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食虫植物しょくちゅうしょくぶつ

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モウセンゴケの捕虫ほちゅう

食虫植物しょくちゅうしょくぶつ(しょくちゅうしょくぶつ)は、しょくちゅうという習性しゅうせいっている被子植物ひししょくぶつもんぞくする植物しょくぶつ総称そうしょう食肉しょくにく植物しょくぶつ肉食にくしょく植物しょくぶつわれる場合ばあいもある。食虫植物しょくちゅうしょくぶつは「むしべる植物しょくぶつ」ではあるが、むしだけをべてエネルギーをているのではなく、基本きほんてきには光合成こうごうせい能力のうりょくがあり、みずか栄養分えいようぶん合成ごうせいして生育せいいくする能力のうりょくがある[1]

概要がいよう

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食虫植物しょくちゅうしょくぶつとは、種子しゅし植物しょくぶつもん被子植物ひししょくぶつもんぞくする高等こうとう植物しょくぶつのうち、しょくちゅう習性しゅうせい獲得かくとくした様々さまざま段階だんかい分類ぶんるいぐん植物しょくぶつ総称そうしょうした生態せいたいがくじょうである[2][3][注釈ちゅうしゃく 1]現生げんなましゅは1219ぞく600しゅきょう[注釈ちゅうしゃく 2]たっするとかんがえられている。なかでも、タヌキモぞくモウセンゴケぞくウツボカズラぞくムシトリスミレぞくしゅすうおおい。

自生じせいおおくは湿しめった荒野あらの湿原しつげんで、土壌どじょうちゅう窒素ちっそ・リン・ミネラルなどの栄養素えいようそ不足ふそくがちな土地とち生育せいいくし、世界中せかいじゅう分布ぶんぷする[2]特徴とくちょうとしては、光合成こうごうせいによって独立どくりつ栄養えいよう生活せいかつする緑色みどりいろ植物しょくぶつでありながら、などを変形へんけいさせて飛来ひらいする昆虫こんちゅうなどのしょう動物どうぶつ捕食ほしょくすることで栄養分えいようぶんおぎない、成長せいちょう繁殖はんしょく役立やくだてるという生活せいかつ様式ようしきそなえたところにある[2]。この特徴とくちょうを「しょくちゅう習性しゅうせい」とよび、昆虫こんちゅうなどの獲物えものをおびきせて捕食ほしょくし、かして消化しょうかし、その養分ようぶん吸収きゅうしゅうして栄養えいようおぎない、成長せいちょう繁殖はんしょく役立やくだてるという一連いちれんながれがわさった機能きのうのことをしている[2]。ただし、このしょくちゅう習性しゅうせい完備かんびした食虫植物しょくちゅうしょくぶつは、モウセンゴケムシトリスミレぞくトリフィオフィルムぞくなどにかぎられ、サラセニアでは消化しょうかえき分泌ぶんぴつする器官きかんたないため、微生物びせいぶつによって分解ぶんかいされた栄養分えいようぶん横取よこどりして吸収きゅうしゅうするだけのものがおお[2]食虫植物しょくちゅうしょくぶつむしれなくともれることはないが、長期間ちょうきかん捕虫ほちゅうしなかった個体こたいは、捕虫ほちゅうしたものとくらべると、おおきさ、いろ繁殖はんしょくりょくおと[4]

特徴とくちょう

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くきなどが捕虫ほちゅう器官きかんになっており、昆虫こんちゅう動物どうぶつプランクトンをおびきせてらえ、消化しょうか吸収きゅうしゅうする能力のうりょくつ。たねによっては誘引ゆういんする機能きのう消化しょうか機能きのうがないものもあり、食虫植物しょくちゅうしょくぶつ分類ぶんるいするかどうかで議論ぎろんかれる場合ばあいもある。

むしらえるしくみを植物しょくぶつはかなりのかずのぼる。たとえばくきねば粘液ねんえきせん植物しょくぶつムシトリナデシコモチツツジ)や、はな仕掛しかけがあって、はいんだ昆虫こんちゅうじこめるもの(クマガイソウなど)などである。なかにはムシトリナデシコのように、食虫植物しょくちゅうしょくぶつのような名前なまえけられているものもある。しかし、基本きほんてきには、つかまえるだけではなく、消化しょうかえき分泌ぶんぴつし、さらに吸収きゅうしゅうするしくみをそなえていなければ食虫植物しょくちゅうしょくぶつとはみとめられない。ただし、吸収きゅうしゅうについては、通常つうじょう植物しょくぶつであってもめんから肥料ひりょう吸収きゅうしゅうできるし、ぎゃく食虫植物しょくちゅうしょくぶつであっても、らえた昆虫こんちゅう成分せいぶんから吸収きゅうしゅうするのではとわれるものもある。

つまり、食虫植物しょくちゅうしょくぶつとは、表面ひょうめん昆虫こんちゅうらえ、ころして分解ぶんかいし、そこからなんらかの栄養分えいようぶんるものである。植物しょくぶつ昆虫こんちゅうらえる目的もくてきほかにもあり、おおくの粘液ねんえき植物しょくぶつは、昆虫こんちゅうからの食害しょくがいふせぐためであるとかんがえられる。他方たほうはなむしらえるのは、たいていの場合ばあい花粉かふん媒介ばいかいをさせるためで、しばらくするとはなしてやるしくみになっている。

現在げんざいのところ、食虫植物しょくちゅうしょくぶつとしてみとめられているものは、しゅとしてくき微生物びせいぶつおよ昆虫こんちゅうしょう動物どうぶつらえる。よくわれるような、はなむしらえる食虫植物しょくちゅうしょくぶつ存在そんざいしない。とはいえ粘着ねんちゃくしき植物しょくぶつにはがくや花弁はなびら裏側うらがわいくふんかのねばられる場合ばあいもある。

一般いっぱん食虫植物しょくちゅうしょくぶつ日光にっこうみず十分じゅうぶんであるが、窒素ちっそやリンとう不足ふそくしているため植物しょくぶつがあまりまないような土地とち、いわゆるせた土地とち生息せいそくするものがおおく、不足ふそくする養分ようぶん捕虫ほちゅうによっておぎなっているとかんがえられる。一般いっぱん発達はったつくないものがおおい。

むしかた

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ハエトリグサの捕虫ほちゅう

捕虫ほちゅう方式ほうしき

けられる。

分布ぶんぷ

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自生じせいいちれいみなみきのゆるい斜面しゃめんみずしている。左下ひだりしたにみえるあか点々てんてんがモウセンゴケ。やや乾燥かんそう気味ぎみのところにはコモウセンゴケやイシモチソウがえている。

寒冷かんれいから熱帯ねったい雨林うりん高山たかやまから低湿ていしついけと、世界中せかいじゅう分布ぶんぷしているが、個々ここたねとしてみた場合ばあい、ハエトリグサや日本にっぽんコウシンソウのようにかぎられた地域ちいきにしか自生じせいしていないものもおおい。

自生じせいには希少きしょう植物しょくぶつえていることもおおく、自治体じちたいによって保護ほごされている場所ばしょもある。たとえば栃木とちぎけんのコウシンソウ自生じせいくに特別とくべつ天然記念物てんねんきねんぶつ[5]千葉ちばけん山武さんぶ東金とうがねにまたがる「成東なるとう東金とうがね食虫植物しょくちゅうしょくぶつ群落ぐんらく」はくに天然記念物てんねんきねんぶつ[6]愛知あいちけん武豊たけとよまち壱町田いっちょうだ湿地しっち愛知あいちけん天然記念物てんねんきねんぶつ指定していされている[7]

まれ外来がいらいしゅとして繁殖はんしょくするたねもある。タヌキモぞくアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく原産げんさんのウトリクラリア・ラディアタ、ウトリクラリア・インフラタは、兵庫ひょうごけん静岡しずおかけんいけ繁殖はんしょくして話題わだいになったことがある。

日本にっぽん場合ばあい各地かくち自生じせい消滅しょうめつしている。理由りゆう以下いかのものがあげられる。

  • 開発かいはつによる自生じせい破壊はかい
  • 業者ぎょうしゃ愛好あいこうによるぎた採取さいしゅや、採取さいしゅ禁止きんしされているところでの盗掘とうくつ
  • 湿地しっち乾燥かんそういけとみ栄養えいよう植物しょくぶつ進出しんしゅつなど環境かんきょう変化へんか

利用りよう

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そのかたち性質せいしつ面白おもしろさから、園芸えんげい植物しょくぶつとして観賞かんしょうよう栽培さいばいされ、食虫植物しょくちゅうしょくぶつひとつのジャンルをなしている。ただし一般いっぱんひろみとめられるほどうつくしいものはすくなく、むしろ珍奇ちんきなものがおおいことから、おおくは特定とくてい趣味しゅみたのしみの範疇はんちゅうである。理科りか教材きょうざいとして栽培さいばいされることもある。みず湿地しっち植物しょくぶつおおいため、水草みずくさとして栽培さいばいされるれいもある。

しかし、栽培さいばいひろおこなわれ、園芸えんげいてき品種ひんしゅ改良かいりょうおこなわれるれいもある。とくにそのめん目立めだつのはウツボカズラであり、非常ひじょうおおくの交配こうはい品種ひんしゅ作出さくしゅつされている。ほかにモウセンゴケぞくでもアフリカナガバノモウセンゴケやヨツマタモウセンゴケにも園芸えんげいてき品種ひんしゅがある。またミミカキグサるいでは捕虫ほちゅう構造こうぞう目立めだたないが、はな面白おもしろかたちうつくしいいろっていることから栽培さいばいされるものが複数ふくすうある。

ただしそのために野生やせいひん乱獲らんかくされ、絶滅ぜつめつ危惧きぐされるようになっているれいもあり、保護ほご必要ひつようせいわれるものもおおい。

栽培さいばい

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入手にゅうしゅ方法ほうほう愛好あいこうしゃ同士どうし交換こうかん売買ばいばい業者ぎょうしゃによる通販つうはんがあるが、ハエトリグサやモウセンゴケサラセニアなど一部いちぶ種類しゅるいなつ花屋はなややホームセンターなどで入手にゅうしゅできることもある。

栽培さいばい方法ほうほうしゅによって自生じせい環境かんきょうちがうため一概いちがいにはえないが、用土ようど水苔みずごけもちいることそだてられるものがおおい。

基本きほんてきには一般いっぱん植物しょくぶつおなじく光合成こうごうせいにより栄養えいようているため、栽培さいばいでは人手ひとでをかけてむしあたえる必要ひつようはなく、ぎゃくむし腐敗ふはいして植物しょくぶつ悪影響あくえいきょうあたえる場合ばあいがあるので注意ちゅうい必要ひつようである。ひん栄養えいよう土地とちそだつため、肥料ひりょう原則げんそくとして必要ひつようはない。

種類しゅるい概要がいよう

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分類ぶんるい体系たいけいAPG IIによる。

フクロユキノシタ Cephalotus
  • カタバミ
    • フクロユキノシタ Cephalotaceae
      • セファロタス・フォリキュラリス1しゅられる。オーストラリア大陸たいりく南西なんせい自生じせいする。はなユキノシタていることからフクロユキノシタという和名わみょうがつけられている。
      • 地面じめんちかくにちいさなつぼじょう捕虫ほちゅうし、そのなかむしとして消化しょうか吸収きゅうしゅうする。
  • シソ
    • タヌキモ Lentibulariaceae
      • ぜん世界せかい分布ぶんぷしているタヌキモぞくみなみアメリカ大陸あめりかたいりくアフリカ大陸たいりく自生じせいするゲンリセアぞくオーストラリア大陸たいりくのぞ世界中せかいじゅう自生じせいするムシトリスミレぞくられる。
      • タヌキモぞくこまかい水草みずくさタヌキモるいとさじじょう糸状いとじょう地下ちかびるミミカキグサるいがあり、いずれもふくろじょう捕虫ほちゅう器官きかんち、獲物えものんで消化しょうか吸収きゅうしゅうする。
      • ゲンリセアぞく地中ちちゅうにYのらせんじょうになった捕虫ほちゅうをもち、水流すいりゅうによってプランクトンとうちいさな獲物えものをYにあるくちはこび、そのおく消化しょうか吸収きゅうしゅうする。
      • ムシトリスミレぞくひくくさで、くきえているみじかせんから粘液ねんえきによって獲物えものらえ、表面ひょうめんにあるせんによって消化しょうか吸収きゅうしゅうする。
    • ツノゴマ Martyniaceae
      • 食虫植物しょくちゅうしょくぶつとしてはキバナツノゴマ(イビセラ・ルテア)1しゅられる。みなみアメリカ大陸あめりかたいりく自生じせいする。
      • くきせんえており、粘液ねんえきしている。
    • ビブリス Byblidaceae
      • オーストラリア大陸たいりく自生じせいする。
      • くきせんえていて粘液ねんえきしており、捕虫ほちゅうして消化しょうか吸収きゅうしゅうする。
ウツボカズラの1しゅ (ボルネオとう)
  • ナデシコ
    • ウツボカズラ Nepenthaceae
      • ウツボカズラぞくのみ。
      • 東南とうなんアジアからマダガスカルとうにかけての熱帯ねったい雨林うりん自生じせいするつる植物しょくぶつで、さきのつるに捕虫ほちゅうをつける。
      • つぼじょうになった捕虫ほちゅうなかにはみずまっており、においで獲物えものさそんでつぼとし、消化しょうか酵素こうそ細菌さいきんによって消化しょうか吸収きゅうしゅうする。
      • ながさが40cmをえる巨大きょだい捕虫ほちゅうぶくろをつけるたねもあり、愛好あいこうしゃらによっておおくの交配こうはいしゅつくられている。
    • ディオンコフィルム Dioncophyllaceae
      • 食虫植物しょくちゅうしょくぶつとしてはトリフィオフィルム・ペルタトゥムTriphyophyllum peltatum)1しゅられる。アフリカ大陸たいりく西部せいぶ自生じせいする。
      • 雨季うき期間きかんのみせんのあるして捕虫ほちゅうし、消化しょうか吸収きゅうしゅうおこなう。
    • ドロソフィルム Drosophyllaceae
      • 11ぞく1しゅDrosophyllum lusitanicumイベリア半島はんとう対岸たいがんモロッコ自生じせいし、繊毛せんもうから粘液ねんえきして捕虫ほちゅう消化しょうか吸収きゅうしゅうおこなう。
    • モウセンゴケ Droseraceae
      • ぜん世界せかい自生じせいするモウセンゴケぞくほかアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく西海岸にしかいがん一部いちぶ自生じせいするハエトリグサぞくユーラシア大陸たいりく、アフリカ大陸たいりく、オーストラリア大陸たいりく点在てんざいするムジナモぞくられる。モウセンゴケぞく半数はんすうちかくはオーストラリア大陸たいりく南西なんせいはし集中しゅうちゅうしている。
      • モウセンゴケぞくとはせんから粘液ねんえきして捕虫ほちゅうし、消化しょうか吸収きゅうしゅうする。
      • ハエトリグサとムジナモは二枚貝にまいがいのような捕虫ほちゅう獲物えものをはさみみ、消化しょうか吸収きゅうしゅうする。
  • オモダカ

このほかにも食虫植物しょくちゅうしょくぶつもしくはその進化しんか途中とちゅうではないかと指摘してきされる植物しょくぶつしゅ数多かずおお存在そんざいする(れいナズナ)。パイナップルプヤぞくプヤ・ライモンディプヤ・チレンシスとげ鳥類ちょうるいリャマなどを捕食ほしょくするためのものとするせつがある[9][10]

コケ植物しょくぶつではColura zoophagaはじめてしょくむしせいとして確認かくにんされた。

系統けいとう進化しんか

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いずれも被子植物ひししょくぶつぞくするが、かならずしも特定とくてい系統けいとうおおいわけではない。しかしモウセンゴケやタヌキモのようにぜんたね食虫植物しょくちゅうしょくぶつのものがおおい。またナデシコのモウセンゴケ、ウツボカズラやディオンコフィルムなどをふく系統けいとうは、だい部分ぶぶんたね食虫植物しょくちゅうしょくぶつであるため、食虫植物しょくちゅうしょくぶつクレードとばれている。

ツノゴマ、ディオンコフィルム、パイナップル、ホシクサでは一部いちぶたねだけが食虫植物しょくちゅうしょくぶつになっている。これらは、粘液ねんえき分泌ぶんぴつする、かさなってみずめるといった各科かっか特徴とくちょうをさらに発達はったつさせてしょくちゅうしているようにえ、食虫植物しょくちゅうしょくぶつ進化しんか様式ようしき示唆しさしているとおもわれる。

ツボウツボカズラはかつてはしょくむしせいだったものが捕虫ほちゅうから摂取せっしゅ消化しょうかできるように進化しんかしたとかんがえられている[11][12][13]

日本にっぽん食虫植物しょくちゅうしょくぶつ

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タヌキモ Lentibulariaceae

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タヌキモぞく Utricularia

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イトタヌキモ U. exoleta
別名べつめいミカワタヌキモ。中部ちゅうぶ以南いなん自生じせい全体ぜんたいてき非常ひじょうほそい。絶滅ぜつめつ危惧きぐIBるい
イヌタヌキモ U. tenuicaulis
タヌキモに非常ひじょうによくている。冬芽とうが楕円だえんがたになること区別くべつ
オオタヌキモ U. macrorhiza
北海道ほっかいどう自生じせいする。
コタヌキモ U. intermedia
水中すいちゅうのほかに水底みなそこにもくきばし、そこにおおくの捕虫ほちゅうぶくろをつける。
タヌキモ
タヌキモ U. australis
がなく、水面すいめん浮遊ふゆうしている多年草たねんそう絶滅ぜつめつ危惧きぐIIるい
ノタヌキモ U. aurea
タヌキモとているが1ねんくさ
ヒメタヌキモ U. minor
中部ちゅうぶ以北いほく自生じせい絶滅ぜつめつ危惧きぐIIるい
ヒメミミカキグサ U. minutissima
伊勢湾いせわん周辺しゅうへん自生じせい花茎かけいたかさ1cmから3cmとちいさい。絶滅ぜつめつ危惧きぐIBるい
フサタヌキモ U. dimorphantha
日本にっぽん固有こゆうしゅ捕虫ほちゅうぶくろすくない。絶滅ぜつめつ危惧きぐIAるい
ホザキノミミカキグサ U. caerulea
果実かじつ球形きゅうけい
ミミカキグサ U. bifida
湿地しっちえ、捕虫ほちゅうぶくろをつける。がった花茎かけい果実かじつ形状けいじょうみみかきにている。
ムラサキミミカキグサ U. uliginosa
日本にっぽんちゅう自生じせいはなあおむらさきしろ絶滅ぜつめつ危惧きぐIIるい
ヤチコタヌキモ U. ochroleuca
中部ちゅうぶ以北いほく自生じせい絶滅ぜつめつ危惧きぐIBるい

ムシトリスミレぞく Pinguicula

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コウシンソウ P. ramosa
栃木とちぎけん庚申山こうしんさん日光にっこう自生じせいする日本にっぽん固有こゆうしゅ自生じせいくに特別とくべつ天然記念物てんねんきねんぶつ絶滅ぜつめつ危惧きぐIIるい
ムシトリスミレ P. macroceras
一部いちぶ高山こうざん斜面しゃめん自生じせい

モウセンゴケ Droseraceae

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ムジナモぞく Aldrovanda

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ムジナモ
ムジナモ A. vesiculosa
日本にっぽんでは1967ねん自生じせい消滅しょうめつしたが、栽培さいばいひん埼玉さいたまけん羽生はぶ宝蔵寺ほうぞうじぬま放流ほうりゅうされ、増殖ぞうしょくこころみられている。絶滅ぜつめつ危惧きぐIAるい

モウセンゴケぞく Drosera

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イシモチソウ D. peltata
地下ちか塊茎かいけいち、くきは20cm以上いじょうびる。絶滅ぜつめつ危惧きぐIIるい
コモウセンゴケ D. spatulata
モウセンゴケよりやや乾燥かんそうした土壌どじょうえる。さじがた地面じめんひろげる。
モウセンゴケ D. rotundifolia
日本にっぽんでは北海道ほっかいどうから屋久島やくしまにかけてひろ分布ぶんぷする。
ナガバノイシモチソウ D. indica
細長ほそながす。本来ほんらい熱帯ねったい起源きげんのため、日本にっぽんさんのものは比較的ひかくてき小型こがた通常つうじょう1ねんせいである。和名わみょう混乱こんらんまねきやすいが、イシモチソウとはべつのグループにぞくする。絶滅ぜつめつ危惧きぐIBるい
ナガバノモウセンゴケ D. anglica
日本にっぽんでは尾瀬おぜ北海道ほっかいどう自生じせい。もともとはD. linearis現在げんざい北米ほくべいの1のみに分布ぶんぷ)とモウセンゴケD. rotundifolia)の自然しぜん交雑こうざつしゅ倍数ばいすうたい起源きげんとされている。絶滅ぜつめつ危惧きぐIIるい
モウセンゴケ*コモウセンゴケ D. rotundifolia * spatulata
自然しぜん交雑こうざつしゅ両者りょうしゃ混生こんせいする自生じせいでみられることがあるが、この2しゅ生活せいかつけんことなることがおおいため、同時どうじ自生じせいすることは比較的ひかくてきまれである。2003ねん宮崎みやざきけん発見はっけんされたクローンは「ヒュウガコモウセンゴケ」と命名めいめいされた。
トウカイコモウセンゴケ(葦毛あしげ湿原しつげん
トウカイコモウセンゴケ D. tokaiensis
モウセンゴケD. rotudifolia)とコモウセンゴケ(D. spatulata)の自然しぜん交雑こうざつしゅ倍数ばいすうたい起源きげんとされる。本州ほんしゅう一部いちぶ中心ちゅうしん分布ぶんぷする。
モウセンゴケ*トウカイコモウセンゴケ D. rotundifolia * tokaiensis
自然しぜん交雑こうざつしゅ両者りょうしゃ混生こんせいする自生じせいでみられることがある。環境かんきょうにより片親かたおやであるトウカイコモウセンゴケと見分みわけがきにくいこともおおい。
コモウセンゴケ*トウカイコモウセンゴケ D. spatulata * tokaiensis
自然しぜん交雑こうざつしゅ両者りょうしゃ混生こんせいする自生じせいでみられることがあるが、形状けいじょう似通にかよったもの同士どうし交雑こうざつであるため気付きづかれにくい。
サジバモウセンゴケ D. * obovata (=D. anglica * rotundifolia)
モウセンゴケとナガバノモウセンゴケの自然しぜん交雑こうざつしゅ両者りょうしゃ混生こんせいする自生じせいでみられることがある。
ちゅう1
クルマバモウセンゴケ(Drosera burmannii)が日本にっぽん分布ぶんぷしているとするせつがあるが、真偽しんぎ不明ふめいである。ただし、となり台湾たいわんには自生じせいしている。
ちゅう2
「ヒュウガコモウセンゴケ」の学名がくめい表記ひょうきD. tokaiensis ssp. hyugaensisとなっているが、この自然しぜん交雑こうざつしゅ雑種ざっしゅだい1だいであり、トウカイコモウセンゴケ(D. tokaiensis)とは起源きげんことなるため、この表記ひょうきただしいかどうかはうたがわしい。

脚注きゃくちゅう

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注釈ちゅうしゃく

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  1. ^ かつては肉食にくしょくカビや、クサリゴケムシトリゴケぞくおよびミズゴケモドキミズゴケモドキぞくぞくするこけるいなども[よう出典しゅってん]食虫植物しょくちゅうしょくぶつふくめられたが、現在げんざい食虫植物しょくちゅうしょくぶつ」としてあつか生物せいぶつ被子植物ひししょくぶつかぎられている[3]
  2. ^ さらに近年きんねんオオバコフィルコクシア(Philcoxia)ぞく一部いちぶ粘着ねんちゃくしき食虫植物しょくちゅうしょくぶつかんがえられている。

出典しゅってん

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  1. ^ 近藤こんどう勝彦かつひこ 2006, p. 201.
  2. ^ a b c d e 小宮こみや定志さだし 1996, p. 82. 「食虫植物しょくちゅうしょくぶつ概説がいせつ
  3. ^ a b 小宮こみや定志さだし 1997
  4. ^ 清水しみずきよし 1972, p. 43.
  5. ^ コウシンソウ 環境省かんきょうしょう
  6. ^ くに指定してい文化財ぶんかざい 成東なるとう東金とうがね食虫植物しょくちゅうしょくぶつ群落ぐんらく 東金とうがね
  7. ^ 壱町田いっちょうだ湿地しっち植物しょくぶつ群落ぐんらく 文化財ぶんかざいナビ愛知あいち
  8. ^ 食虫植物しょくちゅうしょくぶつしんグループを発見はっけん、これまでにない特徴とくちょう ナショナルジオグラフィック 更新こうしん:2021.08.19
  9. ^ Rees, W. E., & Roe, N. A. (1980). “Puya raimondii (Pitcairnioideae, Bromeliaceae) and birds: an hypothesis on nutrient relationships”. Canadian Journal of Botany 58 (11): 1262–1268. doi:10.1139/b80-157. 
  10. ^ Mabberley, D.J. (1997). The Plant Book (Second ed.). Cambridge: Cambridge University Press. p. 599. ISBN 0-521-41421-0. https://archive.org/details/plantbookportabl00mabb 2013ねん6がつ21にち閲覧えつらん. "puya chilensis birds." 
  11. ^ Moran, J.A., C.M. Clarke & B.J. Hawkins 2003. From carnivore to detritivore? Isotopic evidence for leaf litter utilization by the tropical pitcher plant Nepenthes ampullaria. International Journal of Plant Sciences 164(4): 635–639. doi:10.1086/375422
  12. ^ Pavlovič, A., Ľ. Slováková & J. Šantrůček 2011. Nutritional benefit from leaf litter utilization in the pitcher plant Nepenthes ampullaria. Plant, Cell & Environment 34(11): 1865–1873. doi:10.1111/j.1365-3040.2011.02382.x
  13. ^ Pavlovič, A. 2012. Adaptive radiation with regard to nutrient sequestration strategies in the carnivorous plants of the genus Nepenthes. Plant Signaling & Behavior 7(2): 295–297. doi:10.4161/psb.18842

関連かんれん図書としょ

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  • 清水しみずきよし食虫植物しょくちゅうしょくぶつのひみつ」『科学かがくのアルバム』あかね書房しょぼう、1972ねんISBN 978-4-251-03319-2 
  • 小宮こみや定志さだし食虫植物しょくちゅうしょくぶつ世界せかい」『朝日あさひ百科ひゃっか植物しょくぶつ世界せかい』 2かん朝日新聞社あさひしんぶんしゃ、1997ねん、126-128ぺーじISBN 978-4023800106 
  • 小宮こみや定志さだし田辺たなべ直樹なおき高井たかいいさお中川なかがわ治彦はるひこ越川こしかわ幸雄ゆきおほか ちょ食虫植物しょくちゅうしょくぶつ研究けんきゅうかい へんはなアルバム 食虫植物しょくちゅうしょくぶつまことぶんどう新光しんこうしゃ、1996ねん4がつ20日はつかISBN 4-416-49600-1 
  • 食虫植物しょくちゅうしょくぶつ研究けんきゅうかい 柴田しばた千晶ちあき監修かんしゅう)『食虫植物しょくちゅうしょくぶつふしぎ図鑑ずかんPHP研究所けんきゅうじょ、2009ねん11月。ISBN 9784569780016 
  • 田辺たなべ直樹なおき食虫植物しょくちゅうしょくぶつ世界せかい420しゅ魅力みりょくすべてと栽培さいばい完全かんぜんガイド』エムピー・ジェー、2009ねん6がつISBN 9784904837047 
  • 近藤こんどう勝彦かつひこ近藤こんどうまことひろし山本やまもとあきら発行はっこうしゃ)『カラーばん 食虫植物しょくちゅうしょくぶつ図鑑ずかん』(初版しょはん(社)しゃだんほうじんひかり協会きょうかい東京とうきょう新宿しんじゅく、2006ねん7がつ1にち、201-235ぺーじISBN 4-259-56155-3 

関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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