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カルナ

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カルナ: कर्णIASTKarṇa)は、インド叙事詩じょじしマハーバーラタ』に登場とうじょうする英雄えいゆうクンティーがクルおうパーンドゥとなる以前いぜんに、太陽たいようしんスーリヤとのあいだんだ主人公しゅじんこうであるパーンダヴァ兄弟きょうだい敵対てきたいするカウラヴァ中心ちゅうしんてき人物じんぶつ一人ひとりすぐれたゆみ使つかであり、だい英雄えいゆうアルジュナ宿敵しゅくてきとする。カルナというは「みみ」または「耳飾みみかざりをけたもの」を意味いみする[1]。また、耳輪みみわよろいはなしたことからヴァイカルタナ(見事みごとはなしたもの)という異名いみょうがある[2]

カルナ
マハーバーラタのキャラクター
宿敵しゅくてきアルジュナ対峙たいじするカルナ(みぎ
詳細しょうさい情報じょうほう
別名べつめい ヴァスシェーナ[3]、アンガラージャ、ラーディヤ
家族かぞく
配偶はいぐうしゃ しょう[注釈ちゅうしゃく 1]
子供こども ブリシャセーナ、バナセナ、ヴリシュケートゥふく息子むすこ
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クンティーはパーンドゥと結婚けっこんするより以前いぜんひじりせんドゥルヴァーサスから、任意にんいかみ父親ちちおやとしたむマントラをさずかっていた。しかしながら、まだ少女しょうじょのうちに好奇心こうきしんから太陽たいようしんスーリヤをしてしまい、カルナをんだ。未婚みこんでの出産しゅっさん発覚はっかくおそれたクンティーは、まれたばかりのカルナをはこれてかわながした。カルナはドリタラーシュトラ友人ゆうじんである御者ぎょしゃアディラタひろわれ、ラーダーという養母ようぼそだてられた。[4]クンティーは、スーリヤの条件じょうけんとして、まれてくる子供こども黄金おうごんかがやよろい所有しょゆうすることを要求ようきゅうした。その結果けっか、カルナは黄金おうごんよろい耳輪みみわけた姿すがたまれてきた。このよろい皮膚ひふのごとくカルナのからだ一部いちぶとしてつながっていたため、ぐことができなかったが、このよろいかれからだにあるかぎりカルナは不死身ふじみであった。[5]

青年せいねん

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カルナは、王家おうけつかえていた当代とうだい随一ずいいち武芸者ぶげいしゃドローナから、クルの王子おうじら(カウラヴァひゃく王子おうじ、パーンダヴァ兄弟きょうだい)ととも武術ぶじゅつならっていた。カルナはドローナにブラフマーストラのわざおしえをうが「あらゆるちかい成就じょうじゅしたバラモンか、もっと過酷かこく苦行くぎょうおこなったクシャトリヤ以外いがいにはその神器じんぎさづけられない」とって拒否きょひする。そのため、カルナは山中さんちゅうらす最高さいこうのバラモン兵法ひょうほうしゃパラシュラーマに、バラモンであると身分みぶんいつわ弟子でしりする。のパラシュラーマを膝枕ひざまくらしていたさいむしまれて出血しゅっけつしてもいたみにえたことから、バラモンではないと見抜みぬかれてしまう。それまで一心いっしん苦行くぎょうづかえていたカルナをパラシュラーマはっており、ブラフマーストラのわざのほかヴィジャヤ[6]という強力きょうりょくゆみあたえていたが、カルナがうそをついたことをり、さづけたブラフマーストラのあつかかた記憶きおくうしなうであろう、と予言よげんする。パラシュラーマのしたされたカルナは、ふたたびハスティーナプラへもどり、ドゥルヨーダナにつかえてらした。[7]

ドローナの提案ていあんにより、王子おうじらの武芸ぶげい上達じょうたつをドリタラーシュトラおう民衆みんしゅう披露ひろうするために開催かいさいされた御前ごぜん試合しあいに、カルナはりで参加さんかする。アルジュナせたかみわざ観客かんきゃく感動かんどうするなか登場とうじょうしたカルナは、「アルジュナよ、そなたがしめしたすべてのわざをこの大観たいかんしゅまえしのいでせよう」といいはなち、アルジュナとおなわざ披露ひろうする。しかし、両者りょうしゃ許可きょか対峙たいじしたところ、決闘けっとうおこなうためには素性すじょうあきらかにすべきであり、王族おうぞくおのれより下位かいものたたかってはならないというクリパ言葉ことばにカルナはきゅうする。そこでパーンダヴァをにくドゥルヨーダナは、そのでカルナをアンガおう即位そくいさせる。これで王族おうぞく同士どうしとなったカルナとアルジュナであったが、会場かいじょうあらわれたカルナの養父ようふアディラタをて、ビーマが「御者ぎょしゃ息子むすこに、アルジュナにころされる資格しかくなどない」といいはなち、それにドゥルヨーダナが反論はんろんしたところでしずみ、決闘けっとうたされないまま試合しあい解散かいさんとなった。[8]

ドラウパディーの婿むこえら

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パンチャーラ王らおうドルパダがもよおしたむすめドラウパディーのスヴァヤンヴァラ(花婿はなむこえらび)に、カルナはドゥルヨーダナらひゃく王子おうじ国王こくおうらと同様どうよう参加さんかする。用意よういされた強弓ごうきゅうまと射抜いぬいたものが花婿はなむことなれる、という課題かだいに、次々つぎつぎおとこたちが挑戦ちょうせんしていくがだれゆみくことさえできない。そのなかでカルナは、ゆみ満月まんげつのようにしぼることには成功せいこうするものの、ドラウパディーが「あのスータをおっとにするのはいやです」とさけび、それをいたカルナはゆみててしまう。そのに、ドゥルヨーダナらによる暗殺あんさつからのがれるためバラモンにふんしたアルジュナが挑戦ちょうせん成功せいこう[9]、ドラウパディーらの本来ほんらい思惑おもわくどおりアルジュナにめとられることがまった。なおドラウパディーの花婿はなむこえらびにおけるカルナについては、参加さんかしたという描写びょうしゃがないもの[10]まとるのに成功せいこうしたが拒否きょひされたもの[11]存在そんざいする。

花婿はなむこえらびののちみずからが計画けいかくしたパーンダヴァの暗殺あんさつ計画けいかく失敗しっぱいわったことをったドゥルヨーダナは、ちちおうドリタラーシュトラにパーンダヴァたち兄弟きょうだいなかいてちからよわめようと提案ていあんするが、カルナはこれに賛同さんどうせず、ちからによってかれらをたおすほかない、と断固だんことして主張しゅちょうする。ドリタラーシュトラはどちらの提案ていあん採用さいようせず、花嫁はなよめたパーンダヴァ兄弟きょうだい[注釈ちゅうしゃく 2]むかれ、王国おうこく二分にぶん未開拓みかいたくのカーンダヴァプラスタをパーンダヴァへあたえた。

パーンダヴァ追放ついほう

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ドゥルヨーダナの叔父おじであり腹心ふくしんシャクニ提案ていあんした骰子さいころ賭博とばくにより、敗北はいぼくしたパーンダヴァは王国おうこく追放ついほうされる。ユディシュティラがだいとしたドラウパディーをげられたさい、カルナは「おまえ自分じぶんのものはなにひとつっていない奴隷どれい女房にょうぼうにすぎぬ。さぁ、とっととおくっておうたちの身内みうちかしずくがいい。それとも、おまえ商品しょうひんになどしないあたらしいおっとえらなおすか?奴隷どれいおんな結婚けっこんによって自由じゆうになるのはすこしもわるいことではないのだぞ」とドラウパディーをつよののしった。ドゥルヨーダナのおとうと一人ひとりであるヴィカルナは、この賭博とばく正当せいとうではなくドラウパディーは奴隷どれいとなっていないと主張しゅちょうするが、カルナはこれを一喝いっかつしてだまらせる。ドリタラーシュトラのしにより、再度さいどおこなわれた骰子さいころ賭博とばくで、パーンダヴァ兄弟きょうだいつまのドラウパディーは王国おうこくじゅうさん年間ねんかん追放ついほうされることとなる。このさい、ビーマは「貴様きさま(ドゥフシャ―サナ、ドゥルヨーダナのおとうと)とドゥルヨーダナはかならずおれがころしてやる。そしてカルナはアルジュナが。シャクニはサハデーヴァが片付かたづけるだろう」と雪辱せつじょくちかう。アルジュナもまた「このおれのでカルナとその部下ぶか全員ぜんいんをあのおくることをちかうぞ」といいはなち、王国おうこくった。[9]

忠誠ちゅうせい武勲ぶくん

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パーンダヴァを追放ついほうしてもドゥルヨーダナのかれらへの悪意あくいおさまることはなかった。カルナはシャクニとともにパーンダヴァがもり窄らしいらしをおくっているとドゥルヨーダナにげ、ドゥルヨーダナはパーンダヴァをはずかしめたいとのぞむ。それにカルナもおうじ、牧場ぼくじょう視察しさつ名目めいもくとすることを提案ていあんした。ドゥルヨーダナとってパーンダヴァのちかくにおもむくカルナだったが、居合いあわせたガンダルヴァぞくとのあらそいでドゥルヨーダナをいて敗走はいそうし、とらわれたドゥルヨーダナをとうのパーンダヴァによってすくされるという失態しったいえんじてしまう。[12]

気落きおちしたドゥルヨーダナをはげますため、カルナはへいこし諸国しょこくしたがえ、世界せかい制覇せいは偉業いぎょう達成たっせいした。[13]これによろこんだドゥルヨーダナがひらいたヴァイシュナヴァさいで、カルナはアルジュナをころすまであしあらわないというちかいをてた。[14]

カリンガの王女おうじょ婿むこえらびで、ドゥルヨーダナは婿むこえらばれなかったことにはらて、カルナの手助てだすけをて、力尽ちからつきくで王女おうじょさらった[15]。ジャラーサンダおうはこれをきつけ、カルナに一騎打いっきうちの勝負しょうぶもうむも、カルナは壮絶そうぜつたたかいのすえこれをせいし、友情ゆうじょうしるしとしてマーリニーのまちる。これにより、アンガにくわえチャンパーも支配しはいするようになる。[7][16]

黄金おうごん耳輪みみわよろいうばわれる

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パーンダヴァの追放ついほうからじゅうさんねんにゅうろうというころ、アルジュナに勝利しょうりあたえようとするインドラかみ策略さくりゃくにより、カルナは黄金おうごんよろいをインドラしんやりえにうしなう。事前じぜんにこれを察知さっちしたちちスーリヤしんは、息子むすこたいし「どんな代償だいしょう条件じょうけんげられてもけっしてわたしてはならぬ。それはおまえいのちちぢめることになり、パーンドゥの勝利しょうり決定的けっていてきにするからだ」と忠告ちゅうこくをするが、カルナははもとより覚悟かくごうえであり、インドラしんねがいをききいれて耳飾みみかざりと甲冑かっちゅううしない、戦場せんじょうたおれるなら、自分じぶん名誉めいよ一層いっそうかがやきこそすれおとしめられることはない、またからさずかった武器ぶき宿敵しゅくてきアルジュナをたおしてせると宣言せんげんし、その忠告ちゅうこく感謝かんしゃしつつ拒否きょひする。[17]

カルナは毎日まいにち正午しょうご沐浴もくよくし、ちちである太陽たいよう礼拝れいはいする習慣しゅうかんがあった。そしてそのときバラモンそうほどこしをもとめてきたならば、なにわれてものぞみのしなおくっていた。(これは、カルナが過去かこ沐浴もくよくにバラモンから布施ふせわれたさいなにもやるものがなかったことをじていたためである)そこでインドラはバラモンの姿すがたけて正午しょうごにカルナのまえあらわれ、かれ黄金おうごんよろい所望しょもうした。カルナはおどろいて、このよろい自分じぶんからだ一体いったいになっておりぐことができないと説明せつめいし、べつのものを要求ようきゅうするよう懇願こんがんした。しかしバラモンはそれを拒否きょひし、かれよろい要求ようきゅうつづけた。そのうちカルナはこのバラモンの正体しょうたいづき、その要求ようきゅうにこたえることにした。わりにインドラしんけっしててきはずさないやり要求ようきゅうし、インドラしんはそれをれる。かれ苦痛くつうえながらしょうけんからだとつながっている部分ぶぶんいて、からだめ、微笑びしょうかべながらよろいをインドラに手渡てわたした。[18]

この事実じじつって、パーンダヴァにくみするものは安心あんしんし、カウラヴァにくみするものはおおいになげいたという。

戦争せんそう前夜ぜんや

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マツヤこくかくんだいちねん最後さいごにパーンダヴァの放浪ほうろうわるころ、カルナは主要しゅようしょうともにマツヤにむがアルジュナが変装へんそうしたブリハンナラーに敗北はいぼくし、黄色おうしょくころもられる。[19]

その、パーンダヴァがじゅうさんねん放浪ほうろうえて元々もともと自分じぶんたちがおさめていた領土りょうど返還へんかんもとめるも[20]、ドゥルヨーダナはこれをこばむ。戦争せんそう回避かいひするため、クリシュナ平和へいわ使節しせつとしてドゥルヨーダナらをたずねて、ひじりせんナーラダ、武芸ぶげいドローナ、王妃おうひガーンダーリーととも次々つぎつぎ説得せっとくこころみるも、ドゥルヨーダナはすべて拒絶きょぜつする。ドゥルヨーダナはカルナ、シャクニ、ドゥフシャーサナと協議きょうぎし、パーンダヴァがわ使節しせつであるクリシュナをとらえようとするが失敗しっぱいわる。

その、クリシュナはカルナに、かれがパーンダヴァの長兄ちょうけいであることをげ、あらそいの無益むえきと、本来ほんらいあるべき姿すがたであるパーンダヴァのちょうとして帰還きかんし、世界せかいにする栄光えいこういた。しかしカルナは聖典せいてんおきてによればみずからがパーンダヴァがわ人間にんげんであることをかっている、といながら養父母ようふぼへのおんと、ドゥルヨーダナへの恩義おんぎからパーンダヴァがわにつくことはできないと説得せっとくこばむ。さらに、カルナはパーンダヴァが勝利しょうりすること、戦争せんそうでクシャトリヤぞくほろびることを予見よけんしながらも、アルジュナとの一騎打いっきうちをのぞむ。

クリシュナがカルナの説得せっとくをあきらめ帰還きかんすると、今度こんどはクンティーがカルナの説得せっとくこころみる。クンティーは、自分じぶんがカルナのみのははであり、パーンダヴァがけたおとうとであることをげ、肉親にくしんじょうによってパーンダヴァの味方みかたになるよう懇願こんがんした。しかし、カルナはこれも拒否きょひする。クンティーがまれたばかりの自分じぶんかわながしたことでクシャトリヤでなくスータの息子むすことしてきていかねばならなかったうらみをいつつ、また今更いまさら寝返ねがえることなどできないとべ、パーンダヴァがわへはつかないと主張しゅちょうした。しかし「わたしと互角ごかくたたかえる唯一ゆいいつ好敵手こうてきしゅアルジュナだけを相手あいてにすることをちかいます。どちらがたおされようと、わたしの栄誉えいよきずつかず、貴方あなたにん息子むすこかずることはありますまい。わたしかアルジュナのどちらかはのこるのですから」とげる。クンティーはかなしみにふるえ、カルナをきしめながらもこれをれ、たがいに祝福しゅくふくあたえられることをいのり、二人ふたりわかれた。[21]

クルクシェートラのたたか

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戦争せんそうはじまるにいたり、かく陣営じんえいそう指揮しきかん任命にんめいする。カウラヴァのそう指揮しきかんえらばれたビーシュマは、みずからにてきうものはアルジュナのみとい、またカルナと自分じぶん、どちらがさきたたかうかをける条件じょうけんとした。これに憤慨ふんがいしたカルナは、ビーシュマがきているかぎりは戦争せんそう参加さんかしない、かれんだときわってアルジュナと決着けっちゃくをつけるといいはなった。これにより、カルナはビーシュマがアルジュナによりゆかしずじゅう日間にちかんあいだ戦争せんそう参加さんかしなかった。また、戦争せんそうまえ戦士せんしらの実力じつりょく評価ひょうかするさいには、ビーシュマやドローナはカルナを半人前はんにんまえであるとひょうし(ドローナは、カルナがしんやさしいがゆえに、という表現ひょうげんをしている)、これにもカルナは憤慨ふんがいし、ドゥルヨーダナは自陣じじん決裂けつれつおそれて必死ひっしなだめている。[22]

ユディシュティラとのたたか

ビーシュマがアルジュナにたおされ、番目ばんめそう指揮しきかんのドローナがんだのち、カルナはカウラヴァ陣営じんえいさんにんそう指揮しきかんとなる。カルナはクリシュナのあやつ戦車せんしゃるアルジュナに対抗たいこうするため、みずからの戦車せんしゃ御者ぎょしゃにマドラ王らおうシャリヤをのぞむ。御者ぎょしゃなどできないとこばむシャリヤをドゥルヨーダナととも説得せっとくしたカルナは、シャリヤを御者ぎょしゃとして戦場せんじょうける。しかし、元々もともとシャリヤはパーンダヴァ兄弟きょうだいすえ双子ふたご伯父おじであり、パーンダヴァがわ参戦さんせんするつもりが、ドゥルヨーダナのわなによりカウラヴァがわ参戦さんせんすることになっていた。シャリヤのしんはパーンダヴァにあり、ユディシュティラに協力きょうりょくもうて、カウラヴァの戦意せんいをそぐことを約束やくそくしていた。

カルナは、パーンダヴァ兄弟きょうだいつぎのようにたたかった。

  • 戦争せんそうじゅうよんにち次男じなんビーマとたたかう。カルナが失神しっしんするなどされることもりながらすうたたかい、最後さいごはクンティーとの約束やくそくゆえに見逃みのがす。[23]
  • 戦争せんそうじゅうよんにち末子まっしサハデーヴァいつめるが、クンティーとの約束やくそくゆえに見逃みのがす。[24]
  • 戦争せんそうじゅうろくにち四男よつおナクラいつめるが、クンティーとの約束やくそくおも見逃みのがした。[25]
  • 戦争せんそうじゅうななにち長男ちょうなんユディシュティラをいつめる。カルナの御者ぎょしゃつとめていたシャリヤおう忠告ちゅうこくによりこれを見逃みのがす。[26]
  • 戦争せんそうじゅうななにち三男さんなん宿敵しゅくてきアルジュナとたたかい、敗北はいぼくする。[27]

また、カウラヴァ陣営じんえいくるしめたアルジュナの息子むすこアビマニュについては、ドローナ、クリパ、アシュヴァッターマン、クリタヴァルマン、シュルタカルマンらとともかこんでいつめてころした。[28] 黄金おうごんよろいえにた、アルジュナをたおすためのインドラのやりは、戦争せんそうじゅうよんにちで、いつめられた自陣じじんのためにビーマの息子むすこでラークシャサのははをもつガトートカチャ投擲とうてきされ、そのいのちうばった。[28]

カルナの最期さいご

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カルナの

戦争せんそうじゅうななにちでカルナはアルジュナと一騎打いっきうちの機会きかいる。このとき、アルジュナにうらみをいだ竜王りゅうおうアシュヴァセーナは、けてカルナのえびらひそんでいた。いちらずにこれをはなつが、クリシュナがアルジュナの戦車せんしゃ地中ちちゅうしずめたことで、カルナはアルジュナのくびおとそこねる。ふたたをつがえようとしたカルナは、えびらふたたにゅうろうとしためる。みずからを使つかってアルジュナをたおすようカルナをそそのかすが、カルナは自身じしんちからでアルジュナをたおすと主張しゅちょう退しりぞけ、戦車せんしゃまってうごけないアルジュナにべつかける。アルジュナはこれにたいすうばいがえし、それによりカルナは意識いしき朦朧もうろうというところまでめられるが、アルジュナはカルナのくびおとすことを躊躇ためらう。クリシュナの進言しんげんによりはなつも、このすき意識いしきもどしたカルナはふたた応戦おうせんする。しかしその瞬間しゅんかんに、パラシュラーマからけたのろいによりブラフマーストラの呪文じゅもん失念しつねんし、戦車せんしゃ車輪しゃりん地中ちちゅうしずむ。カルナは、クシャトリヤのほうし、戦車せんしゃげるまで攻撃こうげきゆるめるようもとめるが、クリシュナはそれまでのカルナの悪行あくぎょう指摘してきし、カルナはる。はなたれるアルジュナの攻撃こうげき戦車せんしゃりたままカルナはむかっていたが、ついにアルジュナのアンジャリカ(合掌がっしょうという意味いみにより、そのくびとされた。カルナのったドゥルヨーダナは、悲憤ひふんなみだながし、そのいたんだ。[29]死後しご、カルナは昇天しょうてんし、スーリヤと一体化いったいかしたとされる。

戦後せんご、カルナはクンティーの告白こくはくにより、パーンダヴァたちあにとしてむかれられ、そのいたまれる。とくにユディシュティラは、みずからのあにおとうところさせてしまったことをふか後悔こうかいし、王位おういててもり隠遁いんとんすることをかんがえるまでおもめている。[30][31]

神話しんわ研究けんきゅう

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カルナの最期さいごについては同様どうようはなしがスーリヤにもられる。すなわちカルナのちちであるスーリヤとアルジュナのちちであるインドラがたたかったとき、インドラはスーリヤの戦車せんしゃ片方かたがた車輪しゃりんを「はずす」あるいは「む」ことによって勝利しょうりしたとされる。この神話しんわじょう対立たいりつ構造こうぞう叙事詩じょじしでも見受みうけられるのである。またスーリヤが2人ふたりははつように、カルナも2人ふたりははつ。

神話しんわ学者がくしゃ吉田よしだ敦彦あつひこは、比較ひかく神話しんわがく見地けんちからカルナをげ、応神天皇おうじんてんのう伝承でんしょう比較ひかくしている[32]

脚注きゃくちゅう

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  1. ^ Kevin McGrath 『The Sanskrit Hero - Karna in Epic Mahābhārata
  2. ^ プーナばんだい3かん)294しょう。また、上村うえむらばん1かん104しょう(385ページ)によると「見事みごとはなしたもの」と「太陽たいよう(ヴィカルタナ)の息子むすこ」の両方りょうほう意味いみがある
  3. ^ 上村うえむら勝彦かつひこ原典げんてんやくマハーバーラタ』 1かん、ちくま学芸がくげい文庫ぶんこ、384ぺーじ。「財宝ざいほう(ヴァス;甲冑かっちゅう耳環みみわ)とともにまれたためヴァスシェーナ」 
  4. ^ 比較ひかく文学ぶんがく文化ぶんか論集ろんしゅう』4かん p49-60「The Birthlegend of Karna in the Mahābhārata, translation with commentary」小倉おぐら やすし
  5. ^ 山際やまぎわばんだい2かんだい3かん上村うえむらばんだい4かん) だい3かん294しょうでカルナ自身じしんがインドラに「わたしよろい生得しょうとくものであり、耳輪みみわ甘露かんろからしょうじたものである。そこでこのわたし不死身ふじみなのだ。だからあげるわけにはゆかない。」とかたっている。
  6. ^ プーナばん8かん22しょう
  7. ^ a b 山際やまぎわばんだい6かんだい11かん
  8. ^ 山際やまぎわばんだい1かんだい1かん上村うえむらばんだい1かんだい1かん127しょう
  9. ^ a b 山際やまぎわばんだい1かんだい1かん
  10. ^ 上村うえむらばん原典げんてんやく マハーバーラタ』(だい1かん)178しょう
  11. ^ 池田いけだばん『マハバーラト』
  12. ^ 山際やまぎわばんだい2かんだい3かん
  13. ^ 山際やまぎわばんだい2かんだい3かん,上村うえむらばんにはカルナが世界せかい制覇せいはげたという描写びょうしゃはない。
  14. ^ 上村うえむらばんだい3かん)243しょう、プーナばんだい3かん243しょう
  15. ^ マハーバーラタだい12かん4~5しょう山際やまぎわもとおとこやくだい6かん78ぺーじ相当そうとう山際やまぎわばんではカリンガ王女おうじょではなくマニプーラの王女おうじょチトラーンガダー(アルジュナのつまチトラーンガダーとは別人べつじん
  16. ^ ※マハーバーラタにおけるカルナの行動こうどうについては、とき系列けいれつごとにえがかれている事柄ことがらと、カルナ本人ほんにんおのれ過去かこかえはなしている事柄ことがら、カルナの死後しごひじりせんナーラダがかたった事柄ことがらがあり、正確せいかくなそれぞれのとき系列けいれつ判断はんだん困難こんなんである。ジャラーサンダをたおしたさいにアンガにくわえてチャンパーをた、という記述きじゅつからカリンガの王女おうじょえらびは御前ごぜん試合しあいのちであると推察すいさつできるが、パラシュラーマのしたでの修業しゅうぎょう御前ごぜん試合しあい前後ぜんごどちらかであるかは不明ふめい
  17. ^ 山際やまぎわばんだい2かんだい3かん上村うえむらばんだい4かん)3かん228~236しょう
  18. ^ 山際やまぎわばんだい2かんだい3かん上村うえむらばんだい4かんだい3かん294しょう
  19. ^ 上村うえむらばんだい4かん)61しょう
  20. ^ パーンダヴァがわ要求ようきゅうについてはユディシュティラ項目こうもく参照さんしょう
  21. ^ 山際やまぎわばんだい3かんだい5かん上村うえむらばんだい5かんだい5かん144しょう
  22. ^ 山際やまぎわばんだい3かんだい5かん
  23. ^ プーナばんだい7かん)114しょう
  24. ^ 山際やまぎわばんだい4かんだい7かん、プーナばんだい7かん)142しょう
  25. ^ 山際やまぎわばんだい5かんだい7かん、プーナばんだい8かん)16しょう
  26. ^ 山際やまぎわばんだい5かんだい8かん、プーナばんだい8かん)33しょう
  27. ^ 山際やまぎわばんだい5かんだい8かん、プーナばんだい8かん)66しょう
  28. ^ a b 山際やまぎわばんだい4かんだい7かん
  29. ^ 山際やまぎわばんだい5かんだい8かん
  30. ^ プーナばん(12かん)1しょう
  31. ^ ユディシュティラはカルナの武力ぶりょくについて、山際やまぎわばんだい1かん)の御前ごぜん試合しあいどうだい2かん)のヴァイシュナヴァさいちかいを間諜かんちょうから世界せかい制覇せいはいたさいなど、かえおそれと不安ふあんいていた。
  32. ^ 吉田よしだ敦彦あつひこ天地てんち創造そうぞう神話しんわなぞ』p.56-59。

注釈ちゅうしゃく

  1. ^ マハーバーラタではカルナの結婚けっこん生活せいかつについてあきらかにされておらず、つま名前なまえ明記めいきされていない。彼女かのじょらは民間みんかん伝承でんしょうやフィクション作品さくひん題材だいざいとなっており、そのほとんどでカルナにはにんつま存在そんざいしている。様々さまざま情報じょうほうげん様々さまざま名前なまえふくまれており、ヴルシャリ、スプリヤ、パドマバティ、チャンドラヴァリ、ポンヌルヴィ、ウルヴィ、タルサ、またこの名前なまえなかもっと人気にんきがあるのはヴルシャリとスプリヤである[よう出典しゅってん]
  2. ^ 兄弟きょうだいははいつけにより、ドラウパディーは兄弟きょうだい共有きょうゆうつまとなった。

関連かんれん項目こうもく

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