって商品しょうひんや企業きぎょうの宣伝せんでんを行おこなうことであるのに対たいし、広報こうほうとは情報じょうほうを受発信じゅはっしんすることで、新聞しんぶんや雑誌ざっしなどの媒体ばいたいに記事きじとして取とり上あげてもらったり、従業じゅうぎょう員いんや株主かぶぬし、消費しょうひ者しゃなどのステークホルダーに活動かつどう内容ないようなどを理解りかいしてもらうことを含ふくむ。発信はっしん側がわでは情報じょうほう戦せん、心理しんり戦せんの一いち手段しゅだんとして捉とらえる場合ばあいもある。

情報じょうほう発信はっしんの手段しゅだん

• 記者きしゃ会見かいけん

新しん商品しょうひんや業績ぎょうせきの発表はっぴょうの際さいには、記者きしゃに出席しゅっせきしてもらい記者きしゃ会見かいけんを行おこなうことがある。記者きしゃに情報じょうほうを伝つたえることで新聞しんぶんや雑誌ざっしなどに記事きじとして取とり上あげてもらい、結果けっかとして情報じょうほうを広ひろく発信はっしんすることが目的もくてきとなる。各かく省庁しょうちょうや証券しょうけん取引とりひき所しょには記者きしゃクラブがあることが多おおく、また民間みんかんでも自動車じどうしゃ産業さんぎょう記者きしゃ会かいとか重工業じゅうこうぎょう倶楽部くらぶといった業種ぎょうしゅ別べつの記者きしゃクラブが存在そんざいする。それら記者きしゃクラブの会議かいぎ室しつを使用しようすることが多おおい（「レクつき会見かいけん」と呼よばれる）が、社内しゃないの会議かいぎ室しつを使用しようしたり、大おおきな発表はっぴょうの場合ばあいにはホテルなどの会場かいじょうを用意よういして行おこなうこともある。珍めずらしい場所ばしょとしては、シャープが調理ちょうり器具きぐの新しん製品せいひんの発表はっぴょうを行おこなった際さいに、料理りょうり学校がっこうの教室きょうしつを使用しようしたケースがあった。

不祥事ふしょうじが発生はっせいした際さいの謝罪しゃざい会見かいけんも立派りっぱな広報こうほう活動かつどうのひとつであり、正確せいかくな情報じょうほうや今後こんごの対応たいおう策さくなどを発信はっしんすることで、企業きぎょうのダメージを最小限さいしょうげんに抑おさえることが目的もくてきとなる。

• 記者きしゃクラブなどでの資料しりょう配布はいふ

各かく省庁しょうちょうや証券しょうけん取引とりひき所しょに設置せっちされた記者きしゃクラブには、資料しりょうを配布はいふするためのスペースがある。上場じょうじょう企業きぎょうの場合ばあいには株価かぶかに影響えいきょうを与あたえる情報じょうほうもあるため、特とくに「重要じゅうよう事項じこう」と呼よばれる、証券しょうけん取引とりひき所しょの適時てきじ開示かいじ規則きそくで開示かいじが定さだめられている内容ないようにかかわる発表はっぴょうは、証券しょうけん取引とりひき所しょの取引とりひきが終了しゅうりょうした後のちに配布はいふする例れいがいまでも多おおく見みられる。しかし、東京とうきょう証券しょうけん取引とりひき所しょの適時てきじ開示かいじ規則きそくでは、取引とりひき中ちゅうの開示かいじを薦すすめている。最近さいきんは、場外じょうがいの取引とりひきや夜間やかん取引とりひきなども行おこなわれており、必かならずしも取引とりひき終了しゅうりょう時刻じこくの午後ごご3時じ以降いこうである必然ひつぜん性せいがなくなったからである。

• 新聞しんぶん社しゃや雑誌ざっし社しゃに直接ちょくせつFAXやメールを送信そうしん

単たんに記者きしゃ会見かいけんや資料しりょうを配布はいふすることで記事きじになることを期待きたいするのではなく、積極せっきょく的てきに記事きじとして取とり上あげてくれそうなマスコミに直接ちょくせつ、プレスリリースなどをFAXやメールで送信そうしんすることもある。

• ウェブサイト

企業きぎょうや行政ぎょうせいのウェブサイト上じょうに情報じょうほうを掲示けいじするための機能きのうを持もたせ、そこで様々さまざまな情報じょうほう発信はっしんを行おこなう。上場じょうじょう企業きぎょうの場合ばあいには新着しんちゃく情報じょうほうなどとは別べつに、決算けっさん資料しりょうや中期ちゅうき経営けいえい計画けいかくなどの資料しりょうを掲示けいじしているケースが多おおい。

• 社内しゃない報ほう

社内しゃない向むけに情報じょうほう発信はっしんを行おこなうことも立派りっぱな広報こうほう活動かつどうのひとつである。企業きぎょう規模きぼが大おおきくなると社内しゃないの統一とういつ感かんなどが形成けいせいされにくいことから、社内しゃない情報じょうほうの共有きょうゆう化かやコミュニケーションツールとして活用かつようされている。社内しゃないイントラネットの普及ふきゅうから紙かみ媒体ばいたいではなく電子でんし媒体ばいたいを利用りようする企業きぎょうもある。グループ企業きぎょうが多おおくなると、社内しゃない報ほうとは別べつにグループ報ほうなどを作成さくせいするケースもある。

• 株主かぶぬし総会そうかい

株主かぶぬしに対たいしての情報じょうほう発信はっしんも広報こうほう活動かつどうのひとつと考かんがえられる。直接ちょくせつ一般いっぱんの株主かぶぬしと経営けいえい陣じんが接せっすることが出来できる少すくない機会きかいであることから、最近さいきんは株主かぶぬし総会そうかいにも力ちからを入いれている企業きぎょうが多おおい。

• 会社かいしゃ説明せつめい会かい

最近さいきんは決算けっさん発表はっぴょうの後のちに、機関きかん投資とうし家か向むけの説明せつめい会かいを開催かいさいする企業きぎょうが増ふえている。決算けっさん発表はっぴょうの数字すうじを更さらに細こまかく分析ぶんせきした資料しりょうを作成さくせいして、決算けっさん内容ないようや今後こんごの見通みとおしなどの説明せつめいを行おこなう。企業きぎょうによっては一般いっぱん投資とうし家かとの公平こうへい性せいを考慮こうりょして、配布はいふした資料しりょうを自社じしゃのウェブサイト上じょうに掲載けいさいしているところもある。

大おおきな会場かいじょうでは詳細しょうさいの質疑しつぎ応答おうとうに時間じかん的てき制約せいやくがあるため、直接ちょくせつ各かく企業きぎょうを訪問ほうもんして個別こべつに説明せつめい会かいを開催かいさいするケースもある。外資がいしの持もち株かぶ比率ひりつが高たかい企業きぎょうでは、海外かいがい進出しんしゅつをしていなくても説明せつめい先さきの範囲はんいが海外かいがいに及およんだり、英語えいご版ばんの資料しりょうを作成さくせいしている場合ばあいがある。機関きかん投資とうし家かだけではなく、一般いっぱん投資とうし家か向むけの説明せつめい会かいを開催かいさいする企業きぎょうもある。

ファッション・ブランド業界ぎょうかい

• ファッションや化粧けしょう品ひん業界ぎょうかいのブランド企業きぎょうなどの広報こうほう担当たんとう者しゃは「プレス」と呼よばれ、キャリアウーマンのイメージからか、女性じょせいの憧あこがれる職業しょくぎょうにあげられることが多おおい。

芸能げいのう界かい

• 日本にっぽんの芸能げいのう界かいは、芸能げいのう事務所じむしょが身みの回まわりの世話せわから仕事しごとの斡旋あっせんを行おこなっている。しかし、主おもにハリウッドでは、マネージャー、スタイリスト、弁護士べんごし、税理士ぜいりしなどと個々ここに契約けいやくする。その中なかに広報こうほう（パブリシスト）も含ふくまれている。このパブリシストが、仕事しごとの管理かんり、ギャラ交渉こうしょうなど、日本にっぽんの芸能げいのう事務所じむしょ側がわが行おこなっている業務ぎょうむを行おこなっている。この広報こうほう次第しだいでトップスターになるか、逆ぎゃくに人気にんき暴落ぼうらくを招まねく場合ばあいもあるため、パブリシストとの契約けいやくは1番ばん慎重しんちょうに行おこなわなければならない。

歴史れきし

戦前せんぜんは主おもに「弘報こうほう」が使つかわれており、これは情報じょうほうの配信はいしんのみを意味いみしていたが、戦後せんごGHQによりPR(Public Relationship)の概念がいねんが導入どうにゅうされ、対たい日にち民主みんしゅ化か政策せいさくの一環いっかんとして「行政ぎょうせいの民主みんしゅ的てき運営うんえいのためのPR」の導入どうにゅうが推進すいしんされるようになると、CIEO(Civil Information Education Office: 市民しみん情報じょうほう啓発けいはつ室しつ）やPRO（Public Relations Office: 広報こうほう室しつ）が中央ちゅうおう官庁かんちょうや自治体じちたいに設置せっちされるようになり、それまでの一方向いちほうこう的てきな「弘報こうほう」にかわり、双方向そうほうこう的てきな広報こうほうが普及ふきゅうするようになった。

関連かんれん項目こうもく

• 政府せいふ広報こうほう
• 社内しゃない報ほう
• 機関きかん紙し
• インフォマーシャル
• プロパガンダ
• パブリック・リレーションズ (PR)
• パブリシティ
• ブランディング

外部がいぶリンク

• 財団ざいだん法人ほうじん経済けいざい広報こうほうセンター
• 財団ざいだん法人ほうじん経済けいざい広報こうほうセンター（英語えいご）Keizai Koho Center / Japan Institute for Social and Economic Affairs
• 公益社こうえきしゃ団だん法人ほうじん日本にっぽん広報こうほう協会きょうかい Japan Public Relations Association
• 公益社こうえきしゃ団だん法人ほうじん日本にっぽんパブリックリレーションズ協会きょうかい
• 公益社こうえきしゃ団だん法人ほうじん日本にっぽんパブリックリレーションズ協会きょうかい（英語えいご）Public Relations Society of Japan
• 一般いっぱん社団しゃだん法人ほうじん企業きぎょう研究けんきゅう会かい Business Research Institute
• 一般いっぱん社団しゃだん法人ほうじん経団連けいだんれん事業じぎょうサービス　社内しゃない広報こうほうセンター Keidanren Business Services for Internal Communications
• 国際こくさいPR協会きょうかい（英語えいご）International Public Relations Association