狭筵さむしろ

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狭筵さむしろ（さむしろ）とは、古ふるい時代じだいの源氏物語げんじものがたり関係かんけいの文献ぶんけんにしばしば現あらわれる源氏物語げんじものがたりの巻まき名めい。「狭筵さむしろ」、「狭せま席せき」などさまざまな漢字かんじ表記ひょうきを持もつほか仮名がな表記ひょうきされている場合ばあいも多おおい。大おおきく分わけて宇治うじ十じゅう帖じょうに含ふくまれる巻まきの異名いみょうまたは並ならびの巻まきとして記しるされている場合ばあいと巣す守もりや桜さくら人じん等ひとしと同様どうように現行げんこうの54帖じょうに含ふくまれない外伝がいでん的てきな巻まきの一ひとつとしてあげられている場合ばあいとがある。この両者りょうしゃが同おなじものを指さしているのかも明あきらかではない。

宇治うじ十じゅう帖じょうでの「狭筵さむしろ」

• 東屋あずまやの異名いみょうまたは並ならびとしての「狭筵さむしろ」

  故実こじつ書しょ『拾ひろえ芥あくた抄しょう』（前田まえだ尊みこと経けい閣かく文庫ぶんこ本ほん）に収おさめられた「源氏物語げんじものがたり巻まき名目めいもく録ろく」では「卅二　東屋あずまや」に小文字こもじで「狭せま席せきイ」」（「イ」はおそらく異名いみょうの意味いみ）と付記ふきされている。

• 浮舟うきふねの異名いみょうまたは並ならびとしての「狭筵さむしろ」

  「源氏げんじ小しょう鏡きょう」のいくつか、京都大学きょうとだいがく蔵本くらもと、大阪市立大学おおさかいちりつだいがく蔵本くらもと、天理大学てんりだいがく天理てんり図書館としょかん蔵本ぞうほんなどには、浮舟うきふね巻まきに「狭筵さむしろ」の異名いみょうを挙あげている。

外伝がいでん的てきな巻まきとしての「狭筵さむしろ」

• 『白しろ造づくり紙し』

  現在げんざいその内容ないようを確認かくにんできる源氏物語げんじものがたり巻まき名目めいもく録ろくの中なかでは最もっとも成立せいりつ時期じきの古ふるいものである。

  「コレカホカニノチノ人じんノツクリソヘタルモノトモ」との文言もんごんの後のちに

  • サク（ラ）ヒト
  • サムシロ
  • スモリ

  との記述きじゅつがある。

• 『源みなもと氏し小しょう鏡きょう』

  源みなもと氏し小しょう鏡きょうの中なかに外伝がいでん的てきな巻まきとしての「さむしろ」に関係かんけいする記述きじゅつを持もつものがいくつか存在そんざいする。

  桃園ももぞの文庫ぶんこ旧きゅう蔵本ぞうほんでは「紫式部むらさきしきぶにより書かかれた54帖じょうに入はいらない巻まき」として名前なまえを挙あげられている。「住じゅう守もり」、「桜さくら人じん」、「狭筵さむしろ」が各かく2帖じょうあるとされている。

• 『源氏げんじ古こ系図けいず』（宮内庁くないちょう書しょ陵りょう部ぶ蔵ぞう）

  系図けいず末尾まつびの雑ざつ載の部分ぶぶんの歌うたの作者さくしゃを男女だんじょ別べつに挙あげた部分ぶぶんで「桜さくら人じん」、「狭筵さむしろ」、「巣す守もり」については歌うたを入いれないとの注記ちゅうきがある。池田いけだ亀鑑きかんはこの記述きじゅつはこれらの巻まきは本来ほんらいの源氏物語げんじものがたりのものでないという判断はんだんに基もとづくのであろうとしている。

• 『源氏物語げんじものがたり注釈ちゅうしゃく』（宮内庁くないちょう書しょ陵りょう部ぶ蔵ぞう）

  院政いんせい期きの成立せいりつと見みられる巻まき名目めいもく録ろく、「源氏物語げんじものがたりのおこり」に続つづいて3つの注釈ちゅうしゃく書しょを合あわせた外題げだいが付ふされていない源氏物語げんじものがたりの注釈ちゅうしゃく書しょであり、仮称かしょうとして「源氏物語げんじものがたり注釈ちゅうしゃく」や「源氏物語げんじものがたり古こ注ちゅう」と呼よばれている。54帖じょうに含ふくまれない源氏物語げんじものがたりの続編ぞくへん的てき巻まき々の名前なまえとして「さくら人じん」、「さむしろ」、「すもり一いち」、「すもり二に」、「すもり三さん」、「すもり四よん」、「やつはし」、「さしぐし」、「はなみ」、「さが野の一いち」、「さが野の二に」の11帖じょうを挙あげている。

• 『山路やまじの露ろ』（九条くじょう稙通自筆じひつ本ほん）

  奥書おくがきにおいて「清少納言せいしょうなごんが造つくり添ぞえた巻まき」として、「桜さくら人じん」、「狭筵さむしろ」、「巣す守もり」の3帖じょうが挙あげられている。

巣す守もり・桜さくら人じんと「狭筵さむしろ」

「さむしろ」は桜さくら人じんのように本文ほんぶんとされるものも巣す守もりのように内容ないようを推測すいそくさせる資料しりょうも全まったく伝つたわらないが、しばしば巣す守もりや桜さくら人じんと並ならべてかつて存在そんざいしていた、あるいは後人こうじんの作つくった巻まきの名前なまえとして伝つたえられているため、これらの巻まきは成立せいりつ又または伝つて流りゅうにおいて何なんらかの関係かんけいがあった可能かのう性せいがあると考かんがえられている。

参考さんこう文献ぶんけん

• 岩坪いわつぼ健けん「消きえた・消けされた・作つくられた巻まき」同志社大学どうししゃだいがく大学院だいがくいん文学ぶんがく研究けんきゅう科か『源みなもと氏し・ゲンジ・GENJI　源氏物語げんじものがたりの翻訳ほんやくと変奏へんそう』同志社大学どうししゃだいがく大学院だいがくいん文学ぶんがく研究けんきゅう科か国際こくさいシンポジウム2008実行じっこう委員いいん会かい、2008年ねん、pp.. 4-16。

関連かんれん項目こうもく

• 源氏物語げんじものがたりの類るい