水素 すいそ 化 か (すいそか、英 えい : hydrogenation )とは、水素 すいそ ガスを還元 かんげん 剤 ざい として化合 かごう 物 ぶつ に対 たい して水素 すいそ 原子 げんし を付加 ふか する還元 かんげん 反応 はんのう のことである。水素 すいそ 添加 てんか 反応 はんのう (すいそてんかはんのう)、略 りゃく して水 みず 添 (すいてん)と呼 よ ばれることもある。この反応 はんのう は触媒 しょくばい を必要 ひつよう とするため、接触 せっしょく 水素 すいそ 化 か (せっしょくすいそか、catalytic hydrogenation)とも呼 よ ばれる。文脈 ぶんみゃく によっては水素 すいそ 化 か 反応 はんのう を使用 しよう した実験 じっけん 手法 しゅほう ・技術 ぎじゅつ のことを指 さ す場合 ばあい もある。
より広義 こうぎ には還元 かんげん 剤 ざい が何 なに であるかを問 と わず、化合 かごう 物 ぶつ に水素 すいそ 原子 げんし を付加 ふか する還元 かんげん 反応 はんのう 全般 ぜんぱん のことを指 さ す場合 ばあい もある。
接触 せっしょく 水素 すいそ 化 か 反応 はんのう は1897年 ねん にポール・サバティエ によって発見 はっけん された。サバティエは水素 すいそ ガス中 ちゅう で酸化 さんか 物 ぶつ を還元 かんげん して調製 ちょうせい した微細 びさい なニッケル 粉末 ふんまつ が、エチレン への水素 すいそ の付加 ふか 反応 はんのう の触媒 しょくばい となることを発見 はっけん した。この発見 はっけん によりサバティエは1912年 ねん にノーベル化学 かがく 賞 しょう を受賞 じゅしょう した。
その後 ご 、白金 はっきん 族 ぞく 元素 げんそ 、中 なか でもルテニウム 、ロジウム 、パラジウム 、白金 はっきん の4元素 げんそ が強 つよ い触媒 しょくばい 活性 かっせい を持 も つことが発見 はっけん された。ニッケルを含 ふく めたこれらの元素 げんそ が水素 すいそ 化 か 反応 はんのう には良 よ く用 もち いられている。
1966年 ねん にジェフリー・ウィルキンソン は前年 ぜんねん に自身 じしん が発見 はっけん したロジウムトリス(トリフェニルホスフィン)クロリド(ウィルキンソン触媒 しょくばい )が水素 すいそ ガス中 ちゅう でアルケン を水素 すいそ 化 か する触媒 しょくばい となることを発見 はっけん した。この高 こう 活性 かっせい な触媒 しょくばい の発見 はっけん から反応 はんのう 溶液 ようえき に可 か 溶な触媒 しょくばい を用 もち いる均一 きんいつ 系 けい 水素 すいそ 化 か 反応 はんのう が発展 はってん していくことになる。
不 ふ 斉 ひとし 水素 すいそ 化 か 反応 はんのう は1956年 ねん に赤堀 あかほり 四郎 しろう 、泉 いずみ 美治 よしはる によりパラジウムをキラル な担体である絹 きぬ に固定 こてい した触媒 しょくばい において初 はじ めて発見 はっけん された。均一 きんいつ 系 けい 触媒 しょくばい においては1968年 ねん にウィリアム・ノールズ らによりキラルホスフィン配 はい 位 い 子 こ を持 も つロジウム 錯体 さくたい で発見 はっけん された。1971年 ねん にはアンリ・カガン らによりDIOP を配 はい 位 い 子 こ とするロジウム錯体 さくたい でα あるふぁ ,β べーた -不 ふ 飽和 ほうわ アミノ酸 あみのさん を水素 すいそ 化 か すると、高 たか いエナンチオ選択 せんたく 性 せい が見 み られることが発見 はっけん された。
1980年 ねん に野依 のより 良治 よしはる らはBINAP 配 はい 位 い 子 こ を持 も つ錯体 さくたい は広 ひろ い基質 きしつ に対 たい して高 たか いエナンチオ選択 せんたく 性 せい が見 み られることを発見 はっけん した。この業績 ぎょうせき によりウィリアム・ノールズと野依 のより 良治 よしはる は2001年 ねん のノーベル化学 かがく 賞 しょう を受賞 じゅしょう した。
不 ふ 均一 きんいつ 系 けい 触媒 しょくばい による接触 せっしょく 水素 すいそ 化 か [ 編集 へんしゅう ]
不 ふ 均一 きんいつ 系 けい 触媒 しょくばい における水素 すいそ 化 か は触媒 しょくばい によって選択 せんたく 性 せい が大 おお きく異 こと なるため、目的 もくてき とする反応 はんのう に応 おう じて適切 てきせつ な触媒 しょくばい が選択 せんたく される。また水素 すいそ 圧 あつ と反応 はんのう 温度 おんど も選択 せんたく 性 せい に大 おお きな影響 えいきょう を与 あた える。
炭素 たんそ −炭素 たんそ 多重 たじゅう 結合 けつごう の水素 すいそ 化 か では、白金 はっきん 族 ぞく 金属 きんぞく 、あるいはニッケルを不 ふ 均一 きんいつ 系 けい 触媒 しょくばい として水素 すいそ 化 か を行 おこな う。炭素 たんそ −酸素 さんそ 二 に 重 じゅう 結合 けつごう の水素 すいそ 化 か では、銅 どう -酸化 さんか クロム触媒 しょくばい なども使用 しよう される。またベンジル位 い やエポキシド などの比較的 ひかくてき 活性 かっせい な炭素 たんそ -ヘテロ原子 げんし 結合 けつごう やシクロプロパン 環 たまき などの炭素 たんそ -炭素 たんそ 結合 けつごう が開 ひらけ 裂 きれ して水素 すいそ 化 か されることもある。この反応 はんのう は水素 すいそ 化 か 分解 ぶんかい (すいそかぶんかい、Hydrogenolysis)、加 か 水素 すいそ 分解 ぶんかい (かすいそぶんかい)と呼 よ ばれる。
使用 しよう される金属 きんぞく 触媒 しょくばい は表面積 ひょうめんせき が大 おお きくなるようにコロイド 状 じょう 、スポンジ状 じょう の形態 けいたい にした金属 きんぞく 触媒 しょくばい 、あるいは系 けい 内 ない での水素 すいそ ガスによる還元 かんげん でそのようになるようにした金属 きんぞく 酸化 さんか 物 ぶつ や金属 きんぞく 水酸化物 すいさんかぶつ が使用 しよう される。前者 ぜんしゃ の代表 だいひょう 例 れい にはラネー触媒 しょくばい 、後者 こうしゃ の代表 だいひょう 例 れい にはアダムス触媒 しょくばい がある。
また、活性炭 かっせいたん 、アルミナ などの不溶性 ふようせい 物質 ぶっしつ を担体として、その表面 ひょうめん 上 じょう に微細 びさい な金属 きんぞく を還元 かんげん 的 てき に析出 せきしゅつ させた金属 きんぞく 担体触媒 しょくばい も用 もち いられる。金属 きんぞく 担体触媒 しょくばい は経時 きょうじ 的 てき な触媒 しょくばい 活性 かっせい の低下 ていか が少 すく ないとされており、そのため工業 こうぎょう 用 よう 触媒 しょくばい として優 すぐ れている。また、リンドラー触媒 しょくばい など金属 きんぞく 担体触媒 しょくばい に添加 てんか 剤 ざい を加 くわ えて活性 かっせい 度 ど を低下 ていか させ、選択 せんたく 性 せい を向上 こうじょう させた被 ひ 毒 どく 触媒 しょくばい も用 もち いられる。これらの不 ふ 均一 きんいつ 系 けい 触媒 しょくばい は濾過 ろか するだけで容易 ようい に回収 かいしゅう でき、再 さい 利用 りよう することが多 おお くの場合 ばあい 可能 かのう である。
各種 かくしゅ 水素 すいそ 化 か 反応 はんのう に使用 しよう される触媒 しょくばい の例 れい [ 編集 へんしゅう ]
C=C二 に 重 じゅう 結合 けつごう 、C≡C三重 みえ 結合 けつごう をC−C単 たん 結合 けつごう へ水素 すいそ 化 か するにはニッケル、ルテニウム、パラジウム、白金 はっきん が良 よ く用 もち いられる。これらの中 なか からの選択 せんたく は基質 きしつ に存在 そんざい する他 ほか の官能 かんのう 基 もと への選択 せんたく 性 せい を考慮 こうりょ して選択 せんたく される。場合 ばあい によってはアダムス触媒 しょくばい と呼 よ ばれる酸化 さんか 白金 はっきん PtO2 のような強力 きょうりょく な触媒 しょくばい が使用 しよう されることもある。
C≡C三重 みえ 結合 けつごう をC=C二 に 重 じゅう 結合 けつごう に部分 ぶぶん 還元 かんげん するには、パラジウムを被 ひ 毒 どく して活性 かっせい を低下 ていか させたリンドラー触媒 しょくばい がしばしば使用 しよう される。
芳香 ほうこう 環 たまき を水素 すいそ 化 か して飽和 ほうわ の環 たまき に還元 かんげん するにはルテニウム、ロジウムがしばしば使用 しよう される。特 とく にロジウムは水素 すいそ 圧 あつ が低 ひく くても芳香 ほうこう 環 たまき を還元 かんげん することができる。ルテニウムは硫黄 いおう 化合 かごう 物 ぶつ による被 ひ 毒 どく を受 う けないのでチオフェン 環 たまき の水素 すいそ 化 か にも利用 りよう できる。
アルデヒド およびケトン の C=O 二 に 重 じゅう 結合 けつごう (カルボニル基 もと )を CH−OH (アルコール )へ還元 かんげん するにはニッケル、銅 どう 、ルテニウム、白金 はっきん が良 よ く用 もち いられる。銅 どう -酸化 さんか クロム触媒 しょくばい は C=C 二 に 重 じゅう 結合 けつごう よりもカルボニル基 もと を選択 せんたく 的 てき に還元 かんげん できる傾向 けいこう があるが、この目的 もくてき にはヒドリド還元 かんげん の方 ほう がすぐれている。
エステル のカルボニル基 もと を還元 かんげん するには、銅 どう -酸化 さんか クロム触媒 しょくばい が使用 しよう されるが高温 こうおん 、高 こう 圧 あつ の条件 じょうけん が必要 ひつよう となる。
ベンジルアルコールやベンジルエーテルの C−O 単 たん 結合 けつごう を加 か 水素 すいそ 分解 ぶんかい するにはパラジウム 触媒 しょくばい が良 よ く用 もち いられる。この方法 ほうほう は有機 ゆうき 合成 ごうせい においてアルコールをベンジル保護 ほご した後 のち 、脱 だつ 保護 ほご するのに用 もち いられる常法 じょうほう である。
炭素 たんそ -硫黄 いおう 結合 けつごう を加 か 水素 すいそ 分解 ぶんかい するにはニッケル-アルミニウム 合金 ごうきん をアルカリで溶解 ようかい させて調製 ちょうせい するラネーニッケル触媒 しょくばい が用 もち いられる。この反応 はんのう はアルミニウムの溶解 ようかい の際 さい にニッケルへ吸着 きゅうちゃく された水素 すいそ による水素 すいそ 化 か 反応 はんのう である。カルボニル基 もと をジチオアセタール とした後 のち に、この方法 ほうほう を使用 しよう するとメチレン基 もと に還元 かんげん できる。この反応 はんのう は中性 ちゅうせい に近 ちか い条件 じょうけん で進行 しんこう し、強酸 きょうさん 性 せい 下 か で行 おこな われるクレメンゼン還元 かんげん 、強 つよ 塩基 えんき 性 せい 下 か で行 おこな われるウォルフ・キッシュナー還元 かんげん の条件 じょうけん で不安定 ふあんてい な物質 ぶっしつ にも適用 てきよう できる。
不 ふ 均一 きんいつ 系 けい 触媒 しょくばい の欠点 けってん は、反応 はんのう 系 けい 内 ない に存在 そんざい する微量 びりょう の物質 ぶっしつ によって大 おお きく触媒 しょくばい 活性 かっせい が低下 ていか する、すなわち被 ひ 毒 どく が起 お こりやすいことである。
被 ひ 毒 どく の原因 げんいん となる物質 ぶっしつ (触媒 しょくばい 毒 どく )としてはルイス塩基 えんき であるアミン 、硫黄 いおう 化合 かごう 物 ぶつ 、ホスフィン 、ハロゲン 化物 ばけもの イオン、一酸化 いっさんか 炭素 たんそ などが知 し られている。また鉛 なまり やビスマス などの金属 きんぞく イオンが触媒 しょくばい 毒 どく となることも知 し られている。これらの物質 ぶっしつ は触媒 しょくばい 上 じょう で反応 はんのう が進行 しんこう する場所 ばしょ (活性 かっせい 点 てん )となっている部分 ぶぶん に基質 きしつ より優先 ゆうせん 的 てき に吸着 きゅうちゃく されるため、触媒 しょくばい 活性 かっせい を大 おお きく低下 ていか させると考 かんが えられている。触媒 しょくばい 毒 どく が有機物 ゆうきぶつ の場合 ばあい には熱 ねつ などにより脱着 だっちゃく させることで低下 ていか した活性 かっせい を再生 さいせい することが可能 かのう である。
被 ひ 毒 どく は官能 かんのう 基 もと に対 たい する触媒 しょくばい 活性 かっせい によってその程度 ていど が異 こと なる場合 ばあい がある。これを利用 りよう して、特定 とくてい の官能 かんのう 基 もと に対 たい する触媒 しょくばい 活性 かっせい のみを残存 ざんそん させた被 ひ 毒 どく 触媒 しょくばい が調製 ちょうせい される。このような例 れい としては酢酸 さくさん 鉛 なまり により被 ひ 毒 どく したリンドラー触媒 しょくばい やローゼンムント還元 かんげん に用 もち いられるキノリン と硫黄 いおう により被 ひ 毒 どく したパラジウム触媒 しょくばい 、ニトロベンゼンからアニリンへの還元 かんげん に用 もち いられる硫酸 りゅうさん ニッケル から調製 ちょうせい したニッケル触媒 しょくばい などがある。
不 ふ 均一 きんいつ 系 けい 接触 せっしょく 水素 すいそ 化 か の機構 きこう
不 ふ 均一 きんいつ 系 けい 接触 せっしょく 水素 すいそ 化 か の反応 はんのう 機構 きこう は、多 おお くの場合 ばあい ラングミュア・ヒンシェルウッド機構 きこう で起 お こっているものと推定 すいてい されている。この機構 きこう は基質 きしつ と水素 すいそ がそれぞれ触媒 しょくばい に吸着 きゅうちゃく し、触媒 しょくばい 上 じょう で出会 であ って反応 はんのう する機構 きこう である。水素 すいそ は吸着 きゅうちゃく の際 さい に水素 すいそ 原子 げんし に解離 かいり している。この解離 かいり には触媒 しょくばい となっている金属 きんぞく 表面 ひょうめん の格子 こうし 欠陥 けっかん が重要 じゅうよう な役割 やくわり を果 は たしていると考 かんが えられている。触媒 しょくばい 毒 どく はこの格子 こうし 欠陥 けっかん に優先 ゆうせん 的 てき に吸着 きゅうちゃく して反応 はんのう を妨 さまた げていると考 かんが えられている。
不 ふ 飽和 ほうわ 結合 けつごう への水素 すいそ の付加 ふか は、水素 すいそ が原子 げんし に解離 かいり していることから2つの水素 すいそ 原子 げんし が別々 べつべつ に付加 ふか する2段階 だんかい 反応 はんのう で起 お こる。2つの水素 すいそ 原子 げんし は基本 きほん 的 てき には syn の立体 りったい 選択 せんたく 性 せい で付加 ふか する。しかし1段階 だんかい 目 め の付加 ふか 、場合 ばあい によっては2段階 だんかい 目 め の付加 ふか も可逆 かぎゃく であり、また逆 ぎゃく 反応 はんのう の際 さい には付加 ふか した水素 すいそ 原子 げんし とは別 べつ の水素 すいそ 原子 げんし が触媒 しょくばい 上 じょう に脱 だつ 離 はなれ することもある。この結果 けっか 、不 ふ 飽和 ほうわ 結合 けつごう の E -Z 異性 いせい 化 か や位置 いち の移動 いどう が起 お こることになり、そこから再度 さいど 水素 すいそ 化 か が進行 しんこう することによって多少 たしょう の立体 りったい 選択 せんたく 性 せい の低下 ていか が見 み られる。
実験 じっけん 室 しつ レベルでは炭素 たんそ -炭素 たんそ 多重 たじゅう 結合 けつごう の水素 すいそ 化 か や保護 ほご 基 もと として使用 しよう したベンジル基 はじめ の脱 だつ 保護 ほご に使用 しよう される。そのほかの反応 はんのう では、より簡便 かんべん なヒドリド還元 かんげん が使用 しよう されるのが普通 ふつう で、水素 すいそ 化 か が行 おこ なわれることは現在 げんざい では少 すく ない。
一方 いっぽう で、不 ふ 均一 きんいつ 系 けい 触媒 しょくばい による接触 せっしょく 水素 すいそ 化 か 反応 はんのう は工業 こうぎょう 的 てき にもっとも多 おお く使用 しよう されている還元 かんげん 反応 はんのう である。石油 せきゆ の接触 せっしょく 改 あらため 質 しつ 、接触 せっしょく 分解 ぶんかい プロセス内 ない における水素 すいそ 化 か 、窒素 ちっそ の水素 すいそ 化 か によるアンモニア の合成 ごうせい 、一酸化 いっさんか 炭素 たんそ の水素 すいそ 化 か によるメタノール の合成 ごうせい などは特 とく に大 だい 規模 きぼ に行 おこ なわれている水素 すいそ 化 か の例 れい である。
不 ふ 飽和 ほうわ 脂肪酸 しぼうさん の水素 すいそ 添加 てんか は、マーガリン の製造 せいぞう など食用 しょくよう 油脂 ゆし 加工 かこう の領域 りょういき でごく普通 ふつう に行 おこな われている。またエステル からアルコール への水素 すいそ 化 か など、高 こう 圧 あつ を要 よう するため実験 じっけん 室 しつ レベルではまず行 おこ なわれない反 はん 応 おう も、工業 こうぎょう 的 てき には油脂 ゆし から得 え られる高級 こうきゅう 脂肪酸 しぼうさん から高級 こうきゅう アルコールの製造 せいぞう などに一般 いっぱん 的 てき に使用 しよう されている。
均一 きんいつ 系 けい 触媒 しょくばい による接触 せっしょく 水素 すいそ 化 か [ 編集 へんしゅう ]
ウィルキンソン触媒 しょくばい を代表 だいひょう とする白金 はっきん 族 ぞく 金属 きんぞく と配 はい 位 い 子 こ との錯体 さくたい を用 もち いた均一 きんいつ 系 けい 金属 きんぞく 触媒 しょくばい が接触 せっしょく 水素 すいそ 化 か に用 もち いられる。特 とく にキラル な配 はい 位 い 子 こ を使 つか うことにより、エナンチオ選択 せんたく 的 てき 還元 かんげん の領域 りょういき でよく用 もち いられている。
各種 かくしゅ 水素 すいそ 化 か 反応 はんのう に使用 しよう される触媒 しょくばい の例 れい [ 編集 へんしゅう ]
ウィルキンソン触媒 しょくばい は、炭素 たんそ -炭素 たんそ 多重 たじゅう 結合 けつごう を炭素 たんそ -炭素 たんそ 単 たん 結合 けつごう に還元 かんげん するのに使用 しよう される。カルボニル基 もと やニトロ基 もと は還元 かんげん されない。また反 はん 応 おう 速度 そくど が立体 りったい 的 てき な影響 えいきょう を大 おお きく受 う けるので分子 ぶんし 内 ない に複数 ふくすう の二 に 重 じゅう 結合 けつごう を持 も つ基質 きしつ で、立体 りったい 的 てき に空 あ いている二 に 重 じゅう 結合 けつごう を還元 かんげん したい場合 ばあい などに有効 ゆうこう である。
クラブトリー触媒 しょくばい は、ウィルキンソン触媒 しょくばい では還元 かんげん できないような、反応 はんのう 性 せい の低 ひく い4級 きゅう オレフィンも還元 かんげん することが出来 でき るイリジウム触媒 しょくばい である。分子 ぶんし 内 ない にヒドロキシル基 もと やカルボニル基 もと が存在 そんざい する場合 ばあい 、立体 りったい 選択 せんたく 的 てき に還元 かんげん を行 おこな うことが出来 でき る。
キラルホスフィン-ロジウム錯体 さくたい は、α あるふぁ ,β べーた -不 ふ 飽和 ほうわ アミノ酸 あみのさん を不 ふ 斉 ひとし 水素 すいそ 化 か するのに使用 しよう される。二 に 座 ざ 配 はい 位 い 型 がた C 2 対称 たいしょう 性 せい を持 も つホスフィン配 はい 位 い 子 こ が有効 ゆうこう であることが知 し られており、これらは多 おお くの場合 ばあい アルファベットを読 よ み下 くだ した略称 りゃくしょう で呼 よ ばれる。アンリ・カガンらによって開発 かいはつ されたDIOP(ダイオプ)、ウィリアム・ノールズらによって開発 かいはつ されたDIPAMP (ダイパンプ)、野依 のより 良治 よしはる らによって開発 かいはつ されたBINAP (バイナップ)、デュポン のマーク・バークによって開発 かいはつ されたDuPHOS (デュフォス)などである。
BINAP誘導体 ゆうどうたい -酢酸 さくさん ルテニウム錯体 さくたい は、エナミン、α あるふぁ ,β べーた -不 ふ 飽和 ほうわ カルボン酸 さん 、アリルアルコール等 とう の不 ふ 斉 ひとし 水素 すいそ 化 か に有効 ゆうこう である。
BINAP誘導体 ゆうどうたい -ハロゲン化 か ルテニウム錯体 さくたい は、β べーた -ケトエステルの不 ふ 斉 ひとし 水素 すいそ 化 か に有効 ゆうこう である。
ホスフィン-エチレンジアミン-ルテニウム錯体 さくたい は、ケトンのカルボニル基 もと の水素 すいそ 化 か に有効 ゆうこう である。BINAP-光学 こうがく 活性 かっせい エチレンジアミン-ルテニウム錯体 さくたい を使用 しよう すると不 ふ 斉 ひとし 水素 すいそ 化 か が可能 かのう である。
金属 きんぞく 錯体 さくたい に水素 すいそ 分子 ぶんし が酸化 さんか 的 てき 付加 ふか して生成 せいせい するジヒドリド錯体 さくたい 、あるいはそこから還元 かんげん 的 てき 脱 だつ 離 はなれ でヒドリド配 はい 位 い 子 こ 1つとアニオン性 せい 配 はい 位 い 子 こ 1つが結合 けつごう して脱 だつ 離 はな したモノヒドリド錯体 さくたい が活性 かっせい 種 しゅ となって進行 しんこう する反応 はんのう 機構 きこう が考 かんが えられている。
ウィルキンソン触媒 しょくばい ではジヒドリド錯体 さくたい にオレフィンが π ぱい 配 はい 位 い した後 のち 、オレフィンが金属 きんぞく -水素 すいそ 結合 けつごう に挿入 そうにゅう 反応 はんのう してアルキル錯体 さくたい となり、アルキル配 はい 位 い 子 こ がもう一 ひと つのヒドリド配 はい 位 い 子 こ と還元 かんげん 的 てき 脱 だっ 離 はな して生成 せいせい 物 ぶつ のアルカンとなる。脱 だつ 離 はなれ 後 ご の触媒 しょくばい には水素 すいそ 分子 ぶんし が酸化 さんか 的 てき 付加 ふか することで再 ふたた びジヒドリド錯体 さくたい が再生 さいせい する。
酢酸 さくさん ルテニウム系 けい の触媒 しょくばい ではモノヒドリド錯体 さくたい にオレフィンが π ぱい 配 はい 位 い した後 のち 、オレフィンが金属 きんぞく -水素 すいそ 結合 けつごう に挿入 そうにゅう 反応 はんのう してアルキル錯体 さくたい となるところまでは同 おな じである。ここで水素 すいそ 分子 ぶんし の酸化 さんか 的 てき 付加 ふか が起 お きてジヒドリド錯体 さくたい となり、このヒドリド配 はい 位 い 子 こ とアルキル配 はい 位 い 子 こ が還元 かんげん 的 てき 脱 だっ 離 はな して生成 せいせい 物 ぶつ のアルカンとなり、同時 どうじ にモノヒドリド錯体 さくたい が再生 さいせい する。
ホスフィン-エチレンジアミン-ルテニウム錯体 さくたい では、カルボニル基 もと はルテニウムには配 はい 位 い せずエチレンジアミンのアミノ基 もと との水素 すいそ 結合 けつごう により結合 けつごう しているとされている。ここで H−Ru−N−H・・・O=C がちょうど6員 いん 環 たまき を形成 けいせい する形 かたち になり、ヒドリド配 はい 位 い 子 こ がカルボニル炭素 たんそ を攻撃 こうげき して水素 すいそ 化 か 反応 はんのう が進行 しんこう する。
水素 すいそ 原子 げんし の付加 ふか に使用 しよう 可能 かのう な置換 ちかん 反応 はんのう 、付加 ふか 反応 はんのう は多岐 たき にわたるので、この項 こう では詳細 しょうさい には取 と り上 あ げない。定義 ていぎ により水素 すいそ 化 か 反応 はんのう は還元 かんげん 反応 はんのう の一部分 いちぶぶん を占 し めるので、一覧 いちらん で示 しめ された各 かく 項目 こうもく と共 とも に還元 かんげん 反応 はんのう の項 こう も合 あ わせて参照 さんしょう いただきたい。
プロトン性 せい 溶媒 ようばい 中 なか で亜鉛 あえん など還元 かんげん 力 りょく が高 たか い金属 きんぞく を作用 さよう させると、ハロゲン化物 ばけもの は金属 きんぞく から一 いち 電子 でんし を受 う け取 と りアニオンラジカル となり、ハロゲン化物 ばけもの イオンの遊離 ゆうり とプロトン化 か を経 へ て水素 すいそ 化 か された生成 せいせい 物 ぶつ を与 あた える。液体 えきたい アンモニア 中 なか で芳香 ほうこう 族 ぞく 化合 かごう 物 ぶつ にアルカリ金属 きんぞく を作用 さよう させるバーチ還元 かんげん では、一 いち 電子 でんし 移動 いどう によりアニオンラジカルが発生 はっせい し続 つづ いてプロトン化 か を受 う け、最終 さいしゅう 的 てき に二 に 水素 すいそ 付加 ふか 体 たい が得 え られる。これらのように、一 いち 電子 でんし 移動 いどう を鍵 かぎ 段階 だんかい とする一連 いちれん の還元 かんげん 反応 はんのう を一 いち 電子 でんし 移動 いどう 型 がた 還元 かんげん と呼 よ ぶ。
金属 きんぞく 水素 すいそ 化物 ばけもの によるカルボニルの還元 かんげん [ 編集 へんしゅう ]
水素 すいそ 化 か アルミニウムリチウムなど金属 きんぞく 水素 すいそ 化物 ばけもの をカルボニル基 もと に対 たい して求 もとめ 核 かく 的 てき 付加 ふか 反応 はんのう を施 ほどこ す反応 はんのう は一 いち 級 きゅう 、二 に 級 きゅう アルコールの製法 せいほう としてよく用 もち いられている(ヒドリド還元 かんげん )。
ただし、水素 すいそ 化 か ナトリウム (NaH) は金属 きんぞく 水素 すいそ 化物 ばけもの であるが、ナトリウムのカルボニル酸素 さんそ との親和 しんわ 性 せい が低 ひく いため、ヒドリドは求 もとめ 核 かく 性 せい を示 しめ さず単 たん なる水素 すいそ 受容 じゅよう 体 たい (つまり塩基 えんき )として作用 さよう する。
マーガリン やショートニング 等 ひとし の硬化 こうか 油 ゆ は、cis -不 ふ 飽和 ほうわ 脂肪酸 しぼうさん の水素 すいそ 化 か によって製造 せいぞう する。融点 ゆうてん が上昇 じょうしょう して常温 じょうおん 下 か 固体 こたい となり、料理 りょうり 等 とう で扱 あつか いやすくなる。製造 せいぞう 時 じ に副 ふく 生成 せいせい 物 ぶつ としてトランス脂肪酸 しぼうさん が数 すう %生成 せいせい する。