そり

木製もくせいのそり

そり（雪ゆき車しゃ、橇そり、雪舟せっしゅう、轌、艝）は、底面ていめんを滑走かっそうさせることにより物体ぶったいの移動いどうを補助ほじょする道具どうぐ。英語えいごでは小ちいさなものを sled、それより大おおきなものを sleigh、そして一番いちばん大おおきなものを sledge と呼よび分わけている。

特徴とくちょう

そりは代表だいひょう的てきな雪上せつじょうの運搬うんぱん具ぐである。

雪上せつじょうの運搬うんぱん具ぐ・交通こうつう機械きかいには、雪上せつじょうで荷重かじゅうを広ひろい面積めんせきに分散ぶんさんさせて沈下ちんかを防ふせぎ、けん引いん力りょくと運動うんどう速度そくどが得えられるような構造こうぞうである必要ひつようがある。ただし、そりは自力じりきでは動うごくことや方向ほうこうを転換てんかんすることができない。動力どうりょくごとに、人ひと引ひかそり、犬いぬぞり、馬ばそりなど各種かくしゅの形態けいたいがある。

そりは地域ちいきごとに雪ゆき質しつ・雪ゆき状じょうや運搬うんぱんの対象たいしょう物ぶつなど各地かくちの事情じじょうに合あわせて発達はったつしたため形状けいじょうや発達はったつの経過けいかなどは多種たしゅ多様たようである。

• トボガンぞり（カナダ）
• アキオ (そり)（北欧ほくおう） - 汎用はんようそり、人ひと・犬いぬ・トナカイ・スノーモービルが牽引けんいんする。
• 箱はこぞり

そりは雪ゆき面めんや氷こおり上じょうなど摩擦まさつの少すくない場所ばしょで使つかわれることが多おおいが、砂上さじょうや芝生しばふ（人工芝じんこうしばなど）のように滑走かっそうさせることが可能かのうな場所ばしょであれば用もちいることができる。

古ふるくは石材せきざいや木材もくざいの運搬うんぱん具ぐとしても用もちいられた。

• そりは石材せきざいの運搬うんぱんにも用もちいられた。日本にっぽんでは城郭じょうかくの建築けんちくでは石材せきざいを運はこぶ際さいに、そりが用もちいられた。
• そりは森林しんりんからの木材もくざいの搬出はんしゅつにも用もちいられた。日本にっぽんの山村さんそんではトラックなどの機械きかい力りょくが普及ふきゅうするまでは、あえて積雪せきせつを待まってから木材もくざいを里さとに運はこび出だす橇そり出で（そりだし）が行おこなわれていた。

雪上せつじょうでの利用りよう

探検たんけんとそり

19世紀せいきから20世紀せいきの初頭しょとうにかけては、主おもにイギリスの探検たんけん隊たいによって極ごく地方ちほうの探索たんさくに用もちいられていた。犬いぬぞりもロアール・アムンセンの他ほか、多おおくの探検たんけん隊たいが使つかい、スノーモービルに取とって代かわられるまで、極ごく地方ちほうの主要しゅような交通こうつう手段しゅだんであった。現在げんざいの探検たんけん家かの多おおくは、そりに凧たこを結むすびつけて風力ふうりょくで動うごかしている。

そり遊あそび・そり競技きょうぎ

フレキシブル・フライヤーのそり（インディアナポリス子供こども博物館はくぶつかん所蔵しょぞう）

「そり競技きょうぎ」も参照さんしょう

木製もくせいやプラスチック製せい、段だんボールなど紙かみ製せいの一人ひとり乗のりのそりは、玩具おもちゃとして使つかわれており、丘おかを滑すべり降おりるために使つかわれる。

なお、運動会うんどうかいの種目しゅもくの中なかには、2人ふたり1組くみになり、一人ひとりがそりに乗のり込こみ、もう一人ひとりがそのそりを引ひっ張ぱるという競技きょうぎ内容ないようの種目しゅもくが設もうけられる場合ばあいがある。

ボブスレー、リュージュ、スケルトンは冬季とうきオリンピック正式せいしき種目しゅもく。パラアイスホッケーは冬季とうきパラリンピック正式せいしき種目しゅもく。ばんえい競馬けいばにおける馬うまぞり、犬いぬぞりなどは競技きょうぎとしても楽たのしまれている。

工事こうじでの利用りよう

そりは工事こうじ現場げんばなどで石いしや樹木じゅもくなどを運はこぶときにも用もちいられる。 摩擦まさつを小ちいさくするため、そり道どうと呼よばれる半割はんざきの丸太まるたや竹たけを複数ふくすう並ならべたところを滑走かっそうさせる。

大おおきい建設けんせつ機械きかいが入はいらないような場所ばしょで使つかわれることがあるが、小型こがたの運搬うんぱん機械きかいが使用しようされることが多おおくなっている。なお、コロ（丸太まるたなどで地面じめんに並ならべて回転かいてんさせて移動いどうさせるもの）で移動いどうさせるときも、その上うえにそりを載のせて使つかうことがある。

稲作いなさくでの利用りよう

沼田ぬまた (ぬた、ぬまた)とよばれる沼地ぬまちの田圃たんぼ (たんぼ)では常時じょうじ水みずが無なくなることはなく農作業のうさぎょうをする人ひとは足首あしくびや膝下ひざもとあたりまで水面すいめん下かに沈しずめ作業さぎょうをした。水面すいめんに浮うかべた小ちいさな舟ふね状じょうの形態けいたいのものを「たそり」と呼よび、田植たうえ時ときは片かた脚あしで膝ひざをつきもう一方いっぽうの脚あしで前進ぜんしんし作業さぎょうを行おこなったといわれる。

航空機こうくうきでの利用りよう

スキッドを装備そうびしたヘリコプター（エントロム480）

詳細しょうさいは「テールスキッド」を参照さんしょう

そりは、航空機こうくうきの降着こうちゃく装置そうちとしても用もちいられる。飛行機ひこうきでは、胴体どうたい尾お部下ぶか面めんにある、突起とっき状じょうの部材ぶざいまたは装置そうちであり、日本語にほんごでは「尾お橇そり（びぞり）」と言いう。速度そくどの低ひくいヘリコプターでは、金属きんぞくの棒ぼうやパイプで構成こうせいされる簡素かんそな脚あしであるスキッド（そり）が利用りようされてきた。

てぞり

岐阜ぎふ県けん飛騨ひだ地方ちほう西部せいぶ、美濃みの地方ちほう北部ほくぶ、福井ふくい県けん北部ほくぶ、石川いしかわ県けんなどに分布ぶんぷする道具どうぐに、滑走かっそう板ばんに荷台にだいと操作そうさ用ようの手てを付つけたてぞり（手て橇そり: テゾリ）がある。

ギャラリー

• 
  そりで遊あそぶ子供こどもたち
• 
  馬ばそり
• 
  箱はこぞり

参考さんこう文献ぶんけん

• 細谷ほそや昌之まさゆき『日本にっぽんの雪上せつじょう車しゃの歩あゆみ』国立こくりつ極地きょくち研究所けんきゅうじょ〈極地きょくち選書せんしょ1〉、2001年ねん。全国ぜんこく書誌しょし番号ばんごう:20201907。 

関連かんれん項目こうもく

• クロスカントリー
• スキー
• スノーボード
• スノーシュー
• トロイカ
• モーグル
• 雪上せつじょう車しゃ
• テレマークスキー
• 雪ゆき道どう（雪ゆきそり道どう）- そりが活躍かつやくしていた地域ちいき・時代じだいにおいては、地面じめんが出でた場所ばしょは雪ゆきで舗装ほそうされ、水みずがまかれ整備せいびされ重量じゅうりょう物ぶつの輸送ゆそうが行おこなわれた。
• ルロイ・アンダーソン - 「そりすべり」という曲きょくを作曲さっきょくしている。
• 木馬もくば（きんま。丸太まるたを山中さんちゅうから運はこび出だすための、そりのような装置そうち）
• 木馬もくば道どう
• 修羅しゅら (そり)
• テールスキッド（尾お橇そり）
• 雪ゆき板ばん