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消化しょうかかんあいだしつ腫瘍しゅよう

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消化しょうかかんあいだしつ腫瘍しゅよう内視鏡ないしきょう画像がぞう

消化しょうかかんあいだしつ腫瘍しゅよう(しょうかかんかんしつしゅよう、えい: gastrointestinal stromal tumor略称りゃくしょう:GIST、ジスト[1])とは、消化しょうかかんあいだけい腫瘍しゅようひとつ。

起源きげん[編集へんしゅう]

おおまかに、すじばらせい腫瘍しゅよう神経しんけいせい腫瘍しゅよう、そしてGISTをふくむそれ以外いがい腫瘍しゅよう分類ぶんるいされる。「それ以外いがい腫瘍しゅよう」のなかで、受容じゅよう体型たいけいチロシンキナーゼ一種いっしゅであるKIT蛋白たんぱく別名べつめいみき細胞さいぼう因子いんし受容じゅようたい)を合成ごうせいする遺伝子いでんし c-kit変異へんいがあって過剰かじょう発現はつげんしているもの、あるいはそのような腫瘍しゅよう区別くべつできないもの(たとえば、KIT蛋白たんぱく存在そんざい証明しょうめいできないが、平滑へいかつすじ神経しんけいさやへの分化ぶんか証明しょうめいできず、かつCD34後述こうじゅつ〉などの特異とくいてき抗原こうげんみとめられるもの。ほとんどの症例しょうれいは、おな受容じゅよう体型たいけいチロシンキナーゼファミリーにぞくする「血小板けっしょうばん由来ゆらい成長せいちょう因子いんし受容じゅようたいαあるふぁサブタイプ」を合成ごうせいする遺伝子いでんし PDGFRA変異へんいがある。)が、GISTと定義ていぎされている。

GISTの起源きげんとなる正常せいじょう細胞さいぼうとしてはカハールの介在かいざい細胞さいぼう (interstitial cells of Cajal:ICC) が有力ゆうりょくされている。ICCは消化しょうかかん運動うんどうのペースメーカー細胞さいぼうとして機能きのうしており、細胞さいぼうまく貫通かんつうするKIT蛋白たんぱくという表面ひょうめん抗原こうげんゆうしている。この蛋白たんぱくはc-kit遺伝子いでんしによりコードされ、受容じゅようたいかたチロシンキナーゼとして機能きのうし、先天的せんてんてきにKIT蛋白たんぱく欠如けつじょする個体こたいはICCの欠損けっそんきたしている。

部位ぶい[編集へんしゅう]

おおくは発生はっせいし、胃癌いがんとの鑑別かんべつ必要ひつようとする。食道しょくどうではほとんどみとめない。

検査けんさ[編集へんしゅう]

内視鏡ないしきょう
GISTのおおくは正常せいじょう粘膜ねんまくおおわれ、粘膜ねんまく腫瘍しゅよう (submucosal tumor:SMT) 形態けいたいていする。通常つうじょうなまけん採取さいしゅできる組織そしき粘膜ねんまく表層ひょうそうかぎられるため、どう部位ぶいなんかいなまけんするボーリングせいけん(boring biopsy/掘削くっさくせいけんとも)や、病変びょうへんなどの場合ばあいにはちょう音波おんぱ内視鏡ないしきょう穿刺せんし吸引きゅういんほう (EUS-FNA)[注釈ちゅうしゃく 1]おこなわれる。ただ、EUS-FNAには穿刺せんしによる腹腔ふくこうない播種はしゅのリスクがあり[4][5]十分じゅうぶん注意ちゅういのもとでおこなう。増大ぞうだいした腫瘍しゅよう潰瘍かいよう形成けいせいして消化しょうかかん腔に露出ろしゅつした場合ばあいには、一般いっぱんてきなまけんでの評価ひょうか可能かのうである。
 CTMRI
腫瘍しゅよう形態けいたい総合そうごうてき評価ひょうかする。

病理びょうり[編集へんしゅう]

免疫めんえき染色せんしょくおこなってKIT蛋白たんぱく、およびCD34(血管けっかん内皮ないひ幼弱ようじゃく造血ぞうけつみき細胞さいぼう共通きょうつうする表面ひょうめん抗原こうげん)の存在そんざい確認かくにんすることにより、平滑へいかつすじ組織そしき末梢まっしょう神経しんけい由来ゆらい腫瘍しゅよう鑑別かんべつする。なお、消化しょうかかんすじそうないにある正常せいじょう細胞さいぼうなかでCD34とKITの両方りょうほう発現はつげんしている細胞さいぼうは、ICCだけである。

治療ちりょう[編集へんしゅう]

基本きほんてき外科げかてき切除せつじょだいいち選択せんたくである。ただ、転移てんいなどがあって手術しゅじゅつ切除せつじょ困難こんなん場合ばあいには、こうがんざい治療ちりょう化学かがく療法りょうほう)がおこなわれる。

手術しゅじゅつ加療かりょう[編集へんしゅう]

切除せつじょ可能かのうであれば手術しゅじゅつ切除せつじょ施行しこうされる。基本きほんてき病巣びょうそう切除せつじょと、リンパぶし転移てんい血行けっこうせい転移てんいしょうじることがられているため、リンパぶしかくきよしおこなわれないことがおおい。

腫瘍しゅようみち病理びょうり組織そしきにおける核分裂かくぶんれつぞうおうじてこうリスクと判断はんだんされた場合ばあいには術後じゅつごにイマチニブの内服ないふくを3年間ねんかんおこなう。

化学かがく療法りょうほう[編集へんしゅう]

切除せつじょ困難こんなん症例しょうれいたいし、または術後じゅつご病理びょうり結果けっかにおいての補助ほじょ療法りょうほうとして、以下いかこうがんざい治療ちりょうおこなわれる。

イマチニブ:imatinib(グリベック Glivec)
ほぼだいいち選択せんたくとしてもちいられる。チロシンキナーゼ阻害そがいざいで、KIT蛋白たんぱく阻害そがいによりGISTの増殖ぞうしょく抑制よくせいされる。
スニチニブ:sunitinib(スーテント Sutent)
イマチニブに抵抗ていこうせいられた場合ばあいおなじくチロシンキナーゼ阻害そがいざい上記じょうき使用しようされる。
レゴラフェニブ:regorafenib(スチバーガ Stivarga)
イマチニブやスニチニブにたいせいしめした場合ばあいなどは、マルチキナーゼ阻害そがいざい上記じょうき施行しこうされる[6][7]

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増殖ぞうしょく形態けいたい細胞さいぼう分裂ぶんれつかず細胞さいぼうことがたなどが種類しゅるいのGIMTなら良性りょうせい相当そうとうする程度ていどのものであっても、ときに遠隔えんかく転移てんいきたすことから、臨床りんしょうまとにはひく悪性あくせい腫瘍しゅようとしてあつかわれる。まれに、あきらかに肉腫にくしゅとしての形態けいたいしめすものもあり、これはこう悪性あくせい腫瘍しゅようとしてう。

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

注釈ちゅうしゃく[編集へんしゅう]

  1. ^ ちょう音波おんぱ内視鏡ないしきょうしたでよりふか穿刺せんしすること。対象たいしょう病変びょうへんちょう音波おんぱ内視鏡ないしきょう染色せんしょくして確認かくにんするケースほぼすべてで、対象たいしょう臓器ぞうき膵臓すいぞう肝臓かんぞう胆嚢たんのうのほかリンパぶしなどおおい。腫瘍しゅよう診断しんだん開腹かいふくともなわない検査けんさほうであり、身体しんたいへの負担ふたん比較的ひかくてきすくない。また、安全あんぜんせいでは偶発ぐうはつてき事故じこはおよそ2%を下回したまわるとされる[2]統計とうけいによるとEUS-FNAで組織そしき採取さいしゅしたさい全国ぜんこく偶発ぐうはつしょう出血しゅっけつ感染かんせん穿孔せんこう・膵炎・もんみゃく閉塞へいそくなど)の頻度ひんどは0.5-2.5%とわれている[3]

出典しゅってん[編集へんしゅう]

  1. ^ GIST(消化しょうかかんあいだしつ腫瘍しゅよう)(じすと(しょうかかんかんしつしゅよう)) 国立こくりつがん研究けんきゅうセンター希少きしょうがんセンター
  2. ^ EUS-FNAでの正確せいかく組織そしき診断しんだん”. 国立こくりつがん研究けんきゅうセンター. 2019ねん4がつ4にち閲覧えつらん
  3. ^ ちょう音波おんぱ内視鏡ないしきょう:EUS(すいぞうきもかん検査けんさ”. 三愛さんあいメディカルセンター 消化しょうかびょう内視鏡ないしきょうセンター. 2018ねん7がつ22にち時点じてんオリジナルよりアーカイブ。2019ねん4がつ4にち閲覧えつらん
  4. ^ Shah JN; Fraker D; Guerry D; Feldman M; Kochman ML (2004). “Melanoma seeding of an EUS-guided fine needle track”. Gastrointest Endosc 59: 923-924. doi:10.1016/S0016-5107(04)00340-2p. NAID 30016615565. 
  5. ^ Tomonari, Akiko; Katanuma, Akio and; Matsumori, Tomoaki; Yamazaki, Hajime; Sano, Itsuki; Minami, Ryuki; Sen-yo, Manabu; Ikarashi, Satoshi et al. (2015-07). “Resected tumor seeding in stomach wall due to endoscopic ultrasonography-guided fine needle aspiration of pancreatic adenocarcinoma”. World Journal of Gastroenterology (WJG Press) 21 (27): 8458-8461. doi:10.3748/wjg.v21.i27.8458. ISSN 2219-2840. NAID 120005997835. 
  6. ^ バイエル薬品ばいえるやくひん株式会社かぶしきがいしゃ 2012ねん9がつ27にち広報こうほう [1][リンク]
  7. ^ 2013/03/25 バイエルヘルスケア 「経口けいこうマルチキナーゼ阻害そがいざい「スチバーガじょう」の製造せいぞう販売はんばい承認しょうにん取得しゅとく[2][リンク]

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]