武田たけだ二に十じゅう四よん将しょう

武田たけだ二に十じゅう四よん将しょう（たけだにじゅうししょう、たけだにじゅうよんしょう）は、武田たけだ信玄しんげんに仕つかえた武将ぶしょうのうち、後世こうせいに講談こうだんや軍記ぐんきなどで一般いっぱん的てきな評価ひょうかが特とくに高たかい24人にんをさして呼よばれるようになった武田たけだ家か家臣かしん団だんの呼称こしょう。

概要がいよう

江戸えど時代じだいに「武田たけだ二に十じゅう四よん将しょう図ず」として絵画かいがや浮世絵うきよえの題材だいざいとなったもので、戦国せんごく期きに実在じつざいした職制しょくせいや呼称こしょうではない。江戸えど時代じだいの文政ぶんせい期きに描えがかれた肖像しょうぞう画がは掛かけ幅はばの仏画ぶつがの集合しゅうごう図像ずぞう形式けいしきで、上部じょうぶ中央ちゅうおうに法師ほうし武者むしゃ姿すがたの信玄しんげんが描えがかれ、周囲しゅういに親族しんぞく衆しゅ・家臣かしん団だん・国人くにびと衆しゅが配列はいれつされ、軍ぐん議ぎを行おこなっている様子ようすなどが描えがかれている。人物じんぶつの選定せんていは当時とうじの浄瑠璃じょうるりや浮世絵うきよえの影響えいきょうを色濃いろこく受うけている。

二に十じゅう四よん将しょう図ずに描えがかれる武将ぶしょうは諸しょ本ほんにより異ことなるが、いずれの図ずにおいても信玄しんげんを一いち将しょうとして数かぞえているため、武将ぶしょうは23名めいしか描えがかれていない。また、二に十じゅう二に将しょう・十じゅう四よん将しょう・十じゅう二に将しょうとするものや、武田たけだ勝頼かつより・信しんじ廉れんを中心ちゅうしんに据すえたものも存在そんざいする。描えがかれる武将ぶしょうの名なも『甲きのえ陽よう軍ぐん鑑かん』等とうに依拠いきょするため、文書ぶんしょ上じょうから確認かくにんされる確実かくじつな実名じつめいと異ことなる場合ばあいもあり、また天文てんもん17年ねんの上田うえだ原げんの戦たたかいにおいて戦死せんししている板垣いたがき信しん方かた・甘利あまり虎とら泰たいと信玄しんげん後期こうきから勝頼かつせ期きに活躍かつやくしている真田さなだ昌幸まさゆきを同時どうじに描えがくなど時どき系けい的てきに矛盾むじゅんが生しょうじる図ずも見みられる。

信玄しんげんは同どう時代じだいの肖像しょうぞう画がが複数ふくすう存在そんざいしており、青年せいねん武将ぶしょう像ぞうや出家しゅっけした壮年そうねんの姿すがたが描えがかれているが、一方いっぽうで同どう時代じだいから法師ほうし武者むしゃや不動明王ふどうみょうおうのイメージが存在そんざいしている。江戸えど中期ちゅうきから後期こうきにかけて軍記ぐんき物ぶつである『甲きのえ陽よう軍ぐん鑑かん』の流行りゅうこうを受うけて赤あか法衣ほうえと諏訪すわ法ほう性せいの兜かぶと、軍配ぐんばいを持もった軍陣ぐんじん姿すがたの神格しんかく表現ひょうげんが確立かくりつし、二に十じゅう四よん将しょう図ずと同様どうようのイメージで描えがかれた信玄しんげん個人こじんの肖像しょうぞう画がも制作せいさくされている。

近世きんせい絵画かいがにおいて、供養くよう像ぞうとしての戦国せんごく大名だいみょうと家臣かしん団だんを描えがいた集団しゅうだん肖像しょうぞう画がは広ひろく制作せいさくされているが、廃絶はいぜつ大名だいみょう家かでは遺臣いしんの需要じゅようがわずかにある程度ていどであり作例さくれいは少すくない。武田たけだ氏しは滅亡めつぼう後ごにも徳川とくがわ氏しによって武田たけだ遺臣いしんが庇護ひごされ、また江戸えど時代じだいには『甲きのえ陽よう軍ぐん鑑かん』の普及ふきゅうや甲州こうしゅう流りゅう軍学ぐんがくの流行りゅうこうもあり、その肖像しょうぞう画がも一定いっていの需要じゅようがあったと考かんがえられている。

江戸前えどまえ期きには初代しょだい鳥居とりい清信きよのぶによる作例さくれいがあるほか、山梨やまなし県けんの武田たけだ神社じんじゃ所蔵しょぞう品ひんや山梨やまなし県立けんりつ博物館はくぶつかん所蔵しょぞう品ひん、和歌山わかやま県けんの高野たかの山成やまなり慶けい院いん所蔵しょぞう品ひんや、山口やまぐち県けんの柏原かしわばら美術館びじゅつかん（旧きゅう岩国いわくに美術館びじゅつかん）所蔵しょぞう品ひんや愛知あいち県けんの医い王おう院いん^{[要よう曖昧あいまいさ回避かいひ]}所蔵しょぞう品ひんなどが代表だいひょう的てきなものである。

二に十じゅう四よん将しょう

資料しりょうによって異ことなるが、ここでは東京とうきょう国立こくりつ博物館はくぶつかん、武田たけだ神社じんじゃ所蔵しょぞう及および歴史れきし博物館はくぶつかん信玄しんげん公おおやけ宝物ほうもつ館かんで各かく所蔵しょぞうの「武田たけだ二に十じゅう四よん将しょう図ず」で記載きさいされている武将ぶしょうを表記ひょうきする。五十音ごじゅうおん順じゅん、カッコ内ないは文書ぶんしょ上じょうから確認かくにんされる確実かくじつな諱いみな。

	生なま没年ぼつねん	出自しゅつじ	死因しいん
秋山あきやま信友のぶとも（秋山あきやま虎とら繁しげる）	1527年ねん－1575年ねん	秋山あきやま氏し	刑死けいし（岩村いわむら城じょうの戦たたかい）
穴山あなやま信しん君くん	1541年ねん－1582年ねん	穴山あなやま氏し	戦死せんし（本能寺ほんのうじの変へん）
甘利あまり虎とら泰やすし（一いち期き四天王してんのう）	1498年ねん?－1548年ねん	甘利あまり氏し	戦死せんし（上田うえだ原げんの戦たたかい）
甘利あまり信忠のぶただ	1534年ねん－1567年ねん(1572年ねん？)	甘利あまり氏し	病死びょうし
板垣いたがき信しん方かた（一いち期き四天王してんのう）	1489年ねん?－1548年ねん	板垣いたがき氏し	戦死せんし（上田うえだ原げんの戦たたかい）
一条いちじょう信しん龍りゅう	1539年ねん?－1582年ねん	武田たけだ氏し	戦死せんし（甲州こうしゅう征伐せいばつ）
小畠おばた虎とら盛もり（小幡おばた虎とら盛もり）（五ご名めい臣しん）	1491年ねん－1561年ねん	甲州こうしゅう小幡おばた氏し	病死びょうし
小幡おばた昌あきら盛もり	1534年ねん－1582年ねん	甲州こうしゅう小幡おばた氏し	病死びょうし
飯富いいとみ虎とら昌あきら（一いち期き四天王してんのう）	1504年ねん?－1565年ねん	飯富いいとみ氏し	自害じがい（義信よしのぶ事件じけん）
小山田おやまだ信しん茂しげる	1539年ねん－1582年ねん	小山田おやまだ氏し	刑死けいし（甲州こうしゅう征伐せいばつ）
高坂こうさか昌信まさのぶ（春日かすが虎とら綱つな）（二に期き四天王してんのう）	1527年ねん－1578年ねん	百姓ひゃくしょう・春日かすが氏し	病死びょうし
三枝さえぐさ守友もりとも（三枝さえぐさ昌あきら貞さだ）	1537年ねん－1575年ねん	木原きはら領主りょうしゅ	戦死せんし（長篠ながしのの戦たたかい）
真田さなだ幸隆ゆきたか（真田さなだ幸綱ゆきつな）	1513年ねん－1574年ねん	真田さなだ氏し	病死びょうし
真田さなだ信綱のぶつな	1537年ねん－1575年ねん	真田さなだ氏し	戦死せんし（長篠ながしのの戦たたかい）
真田さなだ昌輝まさてる	1543年ねん－1575年ねん	真田さなだ氏し	戦死せんし（長篠ながしのの戦たたかい）
曽根そね昌世まさよ	生なま没年ぼつねん未み詳しょう	曽根そね氏し	未み詳しょう
武田たけだ勝頼かつより	1546年ねん－1582年ねん	武田たけだ氏し	自害じがい（天目山てんもくざんの戦たたかい）
武田たけだ信繁のぶしげ	1525年ねん－1561年ねん	武田たけだ氏し	戦死せんし（川中島かわなかじまの戦たたかい）
武田たけだ信しん廉れん	1532年ねん?－1582年ねん	武田たけだ氏し	戦死せんし（甲州こうしゅう征伐せいばつ）
多田ただ満みつる頼よりゆき（五ご名めい臣しん）	生年せいねん不ふ詳しょう－1563年ねん	多田ただ氏し	病死びょうし
土屋つちや昌あきら次じ（土屋つちや昌あきら続つづけ）	1544年ねん－1575年ねん	金丸かねまる氏し	戦死せんし（長篠ながしのの戦たたかい）
内藤ないとう昌あきら豊ゆたか（内藤ないとう昌秀まさひで）（二に期き四天王してんのう）	1522年ねん－1575年ねん	工藤くどう氏し	戦死せんし（長篠ながしのの戦たたかい）
馬場ばば信春のぶはる（二に期き四天王してんのう）	1515年ねん－1575年ねん	教きょう来らい石郷いしごう領主りょうしゅ	戦死せんし（長篠ながしのの戦たたかい）
原はら虎胤とらたね（五ご名めい臣しん）	1497年ねん－1564年ねん	原はら氏し (千葉ちば氏族しぞく)	病死びょうし
原はら昌胤まさたね	1531年ねん－1575年ねん	原はら氏し (土岐とき氏し族ぞく)	戦死せんし（長篠ながしのの戦たたかい）
武藤むとう喜兵衛きへえ(真田さなだ昌幸まさゆき)	1547年ねん？－1611年ねん	真田さなだ氏し	病死びょうし
山県やまがた昌あきら景けい（二に期き四天王してんのう）	1529年ねん－1575年ねん	飯富いいとみ氏し	戦死せんし（長篠ながしのの戦たたかい）
山本やまもと勘助かんすけ（山本やまもと菅かん助すけ）（五ご名めい臣しん）	1493年ねん?－1561年ねん	庵原いおはら氏し未み詳しょう	戦死せんし（川中島かわなかじまの戦たたかい）
横田よこた高松たかまつ（五ご名めい臣しん）	1487年ねん?－1550年ねん	未み詳しょう	戦死せんし（砥石といし崩くずれ）

『武田たけだ二に十じゅう四よん将しょう図ず』に描えがかれたその他たの武将ぶしょう

諸しょ本ほんによって二に十じゅう四よん将しょうとして登場とうじょうしている武将ぶしょうを表記ひょうき

	生なま没年ぼつねん	出自しゅつじ	死因しいん
小幡おばた信しん貞さだ	1540年ねん－1592年ねん	上うえ州しゅう小幡おばた氏し	病死びょうし
小原おはら広勝ひろかつ（小原おはら継つぎ忠ちゅう）	生年せいねん不ふ詳しょう－1582年ねん	小原おはら郷さと領主りょうしゅ	戦死せんし（甲州こうしゅう征伐せいばつ）
小山田おやまだ昌あきら辰たつ（小山田おやまだ虎とら満まん）（一いち期き四天王してんのう）	生年せいねん不ふ詳しょう－1579年ねん	上原うえはら氏し（石田いしだ小山田おやまだ氏し）	未み詳しょう
栗原くりはら信しん盛もり	生なま没年ぼつねん未み詳しょう	栗原くりはら氏し	未み詳しょう
曽根そね昌あきら清きよし	生なま没年ぼつねん未み詳しょう	未み詳しょう	未み詳しょう
諸角もろずみ虎とら定じょう（室しつ住じゅう虎とら光こう）	生年せいねん不ふ詳しょう－1561年ねん	武田たけだ氏し	戦死せんし（川中島かわなかじまの戦たたかい）