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やり

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』

やり(やり、えい: spear)は、なが(え)のさき鋭利えいり刃物はものそうした道具どうぐとげ突をおも目的もくてきとする猟具りょうぐ武器ぶき武具ぶぐ一種いっしゅ先史せんし時代じだいから人類じんるい使用しようつづけ、ぐんによって戦場せんじょう主要しゅよう兵器へいきのひとつとして使つかわれつづけ、やりじゅう双方そうほう機能きのうそなえた銃剣じゅうけんにその機能きのうがれた。やりともく。

日本語にほんごの「やり」というおと言葉ことばたてたけし政権せいけん大光寺だいこうじ合戦かっせん1333ねん1334ねん)で「」が使用しようされたとあるのが初出しょしゅつである。
(※)なお現代げんだい中国ちゅうごくでは「やり」(qiāng, ㄑㄧㄤ)という漢字かんじは「じゅう」という意味いみ変化へんかした。本来ほんらいやり区別くべつするためにじゅうを「やり」と表記ひょうきすることもある。

概論がいろん

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やり人類じんるい最古さいこ狩猟しゅりょう道具どうぐ武器ぶきひとつで、人類じんるいたたかいの歴史れきしen:Timeline of wars)をるとどの時代じだいでもやり使つかわれており、白兵戦はくへいせんよう武器ぶきなかもっと活躍かつやくした実用じつようてき武器ぶきひとつである。とげ突だけでなく斬撃ざんげきうえにかまえて、刃先はさき相手あいて視野しやそとにおき、あたまをめがけてりおろす)や打撃だげきなどを駆使くししてたたかうことができる。投擲とうてきすることを目的もくてきとしたものは投槍なげやりという。

ペルシア戦争せんそう紀元前きげんぜん492ねん-紀元前きげんぜん449ねん)のやりへい
やり特性とくせい

けん使つかうより有利ゆうりたたかうことができる。欠点けってんは、大型おおがたゆえ閉所での戦闘せんとう乱戦らんせんにはかないことや、近接きんせつ戦闘せんとうではなが不利ふりてんること、携帯けいたい不便ふべんなことなどである。

戦闘せんとう相手あいてとの距離きょりがとれることによる恐怖きょうふかんすくなさや、りまわすことによる打撃だげきとげ突など基本きほん操作そうさ用途ようと簡便かんべんなため、練度れんどひく徴用ちょうようへい戦力せんりょくするにもてきした武器ぶきであり、よう東西とうざいわずに戦場せんじょうにおけるおもへいそうとしてながらく活躍かつやくした武器ぶきである。

やりながくするほど、相手あいてとの距離きょりけてたたかえるうえに相手あいて攻撃こうげきとどかず優位ゆういてる。一方いっぽうで、やりながくなればなるほど接近せっきんせん絶望ぜつぼうてきになるのと同時どうじに、森林しんりんせまところでの移動いどうまわしがむずかしくなるなどの大型おおがた武具ぶぐ全般ぜんぱんえる欠点けってんがある。この欠点けってんよう東西とうざいわず認識にんしきされており、ファランクス槍衾やりぶすま(やりぶすま)など野戦やせんやりへい密集みっしゅう陣形じんけいつくり「するどやりさきかべ」をつくることでてきあつだお撃破げきはする方法ほうほう発展はってんした。大軍たいぐん大軍たいぐん激突げきとつする戦争せんそうにおいてはやりへい密集みっしゅう陣形じんけい圧倒的あっとうてき威力いりょく発揮はっきする。

古代こだいマケドニアのサリッサもちいたファランクス

密集みっしゅう陣形じんけい使つかうことを前提ぜんていにしつつ、古代こだいマケドニアの国王こくおうピリッポス2せいは、当時とうじ常識じょうしきくつがえし、古代こだいギリシアのやりをさらに2ばいほどのながさの4.0- 6.4mに進化しんかさせたサリッサし、そのサリッサのファランクスで勝利しょうりかさこくおおきくした。

ただし戦場せんじょうでの戦列せんれつみだれた乱戦らんせん状態じょうたいでの使用しよう困難こんなんである[1]。しかし、乱戦らんせんでの使用しよう不可能ふかのうというわけではなく、日本にっぽん戦国せんごく時代じだい乱戦らんせんにおいてはやりぐみ足軽あしがるが「横槍よこやりれる」といい、やり側面そくめん攻撃こうげきする場合ばあいもある[2]

個人こじんせん一対一いちたいいちたたかい)の場合ばあいも、ぞくに「けんにてやり対抗たいこうするにはさんばい段位だんい必要ひつよう」とわれるように[3]一定いってい技量ぎりょうったもの同士どうし場合ばあい一対一いちたいいちたたかいでもやりのほうがけんより圧倒的あっとうてき有利ゆうりである。

長柄ながえがた武器ぶきは、基本きほんてき使用しようしゃ身長しんちょうからその2ばい程度ていどまでが無難ぶなんであるとされるが、使用しようしゃ身長しんちょうすうばい以上いじょうのものをあつかものもいる(やく4〜6m)。ぎゃくに1mくらいのものもあり、片手かたてあつか武術ぶじゅつもある。「無用むよう長物ちょうぶつ」とうように、使用しようしゃあつかえないほどながくなれば戦闘せんとうにほとんど使つかえないということもありるので、特殊とくしゅ方法ほうほう集団しゅうだん戦法せんぽうなど)をのぞいて自分じぶん力量りきりょう戦術せんじゅつ似合にあったおおきさのものをえらほうい。

右手みぎてしりちかがわにぎり、左手ひだりてまえしてささえるかまえから、左手ひだりてなかすべらせながら右手みぎてちからすというのがもっと基本きほんてき使つかかたである。重量じゅうりょうのあるちょうやりでは両手りょうてにぎ突進とっしんしながらすほか、たかげてろす使つかかたよう東西とうざいられる。古代こだいギリシャのじゅうそう歩兵ほへいたて併用へいよう片手かたて投槍なげやり要領ようりょうかたうえかまえたが、いずれにしても得物えものながさや状況じょうきょうおうじて臨機応変りんきおうへんかまえをえたようである。以外いがいにも、たたく、なぎはらう、かすめ・はたる、からめる、ける、フェイントてきがわ使つかうなど、さまざまな用法ようほう開発かいはつされている。

日本にっぽんでは槍術そうじゅつばれる技術ぎじゅつ体系たいけいがある。槍術そうじゅつは、棒術ぼうじゅつわせることもおおく、棒術ぼうじゅつなどのほか武術ぶじゅつ体系たいけい領域りょういきとも重複じゅうふく習得しゅうとく内容ないようはばひろく、非常ひじょうむずかしい。とはえ、おな長物ちょうぶつであるだいけんなどと比較ひかくすると、そこまであつかいづらいものではない。

やりはその威圧いあつかん利用りようされることもあり、とく衛兵えいへい門番もんばんやりった姿すがたおおい。

やり

やり投擲とうてきする概念がいねんも、紀元前きげんぜんから存在そんざいする用法ようほうである。うで延長えんちょうとしてスイング半径はんけい拡大かくだい距離きょり増大ぞうだいさせるやりとう世界せかい各地かくちから発掘はっくつされている。投擲とうてきようやりは、適当てきとう重量じゅうりょうやバランスが手持てもようものとはことなるため、独自どくじ発展はってんげた。古代こだいローマのピルムもっと高度こうど発展はってんしたもののひとつとえる。

ゆみ発明はつめい伝来でんらいがなかったアフリカ、オーストラリアニュージーランドニューギニアとうポリネシアメラネシアミクロネシア太平洋たいへいよう諸島しょとうけんおよハワイ諸島しょとう南米なんべい奥地おくちなどでは、近代きんだいまで狩猟しゅりょう武器ぶきとしてもちいられてきた。現在げんざい陸上りくじょう競技きょうぎでもげたやり距離きょりあらそやりとう存在そんざいする。

変化へんかがた、バリエーション

両手りょうてけんるいあつかいやすくするかたちやりかたち武器ぶきもある。ちょうまきツヴァイヘンダーなどが好例こうれいであり(刀身とうしん根元ねもと付近ふきんけしないかあるいはかわがらおおったリカッソばれる部分ぶぶんほどこしたグレートソードや、同様どうようだい太刀たちからちょうまき変遷へんせんする途中とちゅう刀身とうしん中程なかほどまできをほどこしたちゅうまき野太刀のだちのように、形状けいじょうことなってもあつかいがやり薙刀なぎなた近似きんじしているものもある)。

最初さいしょじゅうも、すでに存在そんざいしていたおな投射とうしゃ武器ぶきであるいしゆみにはておらず、むしろやり長柄ながえさきくすりしつ銃身じゅうしんけた形態けいたいであった。そのじゅう発明はつめいされた中国ちゅうごくでは現在げんざいでも主力しゅりょく小銃しょうじゅうを「やり」とぶなどじゅうに「やり」のてている。

19世紀せいきごろになるとその銃器じゅうき普及ふきゅうすすみ、やりってわられていった。しかし、戦闘せんとうにおけるやりとしての機能きのう有効ゆうこうせいいま健在けんざいであり、軍用ぐんようサバイバルナイフなかには部分ぶぶん空洞くうどうになっていて、えだなどをんでソケットしきやりにするものもある。銃剣じゅうけんけんくが、実質じっしつあつかい・形状けいじょうどもやりけん銃身じゅうしん、ともれる)であり、現代げんだい主力しゅりょく歩兵ほへい小銃しょうじゅうもほぼすべてに銃剣じゅうけん可能かのうであり、実戦じっせん使用しようするための訓練くんれんおこなわれていることから、いまだもって銃剣じゅうけんひいてはやりぜん世界せかい実戦じっせん配備はいびされているともえる。

21世紀せいきはいっても、イギリスぐんアフガニスタン紛争ふんそうにおいて銃剣じゅうけん突撃とつげき武装ぶそう勢力せいりょく壊乱かいらんさせた事例じれい存在そんざいする。その土木どぼく用具ようぐシャベルも、とく塹壕ざんごうせんでは白兵戦はくへいせんよう武器ぶきなかもっと活躍かつやくした立派りっぱ武器ぶきとして認知にんちされている。現代げんだい非対称ひたいしょうせんにおいては、いかに先進せんしんした軍備ぐんびほこ大国たいこくぐんといえども、劣弱れつじゃく後方こうほう部隊ぶたい襲撃しゅうげきされる状況じょうきょうがままあり、銃剣じゅうけんふくめた兵士へいし個々人ここじん気力きりょく体力たいりょく依存いぞんする戦闘せんとうりょく意義いぎがむしろおおきくなっているともえる。

武器ぶき以外いがい用途ようと

軍旗ぐんき旗竿はたざおとしても使つかわれる。(そこからてんじた優勝旗ゆうしょうきなどの旗竿はたざおはしばしばやりした穂先ほさきなどの装飾そうしょくほどこされる。) 担架たんかもっこだい用品ようひんとして、戦場せんじょう負傷ふしょうしゃ荷物にもつなどをはこ道具どうぐとして使用しようされることもある。

歴史れきし

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旧石器時代きゅうせっきじだいにはすで人類じんるい投石とうせき棍棒こんぼうやり使用しようしていたことがわかっている。するどきばつめ突進とっしんりょくゆうする動物どうぶつたいするためにやりながさは有効ゆうこうであり、この利点りてんはそのまま対人たいじん兵器へいきとしても発展はってんしていった。

古代こだい世界せかいではやり使用しようひろまっていた。

せんおのかまフック鶴嘴つるはしウォーハンマーほこなど多種たしゅ多様たよう長柄ながえ武器ぶき発展はってんしていった。

近世きんせい以降いこう銃剣じゅうけん着剣ちゃっけんした小銃しょうじゅう狭義きょうぎやりってわったが、銃剣じゅうけん使用しようほうやりそのものである。

構成こうせい

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やりおもに、ながぼう)とその先端せんたん硬質こうしつ部品ぶひんやりあたま)のふたつで構成こうせいされる。基本きほんてき衝撃しょうげきるように分厚ぶあつ丈夫じょうぶつくられていることがおおい。

もっと重要じゅうよう部品ぶひんで、つくりでやり強度きょうど左右さゆうされるとっても過言かごんではない。また、状況じょうきょう使用しようほうによっては自体じたい打撃だげき武器ぶきとなりる。そして、つくりは千差万別せんさばんべつでひとくくりにはできない。

ながさは、みじかいものですう10cm、ながいものでは8m程度ていどおよぶものも存在そんざいする。断面だんめん形状けいじょう円柱えんちゅうがたく・まわす・たたくことにはこちらが使つかいやすい)がおおいが、角度かくど感覚かんかくかりやすく、手首てくびのひねりで角度かくどえやすい斬撃ざんげきようとくした楕円だえんがた倒卵形とうらんけいぐりがた宝珠ほうしゅがたとも:たまねぎじょう)や多角たかくがたかくまるめた三角さんかく四角よつかどかく八角はっかくじゅうかく〜ほぼえんちかじゅうかくなど)のものもある。ふとさは個人こじんこのみや使つかいやすさにより様々さまざまであり、さらにえだふしいているものや、木刀ぼくとうのように素地そじかす・またあるいはかたなちょうまきのようにほどこしてだまりをよくし(にぎりやすい程度ていど摩擦まさつりょくしょうじさせ)打撃だげき斬撃ざんげきてきしたもの、うるしろうなどをすべりやすくしたものもある。

おも木製もくせいであり、特別とくべつ製作せいさくされる場合ばあいのぞき、地域ちいきごとに自生じせい普及ふきゅうせいのあるざいもっとおおもちいられることが普通ふつうである。基本きほんてきにはかしぐり胡桃くるみしいブナあずさオークさくらなどの頑丈がんじょう木材もくざい加工かこうされて使つかわれることがおおい。クヌギナラかしわカツラは、うえげた木々きぎなどにいでおもかたかつ柔軟じゅうなんせいもありやや割安わりやすなので比較的ひかくてき利用りようされた。みがけば光沢こうたくうつくしくかたいが柔軟じゅうなんせいにはける椿つばきカヤケヤキえんじゅビワトチノキイスノキイチイかき黒柿くろがきばれるタンニンぶんおおふくんだ心材しんざい)は、衝撃しょうげきにややもろくあまりながつくれないうえ、ざい自体じたい希少きしょうでコストパフォーマンスがわるい、あるいはかつえすくい食料しょくりょうであるなどの理由りゆうにより、美術びじゅつ装飾そうしょくようなど特別とくべつ生産せいさん場合ばあいふくめ、生産せいさんはごくわずかである。

また、日本にっぽんでは、室町むろまち時代ときよ後期こうきから戦国せんごく時代じだいにかけて一時期いちじき即席そくせきやりとして、その急務きゅうむせいかるさから農民のうみんへいよう生産せいさんされた「おやり」などにすぎまつヒノキサワラツガなど針葉樹しんようじゅ使つかわれたが、一部いちぶ特殊とくしゅなもの(山岳さんがくきた斜面しゃめんえるなど日照ひでり生育せいいく作為さくいてきわるくし年輪ねんりんまっておもかた頑健がんけんになった吉野よしのすぎ北山きたやますぎ秋田あきたすぎあめおお地域ちいき充分じゅうぶんそだ樹脂じゅしぶんおおふく耐水たいすいたい不朽ふきゅうせいつよ屋久やくすぎまつヒノキ)をのぞき、さほど頑丈がんじょうではないためあまり普及ふきゅうしなかった。

中国ちゅうごくでは元来がんらい天秤棒てんびんぼうもっこ物干ものほ竿ざおなどの竿ざおたけとともに日常にちじょうてき使つかわれていた、かるくてしなやかでたたけてもれにくいしろろうしろろうじゅしろろうとも。大陸たいりくさんやなぎ一種いっしゅ近年きんねんでのすこ高級こうきゅうざいではトネリコアオダモ代用だいようされる)が汎用はんようせいもあるこう品質ひんしつとして、また棒術ぼうじゅつぼうとしてももちいられてきた(→ちょう器械きかい)。

後記こうきにある熱帯ねったいせい木材もくざいはいりにくいだい航海こうかい時代じだい以前いぜん欧州おうしゅうでは、北欧ほくおうなどの北方ほっぽう地域ちいきではおもかた木材もくざいはいりにくいため、まつヒノキつがヒマラヤスギるいなどの比較的ひかくてきかるくて耐寒たいかんせいみず湿気しっけたい腐朽ふきゅうせいがあり普及ふきゅうしている針葉樹しんようじゅけい心材しんざいひいらぎアッシュかばもちいられ、南欧なんおうではしいブナオノオレカンバオークウォールナットセイヨウイチイマロニエオリーブ月桂樹げっけいじゅレバノンすぎカシューナッツ、など比較的ひかくてきおもかたざい使つかわれた。また、大西洋たいせいよう航路こうろ確立かくりつ北米ほくべいからヌマスギ安価あんか用材ようざいとして比較的ひかくてきおお流入りゅうにゅうした。また古代こだいローマギリシアをはじめとする地中海ちちゅうかい周辺しゅうへんではまだ絶滅ぜつめつ危惧きぐではなかったレバノンスギ豊富ほうふ使つかわれた。

東南とうなんアジア・中南米ちゅうなんべい西にしアフリカなど熱帯ねったい多雨たうりん地域ちいきでは、おもかた丁子ちょうじムクロジ菩提樹ぼだいじゅニセアカシアゴムノキるいなど木材もくざいるい黒檀こくたん、シャム黒柿くろがき紫檀したんてつタガヤサン(テットウボク)、癒創(リグナムバイタ)、ブビンガ(プビンカ)、ローズウッドるいなどのもっと硬質こうしつ木材もくざいるいが、生育せいいくもよく、採集さいしゅう容易よういだったためおおもちいられた。

その軽量けいりょうさや生産せいさんコストのひくさをもとめ、強度きょうど不安ふあんのあるてい品質ひんしつ木材もくざい使用しようされることもあったようであるが、これらは往々おうおうにしてれやすいものであった。また例外れいがいてきに、装飾そうしょくよう儀礼ぎれいようとして実戦じっせん想定そうていしないるいのものには、材料ざいりょうとしてはかない上記じょうき以外いがい木材もくざい使用しようされることもあった。くじらのヒゲ、イッカクかく象牙ぞうげサイかくなど、動物どうぶつせいざいも、儀礼ぎれい装飾そうしょくよう木材もくざいれない地域ちいきでのやりもちいられることはあるが、木材もくざい比較ひかくするともろ強度きょうどけるのでセイウチきば水牛すいぎゅうかくなどとともにしんざい補強ほきょうようにとどめる場合ばあいおおい。

てつ青銅せいどう真鍮しんちゅうなどによるそう金属きんぞくづくりのものも存在そんざいするが、金属きんぞくをしなやかな細身ほそみにしたり鋼管こうかん技術ぎじゅつ発達はったつするまではとしてもちいられたことはおおくはない。これは、そう金属きんぞくせいでできたやりおもく、あつかうために平均へいきん以上いじょう膂力りょりょく全身ぜんしん持久じきゅうりょく必要ひつようとなること、また寒冷かんれいこう山地さんちではねつ伝導でんどうりつじょうしゅこごえる、同様どうようねつ素手すでではれないほどあつくなることもあるが(もっとも、この場合ばあい表面ひょうめんぬのひもかわなどべつ素材そざいわせれば解決かいけつできる。ただし、おも金属きんぞくせいあつか場合ばあい磨耗まもう耐久たいきゅうせいのある材質ざいしつでないと使用しよう頻度ひんどによりえることになるのでコストパフォーマンスはそれだけがる)、感触かんしょくかた衝撃しょうげきさいがしびれる、うちあせなどですべりやすい、などの理由りゆうによるものである。そのため、鍛錬たんれんおのれ壮健そうけんさをアピールするなどの特殊とくしゅ場合ばあい以外いがいでは、熱帯ねったい地域ちいき以外いがいではあまりこのまれて使つかわれない。

ふくあい素材そざいもちいたれいとして、日本にっぽんでは室町むろまち時代じだい後期こうきから「ウチがら(うちえ:)」ばれるものが存在そんざいする。これは、頑丈がんじょう木材もくざいほどおもくしなりがなくもろくなりやすく、ながくするとあつかいづらいため穂先ほさきちいさくみじかくなりやすく、また、おもかた木材もくざい製造せいぞう高価こうかになるという問題もんだい克服こくふくするためである。制作せいさくほうは、あつめのたけいて断面だんめん台形だいけいもしくは三日月みかづきがたしょう波紋はもんがたになるようにったなが加工かこうしたたけばんを、心材しんざい・あるいは鉄製てつせい)の周囲しゅうい放射状ほうしゃじょういて円柱えんちゅうじょうになるようかこんでみ(断面だんめん構造こうぞうとしては〇のなかに❉、あるいは❂️にちか形状けいじょう)、ニカワ接着せっちゃくしてあさひもとうかわき、さらに補強ほきょう防水ぼうすいぼうけがれをかねてうるしけてかためるという加工かこうほどこす。これは、えてあらかじめかれているたけばんあつめて集成しゅうせいすることで竹刀しないのようにしわ衝撃しょうげきのが役割やくわりがある。また、工程こうていりょうおおきくはあるものの、よりさき確立かくりつしていたかずゆみ合成ごうせいゆみ製造せいぞうほう類似るいじしている。ウチがらなかでも、中心ちゅうしんひのきもち周囲しゅうい嵯峨さがたけかわもちいた柑子こうじは、まんひとつもれる心配しんぱいがないとひょうされている。

補強ほきょう

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一般いっぱんてき穂先ほさきちかくの打撃だげき斬撃ざんげきによってれないよう補強ほきょうほどこされることがおおく(日本にっぽんでは太刀打たちうちおよびものという)、全体ぜんたいにはぬのかわづる樹皮じゅひとうけるものや、たて細長ほそなが鉄板てっぱん前後ぜんご左右さゆうどちらかの片側かたがわ両側りょうがわけるタイプのもの、その両方りょうほうわせてあるものもおおい。

例外れいがいてきひるというてつぎん真鍮しんちゅうどう合金ごうきんなどのひるきんというテープじょう金属きんぞくたいける手法しゅほう板金ばんきんでぐるりとおお手法しゅほうもある。せんだんまきというもとゆみ補強ほきょうする技術ぎじゅつから流用りゅうようされたとう針金はりがねなどできつける方法ほうほうもあり、これはすべめにもなりにぎさいだまりをよくする。

日本にっぽんやりにおいて補強ほきょうほどこ一番いちばん理由りゆうは、やり強度きょうどてき弱点じゃくてんである目釘めくぎ部分ぶぶん補強ほきょうするためにある。さらにてき打撃だげきした場合ばあい破損はそんふせぐほか、きずはいった場合ばあいけずなおすか交換こうかんする必要ひつようがあるが、補強ほきょう部分ぶぶんだけの交換こうかんだけでむことにある。またきむ砕棒棍棒こんぼうのように破壊はかいりょく強度きょうどわせつことにもある(なかにはじゅうのようによこかぎじょう突起とっきたものもある)。

補強ほきょう使つかわれる素材そざいたけとうラタン)、かばづるひもひとし植物しょくぶつせい素材そざい和紙わしかみのりとしてもちいた天然てんねん樹脂じゅしなわひもひとし加工かこうひんてつ真鍮しんちゅう青銅せいどうなどの金属きんぞくおよび合金ごうきん素材そざい皮革ひかくもうけんうしやサイなどのかくほね象牙ぞうげひとし動物どうぶつせい素材そざいや、鉱石こうせきなど非金属ひきんぞくなど多様たようで、おなじくうるしろうにかわ天然てんねん樹脂じゅしなどでかためてつくったものも存在そんざいする。

なかにはつば付属ふぞくされているものもあるが、打撃だげきるようにふとつくられている場合ばあいおおい。慣性かんせいなどがおおきくなるのをふせぐためか、サイズはちいさくなる傾向けいこうられる。また、刃渡はわた自体じたいみじかいのでつばのリーチをばすためにほうっている、またはとげ突時やまわすときのストッパーや邪魔じゃまにならないようにちいさめにして中間ちゅうかんあたりにくものもある。ランスでの突撃とつげきや、手元てもと防護ぼうご体当たいあたりの補助ほじょのために根元ねもとあたりにつばとしていている。

また、日本にっぽんでは十文字じゅうもんじやりなどのなかにはかたな同様どうようつばもうけたものがあるほか、項目こうもく日本にっぽんにおけるやり」でも後述こうじゅつするようにすべめのためのとめだま項目こうもくやりおよ長柄ながえ武器ぶき分類ぶんるい」でも後述こうじゅつするかんやり存在そんざいする。

やりあたま

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やりあたま)は突時の構造こうぞうじょう強度きょうどがあるさん角錐かくすいじょうよん角錐かくすいじょう刀剣とうけんじょう円錐えんすいじょうで、いしせいのものから金属きんぞくせいのものまで時代じだい地域ちいきによってことなる。穂先ほさきじょう場合ばあい斬撃ざんげき機能きのうもあり、同種どうしゅ武器ぶきである薙刀なぎなた比較ひかくするとりがないぶん刃物はものとしての切断せつだん効率こうりつ幾分いくぶんおとるが、打撃だげきによってはたることを目的もくてき設計せっけいされているものがおおい。これは細身ほそみでは斬撃ざんげき衝撃しょうげきえるのがむずかしいため、無理むりけるよりも、打撃だげきりょくそのものを強化きょうかしたほう効率こうりつてきだったからである。やり種類しゅるい発展はってんがたとしてハルバードのようにおのかまかぎなどをわせ、斬撃ざんげき機能きのう強化きょうかする、ける、てきらえるなど機能きのうしたえだぶつ存在そんざいする。矛先ほこさき複数ふくすうかれているものは場合ばあいによってはとげ突のさい威力いりょく分散ぶんさんされることがおおく、三叉みつまた二又ふたまたなどの同一どういつ戦場せんじょうでは多少たしょう改善かいぜんされているものが主流しゅりゅう先端せんたんとがってさえいれば5cm程度ていど刃渡はわたりとげ突にはまったつかえなく使つかえるため、そのおおくのやりとくきや打撃だげきとくしたもののおおくは刃渡はわたりが5cmにもたず、いていないものもある。

石突いしづき

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ぎゃく先端せんたん部分ぶぶん石突いしづきばれる。

さまざまなタイプがある。 そもそも、素朴そぼく段階だんかいやりでは、やりさき反対はんたいがわ木材もくざいのままで、とく石突いしづきいものが一般いっぱんてきではあった。時代じだいふるいものではいしせいのものもある。全体ぜんたい重心じゅうしんのバランスをとったりおもくしたりするため、青銅せいどう真鍮しんちゅうなまりせいのものもある。量産りょうさんがた数物かずもの)では簡略かんりゃくされたものもある。地面じめんてる、てるさい保護ほご重心じゅうしん中央ちゅうおう安定あんていさせるなどのほかにも、さきするどとがらせてとげ突や疾走しっそう補助ほじょとしてぼう幅跳はばとのようにやりもちいたときの接地せっち支柱しちゅうやブレーキ機能きのうおよび、おな要領ようりょうながれのゆるやかな河底かわぞこよろい着込きこみのままもぐって移動いどうするさいいかりのように一時いちじ固定こていするつめとしての機能きのうたせたものもある。おもりメイス打撃だげきりょく強化きょうかしたものなどの、攻撃こうげきようとくされているものもある。通常つうじょう石突いしづきでもいたりなぐったりすることは可能かのうである。

(どこの地域ちいき?、いつの時代じだい?にかんして)「半球はんきゅうがた鉄製てつせいキャップがおお[よう出典しゅってん][よう検証けんしょう]」とったひとがいる [だれ?]{。

石突いしづき部分ぶぶん穂先ほさきおなじようにけんはりなどのように鋭利えいり形状けいじょうつくられているものも少数しょうすう存在そんざいするが、実戦じっせんでは自分じぶん自身じしん騎乗きじょうしているうま味方あじかたさえもきずつけやすいうえ、地面じめんてられないため、あつかえるのは技量ぎりょうたかものかぎられることからあまり普及ふきゅうしていない。ぎゃく日本にっぽん薙刀なぎなた基本きほんてき地面じめんてないため、石突いしづき半月はんつきがたとうける用途ようといた形状けいじょう大半たいはんで、おおくの薙刀なぎなたじゅつにも石突いしづきりつけるわざふくまれている。

接合せつごうほう

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やりあたま構成こうせい基本きほんてきに、かぶせるふくろしき(ソケットじょう)としき日本にっぽんがたなくきちゅうしん中心ちゅうしん:なかご)のようなつくり)があり、単純たんじゅん武器ぶきとしての耐久たいきゅう強度きょうどとしてはしきほうたかいが、総合そうごうてきると絶対ぜったいてき有利ゆうりとはかぎらない。また、これらの接合せつごう使つかわれる部品ぶひん必然ひつぜんてき補強ほきょうとも統合とうごうされる場合ばあいおおい。

ふくろみのるしきは、完全かんぜんつつむものと両側りょうがわはさむもの、片側かたがわのみでつなぐものなどがある。製作せいさく修理しゅうり比較的ひかくてき容易よういにできるわりに、とくる・つことがしがたく、つくりによってはしきより頑丈がんじょうになることもあるが、金属きんぞくせい補強ほきょう用材ようざいてつおよ真鍮しんちゅう青銅せいどうなど)のため重量じゅうりょう膨大ぼうだいになりやすい(ふくろやり参照さんしょう)。ヨーロッパ諸国しょこくおおくや中国ちゅうごくをはじめとするひがし東南とうなんアジア諸国しょこくなどで使つかわれていたやりはかぶせしきおおい。

日本にっぽんでは縄文じょうもん時代じだいにはすで石器せっきほねいしやり、銛などの狩猟しゅりょう漁具ぎょぐでごくみじかしき天然てんねんアスファルト接着せっちゃく接合せつごうされていた。[4][5]

しきは、途中とちゅうまで半分はんぶんったあいだはさ形式けいしきそのものふたつにかれるものもある)と、空洞くうどうになるようにくりちゅうれる形式けいしきなどがある。修理しゅうり時間じかん専門せんもん技術ぎじゅつ必要ひつようだが比較的ひかくてき丈夫じょうぶにできるため、頑丈がんじょうやりつくりやすい。また、日本にっぽんやりおおくはこのつくりであり、やりあたま安定あんていさせると同時どうじ相手あいてからの斬撃ざんげき容易よういからとされないようにするためにくき比率ひりつを1:2〜1:3とながつくる(鎌倉かまくら時代ときよからやりおなじく台頭たいとうしてきただい太刀たち初期しょきのこの構造こうぞうになるまえやりふくろみのるみじかくき)をごととすために開発かいはつされた長物ちょうぶつともいわれている。また同様どうよう平安へいあん時代じだい後期こうき台頭たいとうしてきた薙刀なぎなたにもおなじくやり以前いぜんふくろほこ穂先ほさきとす用法ようほうがある)。

また、前述ぜんじゅつ太刀打たちうちとくきしき強度きょうど利用りようして足軽あしがる農兵のうへい長柄ながえやりともばれるおやりされたやり)で文字通もじどおり「はたった(≒たたかった:たたかった)」[6]。これは、不慣ふなれな長物ちょうぶつてきとげ突するよりもとうざおなどで脱穀だっこくする動作どうさちかたたほうれているからとも、傭兵ようへいとして相手方あいてがたにもやとわれている身内みうち親類しんるいもしくは同郷どうきょう友人ゆうじん知人ちじん昏倒こんとうさせるにとどめて殺傷さっしょうしないように配慮はいりょしたからともわれている。

また、日本にっぽんのほとんどのやりにはしきふくろみのるしきともにからにかけてくびれたくびのようなものがあり、これをしおくび(けらくび・しおくび)という。この部位ぶいほそつなぐもっとも衝撃しょうげき圧力あつりょくくわわる部位ぶいひとつなので、それらを分散ぶんさんするように三角さんかくひら三角さんかく角柱かくちゅう四角よつかどおもりけんじょう場合ばあい八角はっかくばしら形作かたちづくられている。

さや

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やり携行けいこう運搬うんぱんやりあたま)のぼうけがれぼうさび欠損けっそん防止ぼうし、また人員じんいんうまなどの家畜かちく物資ぶっし構築こうちくぶつ接触せっしょくしたさい損傷そんしょうさせることをふせぐために、中世ちゅうせい以降いこう戦時せんじ以外いがいでは刀剣とうけんおなじようにさやおさめることもかんがえられた。

材質ざいしつとしては西欧せいおうでは皮革ひかくせい、アジアではぬのきつける簡素かんそ手法しゅほう陶器とうきせい木製もくせいのものがおおい。日本にっぽんではかたなさやおなじように木製もくせいおおく、後世こうせいすくなくとも江戸えど時代じだい前期ぜんき)にはのりであつかさねた和紙わしうるしかためた簡易かんいさやてきた。緊急きんきゅう地面じめんたたきつけてさやはずせるようにわざとこまかく分割ぶんかつした木材もくざいわせてつくられることもある。さらにったものや装飾そうしょくようのものには西欧せいおうではスエード羊毛ようもうビロードなどをさや内張うちばりにすることがあり、日本にっぽんでは平安へいあん時代じだいからしし毛皮けがわ内側うちがわるなどして緩衝かんしょう防湿ぼうしつ防水ぼうすい効果こうかたせる場合ばあいがあった。室町むろまち時代じだい以降いこう皇族こうぞくかく時代じだい為政者いせいしゃ権力けんりょくしゃ所持しょじする高価こうかもの献上けんじょう品等ひんとう神事しんじ山車だしぼこようさやなどでは前述ぜんじゅつ西欧せいおう同様どうよう舶来はくらい輸入ゆにゅうひんであるスエード羊毛ようもうビロードうちりされたものもわずかながらあった。また戦国せんごく末期まっきから江戸えど時代じだいにかけて、日本にっぽんでは螺鈿らでん細工ざいくなどの蒔絵まきえ細工ざいくほどこすなど装飾そうしょくする場合ばあい家紋かもんれる場合ばあいもあった。

装飾そうしょく

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やり長柄ながら武器ぶきなかにはてき威圧いあつ挑発ちょうはつ威嚇いかくするためや上司じょうしてきおのれ奮闘ふんとうぶりをけるため、個人こじん所有しょゆう特定とくていするため、あるいはてきたいするくらまし、宗教しゅうきょうてき呪術じゅじゅつてき儀礼ぎれい生存せいぞんへの渇望かつぼう戦勝せんしょう祈願きがん加護かご心理しんりてき威力いりょく付与ふよてきたいひるませる効果こうかもとめての護符ごふアミュレット)や縁起えんぎかつぎ、または闘争とうそうようではなくもとから装飾そうしょくおよ宝飾ほうしょくようであるものや、奉納ほうのう祈祷きとうもちいるため、または補強ほきょうねるためや補強ほきょうかくすために装飾そうしょくほどこしたものもある。

日本にっぽんではやりあたま保護ほごするさや運搬うんぱん保護ほごよう簡素かんそもの主流しゅりゅうであるが、有力ゆうりょく武将ぶしょう戦地せんちにおいて旗印はたじるしとなるように彫刻ちょうこく塗装とそうにより装飾そうしょくされたもの別途べっと用意よういしていた。とくとり羽根はねけた「毛槍けやり」が大名だいみょう行列ぎょうれつなど儀仗ぎじょうようとしてもちいられていた。ヨーロッパでは軍旗ぐんき竿ざおとして利用りようすることもあった。

  • 西欧せいおうのルンカ・パルチザン・ハルバード・せんおのではてつかね真鍮しんちゅうぎんなど金属きんぞく象牙ぞうげなどの動物どうぶつせい素材そざい補強ほきょうつば幅広はばひろ彫刻ちょうこく細工ざいく刻印こくいんきむぎんなどの貴金属ききんぞく貴石たかいしはん貴石たかいし南方なんぽうてつるいをはじめとする高級こうきゅう木材もくざいなどの象嵌ぞうがんみや箔押はくお鍍金めっき塗装とそうなどの細工ざいく意匠いしょうがある。また、まったくの装飾そうしょくようつくられたもののなかにはみがげた大理石だいりせきなどの非金属ひきんぞく鉱石こうせき補強ほきょうつくる、あるいは装飾そうしょくするものもある。
  • 中国ちゅうごく武術ぶじゅつはなやりあかかざぼうつば細工ざいく彫刻ちょうこくうるし細工ざいく螺鈿らでん細工ざいくなどがある。また、三叉みつまたほうたかしには補強ほきょうになんらかの護符ごふ意味いみめて細工ざいく彫刻ちょうこくほどこされることがおおい。
  • 中東ちゅうとうからインド大陸たいりくをまたいで東南とうなんアジアおよぶまで、実用じつようひん宝飾ほうしょくひんともにかねぎんをはじめとする貴金属ききんぞくや・真鍮しんちゅう青銅せいどうなどの象嵌ぞうがん細工ざいく彫刻ちょうこく貴石たかいしのはめみがからまでほどこされることがおおい。また、上記じょうきしるしたようにざいには金属きんぞくるい重厚じゅうこう高級こうきゅう唐木とうぼくるい使つかわれたので精緻せいち細工ざいくほどこされたものもすくなくない。
日本にっぽんやりれいひだりから手杵てきね穂先ほさき(レプリカ)、手杵てきねがた牛皮ぎゅうひせいさや馬印うまじるし)、通常つうじょうさや
  • 日本にっぽんやりでは主君しゅくんてきおのれ奮闘ふんとうりを戦功せんこうをアピールするために大身たいしんやりなどの細工ざいく彫刻ちょうこくほどこすほか、技術ぎじゅつからがらさやでも防水ぼうすいぼうけがれのためにくろあおあかちゃなどさまざまないろうるしおこなうようになり、その透過とうか利用りようして螺鈿らでん細工ざいくかね真鍮しんちゅうぎんどうあるいはそれらの合金ごうきんなどの箔押はくお金泥きんでいりなどのどろはく蒔絵まきえ細工ざいくおこなったり、キジクジャクタカなどのうつくしく高価こうかとり羽根はねかざり、または鼈甲べっこう水牛すいぎゅうかく珊瑚さんごなど動物どうぶつ由来ゆらい高級こうきゅうざい装飾そうしょくなどもおこなったものがあった。また、寺社じしゃ奉納ほうのうされたやりほこ皇族こうぞく貴族きぞくなどが所有しょゆうしたもの、出土しゅつどしたそれらのものには奉納ほうのうひん装飾そうしょくひん宝物ほうもつとして貴金属ききんぞく真鍮しんちゅうなどのつばかしりなど細工ざいく彫刻ちょうこくかざかぎには象嵌ぞうがん箔押はくおし、上記じょうきのようにうるし細工ざいくほどこされたもののほか、古代こだいには以外いがい部位ぶい翡翠かわせみ瑪瑙めのう水晶すいしょう真珠しんじゅ珊瑚さんごなど貴石たかいしはん貴石たかいしのはめ装飾そうしょくやそれらのたまけたかざひもでの装飾そうしょくがある。

使用しようほう

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片手かたてようけんおのなどをった相手あいてのリーチがいから攻撃こうげきする、馬上もうえから、あるいはうま自体じたいまたは騎兵きへい攻撃こうげきする、たてしに攻撃こうげきする、など、用途ようと多岐たきわたる。欠点けってんは、とく大型おおがた武具ぶぐおおられるまわしのわるさと携帯けいたいせいわるさである。

ながさをえて攻撃こうげき範囲はんい変動へんどうさせるうえ、方向ほうこう攻撃こうげきりょくたせるため、そこからされる攻防こうぼう変幻へんげん自在じざいで、相手あいてれていなければ混乱こんらんしやすい。また、長柄ながえによるおおきな回転かいてん運動うんどう重量じゅうりょうによって打撃だげき斬撃ざんげきたか威力いりょくたせることも可能かのうで、遠心えんしんりょく重力じゅうりょく活用かつようにより その破壊はかいりょくすさまじく うであしなどほねごとることさえあるという。また、はらあしかたなどを支点してんとして梃子てこ原理げんり応用おうようしてまわわざもある。棍棒こんぼうのような使つかわれかたもされる。やりなかには形状けいじょう流派りゅうはなどにより使用しよう方法ほうほうまったことなるものがある。太刀たちおな使用しようほう可能かのう

集団しゅうだんせんでは、ひとひととのあいだをできるだけせばめた、密集みっしゅうした陣形じんけいファランクス槍衾やりぶすま)をきずき、その陣形じんけいかたちたてち、ゆみへいなどの支援しえん兵種へいしゅ布陣ふじんさせ防衛ぼうえいラインの形成けいせい反撃はんげき攻撃こうげきまたは、騎兵きへいうまからたたとす陣形じんけいなどもある。もちろんこれほど密着みっちゃくした陣形じんけいると、まわすことが困難こんなんになり、前方ぜんぽう以外いがいからの攻撃こうげきもろく、また軍団ぐんだん移動いどう速度そくど極端きょくたんおそくなるデメリットがあり、ありとあらゆる解決かいけつ方法ほうほう多国たこくためされた。さらに、これらの戦法せんぽう使つかわれるやりは5〜8mとながくなる傾向けいこうがある。

(※武具ぶぐ項目こうもく武具ぶぐ#使用しよう方法ほうほう』、および槍術そうじゅつ参照さんしょう

なが
ながさを有効ゆうこう活用かつようし、相手あいて有効ゆうこう攻撃こうげき圏外けんがいから先制せんせい攻撃こうげき仕掛しかけやすく、き、はらい、り、(相手あいてを)ばす、たたつぶす、などの動作どうさおこないやすい。また慣性かんせいなどの法則ほうそく最大限さいだいげんかせるので威力いりょくたか攻撃こうげき可能かのうである。至近しきん距離きょりでの戦闘せんとうむずかしいが、かたえながら、できれば移動いどうわせれば対応たいおうしやすい。これができない場合ばあいなら、石突いしづき・部分ぶぶん対応たいおうすることも可能かのうだが、動作どうさ中途半端ちゅうとはんぱになりやすい。
なかほどを
棒術ぼうじゅつ格闘技かくとうぎ威力いりょく発揮はっきしやすく、えもスムーズにおこなうことができ、また石突いしづ部分ぶぶん効率こうりつ使つかいやすい。やりよこたてにしてその両側りょうがわ駆使くししてたたきつける、地面じめんけて防御ぼうぎょ移動いどうなど、多種たしゅ多様たようわざつ。しかし、このかたでは戦闘せんとう十分じゅうぶん対応たいおうするには個人こじん経験けいけん技術ぎじゅつなどがふか関係かんけいとくあつかいに不慣ふなれなもの使つかがたい。
みじか
至近しきん距離きょりでのし、きなどの戦闘せんとうおこないやすいが、ながいためナイフのようにまわせないことを考慮こうりょしなければならない。やりなかにはみじかてないものもあるため、うごまわ近付ちかづかれないようにするとい(近付ちかづかれても対処たいしょほうはある)。石突いしづきでなぐ奇襲きしゅうやフェイント(相手あいてがわからはながさがからないため、有効ゆうこう最大さいだい攻撃こうげき範囲はんいさとられにくい)が効果こうかてき逆手さかててばまえ棍棒こんぼううしろに短剣たんけんかたちになるが、相手あいてつかまれやすいため、うごつづけてつかまれないようにする必要ひつようがある。
したからり・げる (下段げだんかまえ:ついたち(さく)る)
相手あいてがわからは対処たいしょしづらいため突撃とつげきにも使つかわれやすく、日本にっぽん戦争せんそう武士ぶしさむらい題材だいざいえがいた中世ちゅうせい絵画かいがにはそのようなかまえをしている武士ぶしおおられる。げとおな要領ようりょうやりげるわざもある。すなどろげて相手あいて視覚しかくふさいだりけたものばす方法ほうほうもある。たたみがえというわざはこの手法しゅほうれた後世こうせい小説しょうせつによる創作そうさくである。またこのかま自体じたいあしねらってくる相手あいて下段げだんりにたい防護ぼうごするかたにもなる。
あしばら
あしけてころばせたり、あしはらったりして相手あいて体勢たいせいくずす(あるいはあしなどを負傷ふしょうさせる)ためのわざ相手あいて移動いどう制限せいげんさせることができ、成功せいこうすればそのままうごきをふうじたり窒息ちっそくにより失神しっしんさせる、あるいはめをすこともできる。
格闘かくとうせん関節かんせつわざ補助ほじょ使つか
やり手足てあし延長えんちょう相手あいてへの障害しょうがいとしてあつかう。ひじちやり、あたまきなどもできるため色々いろいろわざがある。やりよこたおうでやりあいだくびはらあしれて相手あいてうごけないようにし、なぐるなどをおこなう、先端せんたんなかうでくびなどのあいだねじげる方法ほうほうなどがあるが、このような使つかかたをする場合ばあいやりはなるべく簡素かんそ棒状ぼうじょうほう使つかいやすい。
げ(わざ
剣術けんじゅつわざにもあるが、棒状ぼうじょう武器ぶき同士どうしでなければこのわざ使つかがたい。相手あいて武器ぶききながらさえんで、可能かのうならばばし、使つかえなくするわざ。また相手あいて武器ぶきからると、相手あいてめににくい。
なかまわ
よく映画えいがなどの創作そうさく作品さくひんかけるが(映画えいがなどの場合ばあい見栄みばえをくするためで見本みほんにはならないが)、てき近付ちかづくことができないようにおど効果こうかと、相手あいてがへたにせないようにする目的もくてきがある。また、まえまわして相手あいて攻撃こうげきらしたりながし、いて、つぎ攻撃こうげきそなえ、または変幻へんげん自在じざい棒術ぼうじゅつ格闘技かくとうぎまたはる・くとして反撃はんげきねらう。しかし、場所ばしょひろるため、せま場所ばしょ集団しゅうだんせんでは仲間なかまたるなどの危険きけんがあり、武器ぶき自体じたい使用しようしゃ身長しんちょうよりながいと使つかつらいなどの問題もんだいがある。
やりげる
ほとんどのやり投擲とうてきにはてきさないが、投擲とうてきてきするものなら十分じゅうぶん威力いりょく期待きたいできる。その射程しゃていやく15mから一番いちばんながいものでやく90mにもなるが、つぎやりげるまでに時間じかんかるうえに、弓矢ゆみやなどより射程しゃていみじかいため使つか勝手がってわるく、また、はこびが困難こんなんであるなど、運用うんようじょう問題もんだいてんおおく、そのうえ相手あいてがわさい利用りようされやすいという問題もんだいもあった。さい利用りようできないように、さると自壊じかいするもの製作せいさくしたほどである。それでも古代こだいいては重要じゅうよう戦術せんじゅつだった。代表だいひょうれいとしては、ローマ軍団ぐんだんへい主要しゅよう装備そうびひとつであったピルムげられる。弓矢ゆみやなどの射撃しゃげきよう武器ぶき発達はったつしていくなかで、次第しだいすたれていった[7]アトラトルウーメラ英語えいごばんなどの投槍なげやり発明はつめい投槍なげやり自体じたいにも様々さまざま改良かいりょうほどこされたが、弓矢ゆみや投石とうせきなどの射出しゃしゅつ武器ぶきほどの性能せいのうられず、実用じつようてき運用うんようほう確立かくりつできなかった。そのため、やり近距離きんきょり中距離ちゅうきょりせん重視じゅうし武器ぶきとして発展はってんした。いまではやりとうという競技きょうぎだけがのこる。ただし、よりもながおもいため、たてさった場合ばあいには、相手あいて運動うんどうせい低下ていかさせる効果こうか期待きたいできる。しわりやすい素材そざいおよ棍術琉球りゅうきゅう棒術ぼうじゅつ)のむぎつぶ(むぎつぶや)のようになかほどがふとりょうはしほそむぎつぶがた(ばくりゅうがた)の構造こうぞうなら空気くうき抵抗ていこうけたさい振動しんどうりつく、細微さいび振動しんどうしてとおくまでよくぶが(とおくにばすためのこのときの振動しんどう垂直すいちょく方向ほうこうのままで進行しんこうするか、振動しんどう進行しんこう方向ほうこうたい螺旋らせんえがくようにじくとしたトルクとなってあらわれ、振動しんどうたもったうえで弾丸だんがんのように回転かいてんして進行しんこうする)、投擲とうてきおおきく角度かくどをつけりきんでしわらせるように手離てばなれさせると極端きょくたん振動しんどうしわりの合力ごうりょくによりざいえられなくなり、飛行ひこうちゅうぜるようにざい繊維せんい方向ほうこうたてれる。アフリカやハワイで投擲とうてき研究けんきゅうしゃ狩猟しゅりょう戦闘せんとうよう槍投やりなげを現地げんちじんおこなわせたところ、しばしばこの現象げんしょうこった。投擲とうてきしたやり振動しんどうすることについてはやりとう競技きょうぎおこなうか間近まぢか観察かんさつする機会きかいがあれば『ビィーン』というおとともにごく微細びさい振動しんどうしながらんでゆくやりることができる。
戦闘せんとう以外いがい用法ようほう
戦闘せんとう以外いがいでは、なが利用りようしたひとぶつ運搬うんぱん移動いどう補助ほじょないし制限せいげん多数たすうやりならべて攻撃こうげきするかべつくるといった使つかかたがあるが、なかにはそのような使つかかたにはてきしていないものもある。つえわりや負傷ふしょう松葉杖まつばづえわりに使つかうほか、担架たんかもっこ神輿しんよようひとぶつかつ方法ほうほうがある(やり天秤棒てんびんぼうとしてかつぐ)。2ほん以上いじょう井桁いげたがためば安定あんていしやすいが、2ほん運用うんようする場合ばあいあいだにロープやシート(わりにたて利用りようすることもある)とうけなければ不安定ふあんていになりやすい。1ほんはこ方法ほうほう対象たいしょうひと場合ばあいはらなどにてる、背負せおうなどの補助ほじょ安定あんていさせるのが基本きほんとなる。対象たいしょうもの場合ばあい梃子てこ原理げんり応用おうようで、かるものならにくくりかた支点してんにして、力点りきてんとしてはこぶ(やり天秤棒てんびんぼうとしてになう)。対象たいしょうおもものなら、対象たいしょうあいだ仕込しこんでどこか安定あんていした場所ばしょてて梃子てことしてうごかす方法ほうほうがある。また、ほり小川おがわぼう幅跳はばとのようにえるさい、あるいははばひろながれのゆるい河底かわぞこおも具足ぐそく着込きこみのままもぐって水中すいちゅう歩行ほこうするさい石突いしづき河底かわぞこけて支持しじぼうとしてもちいる。そのほかすこたか場所ばしょけてもの竿ざお野宿のじゅくよう雨避あまよ日除ひよけの天幕てんまく(テント)のはりのほかはしらとしても使用しようできる。さらに、神社じんじゃ儀式ぎしきで「威儀いぎやり」をもちいることがある。ながろくしゃくすんくろうるしぬりしなおおく、ふくろなどにかみもんなどをれる場合ばあいもある[8]。なお、出陣しゅつじんなどのとき家紋かもんなどをめたはた装着そうちゃくする「はたやり」もある。小諸こもろじょうおもはたやりは、毎日まいにち見学けんがく可能かのう[9]

やりおよ長柄ながえ武器ぶき分類ぶんるい

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いまくわしく地域ちいき時代じだいべつにはけられてはいません、ご注意ちゅういください。

やり分類ぶんるいとしてはおおきくけて「ちょうやり」「たんやり」「投槍なげやり」にけられるがこれらの分類ぶんるい明確めいかくちがいはなく曖昧あいまいなうえ、そのの「長柄ながら武器ぶき」との混合こんごう厳格げんかく分類ぶんるい非常ひじょうむずかしくなっている(なお、この分類ぶんるい正式せいしきなものではない)。

ちょうやりは、集団しゅうだん同士どうし戦闘せんとう効果こうか発揮はっきしやすく、ければながいほど有利ゆうりはたらくためにたんやりから完全かんぜん分離ぶんりして独立どくりつした武器ぶきとなるが接近せっきんされると対処たいしょ非常ひじょうむずかしい武器ぶきである。

たんやりは、個人こじんせん室内しつないせんなどの閉所で活躍かつやくしやすく、また複雑ふくざつ形状けいじょうをしているものたんやりおおい、また騎兵きへいやりもここにはいる。

投槍なげやりは、投射とうしゃしやすいようにつくられたもので、たんやりなかにも投射とうしゃできるようにつくられたもの存在そんざいする。

狩猟しゅりょうようやり

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欧州おうしゅう由来ゆらいやりおよ長柄ながえ武器ぶき古代こだい以降いこう〜(ポールウェポン)

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欧州おうしゅう由来ゆらいやりおよ長柄ながえ武器ぶき中世ちゅうせい以降いこう〜(ポールウェポン)

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  • パイク歩兵ほへいようちょうやり
  • ウィングド・スピアてきへいふかぎてけなくなることを防止ぼうしするためにめの横手よこてもうけたスピア。日本にっぽんえだぶつやり(十字じゅうじ横手よこて)に該当がいとうするとみることもできる。
  • ランス騎士きしよう馬上もうえやりじゅうそう騎兵きへいよう突撃とつげきやり
    • コピア - ユサール使つか使つかての馬上もうえやり
  • サイズもと草刈くさかりよう大鎌おおがまである。農民のうみん戦争せんそうさい武器ぶきとして転用てんようした。戦闘せんとうよう改造かいぞうしたものたたかえがま(ウォーサイス)とばれる。
  • せんおのバトルアックス
    • ポールアックスデーンじんもちいていたせんおの起源きげんとしており、15世紀せいき初期しょきにイギリスで登場とうじょうしたとされている。
    • ロッホバー・アックス
    • ジャッドバラ・アックス
    • ビル英語えいごばん切先きっさき内側うちがわがった鉈鎌。農民のうみんもちいた鉈をながさきにつけたものともいわれている。けるためのかぎとげもうけたものもある。
    • ギザームギサルメえい):かまおのかぎすためのはりじょう穂先ほさきけたもの。ビルから発展はってんしたというせつがあるがこちらのほうが歴史れきしふるいという研究けんきゅうとバッティングするので詳細しょうさい不明ふめい
      • ロンコーネスコーピオンえい):ハルベルトの一種いっしゅとする文献ぶんけんおおいが、ビルという武器ぶきから発展はってんしたとするせつ有力ゆうりょく。またはギザームから発展はってんしたというせつもある。ながさ 2.2〜2.5m おもさ 2.5〜3.0kg
      • ヴォウジェ別名べつめいクト・ド・プレンシェ):ギサルメの発展はってんがたでハルベルトの起源きげん
        • ハルバード(ハルベルト):やりに、おのかぎじょうのピックの性能せいのうあわったもの
        • バルディッシュひがしヨーロッパにおける西にしヨーロッパのハルバードに相当そうとうする。
  • グレイブ:ローマの刀剣とうけんグラディウス」が語源ごげん原型げんけいとなったのはメソポタミア文明ぶんめいころから武器ぶきとして使つかわれていた農耕のうこう器具きぐである大鎌おおがまというせつと、きたヨーロッパの民族みんぞく使つかっていたファルシオンをつけたものとする2つのせつがある。また、それとはべつに18世紀せいきまつこったフランス革命かくめい農民のうみん庶民しょみん牛刀ぎゅうとうよう出刃でばなどのにく包丁ぼうちょうぼうさき簡易かんい薙刀なぎなたじょう武器ぶきにしたものもグレイブとぶ。いずれにしても形状けいじょう薙刀なぎなたちか長柄ながえ武器ぶきである。
    • フォシャールフォチャードえいかぎつめづけグレイヴ):グレイヴのむねがわかぎつめけたもの。
    • クーゼ:(13世紀せいき16世紀せいき)イタリアなどの宮廷きゅうてい近衛このえへいもちいられた華美かび装飾そうしょくされた儀礼ぎれいようのグレイブ。
  • 三叉みつまたやり
    • ルンカランカ):(14世紀せいき〜)パルチザンの1/3〜半分はんぶんほどのちいさな三角形さんかっけい穂先ほさきけたちょうやり。イタリアなどの宮廷きゅうてい近衛このえへいもちいた。古代こだいローマで「ランス (やり)」という意味いみ
      • パルチザン英語えいごばん:(16世紀せいき〜)ルンカから発展はってんした幅広はばひろ大型おおがた三角形さんかっけい穂先ほさきけたちょうやりる・機能きのうとくしたつくりをしており、部分ぶぶんにほとんどの重量じゅうりょう集約しゅうやくされているので、とく斬撃ざんげきにおいて非常ひじょうたか性能せいのうつ。名前なまえはパルチザン(ゲリラ)によくもちいられたことから。
    • スペタム - なかおおきな左右さゆう両側りょうがわがあるみじかりょうかまやりりたたみしきなど様々さまざまなバリエーションがある。
    • ブランディストック - なかおおきな左右さゆう両側りょうがわはりじょうちいさな簡易かんい三叉みつまたやりになる仕込しこやり
    • ショヴスリフランス語ふらんすごで『コウモリ』を意味いみする。三角さんかく両側りょうがわつばさひろげたような片刃かたはく。この両翼りょうよく後述こうじゅつのキャンドルスティック同様どうようふか防止ぼうし攻防こうぼうバトル・フックのようにたおす・さえることにも使つかう。
    • また長柄ながえ武器ぶき
      • ピッチフォーク熊手くまで:もとは農民のうみん飼葉かいばなどの干草ほしくさあつめすくうためにもちいた農具のうぐ一揆いっき反乱はんらんさい武器ぶきとして転用てんようした。戦闘せんとうようとくしたものはミリタリーフォークばれる。
  • キャンドルスティック蝋燭ろうそくからヒントをやりといわれている。もと円形えんけいさらじょうつばもうけてある。このつばによって乱戦らんせんさいてきふかさりすぎてけなくなるということをふせぎ、またてきじあわせるときてき攻防こうぼうしやすくしたもの。ゴーデンダッグ(「こんにちわ」、または「よいお日柄ひがら」)という別称べっしょうもあるが棍棒こんぼう武器ぶきでるフレイルにもおな別称べっしょうものがある。
  • バトル・フックほこなぎがま同様どうようけるためかぎじょう長柄ながえ武器ぶき訓練くんれんしなくとも民兵みんぺいてきへいらえうごきをめられるよう簡便かんべんされていた。欧州おうしゅうにおけるでもある。

ひがしアジア由来ゆらいやりおよ長柄ながえ武器ぶきちょう器械きかいちょう兵器へいき

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ひがしアジアで武器ぶき以外いがいとしての用途ようともちいられたやり

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  • 儀礼ぎれいよう
    • 毛槍けやり - 大名だいみょう行列ぎょうれつ先頭せんとうかざった穂先ほさき綿毛わたげのようになっているものさや装飾そうしょくではなくかざりだけがいている。
    • 旗竿はたざお - 古代こだい中国ちゅうごくから中世ちゅうせい中国ちゅうごくおよび日本にっぽん戦国せんごく時代じだい戦場せんじょうもちいられた。軍団ぐんだん目印めじるしとして戦場せんじょうにおいてはのぼりとしての使用しようほか部隊ぶたい場所ばしょ把握はあく兵士へいし部隊ぶたいちかいという安心あんしんかんをもたせる効果こうかがある。
  • 狩猟しゅりょう用途ようとやり
    • くまやり - クマりに使用しようする150cm程度ていどやりやりだけでクマをたおすことはむずかしいため穂先ほさきトリカブトどくることもある。
      • オプクワ - アイヌアマッポわな)を見回みまわさいやり。クマけのいぬれてけないため護身ごしんようとして携行けいこうした。
      • タテ- マタギもちいるやり穂先ほさきのみを携行けいこうし、りの直前ちょくぜん現地げんちつくって穂先ほさきいとくくける[10]ふくろやり一種いっしゅである。
      • フクロナガサ - マタギもちいるふくろやり一種いっしゅである。穂先ほさきナガサとなっており、通常つうじょうはずして使つかう。ふくろ穂状すいじょうにして現地げんちけずったぼうなどに長柄ながえをとして装着そうちゃくできるようにした。装着そうちゃくしない場合ばあいはナガサとして使用しようできる。
    • いのやり(ししやり・いのやり・いのししやり):猪突ちょとつやり(いのつきやり・ししづきやり)ともばれるふとく(3~5cm以上いじょう)みじかい(130~180cm)丈夫じょうぶやりである。直接ちょくせつわなとらえた獲物えものくこともあるがどちらかというとわなとしあな(おおかみ)ややぶかくすうほんならめて乱杭らんぐい逆茂木さかもぎとして利用りようされた。
    • (とめさし・とめざし・とどめさし):現代げんだい使つかわれる狩猟しゅりょうようやりである。わならえたいのしし鹿しかなどの獲物えもの急所きゅうしょにとどめをす。現代げんだいものスタンガンのように電気でんきショックによってとどめをしたり気絶きぜつさせるものもある。

日本にっぽんやりおよ長柄ながえ武器ぶき

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ひだりから、やり越前えちぜんけんのり、17世紀せいき江戸えど時代じだい)、ささみのるやりたちばなただしあきら江戸えど時代じだいの1686ねん)、十文字じゅうもんじやり金房かねふさ兵衛ひょうえじょうせいさだ、16世紀せいきまつ室町むろまち時代じだいまつ)いずれも刀剣とうけん博物館はくぶつかんぞう
千鳥ちどりじゅう文字もじやり
  • 菊池きくちやり短刀たんとう長柄ながえけたもの片刃かたはやり
  • 素槍すやり直槍すやり一般いっぱんてきやり量産りょうさんようやり。16〜30cm程度ていどつ。16cm〜(室町むろまち時代じだい後期こうき)21cm(江戸えど時代じだい中期ちゅうき前後ぜんこう普通ふつうながさは警備けいびよう室内しつないなど狭隘きょうあい空間くうかんようは1.8〜2m、馬乗うまのりよう2〜3m、歩兵ほへいよう4〜8m前後ぜんご。これは製作せいさく時期じきによって背景はいけい変遷へんせんするので規格きかくおおきく変動へんどうする。
    • たんやり用心ようじんやりまくらやり(6しゃく以下いか4しゃく)やきんこうようほそみじかめの物見ものみやり番所ばんしょやりとも)やしのぶやり、またやりせっがらしきつぎやりなどが考案こうあんされた。
      • 手槍てやりたんやりおも室内しつないせんなどで使つかわれた。
      • 突矢ゆみ通常つうじょうやり使つかえないほどきん接戦せっせんになったときにゆみへいたんやりとしてもちいた。また、その用途ようと専用せんようれにくくふとつくったものもあり、その場合ばあいはそなえてないことがおおい。この場合ばあい突槍ともれる。
        • とう打矢うちや(うちや)ともばれゆみ破損はそんするなどして使つかえなくなった場合ばあい手裏剣しゅりけんのように投擲とうてきしてもちいた突矢。60-100cm程度ていど普通ふつう投擲とうてきする場合ばあいもある。突矢同様どうようとげ突にもちいるほか、投擲とうてきしやすいように15-30cmとみじかくしたものもあり、それは西欧せいおうダーツにあたる。手槍てやりとしてみるともっともみじか部類ぶるいはいる。
        • 突槍ちょう6〜18cm、柄長からちょう:60cm〜100cm前後ぜんこう突矢発展はってんがた派生はせいものちか形状けいじょうとも)がある。
    • 大身たいしんやり(おおみやり):ひら三角さんかくおよけんじょうの30〜60cm前後ぜんこう大型おおがたつ。あつかいやすいようながさと反比例はんぴれいしてふとみじかくなる。ときにはが120cmをえるものもある。ちょう60cmきゅうのものは大抵たいてい柄長からちょう180cmふとφふぁい4cmほど。全体ぜんたい重心じゅうしんのバランスをるためと剛健ごうけんつくるためにくきがほぼ石突いしづきまでたっ石突いしづき一体化いったいかしてつくられる。堅牢けんろうさを重視じゅうしするためよりも赤樫あかがしせいのものがおおい。また、穂先ほさきながいため、斬撃ざんげきにもおおきな威力いりょく発揮はっきした。ただ、前述ぜんじゅつ構造こうぞうじょうやり自体じたい重量じゅうりょう非常ひじょうおもく、筋力きんりょく膂力りょりょく余程よほどすぐれ、かつやり使つかければ満足まんぞくあつかえなかった。天下てんかさんめいやりばれる手杵てきね日本にっぽんごう蜻蛉とんぼきりもっと有名ゆうめい大身たいしんやりである(ただし、手杵てきねはオリジナルが現存げんそんせずレプリカ。詳細しょうさいはリンクさき参照さんしょう)。
    • かんやり(くだやり):手管てくだ(てくだ)とばれる真鍮しんちゅうせい移動いどう変型へんけいかん前方ぜんぽうく。これによりしごかなくてもうちがスライドし、素早すばややり連続れんぞくしてせる。次第しだい手管てくだてのひらひとぶんたんなるかんからつばうちすべってもつかみやすいよう把握はあくてのひらひとはんふたつとながくしたものに改良かいりょうされていった。江戸えど時代じだい中期ちゅうき草創そうそうには使用しよう手管てくだかぎじょうがね固定こていされていてワンプッシュでバネによりはずれ、よこひらいた簡易かんいまもるこぶしかぎになるものが発明はつめいされた。また、かんやり槍術そうじゅつひいでたものにおしされた。練習れんしゅうしゃには金具かなぐ補強ほきょうなしのながさ:30〜50cm、はばもと2cmさき3cmほどのひらたいさきふととがった比礼ひれいのような形状けいじょうかわひもけんかわ(けんかく)」を1ほん熟練じゅくれんしゃ先端せんたん真鍮しんちゅう金具かなぐ補強ほきょうされたものを2ほん、さらに手練しゅれんものには3ほん支給しきゅうされた。これをけた手管てくだうごかすとかわひもさきえんえがくように回転かいてんし、飛来ひらいするつぶて威力いりょくよわまった遠矢とおやはらうためのたて(「けんかわたて(けんかくだて)」)として機能きのうすると構想こうそうされたようだが実戦じっせん使つかわれた記録きろくのこっていない。このことから元来がんらい無駄むだなくスムーズにかんやりせるよう練習れんしゅうさせるためにけんかわ支給しきゅうされたのではないかという見解けんかいもある。手練しゅれん自由自在じゆうじざいかんやりあつかうことから手練しゅれん手管てくだ語源ごげんとなったとされるせつもあるが詳細しょうさい不明ふめい。なおこのやり日本にっぽん以外いがいには類似るいじするもの日本にっぽん独自どくじ武器ぶきである。用法ようほうとしては現存げんそんする流派りゅうは 貫流かんりゅう参照さんしょう
    • 方形ほうけいやり別称べっしょう:ノミがたやり・シバキやり忍術にんじゅつ)・しのぶやり一種いっしゅ):30cmほどのふとひらたいノミのかたちのようなぼういもくわ細身ほそみすき)もしくは長柄ながえスクレーパー分厚ぶあつくしたものている。みじかく60〜180cm。く、おも鈍器どんきとしてたたく、棒術ぼうじゅつとしてひっかけて使つかうなど武器ぶき以外いがい用途ようとにもることにもてきしている。までそう鍛鉄たんてつづくりの頑丈がんじょう四角よつかどおもりとがっているものはおおきなたいらがたきりがた鏨をつなげたような形状けいじょうであり、かべ破砕はさいそぎがんなどかたいものの切削せっさく破砕はさいもできる。はつ良昭よしあき著書ちょしょ武道ぶどう選書せんしょ - 槍術そうじゅつ記載きさいされている古老ころう伝聞でんぶんによるとやりかんなから派生はせいしたのではないかという意見いけんである。
  • えだぶつやり別称べっしょうえだぶつえだやりえだやり):鍛造たんぞうに「み」をれ、からしてまさに植物しょくぶつえだのように分岐ぶんきさせて成形せいけいしたえだけたものと、から素槍すやりなかしんしおくび(けらくび)やに、えだいたむようにとおしてめたタイプがある。大抵たいていのあるかまやり場合ばあい前者ぜんしゃ必要ひつようのないかぎやり場合ばあいはほぼ後者こうしゃだが例外れいがいもある。
    • かぎやりかぎやりじゅうのようにかぎじょう金具かなぐあるいは太刀たちなどからせりしていててきめたりからめとったりするためにもちいる。佐分利さぶりりゅうがこのやり使つかうことで有名ゆうめいかぎしおくびめるだけのタイプがかまやりのようにみで鍛造たんぞうする手間てまがなく安価あんか量産りょうさんができるので時代じだいるごとにかまやりほん割込わりこみかぎやりってわった。おおかみのようにたけえだをそのままえだぶつかぎとしてもちいたれいもわずかながらある。
      • 十文字じゅうもんじかぎやり左右さゆうどもかぎいているやり普通ふつう突進とっしん方向ほうこうかった上向うわむきにけられる。
      • まんじかぎやり左右さゆうかぎ上向うわむきと下向したむきにいて左右さゆう非対称ひたいしょうになっているかぎやりくえちがかぎやりとも。
    • かまやりかまじょう突起とっきやりいていてける、る、てきめるといった用途ようとがある。
      • かたかまやり片方かたがたかまいているやり
        • かたかまやりかぎやり:バランスをとるためにもかま反対はんたいがわかぎいているもの。武術ぶじゅつしょによってはたんかたかまやりともばれることがある。
      • りょうかまやり(もろかまやり):りょうえだかまになっているやり両方りょうほう上向うわむき・下向したむき、左右さゆう上下じょうげくえちがいになった上下じょうげがまやりまんじがまやり)などがある。
        • 十文字じゅうもんじやりかまやりよりも細長ほそなが優美ゆうびかたなのように湾曲わんきょくしたえだつものとぐにびたけんじょう十文字じゅうもんじのものがある。前者ぜんしゃかまやり同様どうよう上向うわむき、下向したむき、くえちがじゅう文字もじなどがあり、とく宝蔵ほうぞういんりゅう槍術そうじゅつ上向うわむきのもの使つかうことで有名ゆうめい後者こうしゃけんじゅう文字もじ別称べっしょうでもばれ、一見いっけんすると十字架じゅうじかのような形状けいじょうになる。
          • 千鳥ちどりじゅう文字もじやりみじか比較的ひかくてきややふと上向うわむきに湾曲わんきょくした十文字じゅうもんじやり千鳥ちどりつようにはねひろげてえることからこうばれる。宝蔵ほうぞういんりゅう槍術そうじゅつでもこの形式けいしき使つかったやり上述じょうじゅつ十文字じゅうもんじやりともおおられた。
          • 沢瀉おもだかやりまるのようなまえ一方いっぽうこうぽうもち、ずんぐりとした鏃のようなかたちをしている。
        • 蝙蝠かわほりやり別称べっしょうふかひれやり-ふかひれやり):中心ちゅうしん素槍すやりりょうよこにハルバードのようなおののようないている。ただし、そのおのじょう一見いっけんかし装飾そうしょくのようなこまかいかぎ無数むすうもうけられている。てきというより衣服いふくからるためとかんがえられるが用途ようとしるしたものが現存げんそんしないので不明ふめい
      • つきやり三日月みかづきやりつきがたやりつきけん):三日月みかづきじょう刺叉さすまたちか形状けいじょう内側うちがわいている。外側そとがわにもいているものはつきけんかまえだ余分よぶんいているものもある。中国ちゅうごく武術ぶじゅつつきけんつききばつききば)の影響えいきょうけているとおもわれる。
  • 仕込しこみやり元来がんらいやりえないつえ棒状ぼうじょうものおよまんいち穂先ほさきばされた場合ばあいそなえて長物ちょうぶつ途中とちゅう仕込しこてき意表いひょうくためにもちいた仕込しこ武器ぶきかく武器ぶき
    • 幔幕まんまくやり(まんまくやり)・陣中じんちゅうやりじんさい幔幕まんまくささえるじんくい仕込しこやりんだもの。じん付近ふきんまで敵勢てきせいはいられ、やりりないというときにさやになっているくいあたまはずせば素槍すやりあらわれ、幔幕まんまくひもをかけむすかぎもついているため簡易かんいかぎやりとなる。また、くい自体じたい土中どちゅう鋭利えいり部位ぶい石突いしづき相当そうとうするため、ふたいているような攻撃こうげき効果こうかをもつ。戦国せんごく末期まっき三河みかわ周辺しゅうへん考案こうあんされたとされるが詳細しょうさい不明ふめいくい自体じたい木製もくせいよりも鍛鉄たんてつせいのものがおおい。くいあたま立方体りっぽうたいかくとしたかたち切子きりこあたまのものがおおとなるくいばしら断面だんめんろくかくおよび八角はっかくのちにねじしきぶたさやはずすものもてきた。全長ぜんちょうは2〜5m程度ていどもとじんくいとしてつくられたため丈夫じょうぶであるがおも比較的ひかくてきみじか部類ぶるいなのであまり野戦やせんきではない。ながいものは軽量けいりょうのためか木製もくせいつくられていることがおおい。
    • 脇差わきざし仕込しこみのやり脇差わきざしなかしんくき)をやりにし、るとたんやりになるように改造かいぞうしたかく武器ぶき殿中でんちゅうでも護身ごしんすことをゆるされた脇差わきざし敵対てきたい勢力せいりょくまんいちうばわれそうになったときに簡単かんたんけるので相手あいて不意ふいき、攻勢こうせいてんじるために考案こうあんされた。武器ぶきしょう美術びじゅつしょうでは江戸えど中期ちゅうきさくつたえられている。やりという観点かんてんるともっとたんやり部類ぶるいはいる。また、勤皇きんのう志士ししあいだで、みなみ朝方あさがた武士ぶし菊池きくちやり使つかって武功ぶこうげたというはなしにあやかって、菊池きくちやり脇差わきざしになおして携帯けいたいすることが流行りゅうこうした。
  • ふくろやり(ふくろやり):ふくろみのる(ソケット)じょう穂先ほさきかぶせたやり構造こうぞうてきにはほこである。江戸えど時代じだいごろにはこううよう加工かこうした目釘めくぎつだけなので穂先ほさきかわぶくろなどに携行けいこうできるようにしたものもあった。かぶせやりともばれる。
    • 弭槍(はずやり):ゆみつるける弭先にふくろ穂状すいじょうのかぶせやりをつけたもの。ゆみへいきたりつがえるのがわないほどきん接戦せっせんになったときに突矢・脇差わきざし隠匿いんとくしておいた手裏剣しゅりけんなど手持てもちの補助ほじょ武器ぶきとももちいた。
  • 竹槍たけやりたけ鋭利えいりりあるいはやり穂状すいじょうとしさきであぶったり、あぶらげるなどねつ硬化こうか加工かこう即席そくせきやりとしたもの。耐久たいきゅうせいひくいが材料ざいりょうはいりやすさと加工かこう安易あんいさから一揆いっき武者むしゃ農民のうみんらが使用しようした。また、資料しりょうによっては竹竿たけざお短刀たんとうふくろやりなどを簡易かんいやりとしたものも竹槍たけやりぶ。

やり以外いがい長柄ながえ武器ぶき

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うえから とげまたそで搦、薙刀なぎなたちょうまき

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その地域ちいき由来ゆらいやりおよ長柄ながえ武器ぶき

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  • ファラリカ - イベリアじんやり意味いみは「火矢ひや」であり、実際じっさい穂先ほさき着火ちゃっかして投擲とうてきした。
  • ホルカンカ - 古代こだい中央ちゅうおうアメリカで使用しようされたいしやり
    • テポストピリー - マカナ延長えんちょう、もしくはホルカンカのやした武器ぶき意味いみは「とげ突用やり」だが実際じっさい刃先はさきによりかするという薙刀なぎなたちか使つかかたとされる。
  • アセガイ - ングニ棒術ぼうじゅつなどアフリカの武術ぶじゅつ使つかわれる投槍なげやり
  • イクルワ - アフリカの武術ぶじゅつ使つかわれる接近せっきんせんようたんやりシャカ・ズールーたてわせて組織そしきてき導入どうにゅうした。

現代げんだい競技きょうぎようやり

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日本にっぽんにおけるやり日本にっぽん流派りゅうは有名ゆうめいやり

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かずやり
各種かくしゅやり ひだりからじゅんに、かぎやり大身たいしんやり素槍すやり
加藤かとう清正きよまさとら退治たいじもちいたとつたわるかたかまやり室町むろまち時代ときよ、16世紀せいき東京とうきょう国立こくりつ博物館はくぶつかんぞう
本朝ほんちょうすい滸傳剛勇ごうゆうはちひゃくにんいち 宮本みやもとさんよんいちいさむひとし国芳くによし
宮本みやもと武蔵むさしやりぬえたたかさまえがかれている。
芳年ほうねん武者むしゃ无類 山中やまなか鹿之助しかのすけこうもり月岡つきおか芳年よしとし
やりたずさえる山中やまなかみゆきもり

日本にっぽんにおけるやり一般いっぱんてき構造こうぞうは、木製もくせいあるいはふくごうざいの「」のなが先端せんたんに、さきとがらせてをつけた金属きんぞくせい(ほ)をんだもの。かたちによって、素槍すやり(すやり)、かんやり(くだやり)、かたかまやり(かたかまやり)、かまやり(かまやり)、十文字じゅうもんじやり(じゅうもんじやり)、かぎやり(かぎやり)など様々さまざま種類しゅるいがある。とくちょうながいものは「大身たいしんやり」とばれ、おおむ刀身とうしんが1しゃく(30cm)をえるものを「大身たいしんやり」として分類ぶんるいしている。

なお日本にっぽんで(現代げんだい日本語にほんご意味いみで)「やり」という言葉ことば使つかわれたれいは、絵画かいがでは『かみほんちょしょく拾遺しゅうい古徳ことくつたえ』(1323ねん <げんとおる3ねん>)まで辿たどることができる。

日本にっぽん国内こくない歴史れきし

日本にっぽんでは弥生やよい時代じだいよりほこ使用しようられるが、やり使用しようれいはそれほどおおくはない。その数少かずすくないれいとして、宴会えんかいった大海人皇子おおあまのおうじやりゆかしたという伝承でんしょうがある[12]

弥生やよい時代じだいまえ中期ちゅうきゆみたててつほこ主力しゅりょくとした時代じだいである[13]弥生やよい時代じだい後期こうきゆみたててつ大刀たち主力しゅりょくとする時代じだいである[13]たてったへいせん場合ばあいほこよりかたなほう有利ゆうりなのはろんようさないためである[13]てつ大刀たち中国ちゅうごくより輸入ゆにゅうした日本にっぽんがたな前身ぜんしんである。

そして、古墳こふん時代じだい前期ぜんき両手りょうてやり使用しようし、密集みっしゅう隊形たいけいんだ[13]歩兵ほへい装甲そうこう強化きょうかされたため、両手りょうてでの長柄ながえ兵器へいき使用しよう可能かのうになった[13]中期ちゅうきには、やりからをややみじかくしたほこ主力しゅりょく武器ぶきわった[13]乱戦らんせんになった場合ばあいまわしてるという便利べんりさをかんがえてのことである[13]

古墳こふん時代じだい後期こうきは、強化きょうかされた装甲そうこうふたたたて大刀たち主力しゅりょくとなった[13]

けん長柄ながえをつけたとげ両用りょうよう兵器へいきほこ穂先ほさきほそするどとげ突専もんのものをやりというせつがある[13]

そのほこすたれ、平安へいあん時代じだい末期まっきからは薙刀なぎなたのほうが普及ふきゅうする[14]。しかし、戦国せんごく時代じだい後半こうはんには薙刀なぎなたよりも集団しゅうだんせんきであるとして、やり普及ふきゅうすることとなる[1][15]

さまざまな俗説ぞくせつ

ほこやりちがいについては諸説しょせつある(詳細しょうさいほこ項目こうもく参照さんしょうのこと)が、前述ぜんじゅつ大海人皇子おおあまのおうじ使つかったとされるやりも、ほこ使つかわれた時代じだいであることから、詳細しょうさい不明ふめいだがほことは構造こうぞうてきことなるものであったとおもわれる。しかしながら、ほこすたれたのち登場とうじょうしたやりについては、おなじものを古代こだいほこ中世ちゅうせい以降いこうやりしょうしたと解釈かいしゃくして問題もんだいないようにおもわれる。たとえば「との接合せつごうがソケットじょうになっているのがほこくき(なかご)をんで固定こていする方式ほうしきやり」というせつがあるが、実際じっさいには接合せつごうがソケットじょうになっているふくろやり存在そんざいする[16]新井あらい白石はくせきやりについて「"やり"というのはいにしえの"ほこ"の制度せいどつくされたものだろう。元弘もとひろたてたけし年間ねんかんからひろまったらしい」と著書ちょしょべている。そして文中ぶんちゅう記述きじゅつにおいて、"やり"には"也利"、″ほこ"には″やり"のてている。

俗説ぞくせつでは箱根はこねたけしたたたかにおいて菊池きくち武重たけしげたけさき短刀たんとうしばけた兵器へいき発案はつあんしたとされる(菊池きくちやり[16]菊池きくち千本せんぼんやりは、熊本くまもとけん菊池きくち神社じんじゃることができる。のち進化しんかし、長柄ながえ反対はんたいがわはしには石突いしづきがけられるようになった。

また、べつ俗説ぞくせつとして、藤原ふじわらこうじょうざつ拾遺しゅうい』(元和がんわ3ねん1617ねん))6かん10ちょうによれば、南朝なんちょう武将ぶしょう和田わだけんしゅう楠木くすのき正季まさすえで、楠木くすのき正成まさしげおい)がこよみおう年間ねんかん(1338–1341ねん)に、たんへいみじか武器ぶき)にたいして有効ゆうこう武器ぶきとして、ぼこ(てぼこ)を改良かいりょうして発明はつめいし、のちに南朝なんちょうそう大将たいしょう楠木くすのき正儀まさよし正成まさしげ三男さんなん)が正平しょうへい10ねん/文和ふみかず4ねん1355ねん)の京都きょうと奪回だっかいせん神南じんなんたたか)のとき使用しようしておびただしい戦果せんかをあげたため、武家ぶけ真似まねをしてひろまったという[注釈ちゅうしゃく 1]

しかし、この菊池きくちやりやり始祖しそであるというせつはデマの一種いっしゅである[18]和田わだけんしゅう始祖しそというのも後世こうせい牽強けんきょう附会ふかいぎない[19]

実際じっさい使用しよう歴史れきし

実際じっさいには鎌倉かまくら時代ときよ中期ちゅうき以降いこうには実戦じっせんもちいられていたとみられる[20]茨城いばらきけん那珂なかつねぶくてらくらくに重要じゅうよう文化財ぶんかざいかみほんちょしょく拾遺しゅうい古徳ことくつたえ』(奥書おくがきげんとおる3ねん(1323ねん)11月12にち)には片刃かたは刃物はもの装着そうちゃくしたやり雑兵ぞうひょうえがかれている。

やり」という漢字かんじ日本にっぽんでもふるくから使用しようされたが、本来ほんらいやり」という漢字かんじは「ほこ」とまれた[21]。「やり」という言葉ことば史料しりょうじょうはつは、大光寺だいこうじ合戦かっせんかんする『南部なんぶ文書ぶんしょ所載しょさい元弘もとひろ4ねん1334ねん)1がつ10日とおかかれた手負ておい注文ちゅうもん負傷ふしょうしゃリスト)である。このたたかいは、たてたけし政権せいけん北畠きたばたけ顕家あきいえがわについた曾我そが光高みつたかと、北条ほうじょう残党ざんとう安達あだちだかけいがわについた曾我そがみちせいあいだおこなわれた。そして、「一人ひとり矢木やぎ弥二郎やじろう以矢むね突、半死半生はんしはんしょうりょう正月しょうがつはちにち[22]と、曾我そが光高みつたか部下ぶかが「」でむねかれて半死半生はんしはんしょうにあるというのが、現在げんざいられているもっとふるれいである[19][注釈ちゅうしゃく 2]なお、前記ぜんき楠木くすのき正儀まさよしは、正平しょうへい7ねん/文和ふみかず元年がんねん1352ねん)に北畠きたばたけ顕家あきいえおとうと伊勢いせ国司くにじ北畠きたばたけ顕能あきよし共同きょうどうしてたたかっているため(八幡やはたたたか)、顕家あきいえ顕能あきよし正儀まさきという経路けいろやり有効ゆうこう使つか戦術せんじゅつ伝搬でんぱんしたとかんがえればそれほど不自然ふしぜんはなしではない。[よう出典しゅってん]

南北なんぼくあさ時代じだいまでのやり貧乏人びんぼうにん薙刀なぎなたがわりとして使つかわれ、それほど有効ゆうこう武器ぶきではなかった[23]。14世紀せいき以前いぜんへい密集みっしゅう隊形たいけいをとらずたたかっていたためでもある[23]

その戦国せんごく時代じだい後半こうはんには薙刀なぎなたよりさかんにもちいられた[15]戦国せんごく時代じだい戦闘せんとうようやりには大名だいみょう以下いか打物うちもの騎兵きへい徒士かちぐみ使つかながさ272.7cm以下いか入念にゅうねんつくりの「もちやり」と、454.5cmから636.3cmの「すうやり」とばれる足軽あしがるよう量産りょうさんされたものとが存在そんざいした[24]織田おだ信長のぶながは8.2mものながさのやり戦場せんじょう歩兵ほへい使つかわせていたというせつもある[23]。16世紀せいきには、武将ぶしょうせんでより効果こうかてきやり使つかえるようになった[23]。16世紀せいきちゅうごろにはやりぐみ足軽あしがるはおよそ5mのやり使つかったが、みじかやりもちいられた[23]もちやり長柄ながらやりとも足軽あしがるやりでもあるが、もちやり訓練くんれんんだやり足軽あしがる使つかい、長柄ながらやりおおくが農民のうみんがりの本当ほんとう雑兵ぞうひょう使つかった[25]戦場せんじょうにおいては、その長大ちょうだいさにより、とげ突よりも集団しゅうだん形成けいせいしててき頭上ずじょうよりろして打撃だげきあたえ、たおれたところに脇差わきざしなどでとどめをす、という戦法せんぽうもちいられることもおおかったとされる[16]。また、合戦かっせん一番乗いちばんのりでてきやりまじえることを一番槍いちばんやりといった[2]

かたなよろいつらぬくのは非常ひじょう困難こんなんだが[1]やりかれると貫通かんつうする場合ばあいがある[2]大身たいしんやりならよろいつらぬき、うまあしはらうこともできる[1]

また、このころになるとおおくの素槍すやりにはかぶらまき(かぶらまき)、とめだま(ちどめだま・ちだめだま・ちどめのたま)とばれる2-3mmほどのふとさのあさひも太刀打たちうちものしたあたりにぐるぐるといてこぶしだい球状きゅうじょうにし、ニカワでかためたつばのようなものをもうけた。これは、相手あいて仕留しとめたさいがえれてすべり、だまりがわるくならないように考案こうあんされた。このとめだまかえでニカワがひもがほつれたりてき斬撃ざんげき破損はそんしたりするのでせんたびえられていた。また、つけたまま保存ほぞんしたとしても虫食むしくいや湿度しつどやカビのために維持いじむずかしく、そのため、現存げんそんするやりなかとめだまがついたままのものきわめてめずらしい。

流派りゅうは

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日本にっぽん有名ゆうめいやり

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  • 天下てんかさんめいやり蜻蛉とんぼきり日本にっぽんごう手杵てきね
  • 天沼あまぬまほこ(あめのぬぼこ):記紀きき神話しんわ登場とうじょうする日本にっぽんそうせいほこ
  • てんぎゃくほこ
  • いちこく長吉ちょうきち黒田くろだ長政ながまさやり長政ながまさ初陣ういじんよりこの鎗をもって武功ぶこうをあげ、ついに筑前ちくぜんいちこくにいれたのでこのめいがある。(いちこくやりともばれる) 長吉ちょうきちめいり。ながいちしゃくすんふんいちしゃくよんすんぶんせつがある。しおくびたいらに「八幡やはただい菩薩ぼさつ」とり、それよりさきしゅぬりといなかさん鈷柄のけんりにする。
  • せいつね黒田くろだ長政ながまさやり江戸えど時代じだいには筑前ちくぜん福岡ふくおかはん馬印うまじるしとして参勤交代さんきんこうたいもちいられた。
  • 当麻とうま
  • 勝光かつみつ
  • 人間にんげん無骨ぶこつ織田おだ信長のぶながつかえた森長もりながやりてきくびほこさきし、やりてていちとっきすると、くびつらぬりて石突いしづきいたるほどするどかったという。おおきな十文字じゅうもんじやりちょくのけらくびからほこさきまでがいちしゃくすんふん横手よこてはし見渡みわたしがいちしゃくいちすんひょうに「人間にんげん」、うらに「無骨ぶこつ」ときざまれ、くきには「和泉いずみまもる兼定かねさだ」のめいがあった。
  • 長坂ながさかやりきゅうろうやり長坂ながさかやりきゅうろう大笹おおささやり長坂ながさか信政のぶまさやりになるくらい、穂先ほさきかわすきがないほどすべてのたたかいで奮戦ふんせん徳川とくがわくした。その功績こうせきによって徳川とくがわから日本にっぽん唯一ゆいいつ皆朱かいしゅがらやり使用しようと、やりきゅうろう名乗なのることがゆるされた。
  • いわとっきのやり阿久和あくわ安藤あんどう
  • 皆朱かいしゅやり天下てんか無双むそうほまたか前田まえだ利益りえき愛用あいようしていためいやり上杉うえすぎではゆるされたもののみがけられるやりであったため、ほかの家臣かしんからの羨望せんぼう一身いっしんあつめたという。
  • 出石いずししん王子おうじ天日てんじつやり将来しょうらいしたななつ(またはやっつ)の宝物ほうもつのうちのひとつ。たれじん88ねん、これらの宝物ほうもつは、天皇てんのうもとめにおうじて、天日てんじつやり曾孫そうそん清彦きよひこによって献上けんじょうされるが、そのなか出石いずし桙のえない。
  • はやぶさふうふるえだんこくひね大王だいおうむすめだいとめおんなななさいのとき、朝日あさひによって懐妊かいにんしてできた息子むすこ八幡やはたが、日本にっぽん大隅おおすみこくはやぶさじんったさいもちいたほこながさがはちしゃくひろさがろくすんもあった。『八幡やはたわらわくんしょほんは「はやぶさふうぼこ」「はやぶさふうほこ」とするが、『宮寺みやでらえんごとしょう』や『八幡やはただい菩薩ぼさつ示現じげん』はたんに「はやぶさふう」と表記ひょうきする。
  • うめみのるうめみのる今川いまがわ義元よしもと徳川とくがわ家康いえやす阿部あべ正勝まさかつあたえた鎗。ある義元よしもとうめこころみた鎗を家康いえやすおくり、うめつらぬいた鎗を阿部あべ正勝まさかつあたえた。これをよろこんだ家康いえやすは、その鎗をうめみのるづけ、正勝まさかつには鎗をうめみのるづけるようめいじた。
  • 蜈蚣むかでやり旗本奴はたもとやっこ大小だいしょう神祇じんぎぐみ」の首領しゅりょう水野みずの成之しげゆき十郎左衛門じゅうろうざえもん)が、侠客きょうかくはたずいいん長兵衛ちょうべえころしたさいもちいたやり長兵衛ちょうべえはしばしば水野みずのやしき出入でいりしていたが、こしかたな風呂ふろにまでんでいた。主人しゅじん心配しんぱいした水野みずの若党わかとう軍平ぐんぺいけんたいら先手せんてって長兵衛ちょうべえりつけ、これにづいた十郎左衛門じゅうろうざえもんけつけていたかこえしに浴槽よくそうまでつらぬいた。十郎左衛門じゅうろうざえもんにん無益むえき忠義ちゅうぎしかり、二人ふたり切腹せっぷくしててた。水野みずの家重いえしげだい大身たいしんやりせきだいけんひかりさくだという。
  • いわとおる武蔵坊むさしぼう弁慶べんけい愛用あいようしていたとつたわるだい薙刀なぎなた

やりち、地面じめんけてうま突撃とつげきがえした[よう出典しゅってん]、としている書物しょもつ書名しょめい??)[よう出典しゅってん]がある。やりおりという言葉ことばとおり、れてだけになったやりたたかうことがせん実際じっさいにあり、そのさい棒術ぼうじゅつたたかったという記述きじゅつがある[よう出典しゅってん]

世界せかい伝説でんせつてきやり

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  • せいやり(ロンギヌスのやり):キリストけたやり
  • グングニル北欧ほくおう神話しんわ戦争せんそうかみオーディンやりだとされている。その所有しょゆうしゃはダグ。ダグはオーディンに供物くもつささげ、ねがいをききいれたオーディンはかれ自身じしんやりあたえる。
  • ルーのやり:ケルト神話しんわ太陽たいようしんルーの武器ぶき。「げると稲妻いなづまとなっててきいたらしめる灼熱しゃくねつやり諸説しょせつある。日本にっぽんでは「ブリューナク」としてかたられることがある。
  • ゲイ・ボルグ:アイルランドの説話せつわ登場とうじょうするやり海獣かいじゅうほねつくられたやりで、げれば30の鏃となってそそぎ、けば30のとげとなって破裂はれつする。
  • アキレウスのやり:ギリシア神話しんわ登場とうじょうするトロイ戦争せんそう英雄えいゆうアキレウスやり。このやりけたきず普通ふつう治療ちりょうなおらず、このやり穂先ほさきけずった粉末ふんまつけることでしかなおらなかった。
  • 屠殺とさつしゃ:アイルランド神話しんわ「トゥレンの息子むすこたちの最期さいご」に登場とうじょうするペルシアおうペザール所持しょじするどくやりやりさき灼熱しゃくねつしているため、平時へいじ大釜おおかまこおりまた氷水こおりみず)につけて保管ほかんされている。ルグトゥレン息子むすこたちに要求ようきゅうしたもののひとつ。その所有しょゆうしゃコンホヴァル・マク・ネサ
  • 急進きゅうしんルビ:ダート)・ころルビ:スローター):アルスター伝説でんせつ登場とうじょうするアルスターおうコンホヴァル・マク・ネサが、ウシュリウの息子むすこたちとのたたかいにおいて、息子むすこフィアクラあたえたおう自身じしん武具ぶぐ
  • ルーン:アルスターの戦士せんしケルトハル・マク・ウテヒルやりえており、毒液どくえき大釜おおかまにつけておかないとがってしまう。
  • クールグラス:Culghlas。アルスターの戦士せんしコナル・ケルナハのやり
  • ゲイ・ジャルグ:フィアナの戦士せんしディルムッド・オディナ所持しょじするとうやりダグダ息子むすこオイングスからのおくもの
  • ゲイ・ボー:フィアナの戦士せんしディルムッド・オディナの所持しょじするとうやり魔術まじゅつマナナーン・マク・リルからのおくもの
  • ロンゴミニアトブリトンひとながアーサーおう所持しょじするやり。"rhon"は「やり」、"gomyniad"は「しゅ」を意味いみする。
  • ロン:ブリトンじんちょうアーサーおうやり。「そのてつ先端せんたんするどくとがり、なが幅広はばひろく、戦場せんじょうおそれるべきちから発揮はっきせり」とうたわれる。
  • マルテ:バビロニア総督そうとくバリガンもちいたほこ。その棍棒こんぼうのようにふとく、穂先ほさきのみでゆう驢馬ろばいちとなるというきょやり
  • グラーシーザソルケルギースリ(『ギースリのサガ』の主人公しゅじんこう伯父おじ)が、あにアリかたきビョルン決闘けっとうするさいあにつま奴隷どれいからうばったけん決闘けっとうには勝利しょうりするが、けんかえそうとした奴隷どれいりつけたさいれてしまう。のちにやりきたえなおされ、おいのギースリ(どうサガの主人公しゅじんこう)のものとなる。
  • ヴィグ:コルマクがステインゲルズとにんきりではいかたむけていたとき、コルマクがいだマントのがねをあるおとこぬすみ、それにいたコルマクがそのおとこげつけたやり。しかし、やり命中めいちゅうしなかった。
  • トリアイナ:ギリシャ神話しんわ登場とうじょうする海神わたつみポセイドンつトライデント。
  • トリシューラヒンドゥーきょう破壊はかいしんシヴァかみちから象徴しょうちょう
  • ヴィジャヤ:ヒンドゥーきょう雷神らいじんインドラちから象徴しょうちょうひとつ、稲妻いなづまあらわす。
  • シャクティカルナ黄金おうごんよろいわりとしてインドラかみさづけられた必殺ひっさつやり
  • ミスティルテインけん、(げの)せつあり):北欧ほくおう神話しんわ登場とうじょうするヤドリギつくられたやり唯一ゆいいつひかりかみバルドルころすことができる。
  • ロムルスのやり:ローマ建国けんこくおうロムルスやりかれやりパラティウムというおかうえしたさい樹木じゅもくになった。
  • かぎがまやりやり背面はいめんかまじょう突起とっきがついただいやり。偃月やりちか形状けいじょうだが装飾そうしょくはぶかれ、全体ぜんたいてき簡素かんそつくりになっている。やり小振こぶりで軽量けいりょうされている。
  • 絶海ぜっかいやり:dral mtsho mdung、ホータン王国おうこく(于闐)建国けんこく神話しんわやり毘沙門天びしゃもんてんやり
  • 牛頭ごずほこ:ペルシアのだい英雄えいゆうフェリドゥーンはカーヴェにビルマーヤのあたました牛頭ごずほこつくらせ、自身じしん武器ぶきとした。
  • ガルシャースプのほこ:ゾロアスターきょう神話しんわだい英雄えいゆうガルシャースプづちほこあくりゅうアジ・ダハーカころしたときに使用しようした打撃だげき武器ぶき
  • ルガンズのやり:ルワンダだいさん王朝おうちょう初代しょだい英雄えいゆうおうルガンズ2せい魔法まほうやり
  • ブリトマートのやり過去かこのブリテンおうつくった黒檀こくたんやりおんな騎士きしブリトマートのやり

脚注きゃくちゅう

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注釈ちゅうしゃく

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  1. ^ ざつ拾遺しゅうい』(元和がんわ3ねん1617ねん))6かん10ちょうこよみおうねん中手なかてぼこなかよりやり工夫くふうし。はじめつくす。たんへいつにあるとの義也よしやけんしゅうやりにておおいにぐんたり。そのくすのき正儀まさよしきょうぐんのときやりもってきを討事おびただし。これより諸家しょかにならひておほくこしらえ、つい武道ぶどうたからとなれり」[17]
  2. ^ 日本にっぽんがたなだい百科ひゃっか事典じてん[19]あらわがわが「」を使用しようしたとしているが、はら史料しりょうかぎり、負傷ふしょうしたのはあらわがわ武士ぶしである。

出典しゅってん

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  1. ^ a b c d 中西なかにしつよし 大山おおやまかく. カラーばん 戦国せんごく武器ぶき甲冑かっちゅう事典じてん. まことぶんどう新光しんこうしゃ 
  2. ^ a b c 戦略せんりゃく戦術せんじゅつ兵器へいき大全たいぜん 日本にっぽん戦国せんごくへん. 学研がっけん 
  3. ^ 山北やまきたあつし. ゲームシナリオのための戦闘せんとう戦略せんりゃく事典じてん. SBクリエイティブ 
  4. ^ 近代きんだい産業さんぎょう遺産いさん豊川とよかわ油田ゆでん」におけるジオパークの魅力みりょく[1]
  5. ^ シンポジウム「えっ!縄文じょうもん時代じだいにアスファルト」-縄文じょうもん生産せいさん流通りゅうつう東北とうほく日本にっぽんのアスファルト-参加さんか[2]
  6. ^ 武器ぶき. しん紀元きげん文庫ぶんこ 
  7. ^ マーティン・J・ドアティ. 図説ずせつ中世ちゅうせいヨーロッパ武器ぶき防具ぼうぐ戦術せんじゅつ百科ひゃっか. はら書房しょぼう 
  8. ^ 神祭しんさい便覧びんらん40かん民俗みんぞく工芸こうげい平成へいせい28ねん9月くがつ発行はっこうぜん438ぺーじ219ぺーじ
  9. ^ 発見はっけん!いわんだ宿やど逸品いっぴん』2004ねん11月逸品いっぴんかい発行はっこうぜん30ぺーじちゅう15ぺーじ
  10. ^ またおに用具ようぐ(くまやりたまづく) - 鹿角かづの
  11. ^ 岐阜ぎふけん公式こうしきホームページ>てつ蛭巻ひるまきしゅぼこ[てつひるまきてぼこ]
  12. ^ ふじ家伝かでん
  13. ^ a b c d e f g h i 金子かねこつねぶんまわし. 兵器へいき戦術せんじゅつ日本にっぽん. 中公ちゅうこう文庫ぶんこ 
  14. ^ 近藤こんどう好和よしかず. 弓矢ゆみや刀剣とうけん. 吉川弘文館よしかわこうぶんかん 
  15. ^ a b 近藤こんどう好和よしかず. 騎兵きへい歩兵ほへい中世ちゅうせい. 吉川弘文館よしかわこうぶんかん 
  16. ^ a b c 戸田とだふじしげる. 武器ぶき防具ぼうぐ 日本にっぽんへん. しん紀元きげんしゃ 
  17. ^ ざつ拾遺しゅうい』(早稲田大学わせだだいがく図書館としょかん古典こてんせき総合そうごうデータベース:文庫ぶんこ30 E0159)
  18. ^ 樋口ひぐち隆晴たかはる. 歴史れきしぐんぞう 武器ぶき甲冑かっちゅう. 歴史れきしぐんぞう 
  19. ^ a b c 福永ふくなが, vol. 5, pp. 239–241.
  20. ^ 戸部とべ民夫たみお. 日本にっぽん武器ぶき武具ぶぐ事典じてん. ワニ文庫ぶんこ 
  21. ^ 福永ふくなが 1993, pp. 239–241.
  22. ^ だい日本にっぽん史料しりょう』6へん1さつ376ぺーじ
  23. ^ a b c d e トマス・D・コンラン. 図説ずせつ 戦国せんごく時代じだい武器ぶき防具ぼうぐ戦術せんじゅつ百科ひゃっか. はら書房しょぼう 
  24. ^ 近藤こんどう好和よしかず. 武具ぶぐ日本にっぽん. 平凡社へいぼんしゃ新書しんしょ 
  25. ^ 東郷とうごうたかし. 絵解えとき 戦国せんごく武士ぶし合戦かっせん心得こころえ. 講談社こうだんしゃ文庫ぶんこ 

参考さんこう文献ぶんけん

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  • 福永ふくながよいけん日本にっぽんがたなだい百科ひゃっか事典じてん雄山閣ゆうざんかく、1993ねんISBN 4-639-01202-0 

関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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