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戦闘せんとう

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ワーテルローのたたか陸戦りくせん(1815ねん

戦闘せんとう(せんとう、えい: Combat, Battle: proelium、プロエリウム)は、相互そうご敵対てきたいするふたつの勢力せいりょくによる暴力ぼうりょく相互そうご作用さようである。

戦闘せんとうおこなわれている場所ばしょ戦場せんじょう(せんじょう)、戦地せんちといい、歴史れきしてき戦闘せんとう合戦かっせんなど)がおこなわれた場所ばしょ古戦場こせんじょう(こせんじょう)とぶことがある。歴史れきしてき慣習かんしゅうによって、「―のたたかい」、「―の合戦かっせん」、「―の会戦かいせん」という用語ようごもちいられる。

ここでは戦闘せんとう一般いっぱんかんする軍事ぐんじがく研究けんきゅう概説がいせつする。

戦闘せんとうとは一般いっぱんてき敵対てきたいしている部隊ぶたい特定とくてい目的もくてき達成たっせいするために戦闘せんとうりょく行使こうしする行動こうどう、またはその行動こうどうによってこされる一連いちれん交戦こうせんじょうきょうであり、具体ぐたいてきには索敵さくてき機動きどう攻撃こうげき防御ぼうぎょ追撃ついげき後退こうたい行動こうどう段階だんかいてき進展しんてんする。戦闘せんとうにおいて部隊ぶたい指導しどうするのは戦術せんじゅつであり、戦闘せんとう目的もくてき投入とうにゅうされる戦力せんりょく装備そうび規模きぼ作戦さくせん計画けいかくによって決定けっていされる。戦闘せんとうではてきてき施設しせつたいして武器ぶき兵器へいき使用しようして殺傷さっしょうすることによって抵抗ていこう行動こうどう排除はいじょ破壊はかいし、作戦さくせん目標もくひょう達成たっせいすることが主要しゅよう作業さぎょうとなる。戦闘せんとう当事とうじしゃである兵士へいしたちは非常ひじょうつよ肉体にくたいてき精神せいしんてきストレスけながら戦闘せんとう行動こうどうをとることになるため、被弾ひだん被爆ひばくきずするだけでなく、衝撃しょうげきてき経験けいけんからPTSDなどの精神せいしん疾患しっかんわずら場合ばあいもある。また戦闘せんとう戦闘せんとう当事とうじしゃ双方そうほうともに生死せいし狭間はざまという極限きょくげん状況じょうきょうにおいて活動かつどうするため、戦場せんじょう心理しんりばれる特別とくべつ心理しんり状態じょうたいになることもある。そのため、戦闘せんとうりょく要素ようそとして火力かりょく機動きどうりょくなどのほかに軍事ぐんじてきリーダーシップふくまれるとかんがえられている。

研究けんきゅう

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古典こてんてき研究けんきゅう

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戦闘せんとう構成こうせいするしょ要素ようそ相互そうご関係かんけいせい、そして戦闘せんとう形態けいたい構造こうぞう原理げんりかんする最古さいこ研究けんきゅうとして古代こだい中国ちゅうごくにおける孫子まごこ紀元前きげんぜん535ねん - ?)の研究けんきゅう業績ぎょうせきげられるが、かれのち研究けんきゅう発展はってんすることはなかった。ヨーロッパにおいてもナポレオン戦争せんそう発生はっせいするまえにはヴェゲティウス(4世紀せいきごろ)、マウリキウス(539 - 602)、レオ[よう曖昧あいまい回避かいひ]ド・サックスフリードリヒ2せいなどの先駆せんくてき研究けんきゅうがある。だが、近代きんだいてき戦闘せんとう理論りろん成立せいりつしたのはナポレオンの時代じだいはいってからである。ナポレオン・ボナパルト(1769 - 1821)は軍事ぐんじ理論りろんかんする論文ろんぶん執筆しっぴつしなかったが、士気しき物的ぶってき要素ようそたいしてさんばい効果こうかをもたらすこと、また機動きどうてき戦力せんりょく運用うんようする重要じゅうようせい指摘してきするなどの研究けんきゅう成果せいかのこした。ナポレオンの幕僚ばくりょうでもあったアントワーヌ・アンリ・ジョミニはナポレオンの軍事ぐんじ思想しそう本質ほんしつ理論りろん[よう出典しゅってん]戦闘せんとう規定きていするたたかいの原則げんそく確立かくりつした。それは主力しゅりょくをある決定的けっていてき地点ちてんてき側面そくめん背後はいごたいして集中しゅうちゅうさせるという普遍ふへんてき原則げんそくである。またナポレオン戦争せんそう参加さんかしたカール・フォン・クラウゼヴィッツ(1780 - 1831)はジョミニとはべつのアプローチでナポレオンの軍事ぐんじ思想しそう解釈かいしゃくし、独自どくじのアプローチで戦闘せんとう法則ほうそく戦闘せんとうりょく要素ようそ攻撃こうげき防御ぼうぎょ行動こうどう体系たいけいした。クラウゼヴィッツの戦闘せんとう理論りろんてき殲滅せんめつ目的もくてきとする暴力ぼうりょくてき行動こうどうによって定義ていぎされるものであり、戦闘せんとうりょく優劣ゆうれつによって勝敗しょうはい決定けっていされるものと定式ていしきされる。

近代きんだい研究けんきゅう

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ジョミニやクラウゼヴィッツに影響えいきょうけた研究けんきゅうしゃたちはのち戦闘せんとう研究けんきゅう理論りろんてき発展はってんさせるための研究けんきゅう成果せいかのこしてきた。アメリカではデニス・ハート・マハン(1802-1871)はジョミニの影響えいきょうした戦闘せんとうにいて依拠いきょするべき原則げんそく提示ていじし、ドイツではヘルムート・カール・ベルンハルト・フォン・モルトケ訓令くんれい戦術せんじゅつ包囲ほうい重視じゅうしした機動きどう理論りろん提起ていきした。一方いっぽうのフランスではチャールズ・アルダン・ドゥ・ピッグによって戦闘せんとうにおける士気しきという心理しんりてき要素ようそ解明かいめいして戦闘せんとう理論りろん研究けんきゅう寄与きよした。海上かいじょう戦闘せんとう研究けんきゅうしゃであるアルフレッド・セイヤー・マハン(1840 - 1914)はジョミニや父親ちちおやのデニス・ハート・マハンの影響えいきょうした陸上りくじょう戦闘せんとう研究けんきゅう海上かいじょう戦闘せんとう応用おうようすることに成果せいかげ、戦闘せんとう一般いっぱん理論りろん地理ちりてき環境かんきょう変化へんかにも適応てきおう可能かのうであることをしめした。またモルトケの研究けんきゅういだアルフレート・フォン・シュリーフェン(1833 - 1913)は戦闘せんとうにおける殲滅せんめつ原理げんり発展はってんさせて包囲ほうい殲滅せんめつ教義きょうぎ確立かくりつし、その研究けんきゅう成果せいかシュリーフェンプランとして結実けつじつした。コルマール・フォン・デア・ゴルツはモルトケやシュリーフェンの影響えいきょうしたでそれまでのドイツにおける戦闘せんとう研究けんきゅう総合そうごうし、フランスやイギリスに紹介しょうかいする役割やくわりたした。フェルディナン・フォッシュはドゥ・ピッグの研究けんきゅう影響えいきょうけるとともにドイツの殲滅せんめつ原理げんり受容じゅようしており、とく士気しきなどの精神せいしんてき要素ようそ戦闘せんとう理論りろんにおいて位置いちづけた。航空こうくう戦闘せんとう戦闘せんとう理論りろんはじめて応用おうようしたジュリオ・ドゥーエ陸上りくじょう海上かいじょうとはことなる地理ちりてき技術ぎじゅつてき条件じょうけんしたおこなわれる戦闘せんとう理論りろんてきにどのような作戦さくせん可能かのうとするかをあきらかにした。またジョン・フレデリック・チャールズ・フラー現代げんだい戦闘せんとう理論りろん研究けんきゅうするための科学かがくてき方法ほうほうろん準備じゅんびし、たたかいの原則げんそく現代げんだい戦闘せんとう形態けいたいおうじて発展はってんさせた。フレデリック・ランチェスター(1868 - 1946)は戦闘せんとう数学すうがくてきモデル取組とりくみ、とく戦闘せんとうりょく戦闘せんとう結果けっか因果いんがてき関係かんけい定式ていしきした。

戦闘せんとう理論りろん

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戦闘せんとう概念がいねん

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戦闘せんとう理論りろんにおいて戦闘せんとう本質ほんしつをはじめて哲学てつがくてき定義ていぎしたクラウゼヴィッツは戦争せんそうとの関係かんけいから戦闘せんとう性格せいかくとらえている。クラウゼヴィッツの見解けんかいによれば、戦争せんそうとは政治せいじ延長えんちょうとして位置いちづけられており、政策せいさく道具どうぐとして戦争せんそう特徴付とくちょうづけられることをろんじており、これを現実げんじつ戦争せんそうんでいる。同時どうじにクラウゼヴィッツは政策せいさく道具どうぐとして戦争せんそうなさずあくまで政治せいじたいして孤立こりつてき行動こうどうとして戦争せんそうなした場合ばあい戦争せんそう本来ほんらい性格せいかく制限せいげん暴力ぼうりょくにあることをあきらかにして絶対ぜったい戦争せんそうとして定式ていしきした。かれ戦闘せんとう基本きほんてき概念がいねん絶対ぜったい戦争せんそう同様どうよう本来ほんらい性格せいかくてき殲滅せんめつならないことをろんじている。なぜならば、「戦闘せんとうすなわ闘争とうそうであり、この闘争とうそう目的もくてきてき撃滅げきめつもしくは征服せいふくである」ためであり、これが戦闘せんとうもっと簡潔かんけつ概念がいねんであると定義ていぎづけた。かれにとって戦争せんそうにおけるあらゆる戦略せんりゃくてき行動こうどう戦闘せんとうくのであって、個々ここ戦闘せんとうはその規模きぼわず、戦争せんそう全体ぜんたい目的もくてき従属じゅうぞくする目標もくひょうのためにおこなわれる。

戦争せんそう階層かいそう構造こうぞう

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戦闘せんとうとは戦争せんそう階層かいそう構造こうぞうなか理解りかいすることができる。ここでは戦闘せんとう下位かいにおける交戦こうせん、そして戦闘せんとう上位じょういにおける作戦さくせん戦争せんそうについて概観がいかんする(Field Manual 100-5を参考さんこう)。

  • 交戦こうせん(engagements) - 敵対てきたいする戦力せんりょくあいだ発生はっせいするしょう衝突しょうとつ小競こぜいをす。ただし、片方かたがた戦力せんりょく防御ぼうぎょ行動こうどうている場合ばあいは、これが戦闘せんとう発展はってんすることはない。ただし航空こうくうせんにおいてはミサイル、機関きかんほう使用しようされた時点じてん交戦こうせんなされる。
  • 戦闘せんとう(battles) - 戦闘せんとうとはある目的もくてき達成たっせいするため(作戦さくせんつうじて)に敵対てきたいする戦力せんりょくによって組織そしきてきおこなわれる戦術せんじゅつてき衝突しょうとつであり、交戦こうせん集合しゅうごうたいである。各種かくしゅ戦力せんりょく特徴とくちょうによってその進展しんてんはさまざまであり、非常ひじょう広範こうはん地域ちいきにおいて長時間ちょうじかんにわたっておこなわれることがあるが、即時そくじ決戦けっせんとなる場合ばあいもある。交戦こうせんにおいて双方そうほう事態じたい発展はってんさせていくと戦闘せんとういた場合ばあいもある。
  • 作戦さくせん - 戦闘せんとう円滑えんかつかつ合理ごうりてき遂行すいこうするために計画けいかく実行じっこうされるのが作戦さくせんである。この作戦さくせんもとづいて戦闘せんとうすすめられる。戦闘せんとう作戦さくせん下位かい概念がいねんである。
  • 戦争せんそう - 戦争せんそうとはおも国家こっかあいだにおいて方面ほうめん作戦さくせんおよ一連いちれん作戦さくせん継続けいぞくてき実行じっこうされている状況じょうきょうであり、作戦さくせん戦闘せんとう集合しゅうごうたいであるとえる。

戦闘せんとう法則ほうそく

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戦闘せんとうにおける勝敗しょうはい戦力せんりょく優劣ゆうれつによって決定けっていけられることをしめしたかず法則ほうそく(Law of numbers)はクラウゼヴィッツによって提唱ていしょうされた。かれ見解けんかいによれば、部隊ぶたい数量すうりょう勝利しょうり決定けっていし、すうてき優位ゆういせいこそが唯一ゆいいつ勝利しょうり原因げんいんである。またクラウゼヴィッツは戦闘せんとう分析ぶんせきするじょうでは部隊ぶたい性質せいしつにも着目ちゃくもくすることで、このかず法則ほうそく時代じだい地域ちいきわずあらゆる戦闘せんとう一般いっぱんてき適応てきおう可能かのうであることを主張しゅちょうする。クラウゼヴィッツのこの理論りろんのち戦闘せんとう理論りろんとして明確めいかく整理せいりされることになり、部隊ぶたい戦闘せんとう能力のうりょくりょうぐんのそれぞれのすうてき戦力せんりょく戦力せんりょく性質せいしつ、そして戦闘せんとう影響えいきょうおよぼす環境かんきょう変数へんすうせきによってもとめられ、あおぐん赤軍せきぐんりょうぐん部隊ぶたい戦闘せんとう能力のうりょくったかず戦果せんかとしてもとめられることをあきらかにした。これを数式すうしきとしてあらわすとつぎのようになる。

Nは部隊ぶたい兵員へいいん、Vは戦闘せんとう影響えいきょうする環境かんきょう変数へんすう、Qは部隊ぶたい特性とくせい、rは赤軍せきぐん、bはあおぐん、Oは戦闘せんとう結果けっかであり、戦闘せんとう結果けっかりょうぐん戦闘せんとう能力のうりょくによって定量ていりょうてき決定けっていされることがかる。同様どうよう法則ほうそくはランチェスターによるランチェスターの法則ほうそくやオシポフによるオシポフ方程式ほうていしきとしてまとめられている。

摩擦まさつ

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クラウゼヴィッツは現実げんじつ戦闘せんとう机上きじょうのそれとまったことなる性格せいかく要素ようそとして摩擦まさつ (クラウゼヴィッツ)考案こうあんしている。摩擦まさつとは地形ちけい天候てんこうなどの自然しぜん環境かんきょうてき不規則ふきそく行動こうどう偶発ぐうはつてき出来事できごとなどをふく障害しょうがいしている。実際じっさい計画けいかく実行じっこううつすと予測よそく不可能ふかのう事態じたい連続れんぞくし、計画けいかく依拠いきょしていた前提ぜんていくずれる場合ばあいがある。戦闘せんとうにおいて摩擦まさつはさまざまなかたちあらわれるが、そのひとつに情報じょうほうてき要素ようそがある。戦闘せんとうにおいてはてき部隊ぶたい通常つうじょう偽装ぎそう隠蔽いんぺいによってみずからの存在そんざいをできるだけらせないようにつとめるため、てき部隊ぶたい情報じょうほうることは基本きほんてき容易よういではない。断片だんぺんてき情報じょうほう総合そうごうてき分析ぶんせきするだけでなく、変化へんかする状況じょうきょうおうじて情報じょうほう更新こうしんすることも必要ひつようである。しかし状況じょうきょうすべてについて完璧かんぺき把握はあくすることは事実じじつじょう不可能ふかのうであり、指揮しきかんつね不完全ふかんぜん情報じょうほうたよって決断けつだんくだ必要ひつようせいがある。この情報じょうほう確実かくじつせい摩擦まさつなかでもとく戦場せんじょうきりづけてられており、戦場せんじょうにおける意思いし決定けってい困難こんなんせいしめしている。

戦闘せんとう行動こうどう

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作戦さくせん計画けいかく立案りつあんにおいて、作戦さくせん目的もくてきてき部隊ぶたい規模きぼ配置はいち作戦さくせん投入とうにゅう可能かのう部隊ぶたい作戦さくせん区域くいき地形ちけいなどにもとづいて策定さくていし、戦闘せんとう具体ぐたいてきにどのように遂行すいこうするのかを計画けいかくする。たとえばてきたいする攻勢こうせい作戦さくせん立案りつあんする場合ばあいてき位置いち規模きぼなどについて考慮こうりょしたうえで、どのような機動きどう攻撃こうげき包囲ほうい迂回うかい突破とっぱなど)をおこなうのかを決定けっていして攻勢こうせい計画けいかくする。この過程かてい必要ひつよう武器ぶき弾薬だんやく時間じかん予想よそうされる失敗しっぱいのリスクなどを考慮こうりょして具体ぐたいてき運用うんようめられていく。 作戦さくせん策定さくていされたのち上級じょうきゅう指揮しきかんからまずかくきゅう指揮しきかん作戦さくせん内容ないようつたえられる。この内容ないようもとづいて作戦さくせん部隊ぶたいはそれぞれが自分じぶん任務にんむ理解りかいして装備そうび整備せいびし、砲兵ほうへい部隊ぶたい航空こうくう部隊ぶたい火力かりょく支援しえん要請ようせいし、兵站へいたん組織そしきから弾薬だんやく食料しょくりょうなどをり、戦闘せんとう準備じゅんびする。 戦闘せんとうてき殲滅せんめつするためには、まずてきうごきを「拘束こうそく」することが必要ひつようである。迅速じんそく機動きどうするてきたいして確実かくじつ機動きどう攻撃こうげきおこなうことはむずかしいため、迂回うかい包囲ほういによっててき機動きどうりょく減衰げんすいさせる。てき拘束こうそく成功せいこうしたら、てき戦闘せんとうりょく無力むりょく低下ていかさせるために、てき混乱こんらんおちいらせる「攪乱かくらん」をおこなう。攪乱かくらんによっててき部隊ぶたい連携れんけい分断ぶんだんして組織そしきてき抵抗ていこうふうめ、逆襲ぎゃくしゅう間隙かんげきあたえないようにつとめる。 戦闘せんとうではつね位置いち優位ゆういせいめぐ攻防こうぼうがあり、戦場せんじょうではてき味方みかたがしばしば移動いどうしている。この移動いどうは「機動きどう」とばれ、この能力のうりょく機動きどうりょくかんがえられており、機動きどうりょく緊要きんよう地形ちけい確保かくほ迂回うかい包囲ほういなどのてきとの移動いどう速度そくどあらそ戦術せんじゅつ行動こうどうおおきな影響えいきょうあたえる。またてき拘束こうそく攪乱かくらんして無力むりょくすれば、最終さいしゅうてき火力かりょく攻撃こうげき突撃とつげきおこなう。これを「打撃だげき」とび、ここでてき制圧せいあつすることができる。 戦闘せんとうてき一部いちぶ孤立こりつして残存ざんそんしていれば、戦果せんか拡張かくちょうおこなわれる。戦果せんか拡張かくちょうによってよりおおくの被害ひがいてきあたえ、戦闘せんとう戦果せんかをより拡大かくだいすることができる。またこれにつづいて戦場せんじょうから離脱りだつするてきたいして追撃ついげきおこなわれる場合ばあいもある。作戦さくせん終了しゅうりょうしてからは、戦場せんじょう捜索そうさくして、死傷ししょうしゃ適当てきとう処置しょち遺棄いきぶつ収集しゅうしゅうなどの戦場せんじょう掃除そうじおこない、死傷ししょうしゃ収容しゅうよう情報じょうほう収集しゅうしゅう略奪りゃくだつ防止ぼうしする。

戦闘せんとう理論りろん応用おうよう

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陸上りくじょう戦闘せんとう

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陸戦りくせん陸上りくじょう実施じっしされる戦闘せんとうである。徒歩とほそうなどの複数ふくすう機動きどう手段しゅだん部隊ぶたい編制へんせい多様たよう攻撃こうげき防御ぼうぎょ後退こうたい行動こうどう戦術せんじゅつ行動こうどう火器かき発達はったつした現代げんだいでは長短ちょうたん射程しゃていちょく曲射きょくしゃ弾道だんどう射撃しゃげきなどを有機ゆうきてきわせておこなわれる。また陸地りくち人間にんげん生活せいかつ基盤きばん存在そんざいするため、陸戦りくせん複雑ふくざつ心理しんりてき影響えいきょうあたえる。くわえて陸戦りくせん非常ひじょう多様たよう側面そくめんっており、作戦さくせん地形ちけい気候きこう時間じかんたい戦術せんじゅつなどにより様々さまざま分類ぶんるいすることができる。

  • 野戦やせん - 人工じんこう建築けんちくぶつがほとんど存在そんざいしない地域ちいきにおける陸上りくじょう戦闘せんとう
  • 陣地じんちせん - いくつもの野戦やせん築城ちくじょう陣地じんち準備じゅんびされた地域ちいきおこなわれる戦闘せんとう戦線せんせん膠着こうちゃくし、その野戦やせん陣地じんち逐次ちくじ増強ぞうきょうされてきている場合ばあい発生はっせいする(塹壕ざんごうせんはこれにふくまれる)。
  • おさむしろせん - 一方いっぽう要塞ようさい城砦じょうさいもってぼうぜいをとり、敵対てきたいする戦力せんりょくがそれにたいして攻撃こうげきしてこる戦闘せんとう近代きんだい以降いこう要塞ようさいせんばれる)。
    • 籠城ろうじょうせん - 攻撃こうげき仕掛しかけてくるてきたい要塞ようさい城砦じょうさいもってむか戦闘せんとうおさむしろせん守勢しゅせいがわからの呼称こしょうちなみに、ではあるが南北戦争なんぼくせんそうはなさきにある要塞ようさい同士どうし戦闘せんとうおこなわれた事例じれいがあった)。
  • ゆうげきせん - てき戦力せんりょく後方こうほうまたはてき支配しはい地域ちいきにおける戦闘せんとう(ゲリラせんとほぼ同義どうぎ)。
  • 湿地しっちせん - 湿地しっちなどの湿しめおお場所ばしょでの戦闘せんとう
  • ゆきちゅうせん - 寒冷かんれいにおける戦闘せんとう
  • 砂漠さばくせん - 砂漠さばく地域ちいきにおける戦闘せんとう
  • 上陸じょうりくせん - 上陸じょうりくこころみる戦力せんりょくとそれを阻止そししようとする戦力せんりょく衝突しょうとつする海岸かいがん川岸かわぎしにおける戦闘せんとう
  • 機動きどうせん - 部隊ぶたい機動きどうしながら遂行すいこうされる戦闘せんとう[ちゅう 1]
  • 会戦かいせん - だい規模きぼ部隊ぶたい決戦けっせん目的もくてきとして準備じゅんびしたうえで、戦場せんじょう対峙たいじしてからおこなわれる戦闘せんとうおも近代きんだい世界せかい大戦たいせん以前いぜん戦闘せんとうす。
  • 遭遇そうぐうせん - 機動きどうちゅうてき不用意ふようい接触せっしょくしてこる戦闘せんとうをいう。会戦かいせん対義語たいぎご
  • 白兵戦はくへいせん - 近接きんせつ戦闘せんとう部隊ぶたいによる突撃とつげき主要しゅよう戦術せんじゅつ行動こうどうとした戦闘せんとう[1]

海上かいじょう戦闘せんとう

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海戦かいせん水域すいいきにおいて海上かいじょう戦力せんりょく戦術せんじゅつてき衝突しょうとつした戦闘せんとうをいう。気象きしょう水路すいろ海洋かいよう短波たんぱ潮汐ちょうせきなどに影響えいきょうされ、また補給ほきゅう整備せいび関係かんけいから持久じきゅうせん実施じっしすることができず、決戦けっせんとなり、またその結果けっか完全かんぜん勝利しょうり殲滅せんめつてき敗北はいぼくのどちらかになる傾向けいこうつよい。特徴とくちょうとして水域すいいきにおける戦闘せんとうであるために陸上りくじょう戦力せんりょくのように地形ちけい戦力せんりょくすることがほとんどできず、兵器へいき性能せいのう戦闘せんとう勝敗しょうはい直接的ちょくせつてきめる。そのため海戦かいせんランチェスターの法則ほうそくほとんどそのまま適用てきようされる。分類ぶんるいには以下いかのようなものが代表だいひょうてきげられるが、さらに特殊とくしゅ作戦さくせん監視かんし哨戒しょうかい情報じょうほうせん指揮しき統制とうせい電子でんしせん補給ほきゅうなどがかかわる。

  • 水上みずかみ打撃だげきせん - 水上みずかみ艦艇かんていを以っててき水上すいじょう艦艇かんてい地上ちじょう戦力せんりょく陸地りくち施設しせつなどにたいしてほうやミサイルなどで攻撃こうげきする戦闘せんとう
  • 空母くうぼ航空こうくう打撃だげきせん - 航空こうくう母艦ぼかん航空こうくうたいもちいて敵艦てきかんたいたいして航空こうくう攻撃こうげきおこな戦闘せんとう
  • 対空たいくう戦闘せんとう - てき航空こうくう戦力せんりょくたいして航空こうくう攻撃こうげき妨害ぼうがいするために対空たいくうミサイルや機関きかんほうなどで攻撃こうげきおこな戦闘せんとう
  • たいせん戦闘せんとう - 潜水せんすいかんたいするたいせん艦艇かんてい航空機こうくうきによる戦闘せんとうをいう。その要領ようりょうとして、聴音ちょうおんソナーアクティブソナーなどをもちいて捜索そうさく探知たんちしてたいせん魚雷ぎょらいたいせんミサイル攻撃こうげきおこなう。また潜水せんすいかん攻撃こうげき迅速じんそく対応たいおうするために精度せいど犠牲ぎせいにしておこな攻撃こうげきおこな場合ばあいもある。
  • 機雷きらいせん - 戦略せんりゃくてき作戦さくせんてき戦術せんじゅつてき機雷きらい敷設ふせつ掃海そうかい

航空こうくう戦闘せんとう

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航空こうくうせん航空こうくう戦力せんりょくによる戦闘せんとうをいう。航空こうくうせんきわめて迅速じんそく進展しんてんし、また地球ちきゅうじょうあらゆる場所ばしょ発生はっせいし、高度こうど打撃だげきりょくてき交戦こうせんできる特徴とくちょうがある。航空こうくう戦力せんりょく長時間ちょうじかんその空域くういき駐留ちゅうりゅうすることはできないため、その進展しんてん即時そくじ決戦けっせんであり、てき航空こうくう戦力せんりょく撃破げきはすることによって航空こうくう優勢ゆうせいることができる。確保かくほただし空軍くうぐんはその戦力せんりょく特徴とくちょうじょうから作戦さくせんによって分類ぶんるいしている。

  • 戦略せんりゃくてき航空こうくう作戦さくせん - てき戦略せんりゃく要地ようちようせんたいする攻撃こうげきおこな作戦さくせんをいう。
  • 戦術せんじゅつてき航空こうくう作戦さくせん - 作戦さくせん地域ちいきにおいて味方みかた陸上りくじょうおよ海上かいじょう戦力せんりょく連携れんけいしててき部隊ぶたい攻撃こうげきする作戦さくせんをいう。
  • 防空ぼうくう作戦さくせん - 侵攻しんこうするてき航空こうくう戦力せんりょく撃破げきは妨害ぼうがいすることにより防護ぼうご対象たいしょう防護ぼうごする作戦さくせんをいう。

その戦闘せんとう

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戦闘せんとうとは戦力せんりょく直接的ちょくせつてき戦闘せんとうりょく行使こうしし、相手あいて排除はいじょしてでも目的もくてき達成たっせいしようとする場合ばあい発生はっせいするものであるため、ここでべる戦闘せんとう厳密げんみつには戦闘せんとうではない。しかし闘争とうそう形態けいたいとして一般いっぱんてき認知にんちされている。

脚注きゃくちゅう

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注釈ちゅうしゃく

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  1. ^ きゅう軍用ぐんようでは運動うんどうせん

出典しゅってん

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  1. ^ きゅう軍用ぐんようではとおせんせん火器かきもちいた戦闘せんとう)と対比たいひされることがある。

参考さんこう文献ぶんけん

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関連かんれん項目こうもく

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