(Translated by https://www.hiragana.jp/)
イスノキ - Wikipedia コンテンツにスキップ

イスノキ

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
イスノキ
イスノキ
分類ぶんるいAPG III
さかい : 植物しょくぶつかい Plantae
階級かいきゅうなし : 被子植物ひししょくぶつ angiosperms
階級かいきゅうなし : 真正しんしょうそう子葉しようるい eudicots
: ユキノシタ Saxifragales
: マンサク Hamamelidaceae
ぞく : イスノキ属きぞく Distylium
たね : イスノキ D. racemosum
学名がくめい
Distylium racemosum Siebold et Zucc.[1][2]

イスノキなら[3]Distylium racemosum)は、暖地だんち自生じせいするマンサク常緑じょうりょく高木たかぎ別名べつめい、ユスノキ[3]、ユシノキ、ヒョンノキ[3]中国ちゅうごくははじゅ韓国かんこくはチカキマウェケォ[1]はしばしばむしこぶむしえい)がつき、おおきくなるとあなひらくのが特徴とくちょう

分布ぶんぷ

[編集へんしゅう]

日本にっぽんでは静岡しずおかけん以西いせい四国しこく九州きゅうしゅう琉球りゅうきゅう列島れっとう分布ぶんぷする[3]暖地だんち山地さんち自生じせいする[3]沖縄おきなわでは石灰岩せっかいがんうえ森林しんりんゆううらないするのをることがある。国外こくがいでは済州さいしゅうとう台湾たいわん中国ちゅうごく南部なんぶ分布ぶんぷする。

特徴とくちょう

[編集へんしゅう]

常緑じょうりょく広葉樹こうようじゅ高木たかぎで、たかやく20 - 25メートル (m) になる[3]樹皮じゅひ灰白色かいはくしょく大木たいぼくになるとあかっぽくなる。

互生ごせいし、ながさ5 - 8センチメートルのちょう楕円だえんがたで、革質かくしつ深緑しんりょく表面ひょうめんつよいつやがある[3]めんにしばしばむしこぶむしえい)がつく。イスノキコムネアブラムシの寄生きせいではめん多数たすう小型こがた突起とっきじょうむしこぶを、イスオオムネアブラムシ Nipponaphis distychii寄生きせいによってはまるおおきくふくらんだむしこぶ(ひょんの)が形成けいせいされる。どちらも非常ひじょう頻繁ひんぱん出現しゅつげんするのでこれを目当めあてにイスノキが特定とくていできるほどである。むしこぶはおおきくなるとあなひらき、ここをくとふえのようなおとることから「ヒョンノキ」の別名べつめいがある[3]。また、この「ヒョン」を「みょうな、異様いような」のの「ひょんな」の語源ごげんとするせつもある。安原やすはら貞室ていしつの『片言かたこと』(1650ねん)に、「ひよんなことといふを、(中略ちゅうりゃくはひよんといふの、えもしれぬものなるよりいへること歟。」とある。

花期かきは3 - 4がつ[3]葉腋ようえき総状そうじょう花序かじょしてしょうはなをつける[3]花序かじょ基部きぶには雄花おばなさきほう上部じょうぶ)にはりょう生花せいかがつく[3]花弁はなびらはなく、がくちいさいが、しべが5 - 8つき、紅色こうしょくいろづく[3]。葯は乾燥かんそうするときれひらけし、花粉かふんふうによって飛散ひさんする。

はては10がつ[3]果実かじつこうたまごがたで、表面ひょうめん褐色かっしょくおおわれ[3]先端せんたんめすしべきれした突起とっきとしてすのがにつく。果実かじつじゅくすと2つにきれひらけし、黒色こくしょく種子しゅし露出ろしゅつする[3]

利用りよう

[編集へんしゅう]

ざい本州ほんしゅう四国しこく自生じせいするなかではウバメガシならんで非常ひじょうかたおも部類ぶるいとなる。家具かぐつえ素材そざいにされ、とくにイスノキざい木刀ぼくとうは、示現じげんりゅう系統けいとう剣術けんじゅつ使用しようされているのは有名ゆうめいざい樹皮じゅひやしたはいならはい(いすばい))は陶磁器とうじきとおるざいとする。また、樹皮じゅひトリモチ原料げんりょうともなる。樹皮じゅひ採取さいしゅしたのちのイスノキをなが放置ほうちするとあたりざいうしなわれて心材しんざいのみとなるが、この心材しんざいをスヌケとぶ。スヌケは茶色ちゃいろで、みがくと光沢こうたくをもつ。

樹木じゅもくそのものは乾燥かんそうつよ丈夫じょうぶなので街路がいろじゅとして栽培さいばいされることもある。 また、むしこぶ(ひょんの)は成熟せいじゅくすると表面ひょうめんかたく、内部ないぶ空洞くうどうになり、出入でいぐちあなくちびるててくとふえとして使つかえる。これが別名べつめいヒョンノキ(ひょうと)の由来ゆらいともわれる。また、このむしこぶにはタンニンふくまれ、染料せんりょう材料ざいりょうとして使つかわれる。

近似きんじしゅ

[編集へんしゅう]

同属どうぞく植物しょくぶつヒマラヤすうしゅられるが、日本にっぽんではこのたねだけである。しかしかたちなどにはっきりした特徴とくちょうすくなく、れないとかりにくいめんもある。上記じょうきのようにむしこぶがよい目安めやすになる。

その

[編集へんしゅう]

鹿児島かごしまけんの「伊集院いじゅういん」という地名ちめいは、イスノキがおおであり、平安朝へいあんちょう租税そぜいである稲穂いなほ貯蔵ちょぞうするくらいんかれたことから、「いすいん」とばれるようになったことに由来ゆらいする[4][5]

静岡しずおかけん下田しもだにある八幡やはた神社じんじゃのイスノキは、イスノキとしては唯一ゆいいつこく天然記念物てんねんきねんぶつ指定していされている。

脚注きゃくちゅう

[編集へんしゅう]
  1. ^ a b 米倉よねくら浩司こうじ梶田かじたただし (2003-). “Distylium racemosum Siebold et Zucc.”. BG Plants 和名わみょう学名がくめいインデックス(YList). 2021ねん8がつ5にち閲覧えつらん
  2. ^ "Distylium racemosum". Germplasm Resources Information Network (GRIN). Agricultural Research Service (ARS), United States Department of Agriculture (USDA). 2012ねん8がつ21にち閲覧えつらん
  3. ^ a b c d e f g h i j k l m n o 西田にしだ尚道なおみち監修かんしゅう 学習がくしゅう研究けんきゅうしゃへん 2000, p. 26.
  4. ^ 松元まつもとまち郷土きょうど p.87
  5. ^ 角川かどかわ日本にっぽん地名ちめいだい辞典じてん 46 鹿児島かごしまけん角川書店かどかわしょてん p.95

参考さんこう文献ぶんけん

[編集へんしゅう]
  • 西田にしだ尚道なおみち監修かんしゅう 学習がくしゅう研究けんきゅうしゃへん日本にっぽん樹木じゅもく学習研究社がくしゅうけんきゅうしゃ増補ぞうほ改訂かいていベストフィールド図鑑ずかん 5〉、2000ねん4がつ7にち、26ぺーじISBN 978-4-05-403844-8 

外部がいぶリンク

[編集へんしゅう]

ウィキメディア・コモンズには、イスノキかんするメディアがあります。