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水素すいそ

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水素すいそ(すいそか、えい: hydrogenation)とは、水素すいそガスを還元かんげんざいとして化合かごうぶつたいして水素すいそ原子げんし付加ふかする還元かんげん反応はんのうのことである。水素すいそ添加てんか反応はんのう(すいそてんかはんのう)、りゃくしてみず(すいてん)とばれることもある。この反応はんのう触媒しょくばい必要ひつようとするため、接触せっしょく水素すいそ(せっしょくすいそか、catalytic hydrogenation)ともばれる。文脈ぶんみゃくによっては水素すいそ反応はんのう使用しようした実験じっけん手法しゅほう技術ぎじゅつのことを場合ばあいもある。

より広義こうぎには還元かんげんざいなにであるかをわず、化合かごうぶつ水素すいそ原子げんし付加ふかする還元かんげん反応はんのう全般ぜんぱんのことを場合ばあいもある。

歴史れきし

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接触せっしょく水素すいそ反応はんのう1897ねんポール・サバティエによって発見はっけんされた。サバティエは水素すいそガスちゅう酸化さんかぶつ還元かんげんして調製ちょうせいした微細びさいニッケル粉末ふんまつが、エチレンへの水素すいそ付加ふか反応はんのう触媒しょくばいとなることを発見はっけんした。この発見はっけんによりサバティエは1912ねんノーベル化学かがくしょう受賞じゅしょうした。

その白金はっきんぞく元素げんそなかでもルテニウムロジウムパラジウム白金はっきんの4元素げんそつよ触媒しょくばい活性かっせいつことが発見はっけんされた。ニッケルをふくめたこれらの元素げんそ水素すいそ反応はんのうにはもちいられている。

1966ねんジェフリー・ウィルキンソン前年ぜんねん自身じしん発見はっけんしたロジウムトリス(トリフェニルホスフィン)クロリド(ウィルキンソン触媒しょくばい)が水素すいそガスちゅうアルケン水素すいそする触媒しょくばいとなることを発見はっけんした。このこう活性かっせい触媒しょくばい発見はっけんから反応はんのう溶液ようえき溶な触媒しょくばいもちいる均一きんいつけい水素すいそ反応はんのう発展はってんしていくことになる。

ひとし水素すいそ反応はんのう1956ねん赤堀あかほり四郎しろういずみ美治よしはるによりパラジウムをキラルな担体であるきぬ固定こていした触媒しょくばいにおいてはじめて発見はっけんされた。均一きんいつけい触媒しょくばいにおいては1968ねんウィリアム・ノールズらによりキラルホスフィンはいロジウム錯体さくたい発見はっけんされた。1971ねんにはアンリ・カガンらによりDIOPはいとするロジウム錯体さくたいαあるふぁ,βべーた-飽和ほうわアミノ酸あみのさん水素すいそすると、たかエナンチオ選択せんたくせいられることが発見はっけんされた。

1980ねん野依のより良治よしはるらはBINAPはい錯体さくたいひろ基質きしつたいしてたかいエナンチオ選択せんたくせいられることを発見はっけんした。この業績ぎょうせきによりウィリアム・ノールズと野依のより良治よしはる2001ねんのノーベル化学かがくしょう受賞じゅしょうした。

均一きんいつけい触媒しょくばいによる接触せっしょく水素すいそ

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均一きんいつけい触媒しょくばいにおける水素すいそ触媒しょくばいによって選択せんたくせいおおきくことなるため、目的もくてきとする反応はんのうおうじて適切てきせつ触媒しょくばい選択せんたくされる。また水素すいそあつ反応はんのう温度おんど選択せんたくせいおおきな影響えいきょうあたえる。

触媒しょくばい

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炭素たんそ炭素たんそ多重たじゅう結合けつごう水素すいそでは、白金はっきんぞく金属きんぞく、あるいはニッケルを均一きんいつけい触媒しょくばいとして水素すいそおこなう。炭素たんそ酸素さんそじゅう結合けつごう水素すいそでは、どう-酸化さんかクロム触媒しょくばいなども使用しようされる。またベンジルエポキシドなどの比較的ひかくてき活性かっせい炭素たんそ-ヘテロ原子げんし結合けつごうシクロプロパンたまきなどの炭素たんそ-炭素たんそ結合けつごうひらけきれして水素すいそされることもある。この反応はんのう水素すいそ分解ぶんかい(すいそかぶんかい、Hydrogenolysis)、水素すいそ分解ぶんかい(かすいそぶんかい)とばれる。

使用しようされる金属きんぞく触媒しょくばい表面積ひょうめんせきおおきくなるようにコロイドじょう、スポンジじょう形態けいたいにした金属きんぞく触媒しょくばい、あるいはけいないでの水素すいそガスによる還元かんげんでそのようになるようにした金属きんぞく酸化さんかぶつ金属きんぞく水酸化物すいさんかぶつ使用しようされる。前者ぜんしゃ代表だいひょうれいにはラネー触媒しょくばい後者こうしゃ代表だいひょうれいにはアダムス触媒しょくばいがある。

また、活性炭かっせいたんアルミナなどの不溶性ふようせい物質ぶっしつを担体として、その表面ひょうめんじょう微細びさい金属きんぞく還元かんげんてき析出せきしゅつさせた金属きんぞく担体触媒しょくばいもちいられる。金属きんぞく担体触媒しょくばい経時きょうじてき触媒しょくばい活性かっせい低下ていかすくないとされており、そのため工業こうぎょうよう触媒しょくばいとしてすぐれている。また、リンドラー触媒しょくばいなど金属きんぞく担体触媒しょくばい添加てんかざいくわえて活性かっせい低下ていかさせ、選択せんたくせい向上こうじょうさせたどく触媒しょくばいもちいられる。これらの均一きんいつけい触媒しょくばい濾過ろかするだけで容易ようい回収かいしゅうでき、さい利用りようすることがおおくの場合ばあい可能かのうである。

各種かくしゅ水素すいそ反応はんのう使用しようされる触媒しょくばいれい

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  • C=Cじゅう結合けつごう、C≡C三重みえ結合けつごうをC−Cたん結合けつごう水素すいそするにはニッケル、ルテニウム、パラジウム、白金はっきんもちいられる。これらのなかからの選択せんたく基質きしつ存在そんざいするほか官能かんのうもとへの選択せんたくせい考慮こうりょして選択せんたくされる。場合ばあいによってはアダムス触媒しょくばいばれる酸化さんか白金はっきん PtO2 のような強力きょうりょく触媒しょくばい使用しようされることもある。
  • C≡C三重みえ結合けつごうをC=Cじゅう結合けつごう部分ぶぶん還元かんげんするには、パラジウムをどくして活性かっせい低下ていかさせたリンドラー触媒しょくばいがしばしば使用しようされる。
  • 芳香ほうこうたまき水素すいそして飽和ほうわたまき還元かんげんするにはルテニウム、ロジウムがしばしば使用しようされる。とくにロジウムは水素すいそあつひくくても芳香ほうこうたまき還元かんげんすることができる。ルテニウムは硫黄いおう化合かごうぶつによるどくけないのでチオフェンたまき水素すいそにも利用りようできる。
  • アルデヒドおよびケトンの C=O じゅう結合けつごうカルボニルもと)を CH−OH (アルコール)へ還元かんげんするにはニッケル、どう、ルテニウム、白金はっきんもちいられる。どう-酸化さんかクロム触媒しょくばいは C=C じゅう結合けつごうよりもカルボニルもと選択せんたくてき還元かんげんできる傾向けいこうがあるが、この目的もくてきにはヒドリド還元かんげんほうがすぐれている。
  • エステルのカルボニルもと還元かんげんするには、どう-酸化さんかクロム触媒しょくばい使用しようされるが高温こうおんこうあつ条件じょうけん必要ひつようとなる。
  • ベンジルアルコールやベンジルエーテルの C−O たん結合けつごう水素すいそ分解ぶんかいするにはパラジウム触媒しょくばいもちいられる。この方法ほうほう有機ゆうき合成ごうせいにおいてアルコールをベンジル保護ほごしたのちだつ保護ほごするのにもちいられる常法じょうほうである。
  • 炭素たんそ-硫黄いおう結合けつごう水素すいそ分解ぶんかいするにはニッケル-アルミニウム合金ごうきんをアルカリで溶解ようかいさせて調製ちょうせいするラネーニッケル触媒しょくばいもちいられる。この反応はんのうはアルミニウムの溶解ようかいさいにニッケルへ吸着きゅうちゃくされた水素すいそによる水素すいそ反応はんのうである。カルボニルもとジチオアセタールとしたのちに、この方法ほうほう使用しようするとメチレンもと還元かんげんできる。この反応はんのう中性ちゅうせいちか条件じょうけん進行しんこうし、強酸きょうさんせいおこなわれるクレメンゼン還元かんげんつよ塩基えんきせいおこなわれるウォルフ・キッシュナー還元かんげん条件じょうけん不安定ふあんてい物質ぶっしつにも適用てきようできる。

どく

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均一きんいつけい触媒しょくばい欠点けってんは、反応はんのうけいない存在そんざいする微量びりょう物質ぶっしつによっておおきく触媒しょくばい活性かっせい低下ていかする、すなわちどくこりやすいことである。

どく原因げんいんとなる物質ぶっしつ触媒しょくばいどく)としてはルイス塩基えんきであるアミン硫黄いおう化合かごうぶつホスフィンハロゲン化物ばけものイオン、一酸化いっさんか炭素たんそなどがられている。またなまりビスマスなどの金属きんぞくイオンが触媒しょくばいどくとなることもられている。これらの物質ぶっしつ触媒しょくばいじょう反応はんのう進行しんこうする場所ばしょ活性かっせいてん)となっている部分ぶぶん基質きしつより優先ゆうせんてき吸着きゅうちゃくされるため、触媒しょくばい活性かっせいおおきく低下ていかさせるとかんがえられている。触媒しょくばいどく有機物ゆうきぶつ場合ばあいにはねつなどにより脱着だっちゃくさせることで低下ていかした活性かっせい再生さいせいすることが可能かのうである。

どく官能かんのうもとたいする触媒しょくばい活性かっせいによってその程度ていどことなる場合ばあいがある。これを利用りようして、特定とくてい官能かんのうもとたいする触媒しょくばい活性かっせいのみを残存ざんそんさせたどく触媒しょくばい調製ちょうせいされる。このようなれいとしては酢酸さくさんなまりによりどくしたリンドラー触媒しょくばいローゼンムント還元かんげんもちいられるキノリン硫黄いおうによりどくしたパラジウム触媒しょくばい、ニトロベンゼンからアニリンへの還元かんげんもちいられる硫酸りゅうさんニッケルから調製ちょうせいしたニッケル触媒しょくばいなどがある。

反応はんのう機構きこう

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均一きんいつけい接触せっしょく水素すいそ機構きこう

均一きんいつけい接触せっしょく水素すいそ反応はんのう機構きこうは、おおくの場合ばあいラングミュア・ヒンシェルウッド機構きこうこっているものと推定すいていされている。この機構きこう基質きしつ水素すいそがそれぞれ触媒しょくばい吸着きゅうちゃくし、触媒しょくばいじょう出会であって反応はんのうする機構きこうである。水素すいそ吸着きゅうちゃくさい水素すいそ原子げんし解離かいりしている。この解離かいりには触媒しょくばいとなっている金属きんぞく表面ひょうめん格子こうし欠陥けっかん重要じゅうよう役割やくわりたしているとかんがえられている。触媒しょくばいどくはこの格子こうし欠陥けっかん優先ゆうせんてき吸着きゅうちゃくして反応はんのうさまたげているとかんがえられている。

飽和ほうわ結合けつごうへの水素すいそ付加ふかは、水素すいそ原子げんし解離かいりしていることから2つの水素すいそ原子げんし別々べつべつ付加ふかする2段階だんかい反応はんのうこる。2つの水素すいそ原子げんし基本きほんてきには syn立体りったい選択せんたくせい付加ふかする。しかし1段階だんかい付加ふか場合ばあいによっては2段階だんかい付加ふか可逆かぎゃくであり、またぎゃく反応はんのうさいには付加ふかした水素すいそ原子げんしとはべつ水素すいそ原子げんし触媒しょくばいじょうだつはなれすることもある。この結果けっか飽和ほうわ結合けつごうE-Z 異性いせい位置いち移動いどうこることになり、そこから再度さいど水素すいそ進行しんこうすることによって多少たしょう立体りったい選択せんたくせい低下ていかられる。

用途ようと

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実験じっけんしつレベルでは炭素たんそ-炭素たんそ多重たじゅう結合けつごう水素すいそ保護ほごもととして使用しようしたベンジルはじめだつ保護ほご使用しようされる。そのほかの反応はんのうでは、より簡便かんべんヒドリド還元かんげん使用しようされるのが普通ふつうで、水素すいそおこなわれることは現在げんざいではすくない。

一方いっぽうで、均一きんいつけい触媒しょくばいによる接触せっしょく水素すいそ反応はんのう工業こうぎょうてきにもっともおお使用しようされている還元かんげん反応はんのうである。石油せきゆ接触せっしょくあらためしつ接触せっしょく分解ぶんかいプロセスないにおける水素すいそ窒素ちっそ水素すいそによるアンモニア合成ごうせい一酸化いっさんか炭素たんそ水素すいそによるメタノール合成ごうせいなどはとくだい規模きぼおこなわれている水素すいそれいである。 飽和ほうわ脂肪酸しぼうさん水素すいそ添加てんかは、マーガリン製造せいぞうなど食用しょくよう油脂ゆし加工かこう領域りょういきでごく普通ふつうおこなわれている。またエステルからアルコールへの水素すいそなど、こうあつようするため実験じっけんしつレベルではまずおこなわれないはんおうも、工業こうぎょうてきには油脂ゆしからられる高級こうきゅう脂肪酸しぼうさんから高級こうきゅうアルコールの製造せいぞうなどに一般いっぱんてき使用しようされている。

均一きんいつけい触媒しょくばいによる接触せっしょく水素すいそ

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ウィルキンソン触媒しょくばい代表だいひょうとする白金はっきんぞく金属きんぞくはいとの錯体さくたいもちいた均一きんいつけい金属きんぞく触媒しょくばい接触せっしょく水素すいそもちいられる。とくキラルはい使つかうことにより、エナンチオ選択せんたくてき還元かんげん領域りょういきでよくもちいられている。

各種かくしゅ水素すいそ反応はんのう使用しようされる触媒しょくばいれい

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  • ウィルキンソン触媒しょくばいは、炭素たんそ-炭素たんそ多重たじゅう結合けつごう炭素たんそ-炭素たんそたん結合けつごう還元かんげんするのに使用しようされる。カルボニルもとやニトロもと還元かんげんされない。またはんおう速度そくど立体りったいてき影響えいきょうおおきくけるので分子ぶんしない複数ふくすうじゅう結合けつごう基質きしつで、立体りったいてきいているじゅう結合けつごう還元かんげんしたい場合ばあいなどに有効ゆうこうである。
  • クラブトリー触媒しょくばいは、ウィルキンソン触媒しょくばいでは還元かんげんできないような、反応はんのうせいひくい4きゅうオレフィンも還元かんげんすることが出来できるイリジウム触媒しょくばいである。分子ぶんしないにヒドロキシルもとやカルボニルもと存在そんざいする場合ばあい立体りったい選択せんたくてき還元かんげんおこなうことが出来できる。
  • キラルホスフィン-ロジウム錯体さくたいは、αあるふぁ,βべーた-飽和ほうわアミノ酸あみのさんひとし水素すいそするのに使用しようされる。はいがた C2 対称たいしょうせいつホスフィンはい有効ゆうこうであることがられており、これらはおおくの場合ばあいアルファベットをくだした略称りゃくしょうばれる。アンリ・カガンらによって開発かいはつされたDIOP(ダイオプ)、ウィリアム・ノールズらによって開発かいはつされたDIPAMP(ダイパンプ)、野依のより良治よしはるらによって開発かいはつされたBINAP(バイナップ)、デュポンのマーク・バークによって開発かいはつされたDuPHOS(デュフォス)などである。
  • BINAP誘導体ゆうどうたい-酢酸さくさんルテニウム錯体さくたいは、エナミン、αあるふぁ,βべーた-飽和ほうわカルボンさん、アリルアルコールとうひとし水素すいそ有効ゆうこうである。
  • BINAP誘導体ゆうどうたい-ハロゲンルテニウム錯体さくたいは、βべーた-ケトエステルのひとし水素すいそ有効ゆうこうである。
  • ホスフィン-エチレンジアミン-ルテニウム錯体さくたいは、ケトンのカルボニルもと水素すいそ有効ゆうこうである。BINAP-光学こうがく活性かっせいエチレンジアミン-ルテニウム錯体さくたい使用しようするとひとし水素すいそ可能かのうである。

反応はんのう機構きこう

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金属きんぞく錯体さくたい水素すいそ分子ぶんし酸化さんかてき付加ふかして生成せいせいするジヒドリド錯体さくたい、あるいはそこから還元かんげんてきだつはなれでヒドリドはい1つとアニオンせいはい1つが結合けつごうしてだつはなしたモノヒドリド錯体さくたい活性かっせいしゅとなって進行しんこうする反応はんのう機構きこうかんがえられている。

ウィルキンソン触媒しょくばいではジヒドリド錯体さくたいにオレフィンが πぱい はいしたのち、オレフィンが金属きんぞく-水素すいそ結合けつごう挿入そうにゅう反応はんのうしてアルキル錯体さくたいとなり、アルキルはいがもうひとつのヒドリドはい還元かんげんてきだっはなして生成せいせいぶつのアルカンとなる。だつはなれ触媒しょくばいには水素すいそ分子ぶんし酸化さんかてき付加ふかすることでふたたびジヒドリド錯体さくたい再生さいせいする。

酢酸さくさんルテニウムけい触媒しょくばいではモノヒドリド錯体さくたいにオレフィンが πぱい はいしたのち、オレフィンが金属きんぞく-水素すいそ結合けつごう挿入そうにゅう反応はんのうしてアルキル錯体さくたいとなるところまではおなじである。ここで水素すいそ分子ぶんし酸化さんかてき付加ふかきてジヒドリド錯体さくたいとなり、このヒドリドはいとアルキルはい還元かんげんてきだっはなして生成せいせいぶつのアルカンとなり、同時どうじにモノヒドリド錯体さくたい再生さいせいする。

ホスフィン-エチレンジアミン-ルテニウム錯体さくたいでは、カルボニルもとはルテニウムにははいせずエチレンジアミンのアミノもととの水素すいそ結合けつごうにより結合けつごうしているとされている。ここで H−Ru−N−H・・・O=C がちょうど6いんたまき形成けいせいするかたちになり、ヒドリドはいがカルボニル炭素たんそ攻撃こうげきして水素すいそ反応はんのう進行しんこうする。

その水素すいそ付加ふか反応はんのう

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水素すいそ原子げんし付加ふか使用しよう可能かのう置換ちかん反応はんのう付加ふか反応はんのう多岐たきにわたるので、このこうでは詳細しょうさいにはげない。定義ていぎにより水素すいそ反応はんのう還元かんげん反応はんのう一部分いちぶぶんめるので、一覧いちらんしめされたかく項目こうもくとも還元かんげん反応はんのうこうわせて参照さんしょういただきたい。

いち電子でんし移動いどうがた還元かんげん

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プロトンせい溶媒ようばいなか亜鉛あえんなど還元かんげんりょくたか金属きんぞく作用さようさせると、ハロゲン化物ばけもの金属きんぞくからいち電子でんしりアニオンラジカルとなり、ハロゲン化物ばけものイオンの遊離ゆうりとプロトン水素すいそされた生成せいせいぶつあたえる。液体えきたいアンモニアなか芳香ほうこうぞく化合かごうぶつアルカリ金属きんぞく作用さようさせるバーチ還元かんげんでは、いち電子でんし移動いどうによりアニオンラジカルが発生はっせいつづいてプロトンけ、最終さいしゅうてき水素すいそ付加ふかたいられる。これらのように、いち電子でんし移動いどうかぎ段階だんかいとする一連いちれん還元かんげん反応はんのういち電子でんし移動いどうがた還元かんげんぶ。

金属きんぞく水素すいそ化物ばけものによるカルボニルの還元かんげん

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水素すいそアルミニウムリチウムなど金属きんぞく水素すいそ化物ばけものをカルボニルもとたいしてもとめかくてき付加ふか反応はんのうほどこ反応はんのういちきゅうきゅうアルコールの製法せいほうとしてよくもちいられている(ヒドリド還元かんげん)。

ただし、水素すいそナトリウム (NaH) は金属きんぞく水素すいそ化物ばけものであるが、ナトリウムのカルボニル酸素さんそとの親和しんわせいひくいため、ヒドリドはもとめかくせいしめさずたんなる水素すいそ受容じゅようたい(つまり塩基えんき)として作用さようする。

食品しょくひんへの応用おうよう

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マーガリンショートニングひとし硬化こうかは、cis-飽和ほうわ脂肪酸しぼうさん水素すいそによって製造せいぞうする。融点ゆうてん上昇じょうしょうして常温じょうおん固体こたいとなり、料理りょうりとうあつかいやすくなる。製造せいぞうふく生成せいせいぶつとしてトランス脂肪酸しぼうさんすう生成せいせいする。

関連かんれん項目こうもく

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