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はす交層

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スロバキアモドラ英語えいごばん北西ほくせい所在しょざいするカルパティア山脈さんみゃくうちにて撮影さつえいされたはす交葉

はす交層(しゃこうそうり、英語えいご: cross-bedding[1]:8)は堆積たいせき構造こうぞうひとつである。規模きぼによってははす交葉(しゃこうようり、英語えいご: cross-lamination[1]:8)・クロスラミナという。

はす交層はす交葉区別くべつはその規模きぼによってなされる。保柳ほやなぎ, 公文こうぶん & 松田まつだ (2004)によると、具体ぐたいてきおおきさはしめさないものの、小型こがたのものははす交葉大型おおがたのものははす交層としている[2]:12日本にっぽんだい百科全書ひゃっかぜんしょによると、たんそうあつさが1 cm以下いかのものがはす交葉であり、これ以上いじょうのものがはす交層であるとしている[3]Hurlbut (1976)あつさがすうmmよりちいさいものははす交葉であり、それ以上いじょうのものがはす交層であるとしている[4]。また、神奈川かながわ県立けんりつ生命せいめいほし地球ちきゅう博物館はくぶつかん (2016)は、はす交葉小型こがたのものもしくはたんそう内部ないぶのものとしている[5]:45

形成けいせい[編集へんしゅう]

はす交葉形成けいせい
USGSによるアニメーション

はす交層一定いっていながれのなかにおいて砕屑ぶつ堆積たいせきかえすことによって形成けいせいされる。おな環境かんきょうではさざなみこんやこれが連続れんぞくしたデューン形成けいせいされることもあり、その内部ないぶ構造こうぞうとなっていることもある[2]:12。また、はす交層はす交葉内部ないぶにおいてはきゅうそうられることもある[6]

流速りゅうそく低速ていそく場所ばしょにおいては平板へいばんがたはす交層が、高速こうそく場所ばしょにおいてはトラフがたはす交層形成けいせいされる。これはさざなみこん形状けいじょう直線ちょくせんじょうから曲線きょくせんじょう変化へんかすることに対応たいおうする[1]:21[2]:12。このようなはす交層はす交葉さざなみこんやデューンの前進ぜんしんともなって形成けいせいされる[2]:89

このように形成けいせいされたため、地層ちそうなかはす交層もしくははす交葉存在そんざいした場合ばあいは、みずふうなどの流動りゅうどうせいのある物体ぶったい存在そんざいしたという堆積たいせき環境かんきょうしめしている[7]

種類しゅるい[編集へんしゅう]

はす交層にはいくつかの種類しゅるい存在そんざいする。

ヘリンボーン構造こうぞう[編集へんしゅう]

ヘリンボーン構造こうぞうえい: herringbone structure)はことなるりゅうむこうふたつのながれによって形成けいせいされるニシンほねじょう構造こうぞうであり、おも潮汐ちょうせきともな堆積たいせきによって形成けいせいされる[8]:74

ハンモックじょうはす交層[編集へんしゅう]

ハンモックじょうはす交層えい: hummocky cross stratification、HCS[8]:74)はシルトからすなにかけてみられるはす交葉一種いっしゅである。この構造こうぞうなかにおいて上側うわがわとつ部分ぶぶんを「ハンモック」、反対はんたいしたがわとつ部分ぶぶんを「スウェール」とぶ。

つよみず条件じょうけんにおいて形成けいせいされるものとしては、ハンモックの存在そんざいせずスウェールのみが存在そんざいする「スウェールじょうはす交層」(えい: swaley cross stratification、SCS[8]:74)が存在そんざいする。これはLeckie & Walker (1982)において提唱ていしょうされたものである[9]:70

活用かつよう[編集へんしゅう]

ザイオン国立こくりつ公園こうえんうちられる地層ちそうちゅうはす交層

はす交層存在そんざいは、以下いかげる事柄ことがらしめしうる。

古流こりゅうむこう[編集へんしゅう]

さきしめしたとおり、はす交層ながれむかいによってその形状けいじょう変化へんかする。すなわちその形状けいじょうからかつてのりゅうむこう検討けんとうすることが可能かのうである[7]

平板へいばんがたはす交葉もしくははす交葉では、その傾斜けいしゃめんはしこう傾斜けいしゃ測定そくていすることによって古流こりゅうむこう復元ふくげんすることが可能かのうである。水平すいへいちかはす交層もしくははす交葉においては、このはしむかい直交ちょっこうする方向ほうこうがそのまま古流こりゅうむこうとなる。傾斜けいしゃのある地層ちそうにおいては、傾斜けいしゃめんくわえてその地層ちそうはしむかい傾斜けいしゃ測定そくていしたうえで、ステレオ投影とうえいおこなうことによって古流こりゅうむこう復元ふくげんすることが可能かのうである[2]:89-90

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

  1. ^ a b c たいら朝彦あさひこ地層ちそう解読かいどく』 2かん岩波書店いわなみしょてん地質ちしつがく〉、2004ねん7がつISBN 4-00-006241-7NCID BA68101069OCLC 169956808国立こくりつ国会図書館こっかいとしょかん書誌しょしID:000007442541 全国ぜんこく書誌しょし番号ばんごう:20662351 
  2. ^ a b c d e 保柳ほやなぎ康一やすいち公文くもん富士夫ふじお松田まつだひろしたか ちょ日本にっぽん地質ちしつ学会がっかいフィールドジオロジー刊行かんこう委員いいんかい へん堆積たいせきぶつ堆積岩たいせきがん』 3かん共立きょうりつ出版しゅっぱん東京とうきょう〈フィールドジオロジー〉、2004ねん4がつISBN 978-4-320-04683-2NCID BA66873242OCLC 676428748OL 30536648M 国立こくりつ国会図書館こっかいとしょかん書誌しょしID:000007329924 全国ぜんこく書誌しょし番号ばんごう:20585030 
  3. ^ "はす交層". 日本にっぽんだい百科全書ひゃっかぜんしょ. コトバンクより2021ねん1がつ1にち閲覧えつらん
  4. ^ Cornelius S. Hurlbut, ed. (1 January 1976). The Planet we live on: Illustrated encyclopedia of the Earth sciences. ニューヨーク: Abrams. ISBN 978-0-810-90415-6. LCCN 75029977. NCID BA07318431. OCLC 905452135. OL 5204638M インターネットアーカイブplanetweliveonil00hurl
  5. ^ 神奈川かながわ県立けんりつ生命せいめいほし地球ちきゅう博物館はくぶつかん へん岩石がんせき鉱物こうぶつ地層ちそう』 1かん新版しんぱん)、有隣堂ゆうりんどう横浜よこはま〈かながわの自然しぜん図鑑ずかん〉、2016ねん3がつISBN 978-4-896-60221-0NCID BB20973621OCLC 985974798OL 30692387M 国立こくりつ国会図書館こっかいとしょかん書誌しょしID:027092645 全国ぜんこく書誌しょし番号ばんごう:22696825 
  6. ^ Reesink, A.J.H.; Bridge, J.S. (2007). "Influence of superimposed bedforms and flow unsteadiness on formation of cross strata in dunes and unit bars". Sedimentary Geology. 202 (1–2): 281–296. doi:10.1016/j.sedgeo.2007.02.005. ISSN 0037-0738. OCLC 180847665
  7. ^ a b Collinson, John David; Thompson, David B. (1989). Sedimentary structures (2nd ed.). London: Unwin Hyman. ISBN 978-0-04445-171-6. LCCN 88019337. NCID BA05092713. OCLC 246899559. LCC QE472 OL 2042570M
  8. ^ a b c 加藤かとう碵一、脇田わきた浩二こうじ今井いまいのぼる遠藤えんどう祐二ゆうじ村上むらかみひろし地質ちしつがくハンドブック』朝倉書店あさくらしょてん、2011ねんISBN 978-4-254-16270-7NCID BB06950397OCLC 763083068国立こくりつ国会図書館こっかいとしょかん書誌しょしID:0000112444469 全国ぜんこく書誌しょし番号ばんごう:21967075 
  9. ^ 西村にしむら瑞恵みずえ横川よこかわ美和みわハンモックじょうはす交層(用語ようご解説かいせつ)」『地球ちきゅう科学かがくだい45かんだい1ごう地学ちがく団体だんたい研究けんきゅうかい、1991ねん、69-70ぺーじdoi:10.15080/agcjchikyukagaku.45.1_69ISSN 0366-6611NAID 110007092586 

関連かんれん文献ぶんけん[編集へんしゅう]

  • Harms, J.C.; Southard, J.B.; Spearing, D.R.; Walker, R.G. (1975). Depositional Environments as Interpreted from Primary Sedimentary Structures and Stratification Sequences. SEPM Short Course Notes. Vol. 2. Society for Sedimentary Geology. doi:10.2110/scn.75.02. ISBN 978-1-565-76231-2
  • Leckie, D.A.; Walker, R.G. (1 February 1982). "Storm-and Tide-Dominated Shorelines in Cretaceous Moosebar-Lower Gates Interval - Outcrop Equivalents of Deep Basin Gas Trap in Western Canada1". AAPG Bulletin. 66 (2): 138–157. doi:10.1306/03B59A53-16D1-11D7-8645000102C1865D. ISSN 0149-1423. OCLC 5866411881

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]