成東 ・東金 食虫植物 群落
歴史 ・沿革 [編集 ]
天然記念物 への指定 [編集 ]
……成東 駅 に下 りて行 くこと数 十 丁 なれば成東 中学 分校 の下 に……コモウセングサ、ナガバノイシモチソウ、ヒナノカンザシ、……サギソウ等 一 面 に茂 生 し……是 より道 を南方 に取 りて進 むこと七 八 丁 なれば武 射 田 の原 に到 るべし植物 は殆 ど前者 と同一 なれど……前 に見 ざりしモウセングサ、イシモチソウ、ハルリンドウ等 を加 え、四辺 の水田 にはタヌキモ、サンカンイ、ミクリ、…… [注 1]
と
その
1928
縮小 と保護 活動 [編集 ]
1920 |
38743 | |
1932 |
30353 | |
1956 |
15097 | |
1982 |
16494 | |
1986 |
17191 | |
2006 |
31891 |
1932
そして1970
1978
1985
また、
2000
2006
現在 [編集 ]
特色 [編集 ]
地理 ・地質 学 的 特徴 [編集 ]
植生 [編集 ]
- モウセンゴケ
科 の食虫植物 - モウセンゴケ
科 の植物 は、捕虫 葉 が傾 性 運動 をすることで、虫 を捕 らえる。本 群落 に生育 する4種 はいずれもモウセンゴケ属 に分類 される。これらのなかまは葉 にマッチ棒 のような形 をした腺 毛 を持 ち、成熟 した葉 は常時 先端 から粘液 を分泌 しているが、そこに小 動物 が付着 すると、さらに粘液 を補充 させると同時 に、細胞 の伸長 と縮小 により腺 毛 と葉 を湾曲 させ、獲物 を包 み込 み、吸収 するという仕組 みになっている[33]。草丈 は10~20センチメートルほど[34]。環境省 RDB[35]準 絶滅 危惧 (NT)、千葉 県 RDB[36]最 重要 保護 生物 (A)指定 [37]。葉 に生 えている多数 の腺 毛 から出 る粘液 で小 さな虫 を捕 らえる。また、地下 に球状 の塊根 を持 つ[34]。本 群落 においては、南側 の乾燥 した区域 に見 られる[8]。観察 に最 も適 した時期 は他 よりも早 く、5月から6月 までにかけて[3][9]。開花 時間 帯 は午前 中 [34]。
- シロバナナガバノイシモチソウ(
学名 :Drosera indica)
草丈 は10~20センチメートルほど[38]。環境省 RDB絶滅 危惧 II類 (VU)、千葉 県 RDB最 重要 保護 生物 (A)指定 [37]。7月から9月 までの間 に、直径 1センチメートルほどの白 い花 を咲 かせる。イシモチソウと同様 に葉 の腺 毛 から出 る粘液 で捕虫 を行 うが、葉 の長 さは同種 の方 が長 い[38]。ふつう淡紅 色 の花 をつけ、単 にナガバノイシモチソウと呼 ばれるのに対 し、同 群落 の種 は白色 であることから、この名 で呼 ばれる[39]。地下水 位 が高 い湿潤 な場所 でしか生息 できないため、本 群落 では北側 の区域 に多 く分布 している[8]。
- コモウセンゴケ(
学名 :Drosera spatulata)
草丈 は10~15センチメートルほど[40]。千葉 県 RDB要 保護 生物 (C)指定 [37]。へら形 の葉 を持 ち、そこから生 えている紫紅 色 の腺 毛 から粘液 を分泌 して捕虫 を行 う。ロゼット状 に根 生 しており、本 群落 においては、南側 の乾燥 した区域 に見 られる。夏 の6月 から9月 までの時期 に、大 きさ8ミリメートルほどの淡紅 色 の花 を咲 かせる[8][40]。
- モウセンゴケ(
学名 :Drosera rotundifolia)
- タヌキモ
科 の食虫植物 - タヌキモ
科 の植物 のうち、タヌキモ属 の食虫植物 は、戸 の付 いた捕虫 嚢に水圧 で小 動物 を吸 い込 むことによって獲物 を捕 らえる。捕虫 嚢の入 り口 にある弁 の下部 に付 いている長 い感覚 毛 に小 動物 が触 れると、不意 に弁 が開 き、獲物 が水 と共 に嚢内に吸 い込 まれるという仕組 みになっている[42]。- ミミカキグサ(
学名 :Utricularia bifida)
草丈 は5~15センチメートルほど[43]。千葉 県 RDB最 重要 保護 生物 (A)指定 [44]。細 い地下茎 を地表 近 くに巡 らせ、小 さな捕虫 嚢を地中 に持 つ。地表 には長 さ数 ミリメートルほどの葉 を有 し、7月 から10月 にかけて黄色 の花 を咲 かせる[43]。本 種 を始 めとするミミカキグサの仲間 は、ナガバノイシモチソウと同 じく、地下水 位 が高 い湿潤 な場所 でしか生息 できないため、群落 内 では北側 の区域 に分布 している[8]。
- ホザキノミミカキグサ(
学名 :Utricularia caerulea)
- ムラサキミミカキグサ(
学名 :Utricularia uliginosa)
草丈 は5~20センチメートルほど[46]。環境省 RDB準 絶滅 危惧 (NT)、千葉 県 RDB重要 保護 生物 (B)指定 [44]。ミミカキグサのなかまの中 では大 きい3~5ミリメートルほどのへら形 の葉 を持 つ。7月から9月 までにかけて、淡 紫色 の5ミリメートルほどの大 きさの花 を咲 かせる。群落 内 では標高 の低 い水 たまりに見 られ、個体 数 は非常 に少 ない。白 花 種 のシロバナミミカキグサも生息 している[44][46]。
- イヌタヌキモ(
学名 :Utricularia australis)
復元 種 。水面 下 に浮遊 して生育 する[47]。環境省 RDB準 絶滅 危惧 (NT)、千葉 県 RDB重要 保護 生物 (B)指定 [44]。細 かく分 かれた葉 の軸 に2~5ミリメートルほどの捕虫 嚢を有 し、そこへ水中 を泳 ぐミジンコなどの小 動物 を吸 い込 んで捕 らえる。7月から9月 までの時期 にかけて、水面 上 に黄色 の大 きさ約 1.5センチメートルほどの花 を咲 かせる[47]。- かつてノタヌキモ、ヒメタヌキモなどと
共 にこの群落 に自生 していたが、1958年 (昭和 33年 )頃 に一時 絶滅 となった[8]。千葉大学 の大賀 宣彦 の調査 報告 によれば、絶滅 の原因 は周辺 農地 に撒 かれた農薬 や肥料 である可能 性 が高 いとされた[48]。その後 、1980年代 から90年代 にかけて行 われた保護 事業 で復元 が試 みられ、ついに2000年 (平成 12年 )から2002年 (平成 14年 )にかけて行 われた保護 増殖 事業 の間 に、人工 的 に再生 することに成功 した[4][25]。
- ミミカキグサ(
- その
他 の維管束 植物 -
- クロタマガヤツリ(
学名 :Fuirena ciliaris)
- クロタマガヤツリ(
- コケ
類 同 群落 内 においては、2000年 から2003年 (平成 15年 )にかけて行 われた調査 により、セン類 26種 、タイ類 10種 、ツノゴケ類 2種 、併 せて38種 のコケ植物 の生育 が報告 されている[51]。特筆 すべき主 な種 を以下 に記 す。- オオカギイトゴケ(
学名 :Gollania splendens)
- ハイゴケ
科 。環境省 RDB絶滅 危惧 I類 (CR+EN)指定 。卵 形 で、葉 先 が尖 ってカギ状 に曲 がった葉 を持 っている。1935年 以降 長 らく本 群落 固有 種 とされてきたが、2019年 に茨城 県 稲敷 市 妙岐ノ鼻 で生育 が確認 された[52][53]。
- モグリゴケ(
学名 :Lethocolea naruto-toganensis)
- チチブイチョウゴケ
科 。環境省 RDB絶滅 危惧 I類 (CR+EN)指定 。ハート形 で、長 さ約 1~1.5ミリメートルほどの非常 に小 さい葉 を持 っている。本 群落 固有 種 であり、群落 南側 の砂地 に埋 もれるようなかたちで生 えている[52][54]。
- オオカギイトゴケ(
2016
動物 など[編集 ]
2021
交通 アクセス[編集 ]
所在地
交通
首都 圏 中央 連絡 自動車 道 山武 成東 インターチェンジから15分 [4]- JR
東日本 総武本線 成東 駅 から徒歩 30分 [8]
ギャラリー[編集 ]
脚注 [編集 ]
注釈 [編集 ]
- ^
原文 を新字 ・現代 仮名遣 いに改 めた。
出典 [編集 ]
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参考 文献 [編集 ]
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外部 リンク[編集 ]
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