時間じかん発展はってん

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時間じかん変化へんかから転送てんそう

時間じかん発展はってん(じかんはってん)とは、時間じかんすすむことで物理ぶつりけい変化へんかすることである。

古典こてんろん[編集へんしゅう]

古典こてん物理ぶつりがくにおける時間じかん発展はってんとは、物理ぶつりりょう時間じかんによって変化へんかすることである。

たとえば古典こてん力学りきがくいち形式けいしきであるニュートン力学りきがくでは、時間じかん発展はってんニュートンの運動うんどう方程式ほうていしきによって表現ひょうげんする。これと等価とうかハミルトン力学りきがくでは、時間じかん発展はってんせいじゅん方程式ほうていしき表現ひょうげんされ、ラグランジュ力学りきがくでは、時間じかん発展はってんオイラー・ラグランジュの運動うんどう方程式ほうていしき表現ひょうげんされる。

量子りょうしろん[編集へんしゅう]

量子りょうしろんでは、どんなにおな状態じょうたい用意よういしておなじように物理ぶつりりょうオブザーバブル)の測定そくていおこなっても、測定そくてい測定そくていごとにバラバラである。量子りょうしろん測定そくていにおいて、状態じょうたいとオブザーバブルがまっているときに一意的いちいてきさだまっているのは「測定そくていかくりつ分布ぶんぷ」である。よって量子りょうしろんでは「測定そくていかくりつ分布ぶんぷ」を基本きほんにして理論りろん構築こうちくする。ぎゃくえば、られる「測定そくていかくりつ分布ぶんぷ」がおなじならどんな理論りろんつくってもよい(実際じっさい演算えんざん形式けいしき経路けいろ積分せきぶん形式けいしきなどの理論りろんつくられている)。

よって量子りょうしろんではけい時間じかん発展はってんについても測定そくていかくりつ分布ぶんぷもちいて定義ていぎする。量子りょうしろんにおけるけい時間じかん発展はってんとは、測定そくていおこな時間じかんによってられる測定そくていかくりつ分布ぶんぷことなることである。

時間じかん発展はってん定式ていしきも、おな測定そくていかくりつ分布ぶんぷあたえるならばどんな方法ほうほうでもい。代表だいひょうてき方法ほうほうとして、以下いかの3つがある。この3つの方法ほうほうはどれも等価とうかである。

時間じかん発展はってん演算えんざん[編集へんしゅう]

じたけい場合ばあい時刻じこくt での状態じょうたい時刻じこくt = 0 での状態じょうたいユニタリ変換へんかんしたものである。つまりベクトルながさや内積ないせき時間じかんってもわらない(これは時間じかん発展はってん基礎きそ方程式ほうていしき、たとえばシュレーディンガー方程式ほうていしきなどからも当然とうぜんみちびかれる)。

このユニタリ変換へんかんは、ひとつのヒルベルト空間くうかんうちでのユニタリ変換へんかんなので、そのヒルベルト空間くうかんじょう演算えんざんける。これを時間じかん発展はってん演算えんざん時間じかん推進すいしん演算えんざんともばれる)とび、く。

これはつぎ性質せいしつたすユニタリ演算えんざんである。

時間じかん発展はってん演算えんざんたすべき方程式ほうていしきは、シュレーディンガー方程式ほうていしきより、

である。ハミルトニアンあらわされるそれぞれの場合ばあいで、このしき初期しょき条件じょうけんとしてくと、その場合ばあい時間じかん発展はってんあらわ時間じかん発展はってん演算えんざん具体ぐたいてきかたちられる。

参考さんこう文献ぶんけん[編集へんしゅう]

  • 清水しみずあきら新版しんぱん 量子りょうしろん基礎きそ―その本質ほんしつのやさしい理解りかいのために―』サイエンスしゃ、2004ねんISBN 4-7819-1062-9