星団せいだん

星団せいだん（せいだん、star cluster）は、同おなじガスから誕生たんじょうした、互たがいの重力じゅうりょく相互そうご作用さようによって結むすびついた恒星こうせいの集団しゅうだん^[1]^[2]。その特徴とくちょうから散開さんかい星団せいだん (英えい: open cluster) と球状きゅうじょう星団せいだん (英えい: globular cluster) に分類ぶんるいされる。

星団せいだんの種類しゅるい

散開さんかい星団せいだん

詳細しょうさいは「散開さんかい星団せいだん」を参照さんしょう

数すう十じゅうから数すう百ひゃくの恒星こうせいが最大さいだいで50光年こうねんほどの範囲はんいに集あつまっている星団せいだん^[3]。銀河ぎんが円盤えんばんの渦状かじょう腕うでに存在そんざいすることから galactic cluster とも呼よばれ^[3]、地球ちきゅうからは天そらの川かわの近ちかくに多おおく見みられる。同おなじ星ほし間あいだ分子ぶんし雲くもから誕生たんじょうして数すう百ひゃく万まん年ねんから数すう千せん万まん年ねんしか経たっていない「種族しゅぞくI」の恒星こうせいで構成こうせいされている^[4]。よく知しられている散開さんかい星団せいだんとして、プレヤデス星団せいだん^[5]やヒアデス星団せいだんが挙あげられる^[3]。

散開さんかい星団せいだんの分類ぶんるいには、「星団せいだん中心ちゅうしん部ぶの集中しゅうちゅう度ど」「星団せいだんに属ぞくする星ほし々の明暗めいあんの幅はば」「星団せいだんに属ぞくする星ほしの数かず」の3つの要素ようそで分類ぶんるいする「トランプラー分類ぶんるい (英えい: Trumpler classification)」が用もちいられる^[6]。

ヒアデス星団せいだんやおおぐま座ざ運動うんどう星団せいだんのように、収束しゅうそく点てん (英えい: convergent point) と呼よばれる天球てんきゅう上じょうのある一いち点てんに向むかって動うごいているように見みえる恒星こうせいからなる散開さんかい星団せいだんは「運動うんどう星団せいだん (英えい: moving cluster, moving group)」と呼よばれる^[7]^[8]。おおぐま座ざ運動うんどう星団せいだんは、おおぐま座ざαあるふぁ星ほしとηいーた星ほしを除のぞく北斗七星ほくとしちせいの5つなどが属ぞくする、地球ちきゅうに最もっとも近ちかい星団せいだんである。

主おもな散開さんかい星団せいだん^[9]
名称めいしょう	別名べつめい	星座せいざ	視み直径ちょっけい	距離きょり	年齢ねんれい	恒星こうせいの数かず
M45	プレヤデス星団せいだん Pleiades	おうし座ざ	2°	約やく430 光年こうねん	1億おく3500万まん歳さい	50
M44	プレセペ星団せいだん Praesepe Beehive	かに座ざ	70′	約やく610 光年こうねん	7億おく2900万まん歳さい	70
Melotte 25	ヒアデス星団せいだん Hyades	おうし座ざ	5.5°	約やく150 光年こうねん	7億おく8700万まん歳さい	55
M7	トレミー星団せいだん Ptolemy's Cluster	さそり座ざ	80′	約やく300 光年こうねん	2億おく9900万まん歳さい	120
Melotte 111	かみのけ座ざ星団せいだん Coma Berenices Cluster	かみのけ座ざ	2°	約やく310 光年こうねん	4億おく4900万まん歳さい	863

球状きゅうじょう星団せいだん

詳細しょうさいは「球状きゅうじょう星団せいだん」を参照さんしょう

数すう万まんから数すう百ひゃく万まんの恒星こうせいが直径ちょっけい100-300光年こうねんのほぼ球状きゅうじょうの領域りょういきに密集みっしゅうしている星団せいだん^[10]。銀河ぎんがハローに分布ぶんぷしており、銀河ぎんが形成けいせいの初期しょき段階だんかい、あるいは銀河ぎんが同士どうしの衝突しょうとつ合体がったいに伴ともなって生成せいせいされたと考かんがえられている^[11]。主おもに「種族しゅぞくII」に分類ぶんるいされる金属きんぞく量りょう^{[注ちゅう 1]}の少すくない年老としおいた星ほしで構成こうせいされており、誕生たんじょうから100億おく年ねん以上いじょう経過けいかした星ほしも多おおい^[11]。天そらの川かわ銀河ぎんが内ないにある球状きゅうじょう星団せいだんまでの距離きょり決定けっていと年齢ねんれいの推定すいていには、球状きゅうじょう星団せいだんによく見みられることから「星団せいだん型がた変光星へんこうせい (cluster variables)」とも呼よばれていたこと座ざRR型がた変光星へんこうせいの周期しゅうき-光度こうど関係かんけいが用もちいられる^[12]^[13]。

球状きゅうじょう星団せいだんの分類ぶんるいには、星団せいだん中心ちゅうしん部ぶへの恒星こうせいの集中しゅうちゅう度どによって12段階だんかいに分類ぶんるいする「シャプレー・ソーヤー集中しゅうちゅう度ど分類ぶんるい (英えい: Shapley-Sawyer Concentration Class)」が用もちいられる^[14]。

主おもな球状きゅうじょう星団せいだん

研究けんきゅう対象たいしょうとしての星団せいだん

散開さんかい星団せいだんや球状きゅうじょう星団せいだんは、恒星こうせい進化しんかの理論りろんを検証けんしょうするために重用じゅうようされており、「星ほしの進化しんかの実験じっけん室しつ」と呼よばれることもある^[15]。これは、

同おなじ星団せいだんに属ぞくする星ほしは、どれもほぼ同おなじ時期じきに誕生たんじょうしたと見みなせる。
同おなじ星団せいだんに属ぞくする星ほしは、地球ちきゅうからの距離きょりがどれもほぼ同おなじと見みなせる。
同おなじ星団せいだんに属ぞくする星ほしは、同おなじ分子ぶんし雲くもから誕生たんじょうしたため、誕生たんじょう時じの金属きんぞく量りょうもほぼ同一どういつと見みなせる。

といった、星団せいだんに属ぞくする星ほしに共通きょうつうして見みられる特徴とくちょうによる。すなわち、星団せいだんでは様々さまざまな質量しつりょうを持もつ星ほしが同おなじ分子ぶんし雲くもからほぼ同どう時期じきに生うまれたと見みなせるため、現在げんざいの光度こうどやスペクトルを観測かんそくすることで、異ことなる質量しつりょうを持もつ恒星こうせいがそれぞれどのように進化しんかするのかという恒星こうせい進化しんかの理論りろんを検証けんしょうするのに都合つごうが良よい^[16]。また、同おなじ星団せいだんの星ほしはどれも地球ちきゅうからほぼ同おなじ距離きょりにあると見みなせるため、HR図ずの縦たて軸じくの絶対ぜったい等級とうきゅうを見みかけの等級とうきゅうに、横よこ軸じくの有効ゆうこう温度おんどを色いろ指数しすうに置おき換かえた「色いろ-等級とうきゅう図ず (color magnitude diagram)」を用もちいて、星団せいだんまでの距離きょりや年齢ねんれいを推定すいていすることができる^[16]。

脚注きゃくちゅう

[脚注きゃくちゅうの使つかい方かた]

注釈ちゅうしゃく

^ 水素すいそとヘリウム以外いがいの元素げんその存在そんざい量りょうのこと。

出典しゅってん

^ Ian Ridpath 2018, p. 861.
^ “星団せいだん”. 天文学てんもんがく辞典じてん. 日本にっぽん天文てんもん学会がっかい (2018年ねん4月がつ20日はつか). 2022年ねん3月がつ6日にち閲覧えつらん。
^ ^a ^b ^c Ian Ridpath 2018, p. 699.
^ “散開さんかい星団せいだん”. 天文学てんもんがく辞典じてん. 日本にっぽん天文てんもん学会がっかい (2019年ねん9月がつ30日にち). 2022年ねん3月がつ6日にち閲覧えつらん。
^ "プレヤデス". 日本にっぽん大だい百科全書ひゃっかぜんしょ(ニッポニカ). コトバンクより2022年ねん3月がつ12日にち閲覧えつらん。
^ Ian Ridpath 2018, p. 912.
^ “運動うんどう星団せいだん”. 天文学てんもんがく辞典じてん. 日本にっぽん天文てんもん学会がっかい (2018年ねん4月がつ11日にち). 2022年ねん3月がつ12日にち閲覧えつらん。
^ Ian Ridpath 2018, p. 666.
^ “Catalog of Optically Visible Open Clusters and Candidates”. OPEN CLUSTERS AND GALACTIC STRUCTURE. 2022年ねん3月がつ13日にち閲覧えつらん。
^ Ian Ridpath 2018, p. 472.
^ ^a ^b “球状きゅうじょう星団せいだん”. 天文学てんもんがく辞典じてん. 日本にっぽん天文てんもん学会がっかい (2019年ねん9月がつ30日にち). 2022年ねん3月がつ6日にち閲覧えつらん。
^ “星団せいだん型がた変光星へんこうせい”. 天文学てんもんがく辞典じてん. 日本にっぽん天文てんもん学会がっかい (2019年ねん9月がつ8日にち). 2022年ねん3月がつ10日とおか閲覧えつらん。
^ 安田やすだ直樹なおき著ちょ「6.2.2 1次じ距離きょり指標しひょう」、谷口たにぐち義明よしあき、岡村おかむら定じょう矩のり、祖父江そふえ義明よしあき編へん『4 銀河ぎんがI』（第だい2版はん第だい1刷さつ）日本にっぽん評論ひょうろん社しゃ〈シリーズ現代げんだいの天文学てんもんがく〉、2018年ねん8月がつ25日にち、199頁ぺーじ。ISBN 978-4-535-60754-5。
^ Frommert, Hartmut (2014年ねん2月がつ19日にち). “Concentration Classes of Globular Clusters”. SEDS Messier Database. 2022年ねん3月がつ12日にち閲覧えつらん。
^ 有本ありもと信雄のぶお著ちょ「5.1.2 銀河ぎんがの進化しんかの実験じっけん室しつ」、祖父江そふえ義明よしあき、有本ありもと信雄のぶお、家いえ正則せいそく編へん『5 銀河ぎんがII』（第だい2版はん第だい1刷さつ）日本にっぽん評論ひょうろん社しゃ〈シリーズ現代げんだいの天文学てんもんがく〉、2018年ねん3月がつ15日にち、181頁ぺーじ。ISBN 978-4-535-60755-2。
^ ^a ^b 沢さわ武文たけふみ著ちょ「23 星団せいだんの色いろ-等級とうきゅう図ず」、福ぶく江こう純じゅん、沢さわ武文たけふみ、高橋たかはし真しん聡さとし編へん『極きょく・宇宙うちゅうを解とく-現代げんだい天文学てんもんがく演習えんしゅう』（初版しょはん）恒星こうせい社しゃ厚生こうせい閣かく、2020年ねん2月がつ10日とおか、95頁ぺーじ。ISBN 978-4-7699-1643-7。

参考さんこう文献ぶんけん

Ian Ridpath, ed (2018-04-26). A Dictionary of Astronomy (3rd ed.). Oxford University Press. ISBN 9780192542618