コーポレート・ガバナンス

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コーポレート・ガバナンス英語えいご: corporate governance)は、企業きぎょう経営けいえい管理かんり監督かんとくする仕組しくみのこと。株式会社かぶしきがいしゃ場合ばあい会社かいしゃ所有しょゆうしゃである株主かぶぬし利益りえき最大限さいだいげん実現じつげんできているかどうかを管理かんり監督かんとくするシステムのことである[1]一般いっぱんおお使つかわれるのは、企業きぎょう不正ふせい行為こうい防止ぼうし競争きょうそうりょく収益しゅうえきりょく向上こうじょう総合そうごうてきにとらえ、長期ちょうきてき企業きぎょう価値かち増大ぞうだいけた企業きぎょう経営けいえい仕組しく[2]

首脳しゅのう決定けっていされた方策ほうさくをいかに実行じっこうするかは運営うんえい、その運営うんえいじょうきょうをいかに管理かんり監督かんとくするかは内部ないぶ統制とうせい内部ないぶ管理かんり監督かんとく)、さらに企業きぎょうのシステムが健全けんぜん機能きのうしているかを審査しんさするのは監査かんさ内部ないぶ監査かんさ外部がいぶ監査かんさかれる)という。また昨今さっこんのグローバルによる事業じぎょう環境かんきょう変化へんかはやさから、広義こうぎでは自社じしゃ内部ないぶ統制とうせいだけでなく、外部がいぶ環境かんきょうである経済けいざい情勢じょうせいやパートナーの動向どうこうたいする監視かんしおこなうことで、自社じしゃあたえる利害りがい、リスクを分析ぶんせき対処たいしょすることも場合ばあいがある。

概要がいよう[編集へんしゅう]

背景はいけい[編集へんしゅう]

資本しほん主義しゅぎにおける経済けいざい活動かつどうにおいて、株式会社かぶしきがいしゃという組織そしきおおきな地位ちいめ、その活動かつどう株式会社かぶしきがいしゃしん所有しょゆうしゃである株主かぶぬし消費しょうひしゃ従業じゅうぎょういん取引とりひきさき系列けいれつ会社かいしゃ債権さいけんしゃ銀行ぎんこう社債しゃさい保持ほじしゃかけうりもとなど)さらに広義こうぎには地元じもと市民しみんなど社会しゃかい全般ぜんぱんおおきな影響えいきょうあたえる。とく近年きんねんでは企業きぎょう巨大きょだいおよび国籍こくせき進行しんこうしているため、その影響えいきょう絶大ぜつだいさらに広範囲こうはんいおよび、企業きぎょう適切てきせつ健全けんぜん運営うんえい現代げんだい社会しゃかい発展はってんにおけるおおきな課題かだいひとつとなっている。

企業きぎょう統治とうちにおいてとく問題もんだいとなるのは、そのかずにおいて分散ぶんさんおよび分断ぶんだんされている株主かぶぬし利害りがい関係かんけいしゃステークホルダー)にたいして、実際じっさい企業きぎょう運営うんえいしその内容ないよう実情じつじょう直接ちょくせつっている経営けいえいじんつよ立場たちばにあることで、そのため前者ぜんしゃにとってその正当せいとう権利けんり主張しゅちょうおよびその行使こうし非常ひじょうむずかしいという構造こうぞうじょう問題もんだい存在そんざいすることである。さらにその問題もんだい複雑ふくざつにする背景はいけいには、前述ぜんじゅつ利害りがい関係かんけいしゃ目的もくてきおおくの場合ばあい相反あいはんすることがある。

たとえば、株主かぶぬしとしては会社かいしゃ利益りえき最大さいだいもっとのぞましいが、かり営利えいりのみが企業きぎょう運営うんえい目的もくてきとなれば、消費しょうひしゃ労働ろうどうしゃ取引とりひきさき、さらには地元じもと周辺しゅうへん住民じゅうみん権利けんりおよび福祉ふくしそこなわれることになる。また株主かぶぬし株価かぶか上昇じょうしょうもと短期たんきのリスクのたか経営けいえい方針ほうしんもとめるが、銀行ぎんこうがわ取引とりひきさきとしては融資ゆうし安全あんぜんせいだいいちとするため、リスクがひく成長せいちょうせいひく経営けいえい方針ほうしん採用さいようもとめることがかんがえられる。

さらには経営けいえいじんとしては、企業きぎょう拡大かくだいによるポストの拡大かくだい報酬ほうしゅう上昇じょうしょう、または競合きょうごう企業きぎょうたいする対抗たいこう意識いしきなどから拡大かくだい政策せいさく追求ついきゅうすることもかんがえられるが、これが利益りえき拡大かくだい追求ついきゅうとなる可能かのうせいがある。さらに社長しゃちょう会長かいちょう絶大ぜつだい権力けんりょくにぎってしまった場合ばあいは、会社かいしゃ運営うんえい意思いし決定けってい一個人いっこじん独断どくだんおこなわれ、あやまった経営けいえい判断はんだんたいする責任せきにん明確めいかくおよびその修正しゅうせいおこなわれないだけでなく、悪質あくしつ場合ばあい個人こじん私欲しよくやすためだけの経営けいえいおこなわれ、不祥事ふしょうじ発展はってんしかねない。

また社外しゃがい人間にんげん会社かいしゃ運営うんえい直接ちょくせつにかかわらないため、会社かいしゃ内情ないじょう実情じつじょう情報じょうほう提供ていきょう基本きほんてき企業きぎょうがわ依存いぞんすることになる。この「情報じょうほう非対称ひたいしょうせい」が、経営けいえいじんがい利害りがい関係かんけいしゃ権利けんり行使こうし障害しょうがいとなるだけでなく場合ばあいによっては経営けいえいがわ背任はいにん温床おんしょうともなりうる。 このような組織そしきじょう根本こんぽんてき問題もんだい矛盾むじゅん最小さいしょうし、企業きぎょう株主かぶぬしおよび利害りがい関係かんけいしゃ要求ようきゅうたしながら企業きぎょうだい一目いちもくてきである「とみ創造そうぞう」を効率こうりつてき実行じっこうし、経済けいざいおよび社会しゃかい発展はってん貢献こうけんするように運営うんえいされることを目指めざすのが、企業きぎょう統治とうち意義いぎである。

1960年代ねんだいアメリカで、「企業きぎょう倫理りんりてき人道的じんどうてき行動こうどう抑止よくしすべきである」という文脈ぶんみゃくもちいられるようになり、次第しだい粉飾ふんしょく決算けっさんなど投資とうしから企業きぎょう不祥事ふしょうじふせぐためにどうするかという意味いみでも使つかわれるようになった。さらに、企業きぎょう価値かち株主かぶぬし価値かち増大ぞうだいさせるためにいかに企業きぎょう組織そしき構築こうちくするかという意味いみくわわるようになった。1980年代ねんだいから1990年代ねんだいのアメリカでは、企業きぎょう買収ばいしゅうすすんだことや、機関きかん投資とうし発言はつげんりょくつよまったことにより、コーポレート・ガバナンスへの関心かんしんたかまった。1990年代ねんだい以降いこうは、ヨーロッパ諸国しょこく日本にっぽんでも、多数たすう企業きぎょう不祥事ふしょうじ発覚はっかくするとともに、経済けいざいてき成熟せいじゅくあるいは停滞ていたいつづなか、コーポレート・ガバナンスが注目ちゅうもくされるようになった(⇒#歴史れきし)。

目的もくてき[編集へんしゅう]

現在げんざい、コーポレート・ガバナンスの目的もくてきは、(1)企業きぎょう不祥事ふしょうじふせぐということと、(2)企業きぎょう収益しゅうえきりょく強化きょうかすることという2てんにあるとされている。また、それらを社会しゃかい全体ぜんたい視点してんから議論ぎろんと、投資とうし視点してんから議論ぎろんがある(⇒#コーポレート・ガバナンスの目的もくてき)。

そして、そのために、様々さまざまほう制度せいど組織そしきない制度せいど、またインフォーマルな慣行かんこうもうけられている。それらを性質せいしつによっておおきくけると、トップ・マネジメント組織そしきつうじておこなわれる組織そしきがたコーポレート・ガバナンス、証券しょうけん市場いちばつうじておこなわれる市場いちばがたコーポレート・ガバナンス、そして経営けいえいしゃたい経済けいざいてきインセンティブ付与ふよする方法ほうほうがある(⇒#コーポレート・ガバナンスの方法ほうほう)。

しかし、このようなコーポレート・ガバナンスのためのしょ制度せいど慣行かんこう設計せっけいし、実施じっしするじょうでは、株主かぶぬし債権さいけんしゃ従業じゅうぎょういんなどといった様々さまざま利害りがい関係かんけいしゃステークホルダー)の利害りがい衝突しょうとつする場面ばめんがある。たとえば、あらたな株主かぶぬし企業きぎょう買収ばいしゅうによって経営けいえいしゃ交代こうたいさせる権利けんりは、重要じゅうよう市場いちばがたコーポレート・ガバナンスの制度せいどふくまれているが、自分じぶんたちが会社かいしゃ所有しょゆうしているとかんがえる従業じゅうぎょういんらからは反発はんぱつまね場合ばあいがある。そこで、だれがコーポレート・ガバナンスの主権しゅけんしゃなのかという問題もんだいまれる。これは、「会社かいしゃだれのものか」といういともえられ、おおくの議論ぎろんんでいる(⇒#コーポレート・ガバナンスの主権しゅけんしゃ)。

歴史れきし[編集へんしゅう]

アメリカにおける発展はってん[編集へんしゅう]

企業きぎょうについて「ガバメント (government)」または「ガバナンス (governance)」という言葉ことばもちいられるようになったのは、1960年代ねんだいアメリカであった。ベトナム反戦はんせん運動うんどうなかでのナパームだん製造せいぞうたいする批判ひはん公民こうみんけん運動うんどうなかでの黒人こくじん雇用こよう差別さべつたいする批判ひはん消費しょうひしゃ主権しゅけん運動うんどうなかでのゼネラルモーターズ (GM) の独占どくせん自動車じどうしゃ設計せっけいミスにたいする批判ひはん、また各地かくちでの公害こうがい問題もんだいたいする批判ひはんこり、政府せいふ介入かいにゅうによって企業きぎょう倫理りんりてき行動こうどう人道的じんどうてき行動こうどう抑止よくしすべきであるという観点かんてんからこれらの用語ようごもちいられたとかんがえられている[3]

1970年代ねんだいには、オイルショックとそれにつづ不況ふきょうなかリチャード・ニクソン大統領だいとうりょう再選さいせん委員いいんかいへの違法いほう献金けんきんロッキード事件じけんなど、企業きぎょう贈賄ぞうわい不正ふせい献金けんきん事件じけん相次あいついで発覚はっかくした。このような社会しゃかい倫理りんり問題もんだいとしてのガバナンス問題もんだい同時どうじに、ペン・セントラル鉄道てつどう倒産とうさんや、ロッキード・エアクラフトしゃ経営けいえい危機ききさいして、粉飾ふんしょく決算けっさんインサイダー取引とりひきおこなわれていたことが発覚はっかくし、投資とうし観点かんてんからたガバナンス問題もんだいわれはじめるようになった[4]

1980年代ねんだいには、アメリカでだい規模きぼ企業きぎょう買収ばいしゅう (M&A) がすすみ、企業きぎょう経営けいえいしゃ証券しょうけん市場いちば敵対てきたいてき買収ばいしゅう危険きけんにさらされるようになった。一方いっぽうで、敵対てきたいてき買収ばいしゅうふせぐために、おおくの企業きぎょうポイズン・ピル毒薬どくやく条項じょうこう)などの買収ばいしゅう防衛ぼうえいさくがとられるようになったが、これは経営けいえいしゃ自己じこ利益りえきのために地位ちいにしがみつくことをゆるすもので、株主かぶぬし利益りえきそこなう可能かのうせいがあるものであった[5]

そうしたなか、1980年代ねんだいから1990年代ねんだいにかけて、年金ねんきん基金ききんなどの機関きかん投資とうしがコーポレート・ガバナンスのうえおおきな役割やくわりたすようになった。1974ねん従業じゅうぎょういん退職たいしょく所得しょとく保障ほしょうほう(ERISAほう)によって、年金ねんきん運用うんようしゃ受託じゅたく責任せきにんさだめられた。また、1988ねん労働省ろうどうしょうしたエイボン・レターによって、資産しさん運用うんよう受託じゅたくした機関きかん投資とうし委託いたくしゃわって運用うんよう対象たいしょうとなっている企業きぎょう議決ぎけつけん行使こうしするよう勧告かんこくされた。これらによって、年金ねんきん基金ききんなどの機関きかん投資とうしは、株式かぶしき運用うんようたって株主かぶぬし価値かち増大ぞうだいつよ意識いしきするようになり、企業きぎょうたいして利益りえき向上こうじょうへのつよ要求ようきゅうをするようになった。このような市場いちばからの圧力あつりょくけて、アメリカの企業きぎょうではリストラ企業きぎょうさい構築こうちく)がすすみ、また、1990ねん以降いこうおおくの企業きぎょうでポイズン・ピルを撤廃てっぱいする株主かぶぬし総会そうかい決議けつぎおこなわれた。さらに、1990年代ねんだい初頭しょとうには、GM、IBMアメリカン・エキスプレスなどのだい企業きぎょうで、投資とうし後押あとおしをけた社外しゃがい取締役とりしまりやくによってCEO交代こうたいさせられるという事件じけんこった。こうして、1990年代ねんだいのアメリカでは機関きかん投資とうし社外しゃがい取締役とりしまりやく活動かつどうつうじたコーポレート・ガバナンス体制たいせい整備せいびされていった[6]

現在げんざい企業きぎょうのコーポレート・ガバナンスに積極せっきょくてき注文ちゅうもんけ、指導しどうてき地位ちいゆうしている機関きかん投資とうしが、カルパース(カリフォルニアしゅう公務員こうむいん退職たいしょく年金ねんきん基金ききん)である。カルパースは、長期ちょうき安定あんてい投資とうしとして投資とうしさき企業きぎょうそだてていくとの基本きほん方針ほうしんした業績ぎょうせき問題もんだいのある企業きぎょうインベスター・リレーションズ (IR) 部門ぶもん接触せっしょくして問題もんだいてんあらし、経営けいえい刷新さっしんおこなわれていないとられる企業きぎょうめい公表こうひょうするなど、コーポレート・ガバナンスの改善かいぜん推進すいしんしている[7]

国際こくさいてきひろがり[編集へんしゅう]

1990年代ねんだい以降いこう、アメリカだけでなく、イギリスドイツフランスなどヨーロッパ諸国しょこく、また日本にっぽんなどでもコーポレート・ガバナンスの問題もんだい注目ちゅうもくされるようになった。

そのようななか経済けいざい協力きょうりょく開発かいはつ機構きこう (OECD) は、1996ねん閣僚かくりょう理事りじかいでの要請ようせいにより、コーポレート・ガバナンスにかんする経済けいざい諮問しもんグループを設置せっちし、国際こくさいてきコーポレート・ガバナンス問題もんだいむことになった。べいおうの6めいのメンバーで構成こうせいされた経済けいざい諮問しもんグループは、経営けいえい実務じつむによる討論とうろん集会しゅうかいなどをて、OECDにたいし「コーポレート・ガバナンス:グローバル市場いちばにおける競争きょうそうりょく向上こうじょう資本しほん参入さんにゅう」とだいした報告ほうこくしょ提出ていしゅつした[8]。これをまえ、OECDは、1998ねん4がつ特別とくべつプロジェクト・チームを設置せっちして「コーポレート・ガバナンス原則げんそく」の作成さくせいたらせ、1999ねん5がつ閣僚かくりょう理事りじかいでこれを承認しょうにんした。どう原則げんそくは、政府せいふあいだ組織そしき主導しゅどうによってはじめて作成さくせいされたコーポレート・ガバナンスにかんする原則げんそくであり、拘束こうそくりょくはないが、各国かっこく政府せいふ民間みんかん部門ぶもん基準きじゅん(ベンチマーク)として利用りようできることを期待きたいしたものである。そこでは、のぞましいコーポレート・ガバナンスのモデルは唯一ゆいいつではないが、のぞましいコーポレート・ガバナンスに共通きょうつうするのは株主かぶぬし利益りえきさい優先ゆうせんしていることであるとしたうえで、(1)株主かぶぬし権利けんり保護ほご、(2)すべての株主かぶぬし公正こうせい取扱とりあつかい、(3)利害りがい関係かんけいしゃ権利けんり認識にんしきと、コーポレート・ガバナンスへの参加さんか、(4)情報じょうほう開示かいじ透明とうめいせい確保かくほ、(5)取締役とりしまりやくかい責任せきにんといういつつの原則げんそく、そしてそれを具体ぐたいする勧告かんこくしめしている[9]。2004ねんには、社会しゃかい状況じょうきょう変化へんかけて内容ないよう強化きょうかした「コーポレート・ガバナンス原則げんそく改訂かいていばん」が発表はっぴょうされた[10]

世界銀行せかいぎんこうとOECDは、1999ねん6がつ21にち、「グローバル・コーポレート・ガバナンス・フォーラムの設立せつりつかんするもうわせの覚書おぼえがき」をわし、OECD原則げんそく出発しゅっぱつてんとして、OECD加盟かめいこく加盟かめいこく政府せいふによるコーポレート・ガバナンスの改革かいかくのために対話たいわ協力きょうりょく拡大かくだいすることを確認かくにんした[11]

機関きかん投資とうしも、国境こっきょうえた投資とうし増加ぞうかにより、コーポレート・ガバナンス強化きょうかけて国際こくさいてき連携れんけいするようになった。1995ねんには、アメリカをはじめとする各国かっこく機関きかん投資とうしによってインターナショナル・コーポレート・ガバナンス・ネットワーク (ICGN) が組織そしきされた[12]。そして、1999ねん7がつ、OECD原則げんそく世界中せかいじゅう企業きぎょう投資とうしによってれられる最低さいてい基準きじゅんであり、共通きょうつう基盤きばんであるとしながら、さらにこれを拡充かくじゅうしたグローバル・コーポレート・ガバナンス原則げんそく採択さいたくした[11]。2001ねん7がつにはどうネットワークの大会たいかい東京とうきょうおこなわれ、日本にっぽんにおけるコーポレート・ガバナンスのうごきにも影響えいきょうあたえた[12]

もっとも、実際じっさいのコーポレート・ガバナンスのありかたは、各国かっこく会社かいしゃ法制ほうせい企業きぎょう資本しほん構成こうせい長年ながねん慣行かんこうなどによりことなる。日本にっぽんでは、高度こうど成長せいちょうに、日本にっぽんてき経営けいえいばれる独特どくとく企業きぎょう慣行かんこう形成けいせいされており、そこではメインバンクによる日本にっぽんがたコーポレート・ガバナンスがおこなわれていたと説明せつめいされるが、メインバンクによる企業きぎょうかん視力しりょくちたことにより機能きのう不全ふぜんおちいっているとも指摘してきされており、日本にっぽんおおくの企業きぎょうはコーポレート・ガバナンスの変革へんかくへの要望ようぼうにさらされている(⇒日本にっぽん)。

課題かだい[編集へんしゅう]

アメリカでは、2001ねん12月にエンロンしゃ、2002ねん7がつワールドコムしゃ相次あいついで倒産とうさんし、多額たがく粉飾ふんしょく決算けっさん判明はんめいしたことで、アメリカの資本しほん市場いちばたいする信頼しんらいくずれ、会計かいけい監査かんさおよびコーポレート・ガバナンスにたいする不信ふしんかんたかまった。これをけて、会計かいけい監査かんさ、ガバナンスのみっつの分野ぶんやにわたる改革かいかくとして、2002ねん7がつサーベンス・オクスリーほう(SOXほう)が制定せいていされた。日本にっぽんでも、2004ねん10がつ発覚はっかくした西武鉄道せいぶてつどうの「株主かぶぬし状況じょうきょう不実ふじつ記載きさい問題もんだいや、それにつづカネボウ(2005ねん9がつ)、ライブドア(2006ねん1がつ)の有価ゆうか証券しょうけん報告ほうこくしょ虚偽きょぎ記載きさい問題もんだいけて、2006ねん6がつ日本にっぽんばんSOXほうともわれる金融きんゆう商品しょうひん取引とりひきほう成立せいりつした[13]。このように、現在げんざいもコーポレート・ガバナンスの強化きょうかへの要求ようきゅうつよまっている。

コーポレート・ガバナンスの目的もくてき[編集へんしゅう]

菊澤きくざわ (2004) は、コーポレート・ガバナンスをめぐる議論ぎろんを、(1)倫理りんりかかわる問題もんだいとらえるか、効率こうりつせいかかわる問題もんだいとらえるか、(2)ひろ社会しゃかい全体ぜんたい多様たようステークホルダー)にかかわる問題もんだいとらえるか、株主かぶぬし債権さいけんしゃといった投資とうし企業きぎょうとの関係かんけいとしてとらえるかによって分類ぶんるいし、つぎのように整理せいりする[14]

コーポレート・ガバナンス問題もんだい整理せいり
企業きぎょう社会しゃかい問題もんだい広義こうぎのガバナンス問題もんだい 企業きぎょう投資とうし問題もんだい狭義きょうぎのガバナンス問題もんだい
倫理りんり問題もんだい 社会しゃかい倫理りんり問題もんだい正当せいとうせい問題もんだい 企業きぎょう倫理りんり問題もんだい正当せいとうせい問題もんだい
効率こうりつ問題もんだい 社会しゃかい効率こうりつ問題もんだい国民こくみん経済けいざい政策せいさく問題もんだい 企業きぎょう効率こうりつ問題もんだい企業きぎょう政策せいさく問題もんだい

各国かっこくで1960年代ねんだいからわれはじめたのは、公害こうがいひとし社会しゃかい倫理りんり問題もんだいであったが、次第しだいに、コーポレート・ガバナンス問題もんだいとしてわれる問題もんだいは、企業きぎょう倫理りんり問題もんだい企業きぎょう不祥事ふしょうじ防止ぼうし)、そして企業きぎょう効率こうりつ問題もんだい企業きぎょう価値かち業績ぎょうせき向上こうじょう)、あるいは両者りょうしゃふくあい問題もんだいへとうつってきたと指摘してきされている[15]

コーポレート・ガバナンスの必要ひつようせいについて、経済けいざいがくプリンシパル=エージェント理論りろん(エージェンシー理論りろん)は、つぎのように説明せつめいしている。すなわち、株式会社かぶしきがいしゃにおいては、所有しょゆう経営けいえい分離ぶんりしており、株主かぶぬし直接ちょくせつ経営けいえいおこなわず、経営けいえいしゃ経営けいえい委任いにんしている。このような依頼人いらいにん(プリンシパル)と代理人だいりにん(エージェント)の関係かんけいにおいては、両者りょうしゃ利害りがいかならずしも一致いっちしないこと(利害りがい不一致ふいっち)、両者りょうしゃっている情報じょうほうおなじではないこと(情報じょうほう非対称ひたいしょうせい)から、代理人だいりにん依頼人いらいにん利益りえき無視むしして自己じこ利益りえき追求ついきゅうするというモラル・ハザード発生はっせいする可能かのうせいがある。たとえば、経営けいえいしゃは、経営けいえいしゃとしての名声めいせい追求ついきゅうして、贅沢ぜいたくなオフィスをもうけたり、必要ひつようおおくの従業じゅうぎょういん雇用こようしたり、部下ぶかにポストをあたえるために効率こうりつてき事業じぎょう投資とうししたりする可能かのうせいがある。そこで、このような問題もんだい解決かいけつするために、依頼人いらいにんである株主かぶぬし利益りえきまもられるよう、代理人だいりにんである経営けいえいしゃ監視かんし規律きりつするための制度せいどとして、コーポレート・ガバナンスが必要ひつようとなる[16]

もっとも、このようなプリンシパル=エージェント関係かんけいは、経営けいえいしゃ株主かぶぬしとのあいだだけでなく、経営けいえいしゃ債権さいけんしゃ従業じゅうぎょういん顧客こきゃく取引とりひき業者ぎょうしゃとう様々さまざまステークホルダー利害りがい関係かんけいしゃ)とのあいだにも発生はっせいするものである。したがって、コーポレート・ガバナンスは、せま意味いみでは、「企業きぎょう投資とうしとく株主かぶぬし)の問題もんだい」であるが、ひろ意味いみでは、これらのステークホルダー全体ぜんたい利益りえきまもるための「企業きぎょう社会しゃかい問題もんだい」ととらえることも可能かのうである[17]

コーポレート・ガバナンスの方法ほうほう[編集へんしゅう]

エージェンシー理論りろんによれば、株主かぶぬし経営けいえいしゃ倫理りんりてきまた効率こうりつてき行動こうどう抑止よくしするためには、株主かぶぬし経営けいえいしゃとのあいだ利害りがい一致いっちさせるか、両者りょうしゃ情報じょうほう非対称ひたいしょうせい緩和かんわする必要ひつようがある。このうち、情報じょうほう非対称ひたいしょうせい緩和かんわは、おも企業きぎょう会計かいけい財務ざいむ会計かいけい)の課題かだいであり、コーポレート・ガバナンスの対象たいしょうは、おも株主かぶぬし経営けいえいしゃとの利害りがい一致いっちけられる。その方法ほうほうは、つぎのように分類ぶんるいされる[18]

  • 株主かぶぬしなんらかの制度せいど利用りようして経営けいえいしゃ統治とうちする方法ほうほう(モニタリング・システム)
    • 組織そしきがたコーポレート・ガバナンス
    • 市場いちばがたコーポレート・ガバナンス
  • 経営けいえいしゃインセンティブあたえ、自己じこ統治とうちさせる方法ほうほう(インセンティブ・システム)

組織そしきがたコーポレート・ガバナンス[編集へんしゅう]

組織そしきがたコーポレート・ガバナンスは、トップ・マネジメント組織そしきつうじたガバナンスの方法ほうほうである。

株主かぶぬしは、株主かぶぬし総会そうかいで、株主かぶぬし利益りえき沿わない経営けいえいしゃ解任かいにんし、あらたな経営けいえいしゃ選任せんにんすることができる。

また、取締役とりしまりやくとう経営けいえいしゃ会社かいしゃたいして注意ちゅうい義務ぎむ忠実ちゅうじつ義務ぎむっており、それにはんして会社かいしゃ損害そんがいあたえた場合ばあいには会社かいしゃたい損害そんがい賠償ばいしょう義務ぎむう。そして、株主かぶぬしが、会社かいしゃわって取締役とりしまりやくとうたいして損害そんがい賠償ばいしょう請求せいきゅうをすることができる制度せいどを、株主かぶぬし代表だいひょう訴訟そしょうという。株主かぶぬし代表だいひょう訴訟そしょう脅威きょういは、取締役とりしまりやくとう取締役とりしまりやくかい真剣しんけん議論ぎろんをさせるという圧力あつりょくしているとされる[19]

市場いちばがたコーポレート・ガバナンス[編集へんしゅう]

市場いちばがたコーポレート・ガバナンスとは、証券しょうけん市場いちば株式かぶしき市場いちば)をつうじたガバナンスである。

経営けいえいしゃ経営けいえい成績せいせきわるく、利益りえきまない場合ばあいには、市場いちば株式かぶしき売却ばいきゃくする株主かぶぬしえ、株価かぶか下落げらく低迷ていめいする。株価かぶか低迷ていめいすれば、新株しんかぶ発行はっこう増資ぞうし)による資金しきん調達ちょうたつ困難こんなんになるとともに、株価かぶか下落げらく信用しんよう低下ていか意味いみするので、借入かりいれによる資金しきん調達ちょうたつむずかしくなる。したがって、株価かぶか下落げらくは、経営けいえいしゃたいし、株主かぶぬし利益りえきはんする行動こうどうひかえさせるプレッシャーをあたえる[20]

それでも経営けいえいしゃ経営けいえいあらためない場合ばあい企業きぎょう買収ばいしゅう (M&A) の脅威きょういがコーポレート・ガバナンスのうえおおきな役割やくわりたすことになる。

インセンティブの付与ふよ[編集へんしゅう]

経営けいえいしゃにインセンティブをあたえる制度せいどとしては、ストック・オプションがある。これは、経営けいえいしゃたいする報酬ほうしゅうとして、一定いってい価格かかく一定いっていすう自社じしゃかぶ購入こうにゅうできる新株しんかぶ予約よやくけんあたえるというものであり、経営けいえいしゃつね株価かぶかたかめるような経営けいえいおこなうことをねらったものである[21]

しかし、エンロン事件じけんやワールドコム事件じけんられるように、ストック・オプションは、むしろ不正ふせい会計かいけい処理しょりによる株価かぶか維持いじ株価かぶかつりげを助長じょちょうしているとも指摘してきされている[22]

コーポレート・ガバナンスの主権しゅけんしゃ[編集へんしゅう]

コーポレート・ガバナンスの主権しゅけんしゃだれか(だれ企業きぎょう統治とうちするのか)という問題もんだいは、会社かいしゃ企業きぎょう)はだれのものか」といういともえられ、日本にっぽんなどでおおくの議論ぎろんんできた。

会社かいしゃほううえは、(1)出資しゅっししゃである株主かぶぬし取締役とりしまりやく選任せんにんけんゆうし、最終さいしゅうてき事業じぎょう運営うんえい支配しはいしていること、(2)事業じぎょう活動かつどうによってしょうじる利益りえき株主かぶぬし帰属きぞくすることの2てんをもって、株式会社かぶしきがいしゃ所有しょゆうしゃ株主かぶぬしであると解釈かいしゃくされている[23]。しかし、現実げんじつ企業きぎょう所有しょゆうイメージにおいて、だれ企業きぎょう所有しょゆうしゃ主権しゅけんしゃとしてみとめるかはかならずしも一様いちようではなく、敵対てきたいてき買収ばいしゅうなどの局面きょくめん株主かぶぬし取締役とりしまりやく選任せんにんけん実質じっしつてき行使こうしすることにたい抵抗ていこうかんたれる場合ばあいもある。

アメリカでは、おおくのひとが、企業きぎょう株主かぶぬしのものであるというイメージをいている。これにたいし、ドイツでは、企業きぎょう株主かぶぬし従業じゅうぎょういんのものという二元にげんてき所有しょゆうのイメージがつよく、日本にっぽんでは、従業じゅうぎょういん株主かぶぬし顧客こきゃく社会しゃかい全体ぜんたいのものという多元的たげんてきなイメージがつよく、そのなかでもとく従業じゅうぎょういんのものというかんがかたをするひとおおいとされる。1990年代ねんだい初頭しょとうにちべいえいふつどく経営けいえいしゃ管理かんりしゃ対象たいしょうおこなわれたアンケート調査ちょうさにおいては、「企業きぎょう所有しょゆうしゃ株主かぶぬしである。株主かぶぬし利益りえきさい優先ゆうせんされるべきである」という命題めいだいと、「会社かいしゃ利害りがい関係かんけいしゃ全体ぜんたい長期ちょうきてき利益りえき増進ぞうしんするために存在そんざいする」という命題めいだいそれぞれにたい肯定こうていてき回答かいとうをした経営けいえいしゃ管理かんりしゃ割合わりあいつぎひょうのとおりであった[24]

各国かっこく企業きぎょう所有しょゆうイメージ
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく ドイツの旗 ドイツ 日本の旗 日本にっぽん
株主かぶぬし 76% 17% 2.9%
利害りがい関係かんけいしゃ全体ぜんたい 24% 83% 97%

日本にっぽんで、従業じゅうぎょういん会社かいしゃ所有しょゆうしているという独自どくじのイメージがつくげられてきた背景はいけいには、終身しゅうしん雇用こよう年功序列ねんこうじょれつという日本にっぽんがた雇用こよう慣行かんこうがある。日本にっぽん年功ねんこう賃金ちんぎん制度せいどしたでは、従業じゅうぎょういん若年じゃくねん生産せいさんせいよりもひく賃金ちんぎんしかれず、熟年じゅくねんにその見返みかえりとして生産せいさんせいよりたか賃金ちんぎん支払しはらわれ、最終さいしゅうてきには退職たいしょくきんというかたち精算せいさんされる。このような賃金ちんぎん後払あとばらいの仕組しくみにより、従業じゅうぎょういんは「えざる出資しゅっし」、すなわち自分じぶん人的じんてき資本しほん形成けいせいへの投資とうしいられている。したがって、従業じゅうぎょういんは、ながおな会社かいしゃ勤務きんむすることによって投資とうし回収かいしゅうする必要ひつようがあり、従業じゅうぎょういん会社かいしゃたいして所有しょゆう意識いしきつにいたったのにはそれなりの必然ひつぜんせいがあると指摘してきされている[25]。こうしたかんがかたは、日本にっぽんにおける企業きぎょう買収ばいしゅうとく敵対てきたいてき買収ばいしゅう)へのつよいアレルギーにもつながっており、王子製紙おうじせいし北越製紙ほくえつせいしたいする敵対てきたいてき買収ばいしゅう不成立ふせいりつけておこなわれた経営けいえいしゃたいするアンケートでは、「日本にっぽん文化ぶんかになじまない」という理由りゆう日本にっぽん敵対てきたいてき買収ばいしゅう定着ていちゃくしないとした回答かいとうおおかった[26]

このような企業きぎょうイメージに対応たいおうして、1990年代ねんだい後半こうはんから日本にっぽん主張しゅちょうされはじめたのが、コア従業じゅうぎょういん主権しゅけんろんであった[27]。これは、会社かいしゃは「コア従業じゅうぎょういん」、すなわち長期ちょうきてき会社かいしゃにコミットする従業じゅうぎょういん従業じゅうぎょういんなかから選出せんしゅつされる経営けいえいしゃふくみ、パート派遣はけん社員しゃいんふくまない)のものであるというかんがかたである。その理由りゆうとして、(1)コア従業じゅうぎょういんほう株主かぶぬしよりも企業きぎょう競争きょうそうりょくへの貢献こうけんたかく、かつ希少きしょうせいたかい(会社かいしゃ特殊とくしゅてき技術ぎじゅつ知識ちしきゆうしており、代替だいたいせいひくい)、(2)コア従業じゅうぎょういんほう会社かいしゃへのコミットメントがつよく、かつながい(資源しげん長期ちょうきにわたって提供ていきょうつづける意図いとっている)、(3)コア従業じゅうぎょういん賞与しょうよへの業績ぎょうせき反映はんえいというリスク、そして倒産とうさんによる解雇かいこというおもいリスクを負担ふたんしているのにたいし、株主かぶぬしのリスクは分散ぶんさん投資とうしにより軽減けいげんすることができる、という3てん指摘してきする[28]

これにたいし、株主かぶぬし主権しゅけんろんからは、(1)付加ふか価値かち形成けいせいもっと貢献こうけんしているもの会社かいしゃ監視かんしたることが適切てきせつとはかぎらない――従業じゅうぎょういん球団きゅうだん選手せんしゅたとえれば、選手せんしゅ監督かんとく経営けいえいしゃ)をえらばせると、選手せんしゅはその監督かんとくした優勝ゆうしょうできる可能かのうせいよりも「その監督かんとく自分じぶん使つかってくれるか」を優先ゆうせんするインセンティブがはたらくため、外部がいぶからそれを監視かんしする必要ひつようがある――、(2)(a)短期たんきてきにしか株式かぶしき保有ほゆうしない株主かぶぬしであっても、長期ちょうきてき利益りえき株価かぶか予想よそうして株式かぶしき売買ばいばいしている、(b)また従業じゅうぎょういん会社かいしゃへのコミットメントがつよいことは、むしろ過大かだいなマーケット・シェアの拡大かくだい多角たかくによるポストぞうもとめる方向ほうこうはたらき、一方いっぽう雇用こよう確保かくほのため採算さいさん部門ぶもんからの撤退てったいむずかしくし、企業きぎょう変革へんかくおくらせる、(3)(a)実際じっさいには従業じゅうぎょういん付加ふか価値かちから最初さいしょ分配ぶんぱいけており、従業じゅうぎょういん債権さいけんしゃ分配ぶんぱいしたのちのこらなければ株主かぶぬし分配ぶんぱいけることができない、(b)解雇かいこというリスクについては、解雇かいこによる生涯しょうがい賃金ちんぎん減少げんしょうぶん補填ほてんするような退職たいしょくきん制度せいどもうけることにより、従業じゅうぎょういん技術ぎじゅつ習得しゅうとく意欲いよく維持いじすることが可能かのうであり、またくに全体ぜんたい雇用こようまもるのは政府せいふ役割やくわりである、などと反論はんろんされている[29]

もっとも、「会社かいしゃだれのものか」という極端きょくたん議論ぎろん誤解ごかいみやすいと指摘してきされている。株主かぶぬし主権しゅけんろん立場たちばからも、従業じゅうぎょういんたいして正当せいとう報酬ほうしゅう支払しはらわなければ、はたら意欲いよく低下ていかし、される付加ふか価値かち減少げんしょうすることから、コア従業じゅうぎょういん会社かいしゃ特殊とくしゅてき人的じんてき資本しほん貢献こうけん適正てきせい評価ひょうかし、付加ふか価値かち分配ぶんぱいすることが必要ひつようであるとされており、株主かぶぬしだけが会社かいしゃ成果せいか丸取まるどりすることを主張しゅちょうするものではないとかんがえられている[30]

各国かっこくのコーポレート・ガバナンス[編集へんしゅう]

アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく[編集へんしゅう]

アメリカの企業きぎょうにおいては、株主かぶぬし総会そうかいによって選任せんにんされた取締役とりしまりやくかい (board of directors) がガバナンスの役割やくわりになうのにたいし、CEO最高さいこう経営けいえい責任せきにんしゃ)などの執行しっこう役員やくいん (officer) が業務ぎょうむ執行しっこうおこない、監督かんとく執行しっこう分離ぶんりされている。ただし、カルパースはCEOと取締役とりしまりやくかい会長かいちょう分離ぶんりすることがのぞましいとしているものの、実際じっさいにはCEOと取締役とりしまりやくかい会長かいちょうどう一人物いちじんぶつ兼任けんにんするだい企業きぎょうおお[31]

取締役とりしまりやくかいには、通常つうじょう、それぞれすうめい取締役とりしまりやくから指名しめい委員いいんかい報酬ほうしゅう委員いいんかい経営けいえい委員いいんかい監査かんさ委員いいんかいなどの各種かくしゅ委員いいんかい設置せっちされ、計画けいかく業務ぎょうむ監査かんさ業務ぎょうむはそれらの委員いいんかい委任いにんされる[32]

ニューヨーク証券しょうけん取引とりひきしょ (NYSE) は、上場じょうじょう会社かいしゃたいし、取締役とりしまりやく過半数かはんすう独立どくりつ取締役とりしまりやくであること、取締役とりしまりやく候補者こうほしゃ選考せんこうおよびコーポレート・ガバナンス委員いいんかい報酬ほうしゅう委員いいんかい監査かんさ委員いいんかい構成こうせいいん全員ぜんいん独立どくりつ取締役とりしまりやくであることをもとめている[33]。CEOをのぞくすべての取締役とりしまりやく独立どくりつ取締役とりしまりやくである企業きぎょうおお[34]

イギリス[編集へんしゅう]

イギリスでは、1990年代ねんだい初頭しょとうからコーポレート・ガバナンスに関心かんしんあつまるようになった。経営けいえいしゃ従業じゅうぎょういん年金ねんきん基金ききん流用りゅうようしたマックスウェル事件じけんなど、巨額きょがく不正ふせい経理けいり事件じけん発覚はっかくしたことにより、一般いっぱん投資とうしからの不信ふしんたかまった。これをけて、シティ指導しどうしゃらは、3かいにわたって委員いいんかい設置せっちし、コーポレート・ガバナンスのありかたについて議論ぎろんおこなった。その最初さいしょ委員いいんかいが、エイドリアン・キャドバリーきょう委員いいんちょうとする「コーポレート・ガバナンスの金融きんゆうてきしょ側面そくめんかんする委員いいんかい」(キャドバリー委員いいんかい)であり、ロンドン証券しょうけん取引とりひきしょ、イギリス産業さんぎょう連盟れんめいイングランド銀行いんぐらんどぎんこう、イギリス取締役とりしまりやく協会きょうかいなどの団体だんたい支援しえんによってもうけられた。どう委員いいんかいが1992ねん公表こうひょうした報告ほうこくしょは、取締役とりしまりやくかい会長かいちょうとCEOの兼務けんむのぞましくないこと、取締役とりしまりやくかい下部かぶ監査かんさ報酬ほうしゅう指名しめいかんして実効じっこうせいのある委員いいんかい設置せっちする必要ひつようがあることなどを提言ていげんするものであった[35]

その、1995ねんにグリーンブリー報告ほうこくしょ、1998ねんにハンペル報告ほうこくしょ統合とうごう規範きはんとう提出ていしゅつされ、コーポレート・ガバナンスの原則げんそくしめされた[36]。ロンドン証券しょうけん取引とりひきしょ (LSE) は、これらの報告ほうこくしょけて、上場じょうじょう会社かいしゃ尊重そんちょうすべき最適さいてき慣行かんこう規範きはん最善さいぜん慣行かんこう規則きそく)をさだめ、上場じょうじょう会社かいしゃたいし、どう規範きはんしたがっているか、したがっていないとすればその理由りゆうなにかをかくとし年次ねんじ事業じぎょう報告ほうこくしょ開示かいじすることをもとめている。もっとも、これは罰則ばっそく規定きていのない自主じしゅ規制きせいルールである[37]

イギリスでは、アメリカと同様どうよう取締役とりしまりやくかいがCEOをえらび、業務ぎょうむ執行しっこう監視かんしおこなうなど、コーポレート・ガバナンスの中心ちゅうしんてき機能きのうたしており、一括いっかつしてアングロ・サクソンがたコーポレート・ガバナンスとばれる。ただし、いくつかのてんでアメリカとことなる。イギリスの企業きぎょうでは、現在げんざい取締役とりしまりやくかい会長かいちょうとCEOをべつ人物じんぶつになうのが一般いっぱんてきになっている。他方たほう取締役とりしまりやくかい構成こうせい社内しゃない出身しゅっしんしゃ過半数かはんすうめている場合ばあいおおい。機関きかん投資とうしは、経営けいえいしゃ水面すいめん意見いけん交換こうかんし、表立おもてだって経営けいえいしゃ対立たいりつする行動こうどうをとることはすくない。そのわり、年金ねんきん基金ききん運用うんよう担当たんとうしゃ委任いにんじょう行使こうしについての助言じょげんおこな年金ねんきん基金ききん協会きょうかい (NAPF) や、企業きぎょう社外しゃがい取締役とりしまりやく採用さいよう推進すいしん支援しえんするPRO NEDなどの団体だんたいが、コーポレート・ガバナンスのうえおおきな役割やくわりたしている[38]

ドイツ[編集へんしゅう]

ドイツがたコーポレート・ガバナンス[編集へんしゅう]

ドイツ株式会社かぶしきがいしゃ (AG)では、法律ほうりつにより、取締役とりしまりやくかい (Verwaltungsrat)監査かんさやくかい (Aufsichtsrat)とそのした執行しっこうやくかい (Vorstand)そう分化ぶんかしている(英語えいごではこの制度せいどtwo board system という)。また、株式かぶしき合資ごうし会社かいしゃ (KGaA) およ従業じゅうぎょう員数いんずうが500にんえる有限ゆうげん会社かいしゃ (GmbH)では取締役とりしまりやくかい執行しっこうやくかい設置せっちしないが、法律ほうりつにより、監査かんさやくかい設置せっちする。監査かんさやくかいは、経営けいえい最高さいこう意思いし決定けってい機関きかんであり、経営けいえい監督かんとくおこなうとともに、執行しっこうやく任命にんめいする。執行しっこうやくは、監査かんさやくかいさだめた基本きほん戦略せんりゃく計画けいかくしたがい、業務ぎょうむ執行しっこうする。りょう役員やくいん兼任けんにんすることはできない[39]。そして、共同きょうどう決定けっていほう (Mitbestimmungsgesetz) により、従業じゅうぎょういんが2000にんえるだい企業きぎょうでは、監査かんさやく半分はんぶん株主かぶぬしが、のこ半分はんぶん従業じゅうぎょういん労働ろうどうしゃ)が選出せんしゅつすることとなっている[40]

ドイツのコーポレート・ガバナンスにおいて実際じっさいじょうおおきな影響えいきょうりょくっているのが、銀行ぎんこうである。ドイツの企業きぎょう資本しほん構成こうせいは、従来じゅうらい間接かんせつ金融きんゆう依存いぞんする割合わりあいたか[注釈ちゅうしゃく 1]株式かぶしき保有ほゆう比率ひりつについてれば、だい企業きぎょう比率ひりつたか持合もちあい構造こうぞう形成けいせいする一方いっぽう年金ねんきん基金ききん持株もちかぶ比率ひりつきわめてひくい。銀行ぎんこう自体じたい持株もちかぶ比率ひりつやく10%でひくいものの、銀行ぎんこうが(1)預金よきん貸出かしだし業務ぎょうむ、(2)有価ゆうか証券しょうけん引受ひきうけ売却ばいきゃく業務ぎょうむ、(3)有価ゆうか証券しょうけん寄託きたく業務ぎょうむおこなうというユニバーサル・バンク制度せいどがあり、銀行ぎんこうとおして株式かぶしき購入こうにゅうした金融きんゆう企業きぎょうは、そのまま銀行ぎんこう株式かぶしき議決ぎけつけん寄託きたくすることがおおい。そのため、銀行ぎんこうは、だい債権さいけんしゃとして、かつ50%〜55%の議決ぎけつけん行使こうしする株主かぶぬしとして、企業きぎょうたいおおきな影響えいきょうりょくおよぼしてきた。とくドイツ銀行ぎんこうドレスナー銀行ぎんこうコメルツ銀行ぎんこうという3だいユニバーサル・バンクは支配しはいてき地位ちいゆうし、株主かぶぬし選出せんしゅつ監査かんさやくとく監査かんさやくかい会長かいちょうおくんで経営けいえい監視かんしたってきた。また、さらには執行しっこうやくかいとく執行しっこうやくかい会長かいちょう人事じんじについてもユニバーサル・バンクが掌握しょうあくしてきた[41]

しかし、1990ねん東西とうざいドイツ統一とういつ経済けいざい混迷こんめいし、多数たすう企業きぎょう不祥事ふしょうじ発覚はっかくした。ドイツ最大さいだい鉱山こうざん金属きんぞく会社かいしゃメタルゲゼルシャフトしゃ投機とうきてき投資とうしによる巨額きょがく損失そんしつ、クレックナー・フンボルト・ドイツしゃ巨額きょがく粉飾ふんしょく決算けっさん、ドイツ最大さいだい不動産ふどうさん会社かいしゃシュナイダーしゃ不正ふせい投機とうきによる破綻はたん、マンネスマンの背任はいにん事件じけんなどが発生はっせいした[42]。こうした事件じけんに、ユニバーサル・バンクのガバナンス能力のうりょく疑問ぎもんげかけられることとなった。たとえば、ユニバーサル・バンクから派遣はけんされている監査かんさやくは10しゃ以上いじょう監査かんさやく兼任けんにんしていることがおおいこと、監査かんさやくかいとし2かいしか開催かいさいされない場合ばあいおおいこと、監査かんさやくかい執行しっこうやくかい提供ていきょうする情報じょうほう依存いぞんしていることなどが指摘してきされた。さらに、ドイツ企業きぎょう資金しきんもとめてアメリカの株式かぶしき市場いちば上場じょうじょうするようになり、自己じこ資本しほん比率ひりつたかまるとともに[注釈ちゅうしゃく 2]、アメリカがた会計かいけい制度せいど情報じょうほう公開こうかいもとめられるようになっている[43]

コーポレート・ガバナンス改革かいかく[編集へんしゅう]

このようななか、コーポレート・ガバナンスの改革かいかくはかられるようになった。1998ねん4がつ、「企業きぎょうのコントロールと透明とうめいせいたいする法律ほうりつ」(KonTraG) が施行しこうされ、つぎのような改革かいかくおこなわれた[44]

  • 執行しっこうやくかいは、監査かんさやくかいたい経営けいえい計画けいかく財務ざいむ計画けいかく人事じんじ計画けいかく定期ていきてき報告ほうこくすること
  • 監査かんさやく兼任けんにんを10しゃまでとし、監査かんさやくかい会長かいちょう兼任けんにんは5しゃまでとすること。監査かんさやく候補者こうほしゃ兼任けんにんじょうきょう公開こうかいし、株主かぶぬし総会そうかい報告ほうこくすること
  • 監査かんさやくかいとし4かい以上いじょう開催かいさいすることを義務ぎむづけること
  • ストック・オプション制度せいどみとめ、そのために自社じしゃかぶ購入こうにゅうみとめること
  • 金融きんゆう機関きかんたいし、株式かぶしき保有ほゆうじょうきょう監査かんさやくかい構成こうせいいん開示かいじすることを義務ぎむづけること

また、2000ねん5がつゲアハルト・シュレーダー首相しゅしょう設置せっちした「コーポレート・ガバナンス、企業きぎょう経営けいえい企業きぎょう管理かんり株式かぶしきほう現代げんだい委員いいんかい」は、2001ねん7がつ答申とうしん提出ていしゅつし、つぎのような内容ないよう自主じしゅてきコーポレート・ガバナンス規範きはん策定さくていすることをもとめるとともに、情報じょうほう開示かいじ会計かいけい報告ほうこく制度せいど改革かいかく提言ていげんした[45]

  • 執行しっこうやくかい監査かんさやくかいたいする報告ほうこく義務ぎむ範囲はんい連結れんけつ対象たいしょう企業きぎょう経営けいえいまで拡大かくだいすること
  • 監査かんさやくかいによる監査かんさ範囲はんい子会社こがいしゃ連結れんけつ対象たいしょう企業きぎょうまでひろげること
  • 監査かんさやく兼任けんにんを5しゃまでとすること

これをけてドイツ司法省しほうしょう設置せっちした「コーポレート・ガバナンス規範きはん策定さくてい委員いいんかい」は、2002ねん、「ドイツ・コーポレート・ガバナンス規範きはん」(Deutscher Corporate Governance Kodex) を答申とうしんし、つぎのような勧告かんこく推奨すいしょうおこなった[46]

  • 執行しっこうやくかい定期ていきてき戦略せんりゃく現状げんじょう監査かんさやくかい報告ほうこくすること
  • 執行しっこうやくかいは、経営けいえいじょう重要じゅうよう事項じこう決定けっていについては、あらかじ監査かんさやくかい同意どういること
  • 執行しっこうやくかい報酬ほうしゅう監査かんさやくかいさだめ、執行しっこう役員やくいん報酬ほうしゅうとしてストック・オプションを利用りようすること
  • 執行しっこうやくかいは、重要じゅうよう事項じこうインターネットなどを利用りようしてすみやかに株主かぶぬし開示かいじすること
  • 開示かいじすべき連結れんけつ決算けっさんは、すべて国際こくさい会計かいけい基準きじゅんしたがって作成さくせいすること

日本にっぽん[編集へんしゅう]

2016ねん4がつ現在げんざい日本にっぽんでは2015ねん3がつ金融きんゆうちょう東京とうきょう証券しょうけん取引とりひきしょによる「コーポレートガバナンス・コード」を企業きぎょう統治とうち方針ほうしんとしている。これにより社外しゃがい取締役とりしまりやく派遣はけん事実じじつじょう義務ぎむするなど、企業きぎょう統治とうちのチェック機能きのう強化きょうかねらう。

経緯けいい[編集へんしゅう]

もともと日本にっぽん企業きぎょう経営けいえいにおいては、企業きぎょうかぶ証券しょうけん市場いちば上場じょうじょうして株式会社かぶしきがいしゃする行為こういは、あくまで経営けいえいしゃがわにおける長期ちょうき資金しきん調達ちょうたつ手段しゅだんとらえられていた。関連かんれん会社かいしゃ取引とりひきさき銀行ぎんこう公開こうかいするかぶいさせ会社かいしゃられないように予防よぼうさくがとられるので、株式かぶしき公開こうかいすることによって経営けいえいけん株主かぶぬしうつるなどということはありえないだけでなく、株主かぶぬし会社かいしゃしん所有しょゆうしゃなどというのはあくまでも建前たてまえにすぎないといった程度ていど認識にんしきであった。

企業きぎょう統治とうちにおいてもっとも重要じゅうようとされるべき株主かぶぬし権利けんり代表だいひょうする取締役とりしまりやくかい経営けいえいがわ分断ぶんだん二元にげんは、日本にっぽんしき経営けいえいにおいては運営上うんえいじょう実際じっさい一元化いちげんかされていることがおおい。取締役とりしまりやくかいの(取締役とりしまりやくかい会長かいちょう社長しゃちょう取締役とりしまりやく)、専務せんむ取締役とりしまりやく)、常務じょうむ取締役とりしまりやく)などは、あくまでも企業きぎょう役職やくしょくにおいての出世しゅっせ一環いっかんとされており、部長ぶちょうレベルの役職やくしょくとの区切くぎりがないにひとしい。これはおおくの日本にっぽん企業きぎょう意思いし決定けっていプロセスを曖昧あいまいにしていると指摘してきされている。「おな判断はんだんにん以上いじょうあおぐ」といった事例じれい日本にっぽん企業きぎょうでは一般いっぱんてきであり、経営けいえい体制たいせい監督かんとく執行しっこう役割やくわり明確めいかく線引せんひきされていないケースがおお見受みうけられる。

アングロサクソンけい企業きぎょう統治とうちにおいては、株主かぶぬし権利けんり代弁だいべんしゃとして重要じゅうよう位置いちめる社外しゃがい取締役とりしまりやく機関きかん投資とうしなどの意見いけんんで会社かいしゃ部外ぶがいしゃえらばれることがおおいが、日本にっぽんにおいては社外しゃがい取締役とりしまりやく存在そんざいしないあるいは、どういちグループの関係かんけいしゃ(メイン銀行ぎんこう系列けいれつ会社かいしゃなど)からえらばれるため明確めいかく株主かぶぬし意見いけん代弁だいべんすることが実際じっさい職務しょくむとされる取締役とりしまりやく最初さいしょから存在そんざいしないことがおおい。また株主かぶぬし権利けんり代表だいひょうして会社かいしゃ財務諸表ざいむしょひょう正確せいかくさを保障ほしょうする役割やくわりうべき監査かんさやく社内しゃない監査かんさ社外しゃがい監査かんさともに経営けいえいじん選出せんしゅつ報酬ほうしゅうはらうだけでなく日本にっぽん会計かいけい基準きじゅん一部いちぶ曖昧あいまいであることもあいまって、おおくの場合ばあい会社かいしゃ内情ないじょう反映はんえいしていない場合ばあいおおい。このため、バブル崩壊ほうかいのちおおくの会社かいしゃ巨額きょがく損失そんしつ隠蔽いんぺいしたまま突然とつぜん倒産とうさんするということがおおこった。

日本にっぽんは、1960年代ねんだいから1970年代ねんだいにかけて高度こうど経済けいざい成長せいちょう達成たっせいした。そこでおこなわれていた経営けいえい手法しゅほうは、欧米おうべい先進せんしんこく経営けいえい手法しゅほうおおきくことなっており、日本にっぽんてき経営けいえいとして注目ちゅうもくされた。そのはしらは、つぎの4てんにまとめることができる[47]

このような日本にっぽんてき経営けいえいしたでは、いの企業きぎょうたがいに相手あいて企業きぎょう経営けいえい介入かいにゅうしない協調きょうちょうてき安定あんていてきな「物言ものいわぬ株主かぶぬし」となり、株主かぶぬし総会そうかい総会そうかい対処たいしょするだけの形骸けいがいしたものになっていた。また、取締役とりしまりやくかい実質じっしつてき社長しゃちょうによってえらばれた社内しゃない役員やくいん構成こうせいされ、経営けいえい監督かんとく批判ひはんする立場たちばになかった。そのわり、融資ゆうしがくだい1銀行ぎんこうであり、かつ主要しゅよう安定あんてい株主かぶぬしでもあるメインバンクが、企業きぎょう役員やくいん派遣はけんするなど密接みっせつ人的じんてき関係かんけいむすび、企業きぎょう監視かんしする役割やくわりになっていたといわれる。

銀行ぎんこうは、企業きぎょうたいする融資ゆうしたって、企業きぎょう健全けんぜんせい投資とうし収益しゅうえきせい審査しんさおおくのちからそそぎ、企業きぎょう健全けんぜん発展はってん寄与きよした。また、メインバンクは、平時へいじ経営けいえいへの直接的ちょくせつてき干渉かんしょう株式かぶしき売却ばいきゃくおこなうことはないが、企業きぎょう経営けいえい不振ふしんおちいった場合ばあいには、企業きぎょう取引とりひき決済けっさい口座こうざくだり集中しゅうちゅうさせてキャッシュフロー監視かんししたり、投資とうし計画けいかく注文ちゅうもんけたりし、さら危機ききてき状況じょうきょうになれば、緊急きんきゅう融資ゆうし債権さいけん放棄ほうき人的じんてき支援しえんなど、あらゆるかたち企業きぎょう再建さいけん救済きゅうさいつとめた。このようなメインバンクによる企業きぎょう監視かんしが、日本にっぽんがたコーポレート・ガバナンス・システムであるとかんがえられていた[48]。また、グループない有力ゆうりょく企業きぎょう実力じつりょくしゃによるグループない企業きぎょうたいするかん仲間なかまないである従業じゅうぎょういん労働ろうどう組合くみあいによる経営けいえいしゃへの監視かんしかんによる規制きせい業界ぎょうかい団体だんたいによる「みんみん規制きせい」なども、一種いっしゅのコーポレート・ガバナンスの役割やくわりたしていたとされる[49]

しかし、1980年代ねんだいからとくに1990年代ねんだいにかけて、金融きんゆうかいにおける規制きせい緩和かんわうごき、世界せかい経済けいざいのグローバルIT革命かくめい進行しんこうなど、日本にっぽん企業きぎょう経営けいえい環境かんきょうおおきく変化へんかした。そのようななか企業きぎょうグループの解体かいたい希薄きはくいの解消かいしょうすすんだ。また、銀行ぎんこうには法人ほうじん個人こじんから潤沢じゅんたく預金よきん流入りゅうにゅうする一方いっぽう企業きぎょう資金しきん需要じゅよう縮小しゅくしょうしたため、銀行ぎんこう企業きぎょう付随ふずいてきサービスをよわ立場たちばつことになり、企業きぎょう監視かんしするつよちからたなくなった。さらに、行政ぎょうせい当局とうきょく金融きんゆう業界ぎょうかいにおける護送ごそう船団せんだん方式ほうしき象徴しょうちょうされる保護ほごてき競争きょうそう制限せいげんつづけるとともに、OBの天下あまくだれる企業きぎょう癒着ゆちゃくしたことにより、企業きぎょうたいしてつよ措置そちこうじることができず、企業きぎょう競争きょうそうりょくそだたなくなる結果けっかとなった。ゆる企業きぎょう会計かいけい原則げんそくかぎられた情報じょうほう公開こうかいは、長期ちょうきてき柔軟じゅうなん経営けいえい可能かのうにする反面はんめん経営けいえい失敗しっぱいおおかくすことをゆるし、粉飾ふんしょく決算けっさん温床おんしょうともなった[50]

こうした日本にっぽんてき経営けいえいまりが顕在けんざいしたのが、バブル経済けいざい崩壊ほうかいしたのちの1990年代ねんだいであった。主要しゅよう銀行ぎんこうがバブル経済けいざい時代じだい不当ふとう融資ゆうしおこなっていたことが判明はんめいし、これが大量たいりょう不良ふりょう債権さいけん原因げんいんとなり、その処理しょりのために公的こうてき資金しきん注入ちゅうにゅうおこなわれた[注釈ちゅうしゃく 3]。また、ほとんどの企業きぎょう総会そうかいへの利益りえき供与きょうよおこなっていたことが判明はんめいした[注釈ちゅうしゃく 4]。さらに、不正ふせい配当はいとう不正ふせい経理けいり粉飾ふんしょく決算けっさん多数たすう発覚はっかくした[注釈ちゅうしゃく 5]。このような企業きぎょう不祥事ふしょうじ多発たはつけて、1990年代ねんだい不祥事ふしょうじ発生はっせいふせぐにはだれがどのように企業きぎょう統治とうちすべきかという観点かんてんから、コーポレート・ガバナンスという概念がいねんがクローズアップされるようになった[51]

それと同時どうじに、バブル経済けいざい崩壊ほうかい日本にっぽん経済けいざいうしなわれた10ねんばれる長期ちょうき停滞ていたいからすことができなくなったことから、企業きぎょう効率こうりつせい収益しゅうえきせいたかめるためにどうすればよいかという観点かんてんからも、コーポレート・ガバナンスが注目ちゅうもくされることになった[52]

1994ねんNGOである日本にっぽんコーポレート・ガバナンス・フォーラムが発足ほっそくし、1998ねん5がつ、「コーポレート・ガバナンス原則げんそく――あたらしい日本にっぽんがた企業きぎょう統治とうちかんがえる(最終さいしゅう報告ほうこく)」を発表はっぴょうした。この最終さいしゅう報告ほうこくは、取締役とりしまりやくかい改革かいかく社外しゃがい取締役とりしまりやく導入どうにゅう取締役とりしまりやくかい執行しっこう役員やくいんかい分離ぶんりなど)、ディスクロージャー(情報じょうほう開示かいじ)の拡充かくじゅうなど、日本にっぽん企業きぎょうのガバナンスについての提言ていげんおこなった[53]。これと前後ぜんごして、ソニーをはじめとして執行しっこう役員やくいんせい導入どうにゅうなど取締役とりしまりやくかい改革かいかくおこな企業きぎょう相次あいついだ。これについては、実質じっしつてき経営けいえい体制たいせい変化へんかしていない場合ばあいおおく、社外しゃがい取締役とりしまりやく導入どうにゅうすすんでいないとして、日本にっぽんのコーポレート・ガバナンスのおくれを指摘してきする意見いけんもある[54]一方いっぽう解消かいしょうすすむと同時どうじに、カルパースのような公的こうてき年金ねんきん基金ききんが、割安わりやすとなった日本にっぽん企業きぎょう株式かぶしき取得しゅとくするようになった。こうした外国がいこくじん株主かぶぬしは、株主かぶぬし重視じゅうし経営けいえいや、上記じょうきガバナンス原則げんそく沿った改革かいかくもとめていることから、日本にっぽん企業きぎょう否応いやおうなく投資とうし意識いしきしたコーポレート・ガバナンスの改革かいかくせまられている[55]

旧来きゅうらい日本にっぽんがたコーポレート・ガバナンス・システムを刷新さっしんするために必要ひつようなサステナビリティ、戦略せんりゃく・リスク・監査かんさ指名しめいにんざい報酬ほうしゅうの4つのガバナンス領域りょういき変化へんかもとめられる。これらの社会しゃかい情勢じょうせい対応たいおうするため、メガバンク資本しほんによる新設しんせつ会社かいしゃがコンサルティング指南しなんおこなうなど、あらたなうごきが活発かっぱつしている。[56]

金融きんゆうちょうは2021ねん4がつ6にちに、「コーポレートガバナンス・コード」および「投資とうし企業きぎょう対話たいわガイドライン」の改訂かいていあん公表こうひょうした。コーポレートガバナンス・コードの改訂かいていを2021ねん6がつ予定よていしており、2022ねん4がつより東京とうきょう証券しょうけん取引とりひきしょにおけるしん市場いちば区分くぶんのプライム市場いちば上場じょうじょう企業きぎょう一段いちだんたかいガバナンスがもとめられることになる。

会社かいしゃほうのガバナンス規整きせい[編集へんしゅう]

2005ねん従来じゅうらい商法しょうほう会社かいしゃへんとう統合とうごうした会社かいしゃほう平成へいせい17ねん7がつ26にち法律ほうりつだい86ごう)が制定せいてい公布こうふされ、2006ねん5がつ1にち施行しこうされた。そこでは、(1)すべてのだい会社かいしゃたいし、内部ないぶ統制とうせいシステムの一環いっかんである業務ぎょうむ適正てきせい確保かくほするための体制たいせい構築こうちく基本きほん方針ほうしん決定けっていすることを義務ぎむづけること、(2)株主かぶぬし総会そうかいにおける取締役とりしまりやく解任かいにん決議けつぎ要件ようけん特別とくべつ決議けつぎから普通ふつう決議けつぎ緩和かんわすること、(3)おも中小ちゅうしょう企業きぎょう利用りようされることを想定そうていした会計かいけい参与さんよ制度せいど新設しんせつなど、コーポレート・ガバナンス確保かくほのための措置そちこうじられている[57]

しん会社かいしゃほうしたでは、株式会社かぶしきがいしゃは、トップ・マネジメント組織そしきのありかたとして、(1)従来じゅうらいがた取締役とりしまりやくかい設置せっち会社かいしゃ、(2)委員いいんかい設置せっち会社かいしゃ、(3)取締役とりしまりやくかい設置せっち会社かいしゃの3種類しゅるい構成こうせい選択せんたくすることができる[58]

従来じゅうらいがた取締役とりしまりやくかい設置せっち会社かいしゃ
取締役とりしまりやくかい経営けいえいじょう意思いし決定けっていおこない、取締役とりしまりやくかいからえらばれた代表だいひょう取締役とりしまりやく業務ぎょうむ執行しっこうおこなうとともに、対外たいがいてき会社かいしゃ代表だいひょうする形態けいたいである。日常にちじょうてき業務ぎょうむ執行しっこうは、代表だいひょう取締役とりしまりやくゆだねられることがおお[59]
原則げんそくとして、会計かいけい監査かんさ業務ぎょうむ監査かんさおこな機関きかんとして監査かんさやくかれる(会社かいしゃほう327じょう2こう)。コーポレート・ガバナンス強化きょうか要求ようきゅうけて、度々どど商法しょうほう改正かいせい監査かんさやく独立どくりつせい強化きょうかはかられてきた。しかし、実際じっさいには監査かんさやく社内しゃない出身しゅっしんしゃなかから、経営けいえいしゃによってえらばれているため、経営けいえいしゃ監視かんしするちからっておらず、コーポレート・ガバナンスへの寄与きよかぎられていると指摘してきされている[60]
委員いいんかい設置せっち会社かいしゃ
アメリカがたのトップマネジメント組織そしきにならい、指名しめい委員いいんかい監査かんさ委員いいんかい報酬ほうしゅう委員いいんかいくとともに、監督かんとく執行しっこう分離ぶんりした形態けいたいである。取締役とりしまりやくかい権限けんげんは、基本きほん事項じこう決定けってい委員いいんかいメンバーの選定せんてい監督かんとく執行しっこうやく選任せんにん監督かんとくなどに限定げんていされ、執行しっこうやく業務ぎょうむ執行しっこうし、代表だいひょう執行しっこうやく対外たいがいてき会社かいしゃ代表だいひょうする。業務ぎょうむ意思いし決定けっていも、大幅おおはば執行しっこうやくゆだねられる。2008ねん平成へいせい20ねん)12がつ現在げんざいやく110しゃ存在そんざいする[61]
取締役とりしまりやくかい設置せっち会社かいしゃ
きゅう有限ゆうげん会社かいしゃ機関きかん設計せっけいをおおむねいだ形態けいたいであり、かく取締役とりしまりやく業務ぎょうむ執行しっこうするとともに(2人ふたり以上いじょういる場合ばあい過半数かはんすう業務ぎょうむ決定けっていする)、かく取締役とりしまりやく対外たいがいてき会社かいしゃ代表だいひょうする(ただし代表だいひょう取締役とりしまりやくさだめることができる)[62]

ガバナンスにかんする企業きぎょう情報じょうほう開示かいじ制度せいど[編集へんしゅう]

2003ねん平成へいせい15ねん)の内閣ないかくれい企業きぎょう内容ないようとう開示かいじかんする内閣ないかくれい改正かいせいにより、有価ゆうか証券しょうけん届出とどけでしょ有価ゆうか証券しょうけん報告ほうこくしょの「企業きぎょう情報じょうほう提出ていしゅつ会社かいしゃ状況じょうきょう」のなかに「コーポレート・ガバナンスの状況じょうきょう」という項目こうもくもうけられ、提出ていしゅつ会社かいしゃがコーポレート・ガバナンスにかんする取組とりくみを開示かいじすることができるようになった[63]

東京とうきょう証券しょうけん取引とりひきしょは、2004ねん平成へいせい16ねん)3がつ、コーポレート・ガバナンスの充実じゅうじつには上場じょうじょう会社かいしゃ自発じはつてき取組とりくみと株主かぶぬし投資とうししゃ評価ひょうか一体いったいとなっておこなわれることが必要ひつようであるとして、そのために共通きょうつうする認識にんしき基盤きばん提供ていきょうすることを目的もくてきとして、OECDコーポレート・ガバナンス原則げんそく構成こうせい準拠じゅんきょしながら、上場じょうじょう会社かいしゃコーポレート・ガバナンス原則げんそく策定さくていした[64]。また、どう取引とりひきしょは2003ねん3がつ31にち終了しゅうりょう事業じぎょう年度ねんどから上場じょうじょう会社かいしゃたいし、決算けっさん短信たんしんに「コーポレート・ガバナンスにかんする基本きほんてきかんがかたおよびその施策しさく実施じっしじょうきょう」を記載きさいすることをもとめていたが、2006ねん平成へいせい18ねん)3がつ決算けっさん短信たんしんからはなしてコーポレート・ガバナンスにかんする報告ほうこくしょ開示かいじもとめることとなった[65][66]

また、経済けいざい産業さんぎょうしょう設置せっちされた「企業きぎょう行動こうどう開示かいじ評価ひょうかかんする研究けんきゅうかい」は、2005ねん平成へいせい17ねん)8がつ31にち企業きぎょうがコーポレート・ガバナンスおよびリスク管理かんり内部ないぶ統制とうせい構築こうちく開示かいじさいして参考さんこうにすべき指針ししんとして、中間ちゅうかん報告ほうこくしょである「コーポレートガバナンスおよびリスク管理かんり内部ないぶ統制とうせいかんする開示かいじ評価ひょうか枠組わくぐみについて-構築こうちくおよ開示かいじのための指針ししん-」を公表こうひょうした[67]

2006ねん証券しょうけん取引とりひきほうとう一部いちぶ改正かいせいする法律ほうりつ平成へいせい18ねん6がつ14にち法律ほうりつだい65ごう)が制定せいてい公布こうふされ、2007ねん9がつ30にち改正かいせいほう本体ほんたい施行しこうされたことにより、証券しょうけん取引とりひきほう金融きんゆう商品しょうひん取引とりひきほうへと題名だいめいえた。金融きんゆう商品しょうひん取引とりひきほうは、財務ざいむ報告ほうこくかか内部ないぶ統制とうせいかんして内部ないぶ統制とうせい報告ほうこくしょ提出ていしゅつ義務ぎむづけるなど、ディスクロージャーを拡充かくじゅうした。金融きんゆう商品しょうひん取引とりひきほうしたでの内部ないぶ統制とうせい報告ほうこく制度せいどは、会社かいしゃほうのコーポレート・ガバナンス規整きせいとしての内部ないぶ統制とうせい相互そうご関連かんれんし、影響えいきょうおよぼしうものであるとかんがえられている[68]

2015ねん3月、金融きんゆうちょう東京とうきょう証券しょうけん取引とりひきしょは、「コーポレートガバナンス・コード」を正式せいしき決定けってい[69]、6月1にちからどうコードの適用てきよう開始かいしした。

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

注釈ちゅうしゃく[編集へんしゅう]

  1. ^ たとえば西にしドイツの製造せいぞうぎょう場合ばあい、1980年代ねんだいのデータによれば、負債ふさい比率ひりつがおおむね70%前後ぜんご自己じこ資本しほん比率ひりつは30%前後ぜんごであった。菊澤きくざわ (2004: 55)。はら出典しゅってん日本にっぽん銀行ぎんこう国際こくさい比較ひかく統計とうけい1992』。
  2. ^ 1996ねんには、ドイツ(統一とういつ)の製造せいぞうぎょうにおける自己じこ資本しほん比率ひりつは50.4%、負債ふさい比率ひりつは49.6%である。菊澤きくざわ (2004: 61)。はら出典しゅってん日本にっぽん銀行ぎんこう国際こくさい比較ひかく統計とうけい1999』。
  3. ^ 住友銀行すみともぎんこうイトマンたいする不正ふせい融資ゆうし(1990ねん)、富士銀行ふじぎんこうなどでのニセ証書しょうしょ事件じけん日本興業銀行にほんこうぎょうぎんこうから尾上おがみぬいたいする巨額きょがく融資ゆうし東洋とうよう信用金庫しんようきんこ巨額きょがくニセ預金よきん証書しょうしょ発行はっこう事件じけん(1991ねん)などがあきらかになった。田村たむら (2002: 10)。
  4. ^ 日本にっぽん合成ごうせい化学かがく不二越ふじこし総会そうかい癒着ゆちゃく(1990ねん)、4だい証券しょうけん会社かいしゃ平和堂へいわどう(1991ねん)、髙島(1996ねん)、あじもときゅう第一勧業銀行だいいちかんぎょうぎんこう松坂屋まつざかや日立ひたち東芝とうしば三菱地所みつびしじしょ(1997ねん)、旭硝子あさひがらす日本航空にほんこうくう(1998ねん)などの総会そうかいへの利益りえき供与きょうよ発覚はっかくした。菊澤きくざわ (2004: 30-31)。
  5. ^ 日東にっとうあられ、マクロスの粉飾ふんしょく経理けいり事件じけん(1991ねん)、アイペックの粉飾ふんしょく経理けいり事件じけん(1992ねん)、信組しんそ事件じけん(1995ねん)、三田みた工業こうぎょう粉飾ふんしょく経理けいり(1998ねん)などが発覚はっかくした。菊澤きくざわ (2004: 31)。

出典しゅってん[編集へんしゅう]

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参考さんこう文献ぶんけん[編集へんしゅう]

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]