戟

戟（げき、ほこ、jǐ）は、古ふるくから中国ちゅうごくに存在そんざいする武器ぶきで戈ほこ（か）や矛ほこ（ぼう）の機能きのうを備そなえたもの。異体いたい字じとして象形しょうけい文字もじの屰がある。主おもに殷いんから唐とう代だいにかけて多用たようされた。複数ふくすうの武器ぶきの機能きのうを併あわせ持もたせた武器ぶきというものはヨーロッパにも見みられる。

矛ほこを思おもわせる先端せんたんの穂先ほさきは刺とげ（し）、戈ほこを匂におわせる横よこに突つき出でた刃はは援（えん）もしくは枝えだ（し）と呼よばれている。刺とげと援は、一体いったいのものと分わかれている物ものがある。

様々さまざまな機能きのうを取とり揃そろえていたためか、戟を用もちいる兵士へいしも様々さまざまで、戟にも種類しゅるいがあった。両手りょうてで用もちいる長ながい戟は長ちょう戟、片手かたてで扱あつかう短みじかい戟は手て戟と呼よばれる。手て戟は、両手りょうてにそれぞれ持もつ事こともあったが、片方かたがたに手て戟、もう片方かたがたに楯だてという事こともあったという。

初期しょきの物ものは木製もくせいや青銅せいどう製せいで主おも兵へい装そうではなかったが、戦国せんごく時代じだい以降いこう、鋼鉄こうてつが生産せいさんされるようになると共ともに主おも兵へい装そうとなり、中国ちゅうごくでは長ながきに渡わたり用もちいられた。

戟は時ときと場合ばあいに応おうじて戈ほこのように引ひっ掛かけ切きる、或あるいは矛ほこのように突つき刺さす事ことが可能かのうだったが、それぞれの用途ようとに対たいして中途半端ちゅうとはんぱな物ものとなり、やがて矛ほこ（槍やり）にその地位ちいを奪うばわれる事ことになり、北きた宋そうにおいては祭儀さいぎ用ようとして用もちいられるようになった。

なお、先述せんじゅつの通とおり『三国志さんごくし』の時代じだいには戟が一般いっぱん的てきであり、呂りょ布ぬのが愛用あいようしたという方ほう天たかし画が戟は当時とうじまだ存在そんざいしないとされる。

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