有価ゆうか証券しょうけん報告ほうこく書しょ

有価ゆうか証券しょうけん報告ほうこく書しょ（ゆうかしょうけんほうこくしょ）とは、金融きんゆう商品しょうひん取引とりひき法ほうで規定きていされている、事業じぎょう年度ねんどごとに作成さくせいする企業きぎょう内容ないようの外部がいぶへの開示かいじ資料しりょうである。略りゃくして有ゆう報ほう（ゆうほう）と呼よばれることもある。本ほん項こうでは朝陽あさひ会かいが発行はっこうし、全国ぜんこく官報かんぽう販売はんばい組合くみあいが発売はつばいする有価ゆうか証券しょうけん報告ほうこく書しょ総覧そうらんについても記述きじゅつする。

根拠こんきょ法令ほうれい

提出ていしゅつ根拠こんきょ法令ほうれい：金融きんゆう商品しょうひん取引とりひき法ほう第だい24条じょう
提出ていしゅつ様式ようしき及および内容ないようの根拠こんきょ：企業きぎょう内容ないよう等とうの開示かいじに関かんする内閣ないかく府ふ令れい

報告ほうこく書しょ提出ていしゅつの義務ぎむ

次つぎのような株式会社かぶしきがいしゃには、各かく事業じぎょう年度ねんど終了しゅうりょう後ご、3か月げつ以内いないの金融きんゆう庁ちょうへの提出ていしゅつが義務ぎむづけられている。

金融きんゆう商品しょうひん取引とりひき所しょ（証券しょうけん取引とりひき所しょ）に株式かぶしき公開こうかいしている会社かいしゃ
店頭てんとう登録とうろくしている株式かぶしきの発行はっこう会社かいしゃ
有価ゆうか証券しょうけん届出とどけで書しょ提出ていしゅつ会社かいしゃ - 有価ゆうか証券しょうけん届出とどけで書しょとは、1億おく円えん以上いじょうの有価ゆうか証券しょうけん（株券かぶけんや社債しゃさい券けんなど）の募集ぼしゅう（新規しんき発行はっこう）または売出うりだしを行おこなう際さいに、有価ゆうか証券しょうけんの発行はっこう者しゃが金融きんゆう商品しょうひん取引とりひき法ほう第だい4条じょう・5条じょうに基もとづき、内閣ないかく総理そうり大臣だいじん（窓口まどぐちは財務局ざいむきょく）に提出ていしゅつすることが義務ぎむづけられている書類しょるい。発行はっこうする会社かいしゃの営業えいぎょう状じょう況きょうや事業じぎょうの内容ないよう、および有価ゆうか証券しょうけんの発行はっこう条件じょうけんなどが記載きさいされている。
過去かこ5年間ねんかんにおいて、事業じぎょう年度ねんど末日まつじつ時点じてんの株券かぶけんもしくは優先ゆうせん出資しゅっし証券しょうけんの保有ほゆう者しゃ数すうが1000人にん以上いじょうとなったことがある会社かいしゃ（ただし、資本しほん金きん5億おく円えん未満みまんの会社かいしゃを除のぞく）

2004年ねん6月より、各かく財務局ざいむきょくに提出ていしゅつされる報告ほうこく書しょは原則げんそくとしてEDINETへの電子でんし提出ていしゅつが義務付ぎむづけられ、これまでの紙面しめんによる提出ていしゅつはできなくなった。

会社かいしゃ法ほう施行しこうにより、有価ゆうか証券しょうけん報告ほうこく書しょ提出ていしゅつが義務付ぎむづけられている会社かいしゃの場合ばあい、自社じしゃウェブサイトでの決算けっさん公告こうこく記載きさいの代かわりに、有ゆう報ほうの提出ていしゅつをもって代かえている会社かいしゃもある。この場合ばあいはEDINETへリンクを張はっている。

2013年ねん8月がつ9日にちに、東京とうきょう証券しょうけん取引とりひき所しょ有価ゆうか証券しょうけん上場じょうじょう規程きてい施行しこう規則きそくが改正かいせいされ、同時どうじに有価ゆうか証券しょうけん報告ほうこく書しょの提出ていしゅつ遅延ちえんによる上場じょうじょう廃止はいし基準きじゅんが改正かいせいされた^[1]。有価ゆうか証券しょうけん報告ほうこく書しょの提出ていしゅつ遅延ちえんによる上場じょうじょう廃止はいし基準きじゅんは以下いかの通とおりである。

法定ほうてい提出ていしゅつ期限きげんの1か月げつ以内いないに提出ていしゅつしなかった場合ばあい
天災てんさい地変ちへん等とう、上場じょうじょう会社かいしゃの責ぜめに帰きすべからざる事由じゆうによる場合ばあいは、法定ほうてい提出ていしゅつ期限きげんの3か月げつ以内いないに提出ていしゅつしなかった場合ばあい
内閣ないかく総理そうり大臣だいじんから有価ゆうか証券しょうけん報告ほうこく書しょ等とうの提出ていしゅつ期間きかんの延長えんちょうの承認しょうにんを得えた場合ばあいは、承認しょうにんを得えた期間きかんの経過けいか後ご、休業きゅうぎょう日びを除のぞく8日にち以内いないに提出ていしゅつしなかった場合ばあい

報告ほうこく書しょの内容ないよう

主おもな項目こうもくは、次つぎのようなものである（連結れんけつ決算けっさんを行おこなっている一般いっぱん事業じぎょう会社かいしゃの場合ばあい）

企業きぎょう情報じょうほう
1. 企業きぎょうの概況がいきょう
  1. 主要しゅような経営けいえい指標しひょう等とうの推移すいい
  2. 沿革えんかく
  3. 事業じぎょうの内容ないよう
  4. 関係かんけい会社かいしゃの状況じょうきょう
  5. 従業じゅうぎょう員いんの状況じょうきょう
2. 事業じぎょうの状況じょうきょう
  1. 経営けいえい方針ほうしん、経営けいえい環境かんきょう及および対処たいしょすべき課題かだい等とう
  2. サステナビリティに関かんする考かんがえ方かた及および取組とりくみ
  3. 事業じぎょう等とうのリスク
  4. 経営けいえい者しゃによる財政ざいせい状態じょうたい、経営けいえい成績せいせき及およびキャッシュ・フローの状況じょうきょうの分析ぶんせき
  5. 経営けいえい上じょうの重要じゅうような契約けいやく等とう
  6. 研究けんきゅう開発かいはつ活動かつどう
3. 設備せつびの状況じょうきょう
  1. 設備せつび投資とうし等とうの概要がいよう
  2. 主要しゅような設備せつびの状況じょうきょう
  3. 設備せつびの新設しんせつ、除じょ却等の計画けいかく
4. 提出ていしゅつ会社かいしゃの状況じょうきょう
  1. 株式かぶしき等とうの状況じょうきょう（株式かぶしきの総数そうすう、新株しんかぶ予約よやく権けんの状況じょうきょう、大だい株主かぶぬしの状況じょうきょうなど）
  2. 自己じこ株式かぶしきの取得しゅとく等とうの状況じょうきょう
  3. 配当はいとう政策せいさく
  4. コーポレート・ガバナンスの状況じょうきょう（役員やくいんの状況じょうきょう、監査かんさの状況じょうきょう、役員やくいんの報酬ほうしゅう等とう、株式かぶしきの保有ほゆう状じょう況きょうなど）
5. 経理けいりの状況じょうきょう
  1. 連結れんけつ財務諸表ざいむしょひょう等とう
    1. 連結れんけつ財務諸表ざいむしょひょう
      1. 連結れんけつ貸借たいしゃく対照たいしょう表ひょう
      2. 連結れんけつ損益そんえき計算けいさん書しょ
      3. 連結れんけつ包括ほうかつ利益りえき計算けいさん書しょ
      4. 連結れんけつ株主かぶぬし資本しほん等とう変動へんどう計算けいさん書しょ
      5. 連結れんけつキャッシュ・フロー計算けいさん書しょ
      6. 連結れんけつ附属ふぞく明細めいさい表ひょう
    2. その他た
  2. 財務諸表ざいむしょひょう等とう
    1. 財務諸表ざいむしょひょう
      1. 貸借たいしゃく対照たいしょう表ひょう
      2. 損益そんえき計算けいさん書しょ
      3. 株主かぶぬし資本しほん等とう変動へんどう計算けいさん書しょ
      4. 附属ふぞく明細めいさい表ひょう
    2. 主おもな資産しさん及および負債ふさいの内容ないよう
    3. その他た
6. 提出ていしゅつ会社かいしゃの株式かぶしき事務じむの概要がいよう
7. 提出ていしゅつ会社かいしゃの参考さんこう情報じょうほう
  1. 提出ていしゅつ会社かいしゃの親会社おやがいしゃ等とうの情報じょうほう
  2. その他たの参考さんこう情報じょうほう
提出ていしゅつ会社かいしゃの保証ほしょう会社かいしゃ等とうの情報じょうほう
監査かんさ報告ほうこく書しょ

同様どうように、事業じぎょう年度ねんどを3か月げつ毎ごと（四半期しはんき）に区切くぎって、前ぜん事業じぎょう年度ねんどの有価ゆうか証券しょうけん報告ほうこく書しょと比較ひかくして変動へんどうがあった情報じょうほうを開示かいじする「四半期しはんき報告ほうこく書しょ」もある。

報告ほうこく書しょの内容ないようは、財務局ざいむきょくや証券しょうけん取引とりひき所しょで閲覧えつらんできるほか、自社じしゃのウェブサイトにPDFファイルの形かたちで登録とうろくしてあることも多おおい。また、報告ほうこく書しょの提出ていしゅつ義務ぎむのある会社かいしゃは、金融きんゆう庁ちょうの電子でんし開示かいじ・提出ていしゅつシステム「EDINET」を通つうじて電子でんし提出ていしゅつすることが義務ぎむづけられており、同庁どうちょうが設置せっちしたウェブサーバ経由けいゆでの縦覧じゅうらんが可能かのう。

有価ゆうか証券しょうけん報告ほうこく書しょ総覧そうらん

→「監査かんさの歴史れきし」も参照さんしょう

有価ゆうか証券しょうけん報告ほうこく書しょ総覧そうらん（以下いか総覧そうらんという）は1961年ねん3月がつ期きから2003年ねん11月期きまで国立こくりつ印刷いんさつ局きょく（当時とうじは大蔵省おおくらしょう印刷いんさつ局きょく→財務省ざいむしょう印刷いんさつ局きょく）が発行はっこうし、2003年ねん12月がつ期きから朝陽あさひ会かいが発行はっこうし、全国ぜんこく官報かんぽう販売はんばい組合くみあいが発売はつばいしている。この項目こうもくでは発行はっこう後ごの歴史れきしについて記述きじゅつする。

1966年ねん：総覧そうらんのレイアウトを全面ぜんめん変更へんこう。この時ときに総覧そうらんの記載きさいスタイルがほぼ確立かくりつされた。役員やくいんの略歴りゃくれきに「昭和しょうわ○年ねん○月がつ入社にゅうしゃ（以下いか省略しょうりゃく）、昭和しょうわ○年ねん○月がつ代表だいひょう取締役とりしまりやく社長しゃちょうに就任しゅうにん、現在げんざいに至いたる」から1行ぎょうごとに「昭和しょうわ○年ねん○月がつ入社にゅうしゃ（以下いか省略しょうりゃく）昭和しょうわ○年ねん○月がつ代表だいひょう取締役とりしまりやく社長しゃちょうに就任しゅうにん」に変更へんこう。提出ていしゅつ会社かいしゃの名前なまえ入いりの印鑑いんかん、代表だいひょう取締役とりしまりやく社長しゃちょうの印鑑いんかんが入はいるようになった。
1967年ねん：公認こうにん会計士かいけいし法ほうの改正かいせいにより「公認こうにん会計士かいけいしの監査かんさ証明しょうめい」の表示ひょうじを「公認こうにん会計士かいけいしまたは監査かんさ法人ほうじんの監査かんさ証明しょうめい」に変更へんこう。
1971年ねん：証券しょうけん取引とりひき法ほうの改正かいせいに伴ともない、総覧そうらんのレイアウトを一部いちぶ変更へんこう。公認こうにん会計士かいけいしまたは監査かんさ法人ほうじんの監査かんさ証明しょうめいの記述きじゅつを廃止はいし。所有しょゆう者しゃの状況じょうきょうから株主かぶぬしの地域ちいき別べつ分布ぶんぷを廃止はいし。株式かぶしき事務じむの内容ないようを最さい後尾こうびに移動いどう。役員やくいんの所有しょゆう株式かぶしき数すうを全ぜん株かぶ表示ひょうじから千せん株かぶ表示ひょうじに変更へんこうの4点てんが挙あげられる。
1972年ねん：証券しょうけん取引とりひき法ほうの改正かいせいに伴ともない年ねん1回かい決算けっさんの企業きぎょうに半期はんき報告ほうこく書しょ提出ていしゅつが義務ぎむ化かされ、半期はんき報告ほうこく書しょが発行はっこうされるようになる（例れいとして3月決算けっさんの企業きぎょうは9月がつ中ちゅう間あいだ期きの報告ほうこく書しょを提出ていしゅつ）。
1977年ねん：公認こうにん会計士かいけいし法ほうの改正かいせいに伴ともない半期はんき報告ほうこく書しょに公認こうにん会計士かいけいしあるいは監査かんさ法人ほうじんの監査かんさ証明しょうめいが義務ぎむ化かされ、その旨むねが記載きさいされる。
1978年ねん：連結れんけつ財務諸表ざいむしょひょうが義務ぎむ化かされ、連結れんけつ財務諸表ざいむしょひょうが発行はっこうされるようになる。また、「有価ゆうか証券しょうけん報告ほうこく書しょを利用りようされる方ほうに」の項目こうもくを6項目こうもくから2項目こうもくに変更へんこう（上場じょうじょう企業きぎょうの増加ぞうかに伴ともない簡素かんそ化か）。
1983年ねん：役員やくいんの略歴りゃくれきの最さい後尾こうびに「会社かいしゃと役員やくいんとの間あいだの重要じゅうような取引とりひき」が追加ついかされる。
1987年ねん：会社かいしゃの概要がいようの「最近さいきん3年間ねんかんの事業じぎょう年度ねんど別べつ株価かぶか」が「最近さいきん5年間ねんかんの事業じぎょう年度ねんど別べつ株価かぶか」に変更へんこうされ、また前年度ぜんねんどの監査かんさ証明しょうめい書しょも合あわせて記載きさいされるようになる。
1988年ねん：役員やくいんの略歴りゃくれきから住居じゅうきょ表示ひょうじを削除さくじょ。
1992年ねん：連結れんけつ財務諸表ざいむしょひょうが本ほん決算けっさんに統合とうごうされ、新あらたに企業きぎょう集団しゅうだんの概況がいきょうが追加ついかされる。
1994年ねん：商法しょうほうの改正かいせいに伴ともない監査かんさ役やく会かいの設置せっちが義務ぎむ化かされ、役員やくいんの略歴りゃくれきの最さい後尾こうびに「監査かんさ役やく○○は商法しょうほう特例とくれい法ほう第だい18条じょうに定さだめる社外しゃがい監査かんさ役やくである」旨むねが添そえられるようになる。また「主要しゅような経営けいえい指標しひょう等とうの推移すいい」が追加ついかされる。
1998年ねん：大蔵省おおくらしょうの一部いちぶ再編さいへんに伴ともない、提出ていしゅつ先さきが「大蔵おおくら大臣殿おおいどの」から「○○財務局ざいむきょく長殿ながとの」に変更へんこうされる（ただし1993年ねんから提出ていしゅつ企業きぎょうの一部いちぶが「大蔵おおくら大臣殿おおいどの」から「○○財務局ざいむきょく長殿ながとの」に変更へんこうしていた）。
2000年ねん：証券しょうけん取引とりひき法ほうの改正かいせいに伴ともない情報じょうほう開示かいじ制度せいどが連結れんけつベース化かされ、企業きぎょう集団しゅうだんの概況がいきょうが先さきに来くるようなる。役員やくいん間あいだの親族しんぞく関係かんけいがある場合ばあいはその旨むねも合あわせて追加ついかされた。
2001年ねん：中央ちゅうおう省庁しょうちょう再編さいへんに伴ともない、発行はっこう元もとが財務省ざいむしょう印刷いんさつ局きょくに変更へんこうされる。
2003年ねん：発行はっこう元もとが国立こくりつ印刷いんさつ局きょくに変更へんこうされる。
2004年ねん：発行はっこう元もとが朝陽あさひ会かいに変更へんこうされ、全国ぜんこく官報かんぽう販売はんばい組合くみあいが販売はんばいするようになる。
2008年ねん：金融きんゆう商品しょうひん取引とりひき法ほうの施行しこうに伴ともない、四半期しはんき報告ほうこく書しょが発行はっこうされるようになる。

なお、慶應義塾大学けいおうぎじゅくだいがく図書館としょかんに所蔵しょぞうされている総覧そうらんの大半たいはん（2005年ねん9月がつ中ちゅう間あいだ期き発行はっこう分ぶんまで）はGoogle ブックスで最長さいちょう5年間ねんかん分ぶんを読よむことができるほか、東京大学とうきょうだいがくの東京大学とうきょうだいがく経済けいざい学がく図書館としょかん・経済学部けいざいがくぶ資料しりょう室しつでは1985年ねん3月がつ期き（一部いちぶ除のぞく）までの総覧そうらんを読よむことができる。

虚偽きょぎ記載きさい

有価ゆうか証券しょうけん報告ほうこく書しょの虚偽きょぎ記載きさいは、金融きんゆう商品しょうひん取引とりひき法ほうに違反いはんする犯罪はんざいで、同どう法ほう197条じょうにより、個人こじんは10年ねん以下いかの懲役ちょうえき若もしくは1000万まん円えん以下いかの罰金ばっきん又または併科へいか、法人ほうじんは7億おく円えん以下いかの罰金ばっきんと定さだめられている。また金融きんゆう商品しょうひん取引とりひき所しょ（証券しょうけん取引とりひき所しょ）の上場じょうじょう廃止はいし基準きじゅんに該当がいとうしてしまう。虚偽きょぎ記載きさいを行おこなった上うえで金融きんゆう商品しょうひん取引とりひき所しょ（証券しょうけん取引とりひき所しょ）の上場じょうじょうを維持いじし、虚偽きょぎ記載きさいを行おこなった有価ゆうか証券しょうけん報告ほうこく書しょの縦覧じゅうらんが開始かいしされた当日とうじつ以降いこうにその企業きぎょうの株式かぶしきを取得しゅとくし、かつ証券しょうけん取引とりひき等とう監視かんし委員いいん会かいによる強制きょうせい調査ちょうさ当日とうじつ以降いこうもその株式かぶしきを保有ほゆうしていた場合ばあいは、同どう法ほう第だい21条じょうで、株主かぶぬしによる損害そんがい賠償ばいしょう請求せいきゅう権けんが発生はっせいすることになる（但ただし、その株式かぶしきを強制きょうせい調査ちょうさ前日ぜんじつまでに売却ばいきゃくしたり、強制きょうせい調査ちょうさ当日とうじつ以降いこうに取得しゅとくした株式かぶしきは株主かぶぬしによる損害そんがい賠償ばいしょう請求せいきゅう権けんは発生はっせいしない）。このため、虚偽きょぎ記載きさいが発覚はっかくすると、上場じょうじょう企業きぎょうやその経営けいえい陣じんにとっては、きわめて深刻しんこくな事態じたいを迎むかえることになる^{[要よう出典しゅってん]}。

最近さいきんでは、2004年ねんに発覚はっかくした西武鉄道せいぶてつどうの有価ゆうか証券しょうけん報告ほうこく書しょにおけるコクドの持株もちかぶ数すうに関かんする長年ながねんの虚偽きょぎ記載きさいに対たいして、当時とうじのコクド会長かいちょう堤つつみ義明よしあきに懲役ちょうえき2年ねん6か月げつ、罰金ばっきん500万まん円えん、執行しっこう猶予ゆうよ4年ねん、法人ほうじんとしての西武鉄道せいぶてつどうに罰金ばっきん2億おく円えん、法人ほうじんとしてのコクドに罰金ばっきん1億おく5千せん万まん円えんを課かした、2005年ねん 10月27日にちの東京とうきょう地裁ちさい判決はんけつが確定かくていしている。また、西武鉄道せいぶてつどう株式かぶしきは、それに先立さきだつ2004年ねん 12月17日にちをもって、東京とうきょう証券しょうけん取引とりひき所しょ第だい1部ぶの上場じょうじょうが廃止はいしされた。

同様どうようの株主かぶぬしに関かんする虚偽きょぎ記載きさいとしては、日本テレビ放送網にほんてれびほうそうもうも、讀賣新聞社よみうりしんぶんしゃの会長かいちょう渡邉わたなべ恒雄つねおの個人こじん名義めいぎと記載きさいしていた株式かぶしきが讀賣新聞社よみうりしんぶんしゃの実質じっしつ所有しょゆうする株式かぶしきである事ことを公表こうひょうし、2004年ねん 11月5日にち有価ゆうか証券しょうけん報告ほうこく書しょを訂正ていせいした。これに対たいし、東京とうきょう証券しょうけん取引とりひき所しょは、ただちに同日どうじつ深夜しんや、日本テレビ放送網にほんてれびほうそうもう株かぶの監理かんり銘柄めいがら移行いこうを発表はっぴょうした。しかし、投資とうし家かへの影響えいきょうは重大じゅうだいではなく上場じょうじょう廃止はいし基準きじゅんに該当がいとうしないと判断はんだんし、同年どうねん11月19日にちに市場いちば第だい1部ぶにスピード復帰ふっきさせている。

財務ざいむ内容ないように関かんする虚偽きょぎ記載きさいとしては、ライブドアおよびライブドアマーケティング（現げんメディアイノベーション）が、架空かくうの売上うりあげの計上けいじょうなどを理由りゆうに、2006年ねんに東証とうしょうのマザーズ市場いちばにおいて上場じょうじょう廃止はいしになっている。また、当時とうじのライブドア社長しゃちょうの堀江ほりえ貴文たかふみなどの経営けいえい陣じんは、この虚偽きょぎ記載きさいと偽計ぎけい及および風説ふうせつの流布るふにからむ証券しょうけん取引とりひき法ほう(現げん金融きんゆう商品しょうひん取引とりひき法ほう)違反いはん容疑ようぎで起訴きそされた。第だい1審しんの東京とうきょう地裁ちさいでは実刑じっけいの有罪ゆうざい判決はんけつが下くだされ、第だい2審しんの東京とうきょう高裁こうさいでは控訴こうそが棄却ききゃくされたが、禁固刑きんこけい2年ねん6か月げつの実刑じっけいが確定かくていした。

一方いっぽう、株式かぶしき上場じょうじょうの維持いじを目的もくてきとした虚偽きょぎ記載きさいとしては、インデックスが、2011年ねん8月がつ期きと2012年ねん8月がつ期きの2期き連続れんぞくで債務さいむ超過ちょうかにあったにもかかわらず、資産しさん超過ちょうかとした虚偽きょぎの有価ゆうか証券しょうけん報告ほうこく書しょを提出ていしゅつし、2013年ねん 7月がつ28日にちの東証とうしょうのジャスダック上場じょうじょう廃止はいしまでインデックス株式かぶしきを上場じょうじょうさせていた。当時とうじのインデックス会長かいちょうであった落合おちあい正美まさみと社長しゃちょうであった落合おちあい善美よしみはこの虚偽きょぎ記載きさいにからむ金融きんゆう商品しょうひん取引とりひき法ほう違反いはん容疑ようぎで起訴きそされた。第だい1審しんの東京とうきょう地裁ちさいでは実刑じっけい判決はんけつが下くだされ、第だい2審しんの東京とうきょう高裁こうさいでは控訴こうそが棄却ききゃくされた。法人ほうじん自体じたいは2013年ねん11月に他社たしゃへ事業じぎょう譲渡じょうとしていたことや、2014年ねん4月がつに民事みんじ再生さいせい手続てつづき廃止はいしを受うけたことに伴ともない起訴きそ猶予ゆうよとなった。

Form 10-K

アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくにおいて、有価ゆうか証券しょうけん報告ほうこく書しょに相当そうとうする書類しょるいをForm 10-K（英語えいご）という。これは、事業じぎょう年度ねんどごとに証券しょうけん取引とりひき委員いいん会かいに提出ていしゅつされる。また、四半期しはんき報告ほうこく書しょに相当そうとうする書類しょるいはForm 10-Q（英語えいご）という。

脚注きゃくちゅう

^ 上場じょうじょう廃止はいし基準きじゅん、特設とくせつ注意ちゅうい市場いちば銘柄めいがらの見直みなおし大和総研だいわそうけん 2013年ねん9月がつ12日にち

外部がいぶリンク

[1] 上場じょうじょう廃止はいし基準きじゅん、特設とくせつ注意ちゅうい市場いちば銘柄めいがらの見直みなおし大和総研だいわそうけん 2013年ねん9月がつ12日にち

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